アカメが斬る!帝都の繁栄と腐敗   作:色々し隊

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 久しぶりに家にあった原作を読み返してみると、ワクワクするものですね。もう観たからいいやとか思ってましたが違いましたね!


第8話 混沌の幕開け

 宮殿の一室、至る所から集められた人物がいた。遠方からの海兵ウェイブ、タナトスの友人のボルス、暗殺部隊員のクロメ、帝都警備隊の少女セリュー・ユピキタス、元教師ランに科学者のDr.スタイリッシュ、彼らはエスデスより招集された手練の帝具使い。

 

 ドアの前で考える。この姿のまま入ったらマズくね?絶対バレるって!実力測りにきたはずなのに本気出させなくしてどうするの!?うーんどうするべきか…

 

 ポクポクポク…チーン

 

 あ、そっか!

 

ドアが開く、その音を聞き全員の視線が開いた先へと向くとそこにいたのは危険種だった。異常なほど膨れ上がった腕を携えてよだれを垂らし人間を喰らおうとする化け物。姿は人狼に似ていた。

 それぞれが帝具を手に取り危険種に先制攻撃を仕掛ける。クロメが帝具の力で骸を呼び起こす。その数二名、クロメの最強戦力『臣具』と呼ばれる帝具には劣る性能の武器を持った男と二丁拳銃の女、男が前衛、女が後方支援、振るった薙刀は危険種の爪に阻まれて通らず、銃弾は硬い皮膚に阻まれて意味をなさない。

 舌打ちをしたのも束の間、セリューが自身の帝具ヘカトンケイルのコロと共に背後から奇襲攻撃を仕掛けるが危険種は臣具を奪い取り応戦する。仲間の危険を察知してかウェイブは帝具グランシャリオを身につけて危険種の攻撃を代わりに受ける。幸い、鎧型の帝具であり防御力も高いためダメージは少なめに終わったが両者均衡状態になり六人は固まって危険種を警戒していた。

 

 何かが違う。目の前の“それ”は明らかに知性があるような振る舞いをしている。獰猛な外見からは想像もできない鮮やかな技で我々を翻弄する。

 

???

「こんなところか、」

 

 突然、危険種が声を発したかと思えば体の形が変形し有名な姿に戻った。

 その姿を見てセリューが驚きすぐさま足を揃えて敬礼する。何せ自分が所属する帝国に置いてオネスト大臣より位の高い存在であるからだ。

 セリュー以外は今の光景に唖然としていたが理解が追いつくとクロメが刀を鞘に戻し問い詰める。

 

クロメ

「あの姿は何?あんなものあなたの報告書に載っていない。」

 

 ああ、まぁそうだな。こいつは今まで隠してた訳じゃなかった。『擬態』この世のありとあらゆる物体に変貌出来る能力、ヘーシュギアの力の応用ってところかな。

 それにお前ら暗殺部隊に送られてくる俺の情報は多くないはずだしな。

 

 タナトスは六人を一望する。彼ら彼女らが今後ナイトレイドと衝突すると。皆実力者揃い、となると犠牲は避けられないかもしれない。当面の目的は戦力になりそうな人材の犠牲を最小限にする事、来るべき決戦まで戦力を消耗させるわけにはいかない。

 

 しかしエスデスの指揮する新部隊…統率もしっかりと取られるだろう。一筋縄ではいかないか…

 

ラン

「失礼、一つお聞きしたいのですがあなたは何故我々を攻撃したのですか?」

 

タナトス

「簡単な話さ、少し手合わせ願いたくてね。本気の君たちと。」

 

 しかし…ボルスさんはともかくとしてランとDr.スタイリッシュの手の内を把握出来なかったのは些か不満が残るが、最重要候補の二人の実力は確かめれたし良しとしよう。

 

 ちらりとDr.スタイリッシュの方を確認する。彼の噂はタナトスのよく行く駄菓子屋の店主が教えてくれた。

 合法、非合法の実験を繰り返し人道にそぐわない行為を幾多も繰り返すマッドサイエンティスト。

 

 排除対象である。

 

タナトス

「Dr.

宜しければ少し話を…」

 

エスデス

「なんだ。誰かと思えばお前か?

こんな時になんのようだ。」

 

 タナトスが振り返るとそこには変な仮面を着けているが服装でバレバレなエスデスの姿があった。

 

タナトス

「えっ?何お前も同じ考えだったのか…」

 

エスデス

「ほう、と言うことは部下が世話になったようだな。次は私とやってみるか?いつでも相手になってやろう。」

 

 神級と評されたタナトスの帝具となった竜『ヘーシュギア』その力は全ての原初、エスデスの帝具の素材となった氷を操る超級危険種ですら太刀打ちできなかっただろう。

 神級は超級のさらに上、世界に一つの称号であった。その名はタナトスに受け継がれ今もなお世界の抑止に勤しんでいる。行き過ぎた悪を、正義を絶ち、より良い世界になればと行動していた。

 

 エスデスは強い相手ほどよく燃える。強者同士の戦いを望んでいる。しかし、彼と戦うにあたって決定的に欠けているものがあった。

 それが『帝具の情報』エスデスがいくら探そうと出てくる情報は限られている。その上最近はタナトスの交戦記録が出てくる度に目新しい情報がワンサカと現れるではないか!

 

 心踊らぬエスデスではない。先日ブドーに止められ沸切らぬ思いをしていたのはお互い様の筈、今ここで前の続きをしたいと心の底から思っていたがタナトスから帰ってきた答えはあっけないものだった。

 

 一瞬笑うとその場を去ろうと出口に近づく、無論エスデスがそれを許すわけもなく腰に刺したレイピアを抜きタナトスの侵攻を阻止するが意に返すそぶりすら見せ無い。

 

タナトス

「今回の目的は達成した。

お前と戦うのはまた今度だ。

 

じゃあな!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 タナトスが去ったのち、エスデス含めたイェーガーズの面々は正装に着替え皇帝が待つ部屋へと向かう。

 皆それぞれの思想を抱えて逆賊の徒を倒す。

 

 『特殊警察イェーガーズ』の活躍は素晴らしいの一言だった。巷で話題に挙がっていた反乱軍のスパイを迅速に捉えて拷問し、得た情報をもとに鎮圧を開始、瞬く間に帝都から反乱軍の人間は消えたかに思えた。

 

 タナトスが保護した数名を除いて

 

 宮殿に備わる広大な一部屋、そこはただの罪人では無い者が収監される特殊な監獄。看守は存在しない。何せ帝具の能力により作られた場所を帝具なしで突破することは不可能なのだから、仮に可能だとしてもその者は四肢をもがれ無力化された状態で投獄されるので死を待つのみ

 

「なぜ、我々を助けた?こんな事が大臣にバレれば貴様とてただでは済むまいぞ?」

 

タナトス

「『助けた』とはとんだ勘違いをさせてしまったかな?この状況でなぜ助けたなどと?」

 

 反乱軍の者は牢屋の中で四肢を拘束されている。何故なら全員が皇拳寺出身のエリート集団である為、脱獄の可能性を潰す目的もあった。

 牢屋越しにタナトスは拘束した面々を嘲笑うかのように話す。

 

タナトス

「まさか、お前達のような輩まで…反乱軍に加入してたとはな。皇拳寺出身のエリート様達が何故降ったのか、聞かせてはくれまいか?」

 

 ドッと重い空気が張り詰める。少しでもタナトスの機嫌をそこなえば自分たちが助かる道は途絶えてしまう。力づくで拘束具を砕くことはできる。が、その先に待つことを考えればやる気も次第に失せてくる。

 

 彼の強さは伝承だけだが見なくてもわかる。到底叶う相手では無い。

 

逆らったら死ぬ

 

 約束された結論を覆そうなんて誰も思わない。唯一の救いはタナトス本人の性格だ。

 

 1000年間も生きる彼はもはや人では無いと誰しもが理解していた。それでも恐れられずうまくやってこれたのは民衆の理解者で有り無用な殺戮を犯さず、民との親交を欠かさない交流の広さに直結している。

 

 タナトス本人はする事がなく、暇を持て余しサボるついでに王都へ出向き悦に浸る日々が大好きだっただけだが…

 

 それでも側から見れば位の高いものが上下関係を気にせず自分達に良くしてくれるのは心地の良いものだった。孤児院の子供の遊び相手として、甘味処の常連として、いつしか日常に溶け込む彼の事を蔑む者は居なくなり親しまれ今に至る。

 

 反乱軍もその事は承知している。何せ反乱軍に降った元帝国の将軍の殆どがタナトスと親交が特に深かった。十人十色だが折り紙付きで帝具使いとも一応やり合える実力を秘めていた。降った将軍達は口を揃えてこう言った。

 

《タナトス様は、何故まだ帝国に従うのか?》

 

 当然の疑問だった。民の友で有り正しさを説いた彼がどうして今の腐った帝国に従っているのか、理解できるものはごく僅か。わかるはずがなかった。大臣の徹底的な裏工作で前皇帝が殺された事を知る人物は大臣と組んでいた貴族や官僚だけなのだから、さらに大臣は口封じの為エスデスと結託し関係者の殆どを皆殺しにした。罪を擦りつけたのだ。が、唯一残った証言人がいた。それがタナトス。差し向けられた刺客の尽くを返り討ちにした。彼は何度も幼き皇帝に言った。

 

《お前には荷が重いだろう》 

 

 と、無論彼が考える事は皇帝の地位などではなく現皇帝が真相を知ったらきっと立ち直れなくなると思ったからだ。かつての自分がそうであったように…年端もいかない少年に『親を殺したのは信頼していた大臣だ』なんて非常な言葉を掛けられるほどタナトスの心は冷たく無い。

 

 結果は失敗。大臣のことを全面的に信頼してしまった故にタナトスの言葉は届かない。追い討ちで大臣がタナトスの粛清を皇帝に提案したが流石にそれは回避された。

 それ以来、宮殿でも監視がつき元の姿で帝都へ出向く機会は激変した。

 

 

「くッ!

 殺すなら殺せ!

 

 命など惜しくも無い!貴様ら帝国にいいようにされるなら死んだほうがマシだ。」

 

 言い放ってしまった。この後待ち受ける拷問の数々、考えるだけで背筋が凍りつく。

 

 対するタナトスはニヤリとヘルムで隠れた口を上げ嬉々として宣言した。

 

タナトス

「ハッハッハッ!いいネ!そこまで言うのなら貴様らの覚悟はさぞ強く気高いものなのだろうなー!

 なら…望みどおりにしてやる。

 

 とでも思ったか?

 残念だな。そこまでお人好しではなくてね。」

 

 パチンと指を鳴らすと獰猛な唸り声を上げた獣達が暗闇から姿を現した。人間の様に二足歩行で鎧を纏い、個々が違う武装を装備したまさしく『軍隊』

 

 未知への驚きと死への恐怖でどうにかなりそうなのを他所にタナトスは部屋を後にする。

 

 鉄格子が壊れる音、渡る獣の声。まさしく地獄。音だけで識別できるほど凄惨だった。

 

 薄暗い一直線の道を歩くタナトスに付き従う影が増えていく。狼、蟻、熊、蜘蛛、昆虫などなどのシルエットを保った人型の生命は地下から地上へ……

 

タナトス

「さて、始めよう。俺達の革命をな。」

 

 両手を広げ高らかに宣言する。それに呼応する様に異業種は各々の武器を掲げ叫ぶ。

 

 これから始まるのは人間と異業種の戦いなのか……それとも、人間同士の醜き争いなのか…?

 それを知るものはまだこの世界には存在しない。

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