先の展開考えているんですけど、日常会的なのを幕間みたいな感じで入れたいんですけど文才がカスなので四苦八苦
宮殿内部、通路を歩く薄汚れた二人組
方や軍服が破け土汚れや血の跡が付き、方や鎧が砕け塵がポロポロと落ちている。
タナトスとエスデスの2人である。
あの戦いの後、各自帰宅するのもなんだかアレなので一緒に帰ることになってしまった。
飛んで帰るという手段もあったのだが、せっかく拳を交えたもの同士帰路に着く間に知れることもあるのではないかとタナトスが会話の火蓋を切って落とした。
だが、エスデスの記憶から推定するに触れるには早い事もある。ペースを掴みあぐねなし崩し的に初めは【しりとり】から始まり、飽きたエスデスが推定1000年生きる者が持つ他愛無い思い出話を聞きたいと迫る。
彼女自身、今まで闘争以外に目を向けることが無く、有象無象の弱者など視界にすら入っていない。だから聞いてみたくなった。
この世の頂点。エスデスすら超えている強き者がどの様な人間に興味を持ち影響されてきたのかを…
そこからはタナトスが出会って来た“友達”のことを楽しそうに語り出した。
新しい道を示してくれたかけがえのない親友
罪悪感から気を利かせてくれた青臭い王様、最強の武術を極めた武闘家の老人、知識を求め世界中を飛び回るおじいちゃん、大飯食らいの大家族、剣を極める為日夜修行に取り組む剣聖
“旅先で出会った一癖も二癖もある愉快な奴ら”
帝国騎士に就任し間もない頃から直近の出会いまで、とても嬉しそうに語っている。
“砂漠地帯の民族がアイドルにハマり一大派閥を築いた”事を話している時に二人に速足で駆け寄る大きな男がいる。
タナトスは会話を中断しながらも楽しそうにその男の名を呼ぶと、ブドーは察して溜息混じりに愚痴をこぼす。
「全く貴方は…ここは宮殿。栄ある帝国の心臓だと言うのに
とは言えその御姿……どうやら激戦だったご様子、ん?」
横でボロボロになっているエスデスに気がつくと、タナトスに視線を戻しあからさまに目を細める。
これで何度目かわからない尊敬する人の残念な行動
その様子に『またやったのか』とあからさまにムッとするとブドーの肩をタナトスは全力で掴み圧をかける。
何度目の光景か、宮殿内ではエスデス含めて見慣れた景色
口を出すものは誰もいない。皆「またか…」といったように呆れて素通りする。当事者のことなど知ったことではない。
ブドーは圧に押される。
「なにか、言うことあるか?」
ブドーが対応に困りアタフタしていると、タナトスの肩に手を置くものがいた。
エスデスだ。
「……はぁ〜、おい馬鹿、さっさと行くぞ」
タナトスを引っ張ってある場所を目指す。牽引されるといった表現が適切だろうか、エスデスはほとんど力を込めずに鉄の塊を引きずっていた。
彼女の帝具の力だ。
氷の道を作りタナトスを滑らせる事で、少しの力で楽々と運んでいた。そのまま力を少し込めて投げればたちまちタナトスは彼方まで滑って視界から消えて行くだろう。
戦闘にのみ使っていた“力”をこんなくだらないことに使うなんて思ってもみなかった。
くだらないと切り捨てていた筈なのに…
引きずられるタナトスが声を上げる。
「おい!何処に連れて行く気だおまえ!」
「陛下に謁見だ。」
エスデスの答えに、か細い声で「マジで…?」と声を殺していてもソワソワといった感情が沢山載っていた。
勝手に戦い、空といえど結局は地上に落ちたのだ。余波は当然あった。
謁見の間に着くといつものようにオネスト大臣を隣に置いた皇帝陛下がいた。
露骨に目を合わせないように顔を逸らし、気まずい雰囲気の中で、玉座に座った皇帝は初めにため息を吐いた。
「またか……今回は放牧場の一部を破壊。家畜の殆どが逃げ出したそうだ…
タナトスよ…わかっているな?」
皇帝の声に萎縮するタナトスを見て、隣のオネスト大臣は内心で狂喜乱舞している。
暴力に屈さず、権力に痰を吐きかける傍若無人のアレの無様な姿を
一生忘れないように目に焼き付けよう。
「んんっ!その通り今回ばかりは陛下もお怒りのご様子、伯爵わかっておりますな…?」
至って平静を装ってしかし内心では歓喜の感情が溢れ出している。上手くいけばこのまま失脚させ消すことができるかもしれないと、しかしタナトスの言い訳は続く
「すいません、家畜は全員連れ戻して放牧場の柵も戻しますので……許して下さいほんとに………」
「なりませぬ、陛下!
今こそ正しき鉄槌を下す時!これ以上好き勝手を出来ぬよう……極刑にすべきです!」
今ここで手を引けば次のチャンスは訪れないかも知れないと、オネスト大臣の必至の呼びかけに周りは戦々恐々としている。
皇帝が言う通りにタナトスを処刑しないかと…矮小な不安があった。
タナトスがいたからこそ、今の帝国は希望が持てている。
消えてしまえば大臣の思う壺になる事は必至
帝国は希望も何もなくなり、独裁者が支配する地獄になるであろう事は容易に想像がつく
「……ご覧の通り、家畜は全員“説得”して戻しました。
放牧場も今修理したので、これで勘弁とは行きません?陛下?」
「「「は?」」」
突然現れた水鏡に映し出された映像に皇帝以外が呆気に取られた。
「……今なんと…?」
大臣が恐る恐る声を上げた。また見たこともない能力で遠方の状況を映像で映し出されたのだ。映像自体がタナトスによって偽造されたものだとしてもそれを証明する術を持てない。
「…でっちあげです!
タナトス、貴様がこんなことをしている間に牧場主は苦しんでいる!陛下ご決断を!!」
故にオネスト大臣は必死の形相で皇帝に迫った。だが、彼の意識は空中に映された映像に釘付けになっている。
畏怖でもなければ、怒りでもない。タナトスが嘘をついてまでこの場を凌ごうなどと考えないと信じている。
「して、タナトスよ。
この土地の主は?」
だが念の為、死人の確認だけは怠らない。いくら形ある物を治しても、帰ってこないものも知っている。
もし…もし万が一タナトスのせいで人が死んでいれば、一国に立つ者として裁きを与えなければならい。だが、きっと彼は……
空中に映し出された映像には牧場主と思われる屈強な男と妻と思われる女が、“画面外から伸びた奇妙な腕”とピースをしている。表情が引き攣っているが……
「ご覧の通り…“家畜”一頭怪我なく無事です…
これで許してください陛下……」
力なく頭を下げる中、周りはタナトスの奇行にお互いの顔を見合わせ困惑していた。
当たり前だ、側から見れば傍若無人な彼の事だ。きっと開き直って声高らかに『被害ゼロー!』なんていうかと思えばさっさと片をつけ、被害をゼロに戻して謝罪するなど…
「……もうよい。
誰も怪我がなくてよかった。此度の会はこれにて終了、皆持ち場に戻るように」
皇帝がそういうとタナトスとオネスト以外の官僚は部屋を後にする。オネストだけが騒いでいるが皆嫌そうに部屋を出ていく、オネストの強権はタナトスの行動やワイルドハントの愚行によって弱りつつあった。
以前なら命欲しさに逆らう事はせず、同調していた官僚達も従う気を見せなかった。
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謁見の間にはタナトスと皇帝、オネスト大臣の3名のみ
三者気まずい……否、オネスト大臣だけが胃に穴が開く思いをしながらその場に立っている。皇帝が席を立たない限り、彼もその場を動けない。動けば最後タナトスが何を言い出すかわからない。
気が気ではないのだ。余計なことを言われても対応できるようにしなければ首が飛ぶ。
空気が凍る中、皇帝が玉座から腰を上げる。
「余は先に行く、タナトスよ、賊どもの件はお前に一任する。
そしてオネストよ。急ぎ戦力をかき集めタナトスに助力してやってくれ
二人とも頼んだぞ。」
二人への激昂を言い終わると部屋を出ていった。
残るは引き攣った笑みを顔に貼り付けた大臣と、腰に手を当てため息を吐くタナトスだけになる。
やがて部屋に何もないと確信するとオネスト大臣の顔は苦悶に歪みだした。
「…よもや貴様の為に動かなければならないとは、いくら陛下のご命令とはいえ承諾しかねますな。」
先刻までなら、嘘であってもいい顔をしようと努力したはずだった。しかし今、大臣にそのような余裕はなく皇帝の目の前でのみ嘘をつけるぐらいの余裕しかないのだ。
息子の失態、危険種の解放による国の混乱
事これだけならば大臣とて大喜びだったのだが、龍焉ノ騎士団の結成に続く帝国側の迅速な対応
さらに帝国軍内で最近噂されている奇妙な話
【化け物がこの国には潜んでいる。心などではない。正真正銘の化け物が……】
兵の士気も落ち、戦力も削がれ、実権すらも危うい
それでも皇帝からの一定の信頼を得ているという“希望的観測”を支えに暗躍を画策する。
対するタナトスも、無情の口を開いた。
「好きにしろ
全部潰してやる。」
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さて、タナトスの動きがきな臭くなってきましたが……なぁに、こちらにもまだ“切り札”は山ほどあります。
ひとまず状況を整理しましょう。
1.『Dr.スタイリッシュ』の実験物の危険種を利用した帝都の混乱、タナトス率いる“騎士団”によって沈静化されつつある。
牽制だけなら可能でしょうが、手を出せば無力化されるでしょう。使い所は考えなければなりません
2.“至高の帝具”の魔改造は順調に進んでいます。ドロテアが大喜びでしたが、錬金術を組み込んだ“アレ”ならタナトスも手を出すことはできないでしょう。
少々解析できない箇所があるようですが、元々古いもの
仕方ありません
3.戦力の低下、これは各所から取り寄せた品を使って“無理やり増やせる”でしょう
別ければこれぐらいでしょうか……他にも問題は山積みですが、
打てる手は打っておかねば…足元をすくわれっぱなしではいずれ私の首も危うい
大臣は“切り札”をいくつも隠し持っている。タナトスの力を軽く見ることは自身にとって『死』を意味する。
過剰なほどの策を用意し、正面先頭になろうと勝てるだけの力を集める必要があった。その為の“技術”はもうそろっている。
後はどれだけ時間をかけて“準備が出来るか”に全てがかかっている。
1人宮殿で邪悪にほくそ笑むオネストは暗闇に消えていった。