『起きろ!上条当麻!お前には使命がある!』
「はっ」
目が覚めた。
ここはどこだ?
薬品のにおいがする。
「起きたかい?」
カエル顔の白衣を着た男がいた。
「起きて早々だけど君の身体の状態を医者として説明する」
医者?という事は、ここは病院か?
身体中に包帯が巻かれている事にようやく気がついた。
「先生、オレ、交通事故にでもあったんですか?」
「違う。僕も詳細は分からない。ただ君を運んできた人達によると
「えー」
ものすごく引いてしまった。何をしたらそうなるのか?
・・・ん?思い出せない。というか俺は誰だ?
「先生。オレ、自分の名前を忘れたみたい。あれ?」
「君の名前は上条当麻、普通の高校一年生だ」
「それがオレの名前」
「単刀直入に言うと君は記憶喪失だ」
「冗談、という雰囲気でもないですか」
「正確に言うと君のエピソード記憶が完全に破壊されている。未来永劫、君の記憶は戻る事はない」
まじかー。記憶ないのかー。やばいなー。
「さらに悪い知らせをもう一つ」
「まだあるんですか!?」
「シスターの少女が君を心配している」
オレの知り合いか?オレってカトリックとか?
「彼らの話より彼女の話の方が君にとって重要だ。彼女の名前はIndex-Librorum-Prohibitorum。通称魔道書図書館という10万3000冊の禁書目録を保管している少女」
インデックスって目次?ペットの名前?魔道書図書館って何?ゲームの話か?
「彼女はイギリス清教に《首輪》をつけられていてね。それを君が破壊したんだけど、彼女の中にある防衛システムが作動して君に襲いかかってきたんだよ。でも君は彼女を救うことに成功した。君の記憶と引き換えにね」
「そんな事、こんな怪我をする程の戦いでどうやって彼女を救えたんですか?」
「奇妙な話ばかりだけど、君の右手。それはあらゆる能力を打ち消す
「イマジン、ブレイカー」
右手を見るが何も思い出せない。
「彼女は自分を酷く責めている。君を傷つけたことにね。・・・どうするかい?君は彼女に会うか?それとも会わないか?」
「会います!」
「いいのかい?彼女をこれ以上悲しませるかもしれない。しかも君は彼女のことを何も覚えていない。それでも会うのかい?」
「はい」
「・・・分かった。では彼女を連れてくるから待っててくれ」
パタン
カエル顔の医者は病室を出た。
何で会うと言ったのだろうか?
☆☆☆☆☆
数分後、トントンとノックがした。
「はい」
ガララ
入ってきたのは腰まである長い銀髪とエメラルドのような緑色の目をして、純白の布地に金色の刺繍が施され高級なティーカップのような印象の修道服を着た少女。
「とうま!」
彼女はオレを見て安堵した表情をして駆け寄ってきた。
「君、誰?」
「・・っ」
彼女は硬直した。
「病室を間違えていませんか?」
彼女は首を振る。
「君大丈夫?ひどく悲しそうだ」
「大丈夫。大丈夫に決まってるんだよ」
彼女はなにかを堪えるように言った。
「もしかしてオレたち知り合いだった?」
「覚えてない?学生寮のベランダで出会ったんだよ」
「オレ学生寮に住んでるの?」
「覚えてない?とうまの右手で《歩く教会》が壊されちゃったんだよ」
「それって散歩のクラブかなんか?」
「覚えてない?とうまは魔術師と戦ったんだよ」
「ごめん。全然分からない」
「覚えてない?インデックスは、とうまの事が大好きだったんだよ」
「インデックスって何?人の名前じゃないし、オレ犬か猫でも飼ってたの?」
彼女の表情は必死で悲しみを悟られないように笑みを浮かべていた。瞳の大粒の涙を堪えながら。
数秒の静寂
「なーんちゃて!!!」
「え?」
「引っ掛かったー!!何犬猫言われて泣いてるんですかー。もしかしてそういう趣味ご希望何ですかー?」
「え?え!?どういうこと?記憶ないんじゃ」
「その言い方だと記憶ない方が良かった見てーだなー」
「でも脳味噌が破壊されて記憶が」
「あの医者がオレの脳細胞が破壊されたって言ったんだろ?でも魔術でこうなったんなら、話は簡単。上条さんのイマジンブレイカーで触っちまえばもと通りにわけ」
「イマジン、ブレイカー?」
「そう、オレの右手のこと。まあ、あの医者がそう読んでたんだけどな」
「ほっ」
ストン
インデックスは床にへたり込んでしまった。
「それより犬猫言われて潤んだ瞳を見せるインデックスさんマジ天使」
「と・う・まーーーーー!!!!!!!!!!」
「ギャーーーーーーー!!!!!!!」
ガリッガリッゴリッ
骨を噛み砕く音が病室に響いた。
☆☆☆☆☆
インデックスは怒って出て行ってしまった。入れ違いでカエル顔の医者が来た。
「あらら。派手にやられたね」
オレの体に残った歯型を見て呆れたように言った。
「ははは」
「あれで良かったのかい?」
カエル顔の医者は病室のベットの横で真剣な顔で聞いてきた。
「彼女の泣き顔なんて見たくない。そう思えたんです。案外オレはまだ覚えてるのかもしれません」
「君の思い出は脳細胞ごと死んだ。いったいどこに君の思い出が残っているというだい?」
「心、じゃないですか」
この気持ちはただの自分のエゴかもしれない。
でもインデックスの笑顔を守りたいと心が叫んでいる。
ならこれはオレの使命だ。彼女を守れるのはオレにしか出来ない。
☆☆☆☆☆
学園都市。窓のないビル。その中に縦に長い水槽が1つ。その中に重力を無視し逆さまで佇む『人間』
その容姿は幼い少年にも大人な女性にも見え、病衣を着ている。
『ふふふ』
「何か嬉しいことでもあったのかい?学園都市統括理事長アレイスター・クロウリー」
『人間』に話しかけたのは赤髪に左目の下にはバーコードのタトゥー、耳にはいくつものピアスをつけタバコを咥え神父服を着た長身の少年だった。
『いいや。《
『人間』は口を動かさずに意思を疎通した。それが魔術なのか超能力なのかステイルは気にしなかった。
「で、話とは?」
『錬金術師アウレオルス・イザードについて。まあ、君の方が知っているだろうが』
「あの時代遅れの魔術師がどうした?」
『彼が
「まさか!?ということはアレが実在していたのか!?」
『そうだ』
「こんなことをお前は隠していたのか。・・・あの子に何かあったらお前を殺す」
『ふふふ、早く手は打った方が良い』
「クソ、《吸血鬼》とは皮肉なものだな錬金術師」
☆☆☆☆☆
時は遡り異世界にて。
「なんだあの黒い霧は!?」
「きゃあ!?吸い込まれるー」
「不覚」
「助けてーリムル様ー!」
「ついに寿命かのう」
「おえっ何で俺も!?」
「ワオーン!」
連邦国ジュラ・テンペスト、中央都市リムルの住人が一夜にして消失。