森の移動は予想よりも緩やかに進んだ。危険種に合うわけでも無く、遠足の如くノホホンとした雰囲気に包まれていた。
子供達もボルスとの会話を楽しむ余裕すら浮かべている。
話の話題はタナトスだ。
能天気に訪れて子供達と一緒に遊んだり、遊具がわりで体によじ登ったり、絵本を読み聞かせ良いところでパッと本を閉じ帰ろうとする事を嬉しそうに話す。
それを聞いたボルスも嬉しそうに相槌をうつ。帝都は変わっても
付き合わされる側も悪い気はしない。ボルスの中で映し出される光景。
娘と一緒に料理を作るヘルムを取った優しい
取り繕った様子など無く娘とハイタッチでニカっと笑っている。たとえその顔が偽物であったとしても表情は本物だろう。
沢山の人々と共に歩む
足並みを進めている。子供達も疲れた様子はない。ちょっとした遠足気分になっている。そこまで浮かれて良いのかといえば、良くない。しかしボルスがタナトスの“友達”だという事実が何よりも大きかった。
タナトスは強い。タナトスの友達も強い。
子供の思考回路は単純で明快。自分達は足手まといかもしれない。でも……と、
危険種の咆哮が森の中に響く。
一匹や二匹などではない、姿を表した危険種の背に人が乗っている。帝都で見かける様な格好とは違う。
寒さを凌ぐ為の厚着の格好に特殊なゴーグルをかけている。
ボルス
「これは、北の異民族……」
異民族…というのは聞いたことがある。授業で先生が言っていた帝都に属さない周辺国家の事だろう。と
自身の帝具《ルビガンテ》を構え警戒体制をとる。火炎放射器の帝具は森との相性がすこぶる悪いが今ある武器はこれしかない。
目の前の異民族の集団はボルス達を囲むための陣形をとっている。逃れる術は力尽くで突破するしか無い。
せめて子供達だけでも逃がせる様に時間は稼ぐつもりでいる。包囲されているという最悪のケースは考えず希望的観測にすがる他ない。
ルビガンテの銃口が火を噴く、帝具は人智を超えた力を有する。火炎放射器のルビガンテも例外ではない。舞い上がった炎は消える事なく、対象を完全焼却するまで燃え尽きることはない。一度触れてしまえば終わり。しかしその力が今マイナスの方向に作用してしまっている。周りは木々が生い茂り火が移ればたちまち大火災を引き起こす。自分一人ならば防火装備を付けているため問題はないが後ろの子供達はどうだろう? 火の餌食になるに決まってる。
そんな光景は見たくない。仕事ならば割り切る事が出来た。過去、反乱軍に協力していた村を丸々一つ焼き払った事があった。あの時の事は目に焼き付いている。いや今まで焼き払ってきた人々の苦痛に歪む顔を忘れることはできない。仕事と割り切っていても罪のない筈の人を殺したのだから、
地に横凪で放たれたルビガンテの炎、異民族の集団とボルス達を区切り通ることの出来ない壁と化す。
ボルス
「今のうちに逃げるよ! 早くッ!」
ボルスが指さした方角、帝都へと一斉に走り出した。囲まれてさえいなければ逃げる時間ぐらいは稼げる筈、出力を弱め森へと被害を最小限にとどめつつ足止めもする作戦は見事に上手く行っていた。このまま森を抜け帝都付近まで行けばウェイブかランが気付き助けに来てくれる可能性が生まれる。今自分に出来ることはできる限り時間を稼ぎ距離を取りつつ帝都付近へ辿り着くこと、しかし現実は甘くはない。
辺境の地で鍛えられた彼らはあらゆる手を尽くし主君の仇を撃つため機会を作り待っていたのだ。故に対策は盤石であった。“雇い入れた帝具使い”の実力者、地形を利用した殲滅戦、イェーガーズメンバーの帝具特性と弱点、以上をもって練りに練り上げた作戦だ。
ボルスを囲む様に配置された陣形でそれぞれの武器を構える。狙うは子供、標的の心を追い込みその果てに殺してやる。憎しみを胸に復讐に囚われた愚かしい人間は年端もいかない子供達に牙を剥く。
助走をつけた走り、辺境の地で鍛えられた脚力で接近し刃物を振りかざす。
恐怖で足が動かない一人の女の子、迫る刃から目を背けるしか出来ない。ザクリと人体に刃が食い込む音が森に木霊する。血が滴り落ちる、ポタポタと地面が赤く染まる。
舌打ちをする異民族の一人に立ち塞がるのはボルスだ。ルビガンテが使えない今、自分の体で幼い女の子を守ったのだ。
他の敵も武器を構え突撃する。亡き主人の仇を取るために、最大限の絶望を与えて殺す為に、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目の前の光景にただ言葉を失う。自分達を帝都まで送ると言った大人の姿は記憶にこびりついて離れない過去のトラウマと重なった。
突然、村に火の粉が舞い人が焼け家が燃える。落ちてくる瓦礫を燃やす炎がさらに被害を拡大させ死が直前まで迫った。両親は必死に守ってくれた、燃え移っていない道を進み逃げようと全力を尽くしてくれた。だが現実は甘くなく絶えず燃える炎は二人に牙を剥き体を消し炭にするまで燃え続けた。
死への恐怖や両親の死を間近で見てしまい目からは大量の涙が抱いた感情を押し流すように止まらない。
焼け焦げるかつて家だった場所、両親と呼び慕っていた塵芥を、冷徹に処理する恐怖を凝縮した様な巨漢の数々。
自身を絶望のどん底へ追いやった姿と目の前で自分の代わりに傷つき守ろうとする姿は同じようでまるで違う。
ボルスは苦痛に漏れようとする声を抑える。歯を食いしばり眼前の敵を威圧する。帝具を使えば被害は大きくなりもしかしたら子供たちにも当たるかもしれない。
ルビガンテは性質上一度燃え移れば完全焼却するまで消えることはない。
だからこうするしかない。決して折られてはならない不屈の心で皆を守る。だが現実とは常に理不尽と不条理の連続だ。攻撃は苛烈になり刺突や斬撃、殴打が繰り出され続ける。それでもボルスは倒れない。子持ちの彼にとっては娘と重なる存在を殺させる事など容認出来るわけなかった。溢れ出る血、抉られる肉、砕ける骨、全身がズタボロになっても心だけは折れない。かけがえのない
『自分らしくあれ』
(たとえ世界が変わって悪が善と言われようとも自分が信じる道を進む、そうやって守り抜きた先で笑い合うのを見るのが好きだから…)
そうだ……こんな所で膝を屈し好き勝手にされてたまるか。
覚悟という名の焔は焼却しきれぬエネルギーとなってボルスの全身を駆け巡る。限界を超え悲鳴を上げる体を奮い立たせる。
「こいつ、まだ立つのかよ!?」
「構わん、どうせこの数だ。ガキ共も
人質は1人でも多い方が都合がいい。いくら最強と謳われる化け物でもこの数だ。救出するにはそれなりの手間をかける筈…
そう言って後ろの部下が捕らえている女を見る。
ここに来るまでに“協力者”から送られた手見上げ、本来なら彼女を使ってボルスから子供達を取り上げていたぶる予定だったが、まぁいい。と心の中で邪悪に笑った。その姿は世界を良くしようとした指導者について行った気高き精神は欠片ほども残されてはいない。
猛攻は止むことがなかった。庇った子達は抵抗しても大人に勝てるわけもなく囚われて刃や銃を突きつけられて絶句する。
心の中が《絶望》でいっぱいになりそうな時、一陣の風が吹いた。そこにはさっきまでいなかった
タナトス
「……」
周辺を見渡す。傷だらけのボルスと捕らえられ怯える子供達、北の異民族の集団。危険種を飼いならしているところから見て長い間山賊まがいのことをしてきたことは想像に固くない。
「き、き、貴様は!?」
目の前のボスらしき男は震える体で指を指す。
「そこの女がどうなってもイイのか!?」
手下は女の首に剣を向ける。
恐怖に震える“演技”はお上手だな。
あぁ成る程、人質…というわけか。くだらない。これ程の集団ですることが小さい。利用されてるとも知らずに、バカな奴らだ。
…とは言っても子供達もいるんだ。過度な流血を加えると怖がるだろうからね。
捕らえた子供達を引き離し一人一人集めつつ行動を遂行する。
敵は防御陣形を取りながら弓に矢をたがえる。空中から放物線を描き雨の如く降り注ぐ鉄製の矢。
背の翼を外し盾として降り注ぐ矢を防ぐ。そのまま敵陣に突貫、速度を維持したまま中央を無理やりこじ開ける。
予想外の行動に戸惑いを隠しきれていない光景は間抜けの一言に尽きる。どうせ直後にはただの肉塊にしかならないと言うのに…
盾で殴る、剣を軟質化させ絡め取る。文字通りギッタンバッタンに始末し尽くし残る雑兵はわずか数十人。
始末のための一歩、敵の中から突撃する一つの影。
振り下ろした物は予想よりも重く盾で受け止め拮抗する。
タナトス
「貴様…」
???
「帝国最強の力…見せてもらうぜ!」
加わる力は強くタナトスが押し返せない程に重い。戦斧を持ちタナトスと対峙する大男、白を基調とし赤いラインが入った服、ブラート以上の巨漢に物珍しそうに観察する。
《
全長三メートル程のハルバードの帝具。力押しを極限まで高めた一品であり、単純な破壊力ならば『至高の帝具』にすら無視できないほどの傷をつける。
刃に刻まれた熊の模様はこの帝具の元となった危険種の姿であり『奥の手』の証…
力では互角、いやこちらの方が上か? ならばとタナトスは剣にかける力を抜いて拮抗していた状況から抜け出した。対抗する力を無くしたバルハードはそのまま地面に食い込んで隙を生む。
タナトス
「チェック」
その隙を見逃すほど甘くはない。剣の一突、男の胴を捕らえた一撃はあらぬ方向からの妨害で遮られる。
タナトスへ肉薄した小さな影、両手に持ったケーブルで繋がれた銃型の武器を胴へ突きつけ引き金を引いた。刹那、とてつもない衝撃が鎧越しから伝わり吹き飛ばされる。
折り倒された木々の中から起き上がったタナトスが見た姿、男と同じく白を基調とし赤のラインが入った服を着た幼い少女が武器をクルクルと回している。
???
「テルロス、私も援護する。アレはあなた一人でどうにか出来る相手じゃない」
テルロスと呼ばれた
テルロス
「ナイス援護だったぜアリアよ。」
アリア
「油断しすぎ」
お互いに軽口を叩き合っているが表情は崩さない。最大限の警戒をとるべき相手に『油断』の二文字など存在しない。彼らが潜り抜けた戦場は生半可な物ではないのだから
タナトスはそんな二人を観察して彼ら二人とボルスの間まで移動し剣と盾を持ったままの拍手で口を開く。
タナトス
「まさか二人も帝具使いがいたなんてな予想よりもだいぶ酷い状況の様だ…」
怒りで声が震える。己が予想していたよりも酷な現状、
タナトス
「来ると良い。ただしここから先には通さんが……ね。」
後ろにいるのは傷つき満身創痍のボルスと震え怯える子供達。誰もかれもが友達ならば守り切らなければならない。それこそが“贖罪”であり自身を形作る上で最も大切で重要な部分なのだから
テルロス
「ハッ、なら遠慮なく」
タナトスへ跳躍しバルハードを振りかざす。
テルロスにとって周りの被害など気にする必要はない。この状況こそが今の優位を築いてくれているのだから、
タナトスは周りを気にしながら戦わざるを得ない。守るべき対象が近くにいるうちは全力など出せるはずもない。全力を出そうものなら周囲に被害をもたらす程の圧を含んだ攻撃を通常攻撃で繰り出してくる。勝ち目など無くなってしまう。
躱され地面を抉るバルハード、衝撃波が巻き起こり風圧が砂塵を巻き起こし視界を遮る。アリアがその隙をついてバッと駆け出しタナトスへ急接近する。
《触爆重撃
二丁の拳銃がコードで繋がれた帝具。
元来弾を打つ性質上、銃というものは遠距離においてこそ機能する。剣よりも優れる射程を持ち、相手に気づかれるよりも先に撃ち抜くことすらできる。しかしこの帝具は『真逆』を征く。敵との距離が近ければ近いほどにその威力を増し殺傷力を高める。
本来ならタナトスにとって銃撃など取るに足らない攻撃もこうして吹き飛ばすほどの威力を見せる。流石に殺すまでは行かずともノックバックさせる性能は戦況を有利に進める上で大切なピースとなった。
回避を選択すれば衝撃が後ろの
銃口がタナトスへ触れるまで後数ミリのところでガシッと銃口を左手で塞ぐタナトス、一瞬驚いたアリアはすぐさま思考を巡らせ引き金を引いた。
凄まじい衝撃と共に放たれたエネルギーの塊、まばゆき光と共に鎧の破片が宙を舞う。
片腕を吹き飛ばされ無事なわけがない。勝利を確信し光によってぼやける視界が戻るよりも前にガシッと頭を掴まれ驚愕した。
腕は確かに吹き飛ばした。鎧の破片がその証拠、本来なら存在しない左手は確かにアリアの頭を掴んで離さない。
自然と漏れる声は目の前の化身に向かっての畏怖、双眼が光輝き“変形”していた左手
タナトス
「理解したか? その程度の攻撃は腐る程喰らってきた。対策ぐらい五万とある。」
より一層手に力が増す。頭蓋骨をクッキーの様に砕ける事が容易な握力にアリアはただ抵抗する。
こんな所で死ぬわけにはいかない。自分には為さねばならない事がある。帝国を撃ち倒し、革命を成功させる。現政策の税の過負荷によって死んだ両親の敵を撃つ。今死ねば、無念が晴らされる時は永遠に来ない。
テルロス
「ドッリィァ!」
振り下ろすバルハードの刃、アリアを掴む腕目掛けて下された一撃は
ダメージを知覚する暇などない。意に返したところで何も無いのだから
顔に止まった拳を残っている方の腕で捉える。
ふと気付く、拳から伝わるテルロスの想い、真っ直ぐで愚直な願い。同情する余地はある…が、結局は敵だ。敵でしかない
溢れ出す殺意を抑え込み一瞬の内に思考する。殺すべきか、生かすべきか
手を振り解こうと抵抗を見せるテルロス、ダメージで動けないアリアを片目に冷徹さを捨てきれない“人間”の情が湧いて出てしまう。
タナトス
「あーもう…
思考を読めるのも考えものだな…」
独白の末に今まで放っていた圧倒的な殺気がほんの少し弱まった。
掴む腕を離し、反撃しようとバルハードを持ったテルロスの目の前にストップと手を突き出した。
タナトス
「質問だ
貴様ら、
投げかけられた問いに俯き無言で返す二人。弁解がないと言うことは“そう言うことだろう”
タナトス
「仕方ない…か? 馬鹿らしい。非道の末の勝利などゴミ屑同然。貴様らはそこまで地に堕ちたか、何のための革命だ。誰のための平和だ。
お前たちの
嘘偽りのない宣言に二人の頬を冷や汗が唾たる。虚言だと笑えない。彼には自身の信念を貫けるだけの強さがある。
どれだけ周りから“人”がいなくなり一人になったとしても己が思う最善を繰り返し続け、他者から理解などされずとも我欲を押し通し、友を守るためなら全てを敵に回すほどの覚悟を。
「……クッソァァ!」
破滅は明確に、タナトスが来た時点で決まっていた。火器の引き金を引こうと指に力を込める。誰にあたろうが関係ない。一人でも多く討ち倒し、かつて“凌辱され死んでいった主人”の敵討ちを……
タナトス
「没収」
出血すらせずに腕の中だけを斬られ奪われた最後の武器、込み上げる痛みに絶叫する間もなく手で喉を潰され地面に転がる。
タナトス
「五月蝿くされると困るんだよ。みんなが怖がるだろ?」
一瞬の事にテルロスとアリアは絶句するほかなかった。次は自分達だろうか、その次は……と、
生きていると錯覚させるほど綺麗な身体、だがたしかに死んでいた。脳神経は停止し、心臓も鼓動を止め生きるという選択肢を完全に放棄している。
停止した生命を置き去りにテルロスへ目だけを向ける。
タナトス
「さて、ここまでやったんだ。せめて動機ぐらいは知っておきたいからな? 是が非でも答えてもらおう。
何故、何の罪もない子供を利用した? え? ボルスさんだけならまだわかる。理解したくないが仕方ない。仕事柄恨みを買われてもおかしくないし。だが、今のお前達がやっている行為はオネストがしている事と何ら変わらん。
人質という盾を枷とし、気に入らない奴を殺す。発生する犠牲は
そんなものだったか、お前達が掲げ目指している正義ってのは? 」
くッ! どこから発生したか、アリアかテルロスかあるいは両者が言葉に出来ない言葉を無意識に出していた。
タナトスがその気になれば『革命軍』など一瞬のうちに壊滅させる事ができる。単騎で国を相手どるエスデス以上の彼にとっては本当に容易いのだ。しかし当のタナトスは革命軍の殲滅を放棄していた。オネスト大臣経由とはいえ皇帝から直々に命令を受けたにも関わらず、彼は一言
めんどくさいからヤダ
とだけで一蹴りした。
タナトスからして見れば嬉しい行いをしているであろう革命軍を殲滅するなど自分の流儀に反する。
民の為の革命、自由を勝ち取るべく立ち上がった勇姿、彼もできる事なら手を貸し共に戦いたかったがただ一つの“相容れない点”が共闘の案を破棄するほかなくなってしまった。
視線だけの威圧に身体中が震える。細胞の一つひとつが本能的恐怖を感じ取り『逃げろ』と警告を放つ。
武器を捨て、闘う意思すら投げ捨て一目散に安全な場所へ行けと、だがアリアは闘わなくてはならない。この恐怖を無視し帝国側の戦力を少しでも減らさなければ、来るべき決戦の障害となり、仇の帝国を討ち取れなくなるかもしれない。
瞬間的にハックラングの銃口をボルスに向ける。距離はあれど通常の銃並みの威力は発揮される。アリアが出した結論は簡単だった。
殺す。
大きなため息が聞こえたかと思うと、標的を捕らえた視覚が凄まじい衝撃と痛みでブラックアウトする。
引き金を引くより早くタナトスの裏拳がアリアの腹部を捕らていた。体の芯まで伝わる衝撃に呼吸困難を起こし朦朧とする意識を必死に保とうとした。
タナトス
「ハハ、結論は決まったらしい。」
とても残念そうに、一歩ずつ迫ってくるタナトスの姿があった。
タナトス
「やつぱり、ヒトは復讐に取り憑かれた生き物か……虚しいな。」
倒れた胴を足で踏み抑え
タナトスの目に優しさはなく、冷徹さ全開の眼差しをアリアにむける。見逃すチャンスを与えた上での選択、容赦はないと、
???
「お待ちを!!」
凛とした声が