カモメの鳴き声が聞こえる。目を開けると一面の海と青空。オレ、リムル・テンペストは上条当麻、インデックスとともに学園都市を離れて神奈川県の海を訪れていた。
ーーー海水浴なんていつぶりかな。仕事忙しくて行けなかったもんなー
なぜオレたちが学園都市を離れているのかというと、先日当麻がアクセラレータを倒した影響なのか小萌先生から「上条ちゃんの立場が危ういのでー、今は外でおとなしくしてくれなのですー」と言われ準備してもらった旅館に数日泊まることになった。
ーーー当麻っちも休めて良かったよな
まだ子供なのに彼は夏休みに入ってから問題ばかりだった。夏休みも補修ばかりで遊ぶ暇もなかっただろう。一緒に過ごしていても彼の持ち前の不幸で色々あるからリフレッシュ出来て良かった。
ーーーインデックスかわいい、普段が修道服だからギャップでいいな!
インデックスも今日は水着だ。当麻と二人で久しぶりにはしゃいでる二人を見て和む。中身はおじさんやなー。
「ぎゃーーー!!!」
当麻の叫び声が聞こえた。どうやら顔面にクラゲを張り付けている。
「何やってんだよ」
当麻は叫びインテックスはオロオロしオレは冷静にクラゲを離し当麻を旅館に運んだ。
ーーーまったくこいつらは
弟と妹がいるみたいだよ
☆☆☆☆☆
当麻は女将さんから借りた軟膏を顔に塗っている。
どうやらインデックスはクラゲを帽子だと勘違いしたらしい。そんなことってあるのか?彼女はクラゲを見たことなくてすごく当麻に謝っていた。
旅館の女将さんはクラゲが多くてこの辺の観光客が少なくなってるらしい。どうりでオレたち以外の客を見ないわけだ。女将さんは耳をほじりながら愛想一つなく言うのでそれが原因だと思うのだが。
すると部屋に初老の旅館の主人が入ってきた。
「失礼致します。ゴホッゴホッ。お連れ様のご到着が遅れて明日になるそうです、ゴホッゴホッ」
主人は正座になり礼儀正しく言っていたが咳を客の前ですると丁寧な対応が台無しだな。
「えー当麻のお父さんとお母さんに会えると思ってたのにー」
インデックスが不満を言う。そう小萌先生からの配慮で普段会えない当麻の両親、上条刀夜、椎菜もこの旅行に来るそうだ。
「分かりました。ありがとうございます」
当麻は問題なくそう言ったが、内心安心してるだろう。当麻は夏休み以前の記憶がないのだ。だから両親との思い出も顔さえも分からない。
ーーー今日の夜にでも当麻っちの話聞いてやろう
彼が抱えているものは想像以上に重い。どうにかオレが軽くしなくちゃな。
☆☆☆☆☆
海から上がり旅館の温泉に行くことになった。インデックスが浴衣に着替えている間にオレたちは暇ができた。
「当麻っち卓球しようぜ!」
「おう!」
オレからのサーブを打った。当麻は難なく打ち返ししばらくラリーが続いた。
「当麻っち意外といけるじゃん、よっ」
「やった思い出ねーけど、前の俺はやってたかもなー、おっと」
「そういう時たまにあるのか?ほいっ」
「あー、料理する時とかかな。それっ」
「大変だな、あらよっと」
「ま、気にしたってしょうがねえよ。あらよっと」
「つーかどうすんの?ほい」
「何がだよ?」
「明日のことだよ」
「あー」
コーンコーン ラリーが終わりピンポン球が転がっていく。
「あーって気になんないの?」
「それゃ気になるけど会ってからじゃないとわかんねーだろ」
「そうか。まっお袋さん美人だといいな!!」
「おいっ!」
「しかも年下の従姉妹も来るしなー、どーせ当麻っちにメロメロだろ」
「何でだよ!」
「明日楽しみだなー」
「変なことしようとするなよ!」
「とうまーリムルーお風呂いこ!」
ちょうどインデックスがやってきた。浴衣姿もベリーキュート。
それから温泉に入って夕食を食べてみんなで寝た。当麻っちはインデックスと別に寝るというので襖を境にして布団を敷いた。
☆☆☆☆☆
ジリリリリリ 内線の音が鳴る。
「はい上条です」
「おはようございます。ゴホッゴボッお連れ様がご到着されたようです」
「あっはい」
俺の両親とついに会うことになった。リムルを起こし、インデックスは布団にくるまって寝息を立てているのでそっとしといた。
リムルに昨日気にしてるから聞かれてはぐらかしたが、内心記憶喪失だってばれないか不安だった。
となりにいるリムルはそわそわしながら待っている。
「俺より緊張してどうすんだよ」
「だってさーハーフの友達ってどう演じればいいんだよう」
「変なことさえしきゃいいんだよ」
「おっあの人じゃないか?」
旅館前の下り坂から上がってくる男性、途中でこちらに気づいたのか小走りで駆け寄ってくる。
「当麻!久しぶりだな。元気だったか?」
「うん、父さんも元気そうだね」
オールバックに少しくたびれた40代くらいの男性が俺の親父。やっぱり何も覚えてないようだ。
「こちらは当麻のお友達の」
「はじめましてリムルです!」
「いつも当麻がお世話になっています」
「いえいえこちらこそ仲良くさせて頂いてます」
なんだか恥ずかしいな
「そういや母さんたちは?」
「もうすぐ来るはずだぞ、迎えに行って荷物持ってくれないか?当麻」
「お兄ちゃーーん!!!」
遠くから走ってくる少女がいる
「乙姫ちゃんがちょうどきたようだぞ」
「へーあの子が」
「お兄ちゃーーーん!!!」
「ん?」
走ってくる少女はなんとなく見覚えのある顔をしていた。
「お兄ちゃーーーん!!!」
「え」
茶髪のショートカットに容姿端麗、どう見ても御坂美琴がこちらに走ってくる。
「うおっ!!!」
そして飛びつかれて抱きつかれて押し倒された。
「お兄ちゃん!会いたかったよー!」
「!?」
胸元が緩い服を着ているためかもう少しでみてはいけないものが見えそう。
「だー!!なんでここにいるんだビリビリ!!つーかそのわけわかんない妹属性やめろ!!!」
「きゃっ!ビリビリって何よう?」
「どうしたんだ?当麻。お前の従姉妹の竜神乙姫ちゃんだろ、久しぶりだから忘れたのか?」
「え?父さん、こいつがこのビリタ中学生が俺の従姉妹だって?」
「いかにも。当麻大丈夫か?」
やばい、頭がまったく追いついてない。御坂美琴にそっくりなこの少女が従姉妹だって?またクローンとかいうじゃないだろうな!
リムルを見ると何かを見て唖然としているようだった。
「あらあら、相変わらず二人は仲がいいわね」
聞き慣れた声の方を見るとインデックスがつば広の白い帽子におしとやかなロングのワンピースを着ていた。
「お前何やってやがんだ?」
「あらあら、当麻さん反抗期?かわいいわ」
「こらっ母さんに向かってお前とはなんだ!」
「・・・このR15からつまみ出されそうなガキが俺の母さんだって?」
「あらあら当麻さん的には母さん若く見えるのかしら」
「いかにも、お前の母さんだ」
「ふふふ、リムルドッキリだと言ってくれ」
「オレも分かんないよ」
「まじで?」
「うん」
なんなんだ一体?
混乱したままみんなで旅館に戻る。
「いらっしゃいませー。お待ちしてましたー」
ミサカ妹が耳をほじくりながら出てきた。
「どうぞゴホッゴボッお上りください」
ステイルが主人の格好で挨拶した。
「あっとうまーおはよう!」
インデックスの格好をした青髪ピアスが来た時、俺の我慢のスイッチが壊れた。
俺が青髪に掴みかかりそうになるのを大人たちに止められた。
そして今目の前で御坂美琴そっくりの少女がたつがみと書いてあるスクール水着を着て海ではしゃいでいる。
「なんなんだこれは」
海で泳いで頭を冷やせということでみんなで海に来ていた。
「オレだって意味不明だよ」
隣にいるリムルも混乱しているみたいだ。
「やっぱりドッキリ?」
「いいや、これは何か起こってるかもな」
リムルは言う。
「何か?」
「ああ」
「おーい」
ここで父さんがやってきた。
「落ち着いたか?当麻」
いつ見ても見慣れない顔が父親だっていうのは不思議な感覚だ。
「そうだこれ出張先で買ったお土産だ」
それは像の神様のストラップだった。
「どうも」
「なんだ今度は他人行儀になって」
なんかいろいろなことが起こってボロを出してしまった。
「あっ椎名さんまだですかね?」
リムルが話題を変えてくれた。
「そろそろだとお思うが、あっ来たぞ」
「!?」
インデックスがマイクロビキニを着ていた。
「ふんふんやっぱり似合うな!買った甲斐があった!」
「あらあら、そう?ありがとう」
親父は鼻の下を伸ばしてインデックスのマイクロビキニを眺めている。
「このロリコン親父!!!」
「ぐはっいきなりなんだ!」
「とうまー!」
「!?」
青髪がインデックスの水着を着て・・・もう見たくなかったので砂に埋めた。
☆☆☆☆☆
「なんなんだこの状況」
冷静になろうと思って宿に戻るってテレビを見ると海外中継のレポーターを小萌先生が、アメリカ大統領を白井黒子がやっていた。
「当麻っち、外に出てみよう!」
外に出ると幼稚園児の警察官、おばあちゃんの女子高生、セーラー服を着た相撲取り。
「まさか姿が変わっている?」
「お兄ちゃん!」
突然後ろから乙姫(美琴の姿)が抱きついてた。
「この写真お正月に撮ったんだよ、思い出してくれた?」
携帯の画像に俺と小学生くらいの黒髪の少女が写し出されてた。
「ちょっと頭痛いから宿に戻るな」
「大丈夫?」
「ああ、父さんに伝えておいてくれ」
姿が変わったのに自分自身は気づいていない。俺とリムルは宿に帰る道で今の状況を話し合った。
「おいなんかいるぞ、当麻っちの知り合い?」
全身拘束ベルトを服のように着た目が隠れるくらいの前髪でロングの金髪の少女が立っていた。
「変な奴全員知り合いかよ」
「とりあえず声かけてみれば?」
「よっ!ひさしぶ」
がきん! 突如少女はノコギリを俺のクビに斬りかかってくるのをリムルが刀で止めた。
「知り合いじゃないみたいだな当麻っち」
「ごくっ」
「質問一、この術式をかけたのはお前か?」
「やばいなこの子」
「怒らせるな!リムル」
「待ちなさい」
声のする方を見ると片足だけジーンズが完全にない、腰まである長い黒髪をポニーテールにした、白いシャツを着ていてもわかる豊満な胸が特徴的で、数本の刀を持った180センチくらいの女性ともう一人、見知った顔がいた。
「土御門!?」
「私はイギリス清教
そう言うと金髪の少女はノコギリを懐にしまった。
「上条当麻、まったくあなたはいつも問題の中心にいますね」
「そんじゃ説明してもらおうか、神崎」
☆☆☆☆☆
「
「その術式が昨日発生しこのような状況が世界中で生まれました。何者かがやった本来あり得ない天使を人間の体に落とすという術の影響です。私たちはとっさに影響を逃れましたが、ほかに影響を受けていないあなた達に今回の事件の容疑がかかっています」
世界中で起きてる、しかも俺たちが容疑者!?
「質問1を繰り返します。彼らが術者ではない理由は?」
「学園都市の能力者が魔術を使うと体に負荷がかかるけどその痕跡もない。しかもカミやんにはイマジンブレイカーという異能を打ち消す右手があるから魔術は使えないのにゃー」
「土御門何でそのことを!?」
「13 26 33 合わせて72」
「!?」
金髪の少女は呪文をつぶやき俺に攻撃してきた。それを間一髪右手で防ぐ。
「いきなり攻撃してすまなかった少年。私はロシア正教会殲滅白書所属サーシャ・クロイチェフ」
「こんなとこで殲滅白書のメンバーにお目にかかるとはラッキーだにゃー」
「おい土御門何でお前自然とこの会話に参加してんだよ?」
「あん?俺も