月に寄りそう乙女の作法2~二人の小倉朝日~   作:ヘソカン

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一年以上お待たせして申し訳ありませんでした!
投稿再開とフィリア・クリスマス・コレクション服飾部門の結果発表です

秋ウサギ様、えりのる様、烏瑠様、Almeca様、こぱ様、遅ればせながら誤字報告本当にありがとうございました!


十二月下旬24

side才華

 

 再び夢の舞台であるフィリア・クリスマス・コレクションの壇上にエストと一緒に立てた!

 しかも今度は、ジャスティーヌ嬢にアトレ、パル子さんとモデルを務めてくれた人に加えて、小倉さんまで一緒だ!

 ただ、小倉さんは壇上の端の方に立っている。別に僕らと一緒に並んで立っても良いと思うけど、小倉さんの隣は製作した衣装を着てくれた人がいないから仕方がない。

 衣装を着て舞台に立った人も、事前に小倉さんが名前を出すのを辞退している事を知っていただろうから、着替えてしまったのかも知れない。

 一体誰だったんだろう? 小倉さんの衣装を着た人は?

 

『只今、名前を呼んだ全ての生徒が壇上に集まったのを確認いたしました。これより総学院長であるラフォーレ氏並びに審査員代表から発表と総評を述べて頂きます』

 

 ……いや、今僕が考えるのは小倉さんの衣装を着た誰かの事じゃない。

 隣に立つ僕の主にして大切な人と、僕らの衣装の結果だ。

 

「………」

 

 ギュッとエストが僕の手を握って来た。

 緊張しているのが握られた手の震えから伝わって来る。いや、震えているのは僕の手もだ。

 気付いていなかったけど、やっぱり緊張している。チラリと視線を審査員席に向けて見れば、其処には僕の憧れであるお母様がいる。

 壇上に居る僕やアトレに視線も向けてくれる様子はない。これまで家族として過ごして来たけど、今のお母様は真剣に、そして気迫に満ちている。それを見ただけで、日本に来る前のお母様がどれだけ僕に対して優しかったのかが分かる。

 当時の僕はその事にさえ気付いていなかった。信仰に近い憧れと尊敬をお母様に抱いている事は変わっていないけど、それだけじゃなくて本当の意味でお母様とお父様がいる場所に立ちたい。

 ……デザイナーとしては無理かもしれないのが心残りだ。

 

「さて、皆さん。時間です」

 

 壇上に立っていた僕らを照らすライトが消え、ホール全体の光も消える。

 ライトの光が灯っているのは、ステージの中央の舞台だけ。

 そのステージの中央に立つ総学院長とその隣にお父様の憧れの人であるジャン・ピエール・スタンレーがライトに照らされた。

 ……あれ? 今総学院長の声、震えてなかった?

 

「おいおい、ラフォーレ。何声を震わせてるんだよ?」

 

「失礼、ジャン……久方ぶりに、本当に心が震えてしまった。暫らくの間、忘れてしまっていた感動を思い出してしまったからね」

 

「そっか……良かったな」

 

 僕らの位置からジャン・ピエール・スタンレーの顔は見えないけど、それでも今彼が笑ったのがわかった。

 

「まぁ、気持ちは分かるぜ。俺も本気で楽しめたし、驚かされたからさ。やっぱりやるな、日本校の皆」

 

 この時点で少なくとも服飾部門のフィリア・クリスマス・コレクションは大成功だ。

 服飾業界の頂点に立っているジャン・ピエール・スタンレーが心からの賞賛を述べたんだから。

 

「日本校のフィリアは落ち目に入ったとか聞いてたけどさ。どう見ても嘘じゃん。マジで良い衣装ばっかり出て来るんだからさ。昨日期待しているって言ったけど、期待以上のものばかり見せられたよ。んで、結果だけどさ……いや~、マジで悩まされた。俺だけじゃなくて審査員達全員で頭を悩まさせられたよ。もういっそ皆、最優秀賞受賞でいいんじゃないかって思ったほどだったわけ」

 

「彼に此処まで言わせた事を俺は心から嬉しく思います。我が校の生徒達の本気。改めて見られて俺も心から感動しました……しかし、全員最優秀賞受賞と言う結果を出す訳にはいきません……発表しましょう。本年度フィリア・クリスマス・コレクション服飾部門最優秀賞受賞は……」

 

 発表なんか一瞬の筈なのに、嫌に長く感じる。

 祈るような気持ちでエストの手を握って待っていた次の瞬間……僕とエストの頭上のライトが光を灯した。

 

「最優秀賞受賞者は『エスト・ギャラッハ・アーノッツと小倉朝陽のペア』! 彼女達です!!」

 

『ウワァァァァァァ――――――っっ!!!!』

 

 総学院長の発表と共に会場に喝采が沸き起こった。

 拍手と喝采が鳴り響き、ライトに照らされている僕とエストを会場中の皆が祝福してくれている。

 だけど、祝福を受けている僕とエストは戸惑った。

 えっ? 僕らが……最優秀受賞者? うそ、うそぉぉぉっ!?

 

「朝陽!!」

 

 現実に追いついていない僕よりも一足早く我に返ったエストが、嬉しさの余り僕に抱き着いて来た。

 その衝撃でこれが現実だと改めて分かった。煌々と僕らを祝福するように照らされる光と会場中から鳴り響く喝采に拍手。

 これまでの賞では得られなかった喝采と拍手に包まれる。衣装越しに伝わって来る大切な人の温もりが、今この瞬間が現実だと教えてくれている。嬉しさの余り笑みが浮かんでしまった。

 本当に僕とエストはフィリア・クリスマス・コレクションの服飾部門で最優秀賞を受賞したんだと実感出来た。

 

「最優秀賞受賞の二人。此方に」

 

 総学院長に促された僕とエストは彼とジャン・ピエール・スタンレーが立つステージの中央に向かって歩いて行く。

 また、再びこのランウェイをエストと共に歩けた。審査員席にいるお母様。会場の何処かで見ているお父様。

 今、僕は憧れの舞台を隣を一緒に歩く大切な人と歩いています。

 

「最優秀賞受賞。おめでとう。心から祝福します。此方が賞状とトロフィーです」

 

『ありがとうございます』

 

 総学院長が差し出してくれた賞状とトロフィーを僕とエストがそれぞれ受け取った。

 賞状はエストが。僕がトロフィーを受け取る。

 

「っ!?」

 

 ん? 賞状を見たエストが目を見開いて総学院長を見つめた。

 総学院長はエストの反応が分かっていたかのように笑みを浮かべる。隣にいるジャン・ピエール・スタンレーは、二人の様子の理由を知っているのか笑っていた。

 何だろう? 賞状に何か変な事でも書かれていたのだろうか? 気になって視線を向けようとするが、その前にエストが中身を隠すように内側に折ってしまった。まるで僕にも見せないようにしたような?

 

「いや~、やっぱり間近で見て改めて思うよ。うん、二人とも良い衣装だ」

 

 ジャン・ピエール・スタンレーが近づいてきたので、慌てて姿勢を正した。

 彼は僕とエストが着ている衣装に目を向け、注意深く、しかし優しさに満ちた目で見ていてくれた。

 

「愛情てんこ盛り、二人が互いを想いあって製作したのが一目でわかるよ。うん、刺繍も良いね」

 

 あれ? これってもしかして僕とエストの気持ちに気がついてる?

 衣装を見ただけで其処まで分かる筈がないと思いたいけど……相手は服飾業界の頂点に立つ人で、伯父様の親友で、お父様の憧れの人だ。

 衣装を見ただけで其処に込められている気持ちが分かってもおかしくないかも知れない。

 まさか、僕が実は女装した男性だって事も気づかれてるんじゃ……。

 

「ジャン。まだ審査発表は残っていますよ。それに彼女達には最優秀賞を受賞した感想を一言言って貰わないといけません」

 

「おっと、そうだった。それじゃあ、お2人さん。感想を言ってくれ」

 

 総学院長に呼ばれた彼は、すぐにあっさりと僕とエストから離れてくれた。

 た、助かったぁ。女装にはこれまでバレなかったから自信があるけど、あのままジッと観察されていたら男性だと彼に気付かれてしまったかも知れない。せっかく最優秀賞を得られたのに、此処で性別がバレて受賞取り消しなんて嫌だ。

 せっかくエストと共に取れた最優秀賞なんだから。隣に立つエストも同じ気持ちなのか、総学院長からマイクを受け取るとそのまま口元に運んで僕らを見つめている観客に顔を向けた。

 

「こうして大切な人と共にこの舞台に挑み、最優秀賞に選ばれた事。心から感動しています」

 

 いきなり爆弾発言をされた。

 視界の端で審査員席に座って厳しい顔を向けていたお母様が、目を見開いてエストと僕を見つめているのが見えた。

 観客の方も一瞬困惑した様子だったけど、すぐにエストの言葉はあくまで友人としての意味だと思ってくれたみたいだ。でも、僕の性別を知っている人達からすれば、エストの言葉に隠された意味に気付くはずだ。

 とんでもない事をエストは、僕の主人はしてくれた。

 

「はい、朝陽」

 

 笑顔と共にエストは僕にマイクを差し出して来た。

 ずるい。その笑顔を向けられてしまったら何も言えないし、僕も覚悟を決めるしかないじゃないか。

 この場にはお母様にお父様、総裁殿、伯父様、そして僕の事情を知っている人達や親族も集まっている。

 これから口にしようとする言葉にはかなり勇気がいる。でも、エストのようにすらすらと口に出来そうだ。

 最優秀賞を獲得した高揚感もあるし、何よりも隣にいる僕の大切な人が大勢の人が見つめる中で、大切な人と僕を言ってくれたんだから。

 

「私も夢に想っていたこの舞台で大切な人と共に立てたばかりか、最優秀賞の栄光を得られ、深く感動しています」

 

 これを聞いたお母様達がどう反応しているのか気になるし、後が怖いけど、今だけは関係ない。

 だって、エストは僕にとって本当に大切な人になったんだから。

 その後も受賞者の発表は続いた。優秀賞は三年の先輩とその衣装のモデル。やはり先輩方の中にも隠れた実力者がいたようで、僕も納得出来る素晴らしい衣装だった。

 続く準優秀賞は、ジャスティーヌ嬢とアトレだった。

 ジャスティーヌ嬢は三位の結果に悔しそうな顔をしていたが、四月の頃のように傍若無人に喚くような様子はなかった。彼女は服飾に於いては何処までも真摯で誠実だ。良い物は認められるべきと言う考えの持ち主だから、三年の先輩の衣装が今の自分の衣装よりも優れている事を素直に受け入れていた。

 パル子さんとそのモデルの人は入賞で終わった。やっぱり製作時間ギリギリが影響を及ぼしたのかも知れない。

 この件に関してはお詫びと言う形は失礼だから、フィリア・クリスマス・コレクションが終わった後に行う予定の打ち上げの時に彼女が食べたいと思っている物をそれとなく用意するように手配しよう。

 その後も滞りなく審査結果の発表は進んで行った。詳しい衣装の細々とした部分は、後日伝えられる事になっている。その内容はとても気になっている。

 お母様達は審査に私情は挟まないとしても、僕とエストの衣装にはより厳しい目を向けていた筈。だからこそ、詳しい審査の内容を知りたい。

 

「以上を持ちまして、本年度フィリア・クリスマス・コレクション服飾部門の審査結果発表は終了となります」

 

 夢に見た栄光の舞台も一時の終わりだ。

 僕とエストは、他の皆と共に明日の総合部門にも参加する。その舞台も最高の舞台にしたい。

 

「ですが、俺とジャン、そして今日集まった審査員全員は会場の皆様に問いたい事があります」

 

 ……どうやらまだ何かが僕が夢に見た舞台では起きるみたいだ。

 

 

 

 

side遊星

 

 詳しい理由も分からず、舞台に呼ばれた僕は一先ず端の方に立っていた。

 他の人達と違って、隣に衣装を着た誰かがいないのは心細く感じていたけど、それでも皆と目指そうと誓っていたフィリア・クリスマス・コレクションの舞台に立てたのは嬉しかった。

 それにしても、才華さんとエストさんが最優秀賞に選ばれるなんて。でも、納得も出来た。

 遊星さんと一緒に舞台を見ていたけど、才華さんとエストさんが一緒に並んで心から楽しそうにランウェイを歩く光景は、今も思い出せる。隣にいた遊星さんが、楽しそうにランウェイを歩く姿に『あんなに才華が楽しそうに歩くなんて』って言葉を出すほどに驚いたぐらいだ。

 二人の衣装もとても素敵だったし、その二つの衣装のコンセプトが見事に一致していた。審査員席にいる、ルナ様達は厳しい視線で才華さんとエストさんを見ていただろうけど、逆にそれは注目している事を意味する。

 不利な条件を、才華さんとエストさんは自分達の衣装と演出で見事に有利な条件に変えたのかも知れない。少なくとも、才華さんを助ける為に審査に手を抜いたとかは絶対にない筈だ。

 ジャスティーヌさんとアトレさんは準優秀賞だったけど、衣装を着てランウェイを歩くアトレさんはとても楽しそうで輝いていた。

 ジャンも楽しそうだったし、フィリア・クリスマス・コレクション服飾部門のコンテストは大成功。

 そんな舞台に端の方にだけど立てた事に喜んでいたら……。

 

「会場の皆さんは勿論覚えてくれていると思います。本日のコンテストで一番最初に皆様の前に出た衣装の事を」

 

 ラフォーレさんは何を……。

 

「俺が説明した時に、会場の皆様は出て来る衣装はあくまで流れの説明の為に製作された衣装に過ぎないと思ったはずです。しかし、出て来た衣装はこの場に立つ生徒達が着ている衣装に勝るとも劣らない衣装だった。俺はこう思っています。あの衣装は紛れもなく今日のコンテストの成功を担った衣装の一着であったと」

 

 会場にいる観客の人達が一斉に頷くのが見えた。それに続くようにマイクを手に持ったジャンが口を開く。

 

「審査の対象外の衣装になっていても、投票の時に衣装を思わず探したと思うけど、どうかな?」

 

 観客席から『探したぞ』、『私も探した』、『あの衣装に投票を入れたかった』って声が聞こえて来る。

 

「審査員を代表としてお聞きします」

 

 ……ルナ様。

 

「本来ならば、一番最初の始まりを飾ったあの衣装は、学院内で幾つもの審査が行なわれたものだと聞きました。そしてその審査を全て突破した生徒は名前を発表され、特別賞を授与される筈だった。ですが、その生徒は名前の発表も特別賞も辞退した。総学院長、その理由は何故ですか?」

 

「理由は、あの衣装のデザインを担当した相手の身内だったからです」

 

 ラフォーレさんの言葉に会場が騒めいた。

 

「なるほど。身内だから選ばれたと思われたくないから、衣装の製作以外の全てを辞退したと言う訳ですか。しかし、身内だからと言って、あれほどの衣装を製作出来る筈がない。製作した生徒の実力があればこそもの。私達審査員一同は話し合った結果、当初の予定通りその生徒の名前の発表と特別賞の受賞を学院に進言します」

 

 ルナ様の言葉に続くように審査員席に座っていた湊、瑞穂さん、ユーシェさん、そして今日の為に集まっていた著名な審査員の方々が椅子から立ち上がって同意するように頷いた。

 

「まぁ、小難しい話は無しにして、とにかく俺を含めた審査員達はその相手を評価してあげたいって訳。皆はどうかな?」

 

 会場中から拍手が鳴り響いた。

 舞台に上がっている人達もだ。才華さん、エストさん、アトレさん、ジャスティーヌさん、パル子さんも拍手してくれている。

 

「だけど、その相手が小難しい事ばかり考えていてさ。今も舞台の端の方にいるんだよね」

 

 うぅ、観客の人達の視線が舞台の端の方。つまり、僕が居る場所に向いた。

 ジャンの意地悪。こんなのもう誰なのかすぐに分かるよ。今、舞台で衣装を着ていない相手がいないのは僕だけなん……。

 

「行きますよ」

 

「えっ?」

 

 手が掴まれると共に引っ張られた。

 慌てて引っ張った相手を見てみると、僕が製作した衣装を着たりそなだった。

 

「急いでオカマの人達とかに手伝って貰って着替え直しました。皆が貴方を呼んでいるんですから、行きましょう」

 

「えっ? あ、あの……」

 

 未だ戸惑う僕をりそなが引っ張って舞台の中央に向かって行く。

 衣装を纏ったりそなが再び出て来ると思っていなかったのか、会場が騒ぎ出す。でも、それは歓声のように聞こえた。

 僕が製作した衣装を着たりそなを見れた事への歓声。僕は引っ張られるように憧れの人であるジャンとラフォーレさんがいる舞台の中央に連れて来られた。

 

「紹介しましょう。彼女こそ今、大蔵理事長が着ている衣装を製作した生徒。小倉朝日です!」

 

 また会場中から拍手が上がった、審査員席にいる皆も拍手してくれている。

 

「やっと出て来たなぁ。しかもその衣装を着てくれているモデルまで一緒に出て来てくれて嬉しいよ」

 

「ええ、急いで着直しましたよ。こんな事だったら衣装を脱がずにいればよかったと思いました」

 

「ハハハッ、悪いね。でも、このサプライズが成功したのは他ならぬ君が今、着ている衣装を製作してくれた相手の実力があってこそさ」

 

 僕の……実力……。

 

「ジャンの言う通り。審査員は満場一致で君に当初の予定通り、特別賞を与えるべきだと判断しました。加えて会場中の観客達も同意してくれています。何よりも俺に懐かしい感動を思い出させてくれた衣装の一つが評価されずに終わるなど我慢できませんからね」

 

 ラフォーレさんまで。

 

「ってな訳だ。俺もラフォーレと同意見。しかし、ほんと惜しいよなぁ。その衣装が対象外じゃなかったら、最優秀賞も変わっていたかも知れないぜ」

 

「出せるわけないでしょう。私が描いたデザインから製作された衣装なんですから」

 

「ああ、それはそうだけど、プロが描いたデザインだからって最優秀賞確実になるって訳じゃないさ。センスと技術が伴って製作されて、其処に思いが込められているからこそ、この味は出せる……また神服(・・)が見られて嬉しかったよ」

 

 あっ……言ってくれた。

 ジャンが……今確かに僕が製作してりそなが着てくれた衣装を……神服(・・)って呼んでくれた。

 嬉しかった。憧れの人で、此方でも僕の友人になってくれた彼の口から欲しかった評価を貰う事が出来た。

 

「此方を」

 

「あっ……」

 

 ラフォーレさんが賞状を差し出してくれた。

 本来、りそなが描いたデザインの衣装を製作した相手に渡される筈だった特別賞。

 

「学院の事を思っての行動をしてくれた事は感謝します。しかし、君の衣装は正当な評価に値する……いえ、評価しなければ服飾に生きる者として失格になってしまいかねない程の衣装でした。どうかこの賞状を受け取って下さい」

 

「……ありが……とう……ございますっ」

 

 差し出された賞状を受け取ると共に僕は顔を伏せた。

 視界がぼやけて見える。嬉しくて、嬉しくて仕方が無かった。漸く……漸く僕は……誇れるものを得る事が出来た。

 拍手が鳴り響くのが聞こえる。会場の人達の拍手だ。

 ルナ様……改めて誓います。僕は服飾を続けます。一緒に寄り添ってくれる僕が製作した大切な人と共に、この道を歩み続けます。




次回は遊星sideで桜小路家での朝日の賞の宴と才華達の評価に関する話です。
出来るだけ今度こそ投稿出来るように頑張ります!
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