泥江青花です。
「EP10.三日月の夜」を投稿できる運びとなりましたので報告させていただきます。
○投稿スケジュール
EP10.三日月の夜【2/3】→2023年11月1日(水)18:00投稿予定
EP10.三日月の夜【3/3】→2023年11月4日(土)18:00投稿予定
EP10から本格的に新章へと突入します。
いきなり冒頭から新サーヴァントが登場します。本家様にも登場したあのサーヴァントが!?
でも何やらいつもと様子が違うようで……。
色々想像して楽しんでいただければ幸いです。
また、感想をいただけますと今後のモチベーションにも繋がりますので、是非ともよろしくお願いいたします。
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登場人物
☆セイバー第七陣営
藤戸なずな(一六) 高校生 アーサーのマスター
アーサー・ペンドラゴン セイバークラスのサーヴァント ルイスに召喚された
ダグマル・クリューガー(六一) シュネー家の執事 Bar赤の店主
☆?
向坂ざくろ(二三) 赤い車体のVMX12を駆る
赤い鎧を纏った男
☆?
ニコラス・コルヴォ・メイレレス(二○) 黒いロングコートを着た男
武士 袴姿で長い大太刀を持つ
☆セイバー第六陣営
伊夫伎忠愛[いぶきただよし](三七)巨躯の騎士のマスター 元聖堂教会代行者 第八秘蹟会所属(東京支部)
巨躯の騎士 セイバークラスのサーヴァント
☆聖堂教会
善知鳥元始[うとうげんし](四二) 聖堂教会 第八秘蹟会所属(東京支部)聖杯戦争の監督
歴史家 象牙色のローブを着込んだ痩せ形の男
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○廃ビル 全景 夜
夜空に浮かぶ三日月。
灯一つない年季が入ったビル。
○同 屋上 夜
マフラーからうねりを上げる排気音。
VMX12に跨る女ライダー。
前照灯は藤戸なずな(一六)、アーサーを照らす。
ヘルメットを脱ぐ女ライダー、向坂ざくろ(二三)はなずなとアーサーに視線を向け、微笑む。
ざくろ「見つけた」
戸惑うなずなを庇うように前に出るアーサー。剣を構え、
アーサー「どちら様かしら? 私、生憎と壁を二輪車で駆け上るようなめちゃくちゃな方、存じあげませんので」
ざくろ「(小声で)めちゃくちゃって、あたしからすれば貴女たちのほうがよっぽど……」
ざくろはバイクから降りて、両手を上げる。
ざくろ「はじめまして、あたしは向坂ざくろ。ーー察しの通り、あたしは【聖杯戦争】の参加者ではあるけど貴女たちに敵意はないよ」
ざくろは視線を横に送る。
ざくろ「今日だって、ほら。お使い? だよね?」
多数の淡い光が生まれ、その中から赤い鎧を身に纏った美丈夫が姿を現す。
アーサー、剣を強く握る。
赤い鎧の男は一歩前出て、アーサーの前で膝をついて頭を下げる。
赤い鎧の男「我が王よ。どうか剣を納めてはいただけないでしょうか」
怪訝な顔をするアーサー。
赤い鎧の男「(顔を上げ、)ご無沙汰しております。ーーまさか、死した後にこうして王に拝謁できようとは……。光栄の至りにございます。円卓の第二席、パーシヴァル。御身の前に」
口が半開きになり、目を丸くするアーサー。
アーサー「……え?」
アーサーに微笑みかけるパーシヴァル。
アーサー「え!? えええええええええ!?」
○幹線道路 全景 夜
車の往来が少ない国道。
一台の黒塗りの車が走っている。
○車 車内 夜
ハンドルを握る黒服の男。
後部座席は対座シートになっており、歴史家とダグマル・クリューガー(六一)が向かいあって座っている。
ダグマルはサイドガラスから景色を眺めている。大きなビル群が次々と移り変わっていく。
ダグマル「一つ伺いたいのですか」
歴史家はダグマルに視線を向ける。
ポーカーフェイスのダグマル。
ダグマル「何故、私どもに招集を?」
歴史家「……質問の意図を理解しかねるのだが。先ほども説明した通り、監督役から【マスター】全員への招集がかかった。招集するに至った経緯は監督役から直接説明がある。これで回答になっているか?」
ダグマル「これは失礼。招集議題ついての話ではないのです。何故、私どもにまでお声がかかったのか。ーー気になりましたもので」
ダグマルは歴史家をじっと見つめる。
歴史家「質問に質問で返すのは礼儀に反しているが……。貴公らは【聖杯】を諦めたのか?」
無言のダグマル。
歴史家「ならば貴公らもまた、物語の登場人物であることに違いはないということだ。……まだ、貴公らの手の中から【聖杯】は零れ落ちていない」
わずかに眉を顰めるダグマル。
ダグマル「話をはぐらかすのはやめていただけますかな。シュネーはすでに【聖杯戦争】の外にあると考えるのは当然のこと、その私どもに接触する。これは何か裏があると考えるのが自然ではないですか?」
歴史家は顎に手を添え、
歴史家「……藤戸なずな、と言ったか。ルイス・フォン・シュネーの意思と無関係に彼の【令呪】を貰い受けた例外の存在。貴公らはあれをどう判断する?」
息を呑むダグマル。
歴史家はゆっくりと目を閉じ、
歴史家「貴公らの抱える懸念など小事に過ぎない。望めばいつでも【聖杯戦争】の表舞台に立てるということだ」
目を開いてダグマルを見据える。
歴史家「ーー何を躊躇している?」
ダグマルは視線を落とし、手に持っていた木箱に目をやる。
ダグマル「私どもは【魔術使い】であって【魔術師】ではない。ーーそれだけです」
歴史家「まあいい。……藤戸なずなの件については有益な情報を得ることができれば貴公らにも共有する。【アインツベルン】の代理であるシュネーだ、多少の便宜を図ろう」
ダグマルは歴史家に目をやる。
ダグマル「……そちらにも何か思うところがある、ということですか?」
歴史家「いらぬ詮索だ。我々の責務は【聖杯戦争】をつつがなく進行させることにある。他意はない」
○幹線道路 全景 夜
一台の黒塗りの車が走り抜ける。
○教会 全景 夜
十字架の尖塔。
古びたゴシック様式の教会堂。
○同 室内 夜
祭壇の奥には聖母像が立っている。
蝋燭の灯が微かに揺らめく。
教会堂の後方にあるチャーチチェアに座るなずな。その隣にはアーサーが座っている。
座った目のアーサーは背後を見て、
アーサー「……いつまでそこに突っ立っているつもりですの?」
アーサーの背後にはパーシヴァルが立っている。姿勢を正し、正面を見据えている。
パーシヴァル「我が王よ。お言葉ですが、何かが起こった後では遅いのです。有事の際にいつでも動けるよう備えておくことが王の騎士としての当然の配慮かと」
アーサー「今の貴方は私の騎士である前にざくろの【サーヴァント】。私を気にかける前に彼女の傍にいてその役割を果たしなさい」
パーシヴァル「無論です。【マスター】の身を護るのが私の役割。ただ、私の騎士としての矜持。いえ、同胞から託された責務を蔑ろにすることもできないのです。私、私たちは我が王の剣であり、盾である。ーー私はその運命を全ういたします。例えこの身が散ろうとも」
真剣な表情のパーシヴァル。
アーサーは眉間に皺を寄せ、横目で左のチャーチチェアに座っているざくろを見る。
肩を竦めるざくろ。
なずなはアーサーを見て、苦笑いを浮かべる。ふと、視線を前方に向ける。
教会堂の前方にあるチャーチチェアに袴姿の武士が座っている。
武士は肩に異様に長い大太刀をかけており、傍には太刀、脇差が置いてある。
なずなは視線を右横に向ける。
頬に痣がある黒いロングコートを着た男ーーニコラス・コルヴォ・メイレレス(二○)が壁にもたれかかかっている。
なずなは視線をアーサーに戻す。
なずな「(小声で)あの、アーサーさん……」
ガチャという音とともに教会堂の扉が開く。善知鳥元始(四二)を先頭に歴史家とダグマルが入ってくる。
なずなはダグマルの姿を見て、
なずな「……ダグマルさん?」
ダグマルはなずなに気付いて近づいてくる。
ダグマル「藤戸様」
ダグマルはなずなの全身を見て、
ダグマル「心配しましたよ」
なずなはダグマルから視線を外す。
なずなの態度を見て、肩をすくめるアーサー。
祭壇前に立つ善知鳥。傍には歴史家が立っている。
善知鳥「さて、皆さま。突然の招集にご協力いただきありがとうございます。全員揃いましたので始めさせていただきます。ええ、ではーー」
歴史家が一歩前に出て、手に持っていた分厚い本を開く。
善知鳥「まず、こちらをご覧ください」
本は自ら発光し、頁を閉じたり開いたりを繰り返して歴史家の手から飛び立つ。
教会内を飛び回る本に、なずな、アーサー、ダグマルそしてニコラス、武士は目を奪われる。
本は瞬く間に巨大化して彼らに覆い被さってくる。
なずな、アーサー、ダグマル、ニコラス、武士は目を丸くして悲鳴をあげる。