登場人物
☆セイバー第七陣営
藤戸なずな(七)(一六) 小学生 高校生 アーサーのマスター
アーサー・ペンドラゴン セイバークラスのサーヴァント ルイスに召喚された
ルイス・フォン・シュネー(三二) なずなの担任教師 魔術使い
エミリア・フォン・シュネー(二八) ルイスの妻
メイド
リュカ・バリュエレータ・アトロフスカ(一〇) 切能のマスター
切能[きりのう] セイバークラスのサーヴァント 甲冑を纏った女武者
少年 隻眼の少年
医者
藤戸茅子(三五) なずなの母親
☆セイバー第四陣営
セオドア・バリュエレータ・アトロフスカ(三九) 魔術師 時計塔所属
ヘレン(二○) 侍女
エイプリル(十九) 侍女
☆聖堂教会
善知鳥元始[うとうげんし](四二) 聖堂教会 第八秘蹟会所属(東京支部)聖杯戦争の監督
歴史家 象牙色のローブを着込んだ痩せ形の男
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○武家屋敷 少年の私室
鏡に映る右目に布を巻いた少年(五)の顔。
鏡を見つめる少年。少年の背後には■■と医者がいる。
真顔の■■。
医者「では」
医者は少年に巻かれた布を解く。
少年の右目の周囲には疱瘡ができ、瞳は白く染まっている。
少年と医者は息を呑む。
■■は無言のまま、踵を返す。
少年は咄嗟に振り返って、
少年「母……(パシィと襖が閉まる音が聞こえる)……上……」
閉じられた襖を見つめる少年。
○ルイスの家 客室 早朝
天井からぶら下がっているシャンデリア。
ベッドで仰向けになっているリュカ・バリュエレータ・アトロフスカ(一○)。
リュカ、右目に手を当てる。舌打ち。
ベッドから起き上がり、パーカーを羽織る。
ドアを開け、部屋を出て行く。
窓際の空間が歪み、切能が姿を現す。
切能はリュカの後ろ姿を目で追う。
○同 全景 朝
雨が降っている。
庭付きの豪奢な一軒家。
急勾配の屋根に大きな窓がついている。
○同 ダイニング 朝
食事済みの食器を慌ただしく片付けるメイド。エプロンドレスを着た藤戸なずな(一六)も手伝っている。
なずなとメイドを一瞥し、ルイス・フォン・シュネー(三二)はテーブルに置かれたコーヒーを手に取る。
コーヒーの表面に映る眉を顰めたルイス。
エミリアの声「心配?」
ルイスは声のする方に目を向ける。
微笑むエミリア・フォン・シュネー(二八)
ルイス「えぇ……」
エミリア「なずなちゃんから言ってきたんでしょ?」
ルイス「何か自分にもできることはないか……。お世話になってるだけでは申し訳ないと……」
エミリアはなずなに目を向ける。
エミリア「……そう」
○住宅街
人通りの少ない路地。
金髪碧眼、侍女服に身を包んだヘレン(二◯)とエイプリル(一九)が歩いている。
共に黄金の腕輪をつけている。
◯ルイスの家 廊下1
ドアが開き、リュカと切能が出てくる。ルイスが後に続く。
リュカ「時間まで好きにさせてもらうぞ?」
ルイスは頷く。
ルイス「何かあればダグマルにおっしゃって下さい」
リュカは手を振り、去っていく。
ルイスはリュカを見送り、部屋に入っていく。
リュカは切能を連れ、廊下を歩いている。切能に視線を向けず、
リュカ「あの女を探れ」
切能は頷き、粒子になって消える。
リュカは立ち止まり、窓に視線を向ける。
窓の向こうではなずなとメイドが掃除をしている。
○同 廊下2
綺麗に磨かれた床。壁にかけられた絵画。
額に手を当て、なずなは一つため息を吐く。
メイドの声「藤戸様、お疲れ様です」
なずなが振り返るとメイドが立っている。
なずな「お疲れ様です」
なずなは頭を下げる。
メイドは辺りを見渡し、一つ頷く。
メイド「……ふむ。これは驚きました。完璧です。これはちょっとメイドとして嫉妬です」
綺麗に磨かれた床をじぃーと見つめているメイド。
なずな「そうですか? 別に特別なことをしたつもりは……」
メイド「何? まだ、他にできることはないか? 藤戸様は卓越したメイドスキルだけではなく、天性のメイドマインドを持ってらっしゃっると? これは……」
なずな「ええと……その」
メイド「お気遣いいただきまして誠にありがとうございます。ですが藤戸様はそろそろお休みになられたほうが良いかと。朝から働き詰めでございましょう?」
なずな「先生にはお世話になっているので他に手伝えることがあれば……」
メイド「ダメです! NOです! エミリア様から藤戸様のことをお願いと仰せ付かっておりますので。……藤戸様が大変優秀なので甘えに甘えまくってしまいましたが……ダグマルさんに怒られちゃう……なので!!! 藤戸様はお部屋にお戻り下さい。 後ほど温かいお茶と甘いお菓子を用意させていただきます!」
なずな「は、はい」
○同 庭
雨が降っている。
○同 客室
ベッドで仰向けになり本を読んでいるリュカ。
コンコンとドアをノックする音が聞こえる。
リュカは舌打ちをしてベッドから起き上がり、ドアに向かう。
リュカ「誰だ?」
ドアノブを回し、ドアが開くとヘレンが立っている。
リュカ、咄嗟に後ろに下がる。
ヘレンと脇に控えていたエイプリルが部屋に入ってくる。
リュカ「(舌打ち)ここのセキリュティ甘すぎだろ!」
リュカは両手を広げ、吠える。
リュカ「吹っ飛べ!」
リュカの周囲に光源が発生し、ヘレンとエイプリルの元に飛んでいく。
ヘレンとエイプリルは光弾を打ち払う。
共に手には黄金の剣を持っている。
ヘレン「手を煩わせないで」
リュカ「へえ、やるじゃん」
黄金の剣は形を変えてヘレンとエイプリルの腕輪になる。
リュカ、怪訝な顔をする。
リュカ「何? もう終わり?」
ヘレン「……リュカ、私たちは貴方と争いに来たわけではありません」
エイプリル「……エイプリルたちはリュカを迎えに来た……。師匠がリュカの帰りを待ってる」
リュカはじっと二人を見ている。
エイプリル「リュカには大切なお役目があるって」
ヘレン「直に最高の【宝具】は完成する。ただ万全を期すなら完成するまでの間、貴方の
エイプリル「……ちゃんとお役目を果たしたら、脱走には目を瞑るって」
リュカ「お役目ねえ……。(鼻で笑う)セオドアの人形風情がオレに指図すんじゃねえよ!!!」
リュカの周囲に先ほどより多くの光源が発生する。
ヘレンとエイプリルは腕輪を剣に変え、迎撃体制を取る。
飛来する光弾を、二人は剣で打ち払う。
手を広げるリュカに、二人が飛び掛かろうすると、
切能の声「痴れ者め」
声と同時に切能がリュカの前に現れ、二人目掛けて太刀をなぎ払う。次の瞬間にヘレンとエイプリルは目を見開く。二人は左右に吹き飛ばされ壁にぶつかる。
残心する切能。
リュカ「遅い」
切能「……平にお赦しを」
ヘレンとエイプリルは立ち上がる。
エイプリル「……
切能は霞の構えをとる。
ヘレン「……いいでしょう。
ヘレンとエイプリルは剣を構える。
リュカ「……やれるもんならやってみろよ」
リュカ、鼻で笑う。
◯黒み
◯ルイスの家 客室
床には血だまりができている。
ヘレン、エイプリルは目を見開いて倒れている。
黄金の剣が光の粒になって宙に消えていく。
リュカの声「……んで、なんかわかった?」