アカメが斬る!帝都の繁栄と腐敗   作:色々し隊

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300年だ…もう操作は大体大丈夫だろう?
さぁ、目覚めの時だ(上に字を置くやつ)


 


第13話 変わりゆく帝都

 皇帝の玉座にて、タナトスは王に膝をついている。皇帝は幼くも王らしく周りの文官の目を気にも止めず尊大な態度を崩さない。

 

 彼は変わった。周りに言われるがままに流されるだけの飾り物の王ではなくなった。自分で見て、自分で考え、最善を見つける為にあらゆる手を使う。民が、兵が、人が平和に生きられる政策を模索する。もう大臣の言葉は不要。

 

 そんな彼がタナトスを呼び出した訳は一つ。

 

皇帝

「貴様には、帝都警備隊の再編及び帝都警備隊の隊長についてもらう。」

 

タナトス

「ーーー御意。御身の御心のままに」

 

 

 

 

 

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 突然の事だ。遠征に出ていた俺たちの前にナイトレイドが現れた。来るや否や帝具を振り回し襲いかかってきた。

 クロメが自身の帝具で呼び出した骸が応戦する暇もなく分断された。それぞれがそれぞれと闘う。エスデス隊長だけは、2対1を強いられている。迫る猛撃を軽くいなしている。さすがは隊長だ。だが油断はできない。

 目の前の敵は俺と同じ鎧の帝具を見に纏ったやつだ。実力は互角…いや、向こうのほうが一枚上手だろう。こちらの攻撃を全て受け流し確実にダメージを与えてくる。

 

 ここ数ヶ月、帝国はかつてないほどに変わった。民は上からむしり取られていた税金が嘘の様に軽くなり、悪虐を尽くした故オーガ率いる帝都警備隊や俺たちイェーガーズの代わりに帝都の周辺警戒に導入されたタナトス伯爵率いる

 

   《皇帝特務『龍焉ノ騎士団』》

 

 全員が全身鎧やローブに身を包んだ怪しげな集団だ。だが民たちから慕われ、良好な関係を気づきこれまでの圧政が嘘のように変わる。皆心の底から笑い繁栄が続いていく、俺たちイェーガーズはもう必要ないのかもしれない。Dr.スタイリッシュの犯した罪は許してはいけない。だが、それが許されていたのが今までの帝都だ。非人道を絵に描いたような国を今まで守っていたと思うと嫌になる。

 

 相手から送られてくる一撃一撃をいなしながらそんなことを考える。

 

ーー何の為に帝都に来たのか?

ーー見送ってくれた母は何というのだろうか?

ーー師匠は何というだろうか?

 

 余計なことを考えた代償か、蹴りを顔に喰らい意識が吹き飛びそうになる。必死に踏ん張って敵を見る。今度は食らわない。食らってはいけない。目の前の敵は、強い。単純な技だけじゃない。拳から伝わる熱い思い。きっと正義感が強いのだろう。帝国の圧政を良しとしない強い意志を感じる。

 もう一撃でも貰えば恐らく意識は無くなるだろう。だがそれはない。俺が倒れれば、ボルスさんやクロメのところに行くはずだ。ただでさえ数的不利があるこの状況でより悪化させるわけにはいかない。

 再び拳を握りしめて眼前の敵を睨む。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 流石お姉ちゃん。私の兵隊達をこんなに相手にしてるのに、動きが鈍くなるどころかどんどん洗礼されていく!

 

 

《“死者行軍”八房》

 斬った対象を屍人形として使役可能とする帝具。総制御数は7か8程度だが、帝具で斬り、命がないのなら操る事は造作ない。クロメが操るのは全て強者揃いである。

 

ーー昔の仲間

ーー北の国からのの暗殺者

ーー反乱しようとし殺された元帝国将軍

ーー特級危険種の変異体

ーー凄腕のボディガード

ーー異民族の長

ーー???

 

 

 これ程の数と質、倒しきれない訳はない。そう思っていたが結果は違った。

 

 機動力というのは大切だ。何をするにも『速度』は重要となってくる。例えば、尋常ならざる攻撃力を持った帝具があったとしよう。それは一回の使用で地形を変える破壊力を持ち、頑丈な装甲に包まれている。が機動力が無ければどうなるか?簡単な話だ。集中砲火にあい、装甲を貫かれるのが関の山、さらに言えば圧倒的な攻撃力と防御力を兼ね備えるという事は躯体が巨大になるという欠点もある。的が大きくなればそれだけ攻撃も当てやすくなる。

 

 戦場というフィールドを縦横無尽に駆け回るアカメを誰一人捉えることができないでいた。等身大の人間が神速を極めれば捉える事が出来る“人間”など存在しないのだから、その速度は屍人形の包囲を突破し、クロメ本体へと斬りかかる。

 紙一重で回避する。村雨の一斬は掠るだけで死に至る呪いを送ることができる。故に身体でそれを受け止める事は『死』を意味する。防具で防ぐか刀で受け止めるか…あるいは屍人形を囮とするか、死んでいるのならば村雨の呪いは効かない。

 クロメにとってアカメとは相性が良いはずだった。持ち前の機動力も“あれ”を使えば完封できた。ミスはたった一つ、姉の実力が予想を遥かに超えていた。

 先のタナトスとの戦闘、それがナイトレイド…いや革命軍全体の武力の向上を促した。

 

 このままの戦力であの“化け物”に勝てるわけが無い。

 

 前々からわかっていた事だが、ただでさえエスデスという難攻不落があるのだ。皆心の中で帝具の力を当てにしていた。もしかすればタナトスも倒せるのでは無いか?そんな淡い期待も絶対的な力の差を見せつけられ現実を突きつけられる。だから強くなる為にこの数ヶ月、血も滲むような訓練を繰り返した。アカメとて例外では無い。繰り返ししていたトレーニングに加え、超級認定寸前の危険種を素手で葬り去り、ブラートの姿勢を見習い全方位を組まなく観察しながら行動する方法も身につけた。他のメンバーもそれぞれが特訓し、前よりも強力になった。

 それは彼らが迎える『運命』の時の総力と同格、先に進んだ彼らにイェーガーズが勝てる訳もなく次第に押され始めている。

 

 

 

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 イェーガーズが追い込まれ互いに背中を預け合う。周囲にはナイトレイドが包囲し、遠方から狙撃手が狙っている。

 辛うじて隊長であるエスデスが健闘しているぐらいで他は圧倒され膝をついている。

 エクスタスを持ったシェーレが突撃しようと踏み出した時、『それ』は現れた。

 

 照りつける太陽の火を阻む大きな翼の影を地に写し全員の視線が集中する。

 

 降り立ったのはブドー大将軍より一回り程小さいローブで体を隠したペストマスクの戦士だった。すこし、おかしいところがあるとすればそれは隠された胴体だ。普通の人間にしては背中が大きい。

 

 ウェイブは戦士の感故か、他のものよりも一層乱入者に警戒心を強くするのを他所にナイトレイドとイェーガーズの間で空からの使者は微動だにしないでいる。

 それは警告、両者共一歩も動くなと、動けば容赦はしない。総がかりで来ようと打ち払って見せよう。

 

アカメ

「お前は誰だ?」

 

 村雨を握る力を強くしながら問うた。敵ならば葬る。十中八九敵だが…

 

???

「隊長からの命令さ、手を引いてもらいに来た。ナイトレイドのみんな。」

 

 手にしたビラを全員に見える様に掲げる。皆「何それ?」と言った感情が表に出て首を傾げる。

 

???

「これは、昨日刊行されたモノだ。『二組共、その心に正義があるのならばここは武器を納め、帝都へと戻ってほしい』と、僕らの隊長は言っている。」

 

タツミ

「何!?」

 

 ビラを渡されたタツミは目を見開いて驚いた。デンッ!と表紙を飾っていたのは略奪の限りを尽くされボロボロになった城砦、現皇帝を支持し、未だその立場にいるオネスト大臣の落籍を狙う官僚のいた場所ーービラに映るそれは、かつて武力を保持していたのか!?と疑いたくなる程の損害が確認できる。ズタボロの写真の下には実行犯と思われる証拠映像の一部を切り抜いた写真が載っていた。これまた龍焉ノ騎士団と同じく布類で全身を隠していた。

 

???

「彼らには手を焼いていてね。僕達だけでは手に余る。なんせ危険種を使役しているんだからね。Dr.スタイリッシュの遺産ーー人体実験の残り物を使ってるせいで僕らも迂闊に手を出せない。出せば最後、帝都民ら全員奴らの餌食だろうからね。」

 

 戦闘を中断され不機嫌なエスデスが龍焉ノ騎士団の使者に問う。

 

エスデス

「何が言いたい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

「単純な事さ、ナイトレイドには彼らの暗殺を、イェーガーズには帝都民全員の護衛及び“敵性”危険種の排除を頼みたい。」

 

 その提案にその場にいた全員が唖然とした。

 

 ナイトレイドとイェーガーズは敵同士、それ即ち反乱軍と帝国軍という事。どちらか片方に提案するのならばわかる。だが、両方…どう言う事だ?

 

 全員の疑問を気にすることもなく龍焉からの使者は深々と頭を下げる。

 

???

「メンバーの情報はおおかた割れていてね。オネスト大臣の実息であるシュラを筆頭に彼が異国から連れてきた実力者ーーその数14名+敵性危険種数百体だ。僕らだけでは帝都民の防衛で手一杯だからね。この通りお願いするよ。

 それに、あそこには僕の友達もいるんだ。少しでも力を貸して欲しい。」

 

 想いに嘘偽りはない。事実、帝都には彼の行きつけの店があるのだ。そこの店主とも軽口を叩くぐらいには仲が良い。だからこそ守ってあげたいと思う。

 

 ーーーあんなに美味しい料理を出してくれる店は失うには惜しすぎる。

 ーーー飲み物も美味い。

 ーーー店主の子供と空を飛ぶのも楽しい。

 

 だから失いたくはない。天寿を全うして最後は幸せだったなと思って死なせてあげたい。それが、永久を生きると決めた自分達がしてあげられる最後の贈り物なのだから

 

エスデス

「何を馬鹿なことを言っている。私達は帝国に刃向かう異民族の迎撃に当たれと言われている。貴様ら1騎士団の判断で振り回されては困る。それにナイトレイドの手を借りるということはどういう事か分かってるのか?」

 

???

「無論、承知の上で頼みに来た。それに貴女は防衛戦は嫌いでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突風が全員を襲う。それは使者が移動した余波。エスデスに突貫し拳を叩き込んでいた。

 エスデスも愛用のレイピアで拳を受け止めるが、その重い一撃に体制を崩し後ろへと後退する。

 

???

「君の相手は僕が引き継ぐ。これで文句はないでしょ?

 氷の女帝さん?」

 

 身体を隠していた布が余波によって空へと舞い上がる。現れたる姿は人にあらず、人型危険種のソレだった。背の翼をたなびかせ屈強な肉体に力を込める。

 ウェイブにとって忘れることなんてない。前に遭遇した新型危険種、ソレが龍焉ノ騎士団にいたのだ。

 

ウェイブ

「お前はッ!?」

 

 ウェイブの問いを翼人……パルは静かに真に返す。

 

パル

「早く行きなよ。君達の仕事は蹂躙するだけじゃないでしょ?」

 

 そうだ。俺達はイェーガーズ、悪虐の徒から市民を守り平和を維持する事こそ本解。他のみんなはどうかは知らないが少なくとも自分はそうありたい。

 目の前の敵は自分に教えてくれた。他者がどうあれ自分の信念を貫けと。

 

 地面を蹴り上空へ跳躍し帝都を目指す。グランシャリオをつけているのならばそう長くはかからない。数分で帝都へと到着するだろう。

 

 

エスデス

「まさか、全員向かうとはな。困った部下達だ。」

 

パル

「その割に、嫌な顔をしていらっしゃらないようで?

 まさか貴女にもそんな人間的な面があるなんてね。」

 

 戦闘前の他愛無い雑談に耽る二人、常人が見たら腰を抜かして逃げるであろう殺気が充満する中、先に動いたのはエスデス。

 

 デモンズエキスで作り出した氷と共にバードマンであるパルに肉薄する。勝負は一瞬、パルに触れ氷漬けにして生捕りにする。

 

エスデス

「ふん、この程度か…

 拍子抜けだな。」

 

 カチコチに固まった生命を内包している氷の塊は不動を貫いている。

 あまりの呆気なさに流石のエスデスも困惑している。

 

 単に自分が強いだけなのか?それとも相手が弱すぎただけなのか?

 

 絶対零度は決して砕けることはない。念には念を入れ自分が持てる最強の氷で捉えた事を自覚している。ならば結論は一つ、自分の全力が敵を上回っただけなのに…何なのだろう?この違和感は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パキッ、パキッ、バキッ、バキッ!

 

 

 氷に亀裂が走る。異形を捉えた檻は原型を咎めないほどに粉状に砕け散りつまらなそうにしていた表情が驚愕に染まる。

 

パル

「やはり、危険な存在だ。」

 

エスデス

「…………何をした?」

 

パル

「君の氷に隙間を残しただけだよ。」

 

 後に「こんな感じでね」と周りに吹く風がその場で静止する。

 

パル

「風の壁、これが、僕がアイツから貰った力だよ。名前なんて無いけどネ!

 さぁ、本気で来なよ!」

 

 腰を落とし本格的な戦闘へ移行する。文字通り空気が変わる。全てがパルに味方する。 

 突風がパルの跳躍をブーストした。常人では視認することすら出来ない神速の領域、そこから繰り出す蹴りは速度のみで空間を歪め木々をなぎ倒し地形を変える程の一撃を次々と放つ。

 エスデスも黙ってやられているわけではない。帝具の能力で氷を作り応戦している。だが、そんなことは気にも留めないパルは拳と脚に纏った風圧を利用して着々と傷をつけさせている。

 エスデスが弱い訳はない。無限にも等しいバリエーションを生み出せる帝具と人という枠組みから外れた身体能力を持つ彼女は確かに強い。帝国最凶は伊達ではなかった。

 

パル

「へぇ、結構本気で動いてるけど…着いてこれるんだ。」

 

 だが、対峙している相手は文字通り格が違う。人から逸脱しようと悠久を生きる真の化け物にはあと一歩届かない。迫る攻撃も躱せば躱す程周りに被害が現れてしまう。エスデスとしては気にすることでは無いが、遮蔽物が無いところでアレと殺し合うのは自殺行為に等しい。

 

エスデス

「チッ、ならば!」

 

 更地一帯が氷の街に変異した。エスデス自身の渾身の力を込めて作った今持てる最大の技

 

氷柱街結界(ひょうちゅうがいけっかい)

 帝都と同じかそれ以上の規模で濁り一つない氷で形作られた無人の街は、冷気を放ち移動するパルの羽を鈍らせる。

 

 多少だった。多少速度が鈍くなる。その程度だと過信した。風は冷気に飲まれ自分のテリトリーが無くなるのを感じる。

 能力によるゴリ押しは不可能と判断し地面に降りて足で動こうと地表に降りようとした時にふと、足場となる場所に目が行った。氷柱街結界は周囲一帯を変質させた氷の街。建物も床も空気さえ

 その時、パルは恐怖した。人が持つにはあまりにもすぎた力、ソレをこの女は容易く使用し追い詰める。

 凄まじい、自分の最大の武器である《風》を封じられ鳥本来のテリトリーである空を飛ぶことすら許されない状況は正しく詰みだ。

 空気が凍り徐々に自信を侵してくる。手が悴んで感覚が薄れていく。

 

 不味い、不味い、このままでは殺される!?

 

 迫り来る氷の死の前にパルは“奥の手”の仕様も検討するのだった。




やっとです! やっと出来ました!
 昔っからやりたかったけど方法がわからなくてはや数年、解き方がわかってスッキリ!
 これからも手探りですがやっていきますのでよろしくお願いします!!

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