遠い昔、帝国の建国と同時に産まれた。暗い暗い森の中で親も仲間もいない。
周囲は知らない。###は複数を指す言葉であると同時に単一を指す名でもあることを
生物は番を見つけ繁殖する、その常識が###には無い。正体は微小な端末の集合体。小型の危険種が集まり巨大に見えているだけだ。
一年に数回、脱皮をする過程で抜け殻が意思を持ち共に行動する。やがて数が増え超級危険種にまでなった。
そんなある日、増えすぎた
東の王国、当時建国当初の帝国よりも力を持っていた最強の国に食料を分けてもらうよう交渉に出ようと城壁にいた兵士に声をかけようとした。
結果は異形に驚いた衛兵が騒ぎ王国軍が防衛の為攻撃を開始した、降り注ぐ矢はさほど問題ではない。人が繰り出す攻撃も
###は交渉の為に集合形態をとっていた。意思疎通を図る上で戦意がないことを示す事と、相手側に認識させる為だ。だが事情を知らない王国は危険種が攻め込んできたと思い込んだ。
振るう武器はすり抜け、危険種がただウロウロとしている光景は兵士達に恐怖を植え付けた。
自分達など視野に無く、いつでも殺すことができるのかと、勝利を焦った王国は禁忌とされていた武具を戦線に投入し###を捕縛しようと画策した。
帝国が『帝具』と呼ばれる超兵器を開発しているという情報を得た王国は空から降り注いだ
ダインスレイヴ
当初、巨大であった砲塔の操作性を技術革新にて解決した王国は使用を即決。###に対し攻撃を加えようと発射ボタンに指を添えた。しかし結果は失敗、全くの
###のうち一体が内部に侵入し装置を破壊したのだ。
世界を守るべき管理者であるヘーシュギアが討伐され、世界一つを破壊できる存在を察知できる者はいなかった。妨害など無く発射されていれば国どころか、一つの世界丸々消え去っていた事だろう。
切り札を失った王国は捨て身の特攻をかけるも###には敵わず、少数の生き残り以外は全滅した。
そうして彼は“国喰い”と呼ばれた。結果的に当時最強の王国を滅ぼし、一国を堕とした彼に相応しい名だった。
「…コット……スコット‼︎」
ビクッと体を跳ね、彼は振り返る。
「全く、なに考えごとしてるんだ珍しい。お前さん、さっきの客に何かあるのか?」
グラスを拭きながら聞いてくる店主にゆっくりと首を振り否定の意を示す。
彼にはわかる。客などではない
排除しようと思考する。分裂し身体の外中関係なく這い回りグチャグチャにかき回してやろうか、と。
「お前さん、なんか物騒な事考えてるだろ?
辞めとけよ。」
仕草から思考を読み取ったマスターは緩く止めた。
「お前が強いことはここに居るみんなが知ってる。1人だけなんて余裕だろうよ。だがな、テメェの手をあんなゲス野郎の血で汚されると思うと俺ァいい気がしねぇ。その怒り…まだとっときな。
今日は俺のスペシャルカクテルをくれてやるからよ」
遥かより人間とは違う価値観を持つ生物は、少しでも誤れば爆発する爆弾のようなモノだ。自己の安寧の為、邪魔する存在は排除する。
タナトスについて行った者たちは皆、確固たる意思を持ち行動している。
スコットも同じだった。
バーの裏口から聞き慣れた老人の声が聞こえる。
姿を表した杖をつく老婆。
「スコットや…タンスの隙間に鍵を落としたんじゃ…
取っておくれ〜」
やれやれ とスコットの足元から黒い物体が数匹落ちる。一列に綺麗に並び老婆に向かって歩き出す。
老婆が手を床に差し出すとちょこんと跳び乗り老婆と共に店の奥へと消えていく。
そうさ、今の生活は悪くない。だからもし、この生活を脅かす脅威が現れたのなら容赦なく排除すると“国喰い”は心の底から誓う。
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革命軍ナイトレイド
いつも以上に慌ただしいアジト、ドタドタと足音に目が覚め部屋を出る。
「兄貴! 何かあったのか?」
「何かあったじゃねぇぞタツミ、帝都から人が消えた。緊急会議だとよ。」
報告を聞いて慌てていつもの服と
ドアを開けるとタツミ以外の全員が集まり、報告書やらを広げている。皆真剣な眼差しを向け、事態の深刻さを物語っている。
タツミの入室に気がついたナジェンダが顎でソファを指し 座れ と一言。
「よし、タツミも来たことだ。今帝都で起こっている事態をもう一度説明する。
現在、帝国は革命軍の処遇に対し二分されている。
革命軍を敵とみなす《大臣派》と現皇帝を支持し我々と志を共にする《改革派》
大臣が切ったカードは悪虐非道が最も似合う集団だ。密偵からの情報によると戦力はイェーガーズの約二倍、保有している危険種を含めれば不明だそうだ。」
「不明…」
「どうすんのよ。戦力差が明確じゃない。オマケにエスデスやイェーガーズまでいるんでしょ?」
「そうなった場合、革命軍だけで対処しなきゃなんないのか〜
うわ〜めんどくさそー」
メンバー全員が報告の内容に今後の不満を覚えた。表には出さないようにしているが戦力数が“不明”ともなれば仕方のない事。
一騎当千の力を持つ帝具使いが最低でも14人。
それに加えイェーガーズやエスデス、近衛兵にブドーまで加えるとナイトレイドと革命軍だけでは単純な帝具使いの数と人員の両方が足りない。
単純な数と質、今の革命軍に足りない最大の物。
「………これはあくまで賭けだが…戦局を覆す手段があるとすれば…やはり改革派だろう。」
「ボスは本当に助けてくれると信じているのか?」
「さぁな。目的は同じだろうが、伴う犠牲者は違うだろ。先のボルスの件もある。改革派はタナトス伯爵に絶大な信頼を寄せている。実質的なリーダーと考えてもいい。衝突は避けられないと考えるのが妥当だろ。」
会話が進むにつれて場の空気が重くなる。現状の革命軍は確かに戦力、物資に困ることは無かった。それは様々な場から援助があったからに他ならない。
悪しき国を打倒するという目的が民草と一致していたからだ。
だが今はどうだろう。国は少しずつ確実に変わって来ている。
傀儡から抜けた皇帝、龍焉ノ騎士団の結成。大臣の力は弱まり押し黙らされていた善良な幹部達も表立って行動を開始した。
今の帝国に不満を持つ者がいなくなったわけではない。しかし希望を抱く者は増えた。
もしかすると変わるかもしれない。大臣が失脚し理不尽な行いをする者が減るかもしれない。事実、龍焉ノ騎士団が警備隊の代わりをするようになってからの帝都の評判は好調であり、下手に悪さをすれば直ぐに捕え宮殿での苛烈な極刑が待っていた。
文官や貴族の横暴が減った現在、不満を漏らす民は減り今の生活に満足している。強いて言えば大臣の失脚を望む声のみ止むことはないが、龍焉ノ騎士団は解答を濁し先送りにしている。
最も、時が来れば大臣とて長くはないだろう。
「俺たちナイトレイドと革命軍側に帝具使いが6人と少し、奪取した帝具も合わせれば……いけるか…」
「その内2名もタナトスとの戦闘で負傷、付け加えれば帝具も一つ失ったようなモノだ。」
あの斧か? とブラートが効くと首を縦に振り答える。
「バルハード、手痛いな。」
バルハードの“奥の手”が有ればエスデスを倒すことは出来なくても深傷を負わせることは出来ただろう。
コンコン
「「「!?」」」
アジト中に響き渡ったノック音、全員が身構える。己の
「なぁラバ、この辺りはクロステール張ってるんだよな?」
インクルシオンの
「あ、あぁ。アジトの周りは俺の帝具で結界を作ってるってのに、ヘッどこの誰かしらねぇがマナーがよくて助かったぜ。」
ラバックの
“超級危険種の体毛から作られた糸”は生半可な攻撃では斬れず、その細さから視認性も悪く罠にも使え、不可視の攻撃手段として相手の意表もつける。
アジトの周りの木々に仕込んだワイヤートラップを一つも作動させずに接近し律儀にノックまでする。
「私が行く。」
意を決してナジェンダが重い腰を上げる。会議室から入り口までの道のりは途方も長く感じるほどの緊張と、明けた瞬間にいるであろう敵に対する不安がナジェンダを支配する。
タツミを始めとした帝具使いは物陰に隠れいつでも応戦できる様に準備をしている。
恐る恐るドアを開けるとそこにいたのは
「ヨッ!」
紙袋片手に気安く手を上げ話しかける
一応、次の話などもほとんど完成してるから調整してから投稿しようと思います。