アカメが斬る!帝都の繁栄と腐敗   作:色々し隊

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第三話 タナトスは見た!

 帝都の中央にある大きな宮殿の王室に一国を治める年齢とは思えない程幼い子供が玉座に座っていた。彼は1000年に及ぶ帝国の現皇帝。

親は両方他界し、大臣に育てられた彼は大臣の言葉を信じて疑わず政治を全て大臣の言葉一つで決めていた。

そんな中で異議を唱えるものは必ずでてくるものだ。間違えた政治を止めるため心ある武官や将軍が声を上げる。だが、そんな発言が皇帝に通るわけもなく門前払いが落ち……そう、たった一人を除いては…

その者は竜の意匠が施されたフルヘルムに複雑な装飾が施された黒いフルプレートを纏った騎士《タナトス・ドラグノフ》が皇帝に意見する。

 

 

皇帝

「して、タナトス卿よ。此度はどのような要件でここへ?」

 

タナトス

「……はい、是非とも陛下には下々の民の生活に触れて欲しくここにまいりました。」

 

 

今の帝都の現状を一言で表すのなら【地獄】だ。

 圧政に重税、自由に発言もできず、上流階級の好き放題と糞みたいな出来事を煮固めたフルコースときた。

 皇帝陛下の統治の仕方がなってないと言うのは正しい。彼自身まだ幼い。誰かが正しく導かなければならないのだが、

 

 

オネスト大臣

「卿よ、陛下はお忙しい身。帝国のため日々研鑽を重ねておられます。あなたはそんな多忙な身の陛下に一人一人の民の生活に触れろと申すとは、酷いものです。」

 

 

隣の《オネスト大臣》がそれを許すはずもない。前皇帝を暗殺し帝都を乗っ取った元凶だ。

 

 

大臣

「それにあなたは宮殿の護衛を盾に陛下にあだなす者達を倒しに行こうともせずに引き篭もっているだけ。あなたが今すべきことは反乱軍の討伐の筈では?」 

 

タナトス

「確かに直接殲滅できれば事足りることだ。が、生憎と今の俺にそこまでの力はなくてな。宮殿から離れると力が弱まってしまうのさ、」

 

 

 見え見えの嘘も俺であれば通用する。オネスト大臣は険悪な顔をした。

 無理もない。奴は帝国の中も外もほとんどを支配している。今支配し切れていない帝国の重鎮は俺を含めて数名、自分の意にそぐわない連中は何かと難癖をつけ殺しまわっているが、俺は違う。

 

 始皇帝からの特権、エスデスと同等以上の戦闘力を持つ俺はオネスト大臣でも一筋縄ではいかないだろう。多少の無理は効く、だからこそ皇帝を利用しいいように使う算段なのだろう。

 

ーーー無論、その策に乗るわけはない。ーーー

 

 

大臣

「宮殿の守りなら『ブドー大将軍』がおりましょう。あの方はあなたの信用に足る人物では?」

 

タナトス

「ブドーはダメだ。あいつは兵達の修練で忙しい。それに、ここに直接カチコミをかけるような輩が複数現れれば、いくらブドーと言えど手こずる可能性だってある。万に一つということもあるしな。それに不足の事態が起こったらあんたもただじゃ済まないだろ?」

 

 

 言いたいことだけ言って王室を立ち去ろうとした時、皇帝が口を開いた。

 

 

皇帝

「タナトスよ。また余と共に食事をしてはくれまいか?」

 

タナトス

「………考えておきます。陛下」

 

 

 皇帝はその言葉を聞くと寂しそうに「そうか…」と溢す。

 皇帝とタナトスは昔、まだ前皇帝が生きていた頃共に遊び食事を共にし、まるで友達のような関係だった。しかし大臣が皇帝の教育係となってからは大臣の策略で皇帝と離されていた。

 

 ーー大臣を潰すまで…死なないでくれーー

 

 心の中でタナトスは皇帝の身を案じる。あの大臣は自分のためなら他者を平気で殺す。皇帝も例外では無い。

 

 宮殿の中というものは案外暇するところだ。1000年もその中で仕事だけやっていると言うのも窮屈な話だ。だから頻繁に宮殿の外(帝都)へ外装を外し出向いている。

 娯楽が多いこの場所は俺にとって最高の場所だった。美味しいものを食え子供と一緒に遊ぶ。それが楽しみだった。

 だが今は帝国の警備隊が好き勝手し、かつて賑わっていた帝都の面影はなく恐怖に怯えるだけだった。

 ある程度遊び日も暮れ出した頃、街角の十字路で目の前を二人の武装した少女が横切っていった。その後を追うのは帝都警備隊の隊員が数名、その中には俺と同じ帝具と呼ばれる武器を持つ隊員の姿も確認できた。

 

 《ナイトレイド》帝国の重鎮(主に腐ったど外道ども)や将軍などの暗殺を生業とする集団。顔が割れている構成員は数少ない。それに帝具を持っているものも多い。

 

 

 一人は手配書にあった顔だった。もう一人はおそらく仲間だろう。警備隊を振り払おうと持っていた銃型の帝具《パンプキン》で警備隊を狙う。

 目眩しは隊員を足止めするには事足りたが一人帝具を持った警備隊員が追ってくる。帝具を持つ相手との戦いはどちらかが死ぬ確率が高い、

 その強大すぎる力が故にぶつかり合った場合逃げることは困難を極めるからだ。

 前を走る仲間の脚が止まった。背負った巨大なハサミの帝具《エクスタス》を構え迫る警備隊を睨む。

 帝具の数では完全に優っている、あわよくば相手の帝具を奪い帝国に反逆する革命軍の戦力を増やそうと

 やがて警備隊が追いついた。先頭にいる帝具使いは愛くるしい二足歩行の犬を従えたポニーテールの少女《セリュー・ユピキタス》

 

 

セリュー

「賊が、とうとう観念したか…

正義の名の下に貴様らに裁きを下してやる!」

 

 

 正義を信じ、帝都警備隊へ志願しオーガと呼ばれる警備隊長との修行でたとえ帝具なしでも相当の実力がある。

「コロッ!」とセリューが叫ぶ。先ほどまでかわいい外見をしていた犬は巨大化し獰猛な表情でバッキバキでムキムキになった腕を二人に振りかざす。

 

 

シェーレ

「後ろをお願いしますマイン」

 

 

 ツインテールの小柄な少女《マイン》を後ろへ下がらせチャイナ服の眼鏡っ娘《シェーレ》はエクスタスを構える。

 振りかざさせた腕をエクスタスでガードし生物帝具《ヘカトンケイル》の一撃を止めた。

 

 

タナトス

「ほぉ」

 

 

 感心しているタナトスをよそにエクスタスを持つ少女はヘカトンケイルの腕を髪を切るかの如くバサリと切断する。

 

 《万物両断 エクスタス》最高の硬さを誇りこの世のあらゆるものを切断することができる巨大なハサミ型帝具。ハサミの形をしてはいるが刃を開かずともある程度は切りつけたり突くこともできる。無論、歯を開いたときの切れ味は抜群

 

 ボトッと切断された腕は地面に落ち滴る血が地面を赤く染めるがヘカトンケイルは気にも止めず残されたもう片方の腕をエクスタスを振るう少女の頭上に振りかざす。

彼女は二つミスをした。

一つ、片腕を切ったことで次の攻撃までタイムラグがあると判断したこと

二つ目はヘカトンケイルの防御すら無視して盾ごと叩き潰すような強力なパンチ

 

驚きと油断の二段構え、ヘカトンケイルのパンチは少女を後方へとすっ飛ばしたのだ。

 壁に叩きつけられ全身を走る痛みで身動きがとれない。

 このままではシェーレは死ぬ。後衛であるはずのマインは考えるより先に足が動いていた。シェーレを守るため、最悪自分が犠牲になってでも助けるつもりだ。

 

だが

 

 

セリュー

「ーーー貴様の相手はこの私だ!」

 

 

 セリューがトンファーによる攻撃を仕掛ける。

 腐っても帝国の警備兵、その攻撃には創意工夫が練り込まれ二撃三撃と撃ち込まれる。     

 装甲強度が高く盾がわりにも利用できるパンプキンでなんとか攻撃を防ぎ続ける。

 

 

セリュー

「どうした?仲間が喰われるぞッ!反撃して見せろォ!」

 

マイン

「……舐めんじゃ、無いわよーッ!!」

 

 

 《浪漫砲台パンプキン》状況に応じてアタッチメントを付け替え様々な形態をとることができる巨大な銃の帝具。撃ち出される弾は光弾、精神エネルギーの塊だ。

所有者がピンチになればなるほどその力は増し光弾が強力になっていく、

 前述した通りアタッチメントの換装による汎用性が高く、マシンガンやキャノンなどがある。

 

セリューの煽りに乗り頭に血がのぼる。

攻撃を紙一重で交わしアタッチメントを付け替えキャノンモードで横一線、セリューの腕を撃ち斬る。

腕を斬られたにも関わらずセリューは口元は不気味に笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セリュー

「正義……執行ゥ!!!」

 

 

斬られた腕は義手、断面には銃火器が内蔵されていた。

突然の事にマインは反応出来ず弾丸をモロに受けてしまう。身動きが取れず痛みでうずくまるしかない状況で、セリューは狂気に満ちた笑い声を響かせる。

その声は残酷にマインの死刑宣告を意味していた。冷たい地面に体がへばりつき帝具による応戦もできない状況下で自分にできることは何もない。シェーレもヘカトンケイルとの戦闘は長くは持たないと悟り、死にたくないと心の中で強く願った。

 

笑いながらマインの脳天に銃口を向けた。

 

 絶対正義の名の下に悪を断罪することを使命と捉えるセリューにとってこれほどの巨悪を生かしておく道理はない。

 

ーー確実に仕留めコロのエサにしてやる。ーー

 

その時だった。突然スモークグレネードが投げ込まれ視界が塞がれ動きが止まった二人に伸びた尻尾がセリューの足をひっぱたき体勢を崩させヘカトンケイルにも追撃をかけた。

 突然のことにマインとシェーレもなにが起こったのかはわからなかった。

 ただ、動きの止まった今なら撤退するチャンスがあることだけは理解していた。

 スモークから抜け全速力で戦線を離脱しようとした二人は側にいた異形の存在の気配を感じ取り走りながらチラリと顔を移した。

 

 そこにいた存在はあまりにも強大で私たちが戦ってきた誰よりも恐ろしさがあった。もしかすると帝国最強のエスデスさえ超える力を持つかもしれない。

 

 そう感じるには充分すぎる一瞬だった。

 

 

 煙が晴れ、あたりを確認するが賊の姿はない。あの隙に逃げられる事は考えられた。だからこそ悔しかった。悪を逃した自分を呪った。自分の正義は必ず正しい。もっと強ければ倒せたかもしれないのに、と。

 

 

タナトス

「随分と荒れてるな。警備隊の……え〜」

 

セリュー

「タナトス伯爵!?

……は、私は帝国警備隊のセリュー・ユピキタスです!

先程賊と交戦していたのですが、邪魔が入り逃しました。すいません……」

 

タナトス

「気にするな。チャンスはまたある。

………少し話がしたいセリュー・ユピキタス、君の掲げる『正義』とはなんだ?何をもって正しいと言い切れるのかを問いたい。」

 

セリュー

「そんなの決まってます!悪は絶対に倒すことこそ正義!!

たとえ見逃してもまた繰り返す。だから殺すんです!」

 

 

 満面の笑みで語られた正義に俺はドン引きするだけで今話しても何も変わらないことが心の奥底から分かった。

 

 

タナトス

「なるほどな。礼を言う。手間を取らせたな。」

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