天使の精神を天界から人間界にひきづり下ろす術式。
上位セフィラから下位セフィラへと強制的に引きづり降ろされたため四界に影響あり。
天使が人間の肉体に入りまたその人間の精神が別の肉体に移動するので椅子取りゲームのように入れ替わる。
術の影響下にある人間は入れ替わった肉体ではなく本来そこに有る精神を持つものとして認識する。しかし術の影響外にある人でも誰が誰に入れ替わっているか分からない。
わたくし上条当麻はインデックスとリムルの三人で海水浴に来ていた。そこに俺の家族も合流したのだが母親はインデックスで従姉妹は御坂美琴でインデックスが青髪ピアスになっていた。そこにミーシャ・クロイチェフと名乗るロシア正教会の魔術師が現れ俺の命を狙ってきた。神裂火織と土御門元春に間一髪で助けてもらい事情を聞くと、これは
×××××××
夕方、旅館前のカキ氷屋で座る五人。
「なんだって!?土御門!!」
「考えても見ろよ、カミやん。科学は魔術の敵だぜ、俺は魔術側のスパイとして学園都市に潜入している。だから今まであった事件のこともカミやんのイマジンブレイカーも、リムルが異世界からやってきたことも知っている。ま、超能力のカリュキュラムを受けすぎて今は魔術を使えないけどな」
「私と土御門はとっさに結界を貼り術の影響を抑えることが出来ました。他人からは私たちとは違う人に見えていますけどね。今回の事件は規模的にも術の効果的にも被害は計り知れません。そこで術者を特定して拘束するのが目的です」
「そこで、魔術が効かない当麻っちに白羽の矢が立ったと」
「それもあるし、どうやら術の発信源はこの辺みたいでな。リムル、お前も術の影響を受けていないから犯人候補だ。俺たちはカミやんと同化していた影響でイマジンブレイカーの能力が作用したと推測しているが、そちらさんは納得するか?」
「回答1、それは100%の証拠ではない。だが犯人という証拠もない。つまりロシア正教会側からはリムルと名乗る彼を疑いが晴れるまで一時的拘束し無力化することを求める」
「なんだって!?」
「別にいいよ当麻っち」
「リムルお前!?何もやってないんだろ?」
「もちろん。けど当麻っちがこの事件の真相を解き明かしてくれるのを信じてる」
「けれどリムルお前聞いたところによるとスライムで大抵の攻撃を受けても平気だろ。ならカミやんと・・・そうだなイギリスにいるお前の仲間を人質にする。お前が何か攻撃をしようとした素振りを見せたら彼らを殺す。それでいいかにゃー?」
「回答2、それで構わない」
「オレも」
「くそっ!俺たちはただ家族と一緒に海水浴に来ていただけなのに」
「カミやん、その家族が全員入れ替わっているっていうのを忘れるなよ」
「・・・ああ」
×××××××
夜、上条当麻とリムルは客室から夜空を見上げていた。
「不幸だ」
「ははは!本当に災難だな!」
「なんで笑ってんだよ」
「面白くなってきたからなー」
「はあ?」
リムルの楽天的な思考に呆れてしまった。
「噂以上に肝が座った奴だにゃー」
「土御門」
いつのまにか後ろに土御門がいた。
「お前こそ魔術師だったなんてな。意外だよ」
「いやいや、リムルといる時内心バレるかヒヤヒヤしてたんだぜい。リムルの能力は未だ不明瞭なところが多いからにゃー・・・それでももし敵なら容赦しない」
「・・・さすが陰陽博士といったところか」
「やっぱりバレてたかにゃー。ただし
土御門はシャツをめくり傷を見せた。体の内部の血管が破裂していた。
「俺はいま一一一って言うアイドルに他人から見えるみたいでな。外を動くと騒ぎになるから自由に動けないんだにゃー」
「そうか、っていうことは神裂も」
「聞いたら笑えるぜ。ねーちんは何とステイルに見えるみたいなんだにゃー」
「それは・・・」
かわいそうに思えた。
「それより土御門、今後の動きはどうするんだ?」
リムルは声を少し低くして聞いた。
「それがこんな事態想定外のことだからにゃー。禁書目録にさえ記載されていないことだからどうすればいいか皆目見当もつかない。でも発信源はこの辺なんだ、儀式場さえ破壊すれば止められるはずだぜ」
「厄介だな」
「それとカミやん、ねーちんの前で不幸だって口にするのをやめてくれないか?」
「なんで?」
「ねーちんは聖人つー生まれながらにして神からの御加護を受けていてなそれ故に幸運体質。カミやんと逆で幸運で悩んでいるんだにゃー」
「幸運で悩む?」
不幸な俺には分からない悩みだった。
「自分が絶対に幸運になるっていうことは絶対に他人を不幸にしてしまうって思っているみたいぜよ。ねーちんは天草式という東洋の隠れ十字教の生まれにして、生まれた瞬間に
「そう、なのか」
バタン!突然部屋のドアが開いて疲れている様子の神裂が現れた。
「ハアハア、少し頼みたいことがあるのですが」
××××××
旅館の温泉前にて。
どうやら神裂は父さんたちにステイルの特徴的な見た目で色々しつこく聞かれたらしく逃げてきたらしい。
「頼みというのは、実は少し疲れを取りたいと思いまして。しかし・・・」
「見た目がステイルだから女湯に入れないし、男湯に入るにしても誰か入ってきてほしくないから見張ってて欲しい」
「・・・はい。土御門は信用できませんしあなた方しか頼めなくて」
「いいぜゆっくりしてこいよ」
「ありがとうございます」
神裂は頭を深々と下げると男湯に入っていった。
「当麻っち待ってる間オセロしようぜ」
「いつの間に持ってきてたんだよ」
俺とリムルはパチっパチっとオセロをし始めた。俺が黒でリムルが白。
「火織っちって意外と可愛いところあるな」
「お前ってすぐにあだ名つけるよな」
「当麻っちはああいう子タイプじゃないのか?」
「うーん、どうだろうな。あんまり付き合うイメージ湧かないし」
「じゃあタイプは?」
「えー、なんかすべてを包んでくれる母性を持った寮母さんタイプかな?」
「ほおほお」
「リムルはタイプあるのか?」
「オレはー、エルフとかサキュバスタイプかな」
「・・・実際どうなの?」
「・・・色々凄いぜ」
その後オセロをしながらリムルから異世界のエロ事情を聞いた。
×××××××
小一時間ほど神裂は体の疲れを取り着替えていると突然男湯に上条刀夜と上条当麻、リムルが入ってきて驚いて刀を抜いてしまった。向こうは驚いて逃げてしまった。
「まったく」
「裸を見られたくらいで怒れる立場なのか」
外から土御門の声が聞こえた。
「カミやんはインデックスの命の恩人なんだぜい」
「・・・分かっています、分かっていますけど」
×××××××
旅館前の遊歩道のベンチにて。
息を切らして上条親子はベンチに座っていた。
「はあはあはあ」
「いやー当麻のお友達はユニークだな。男同士なのに裸を見られたくらいであの様子、ひょっとしてアッチ系か!」
「うるせえよ」
「それよりリムルくんいないな」
「先に帰ったんだろ」
いないのに気づいていたがどうせ近くに隠れているに違いないと思っていた。
「・・・」
「なんだよ」
父さんが俺の顔の方を見てきた。
「やっぱりお前の顔は母さん似だよ」
母親似と言われても見たことないし実感が湧かなかったが、少し心がほっこりした。
ーーー家族ってこういうもんか。・・・でもここにいる父さんもどっかの知らないおじさんなんだな
そう思うと切なくなった。
「ははは、昔母さんとデートをしていた時、母さんも帰り際になるとそんな表情をしていたな」
「・・・」
少し照れくさい。
「そんなお前にメキシコ土産の」
「いらねーよ」
「あれ?ひょっとしてあそこにいるのは当麻のお友達のミーシャちゃんじゃないか?」
「ああ」
視線の先、広場の中央でミーシャは一人、月を眺めていた。
「あの憂鬱な表情を浮かべる幼顔、将来いい女性になるぞ」
「なに言ってんだ!変態オヤジ!」
「グッドラッグ当麻」
そう言うと父さんはそそくさとどこかへ行ってしまった。
俺はしょうがなくミーシャに声をかける。
「こんな時間に何してるんですか?遠く離れたロシアのツンデレの大地を思い出しているとか」
「・・・」
くそ!俺の渾身のボケを潰された!
「
「・・・」
また無反応、何か話題はないかとポケットをいじるとガムが入っていた。
「ガム食うか?」
俺はガムを右手の手のひらに乗せて渡すとミーシャは恐る恐るガムを取った。
「俺には天使とかよくわかんないけど、なんでまた術師は
「・・・私見1、莫大な天使の力を手に入れるためか。あるいは自らが天使の位に居座るためか。・・・
「え?そうなのか」
「
「そうだな!ガムなんか食ってる場合じゃなかったな!悪い!」
世界の危機か。
×××××××
旅館への帰り道。
なぜか隠れていたリムルが俺と合流した。
「世界の危機が訪れるかもしれないか」
「まさかそんなことに当麻っちが関わることになるとはな」
「全然実感湧かねえよ」
「それゃそうか。・・・でもいざとなったら」
リムルが何かいいかけた時旅館の客室の方から声が聞こえた。
「あらあら刀夜さん、ちょっと!・・・あら刀夜さん的にはなにをそんなに元気になっているのかしら?」
「当麻の顔を見ていたらなんだか昔を思い出してね。いやーあいつも弟か妹が欲しかろうと」
「あらあらそうかしら?」
父さんとインデックス(中身は母さん)の聞き捨てならない声が聞こえてきた。
「リムル悪い。世界の危機よりも俺には差し迫った危機があったわ!ふん!」
「当麻!」
俺はリムルを引きずって父さんたちの部屋に走った。
「ちょっとストップ!ストップ!ストップ!」
「あっ!?当麻なんてところに!?」
俺はとんでもない危機を止めたのであった。
×××××××
次の日の朝。母さん(インデックス)が朝から部屋を慌ただしく飛び出した。
どうやら家の鍵を閉め忘れたらしい。電車で半日かかるらしく帰るのは夕方になるそうだ。
そこでなぜかミーシャが母さん(インデックス)に同行して俺の家に行くことになった。
それを見届けた父さんは俺のことをからかったが、そこで父さんが言った一言に違和感を感じた。
『今時奥ゆかしい子だ。お前の手に触れようともしないなんて』
ーーー何かおかしいぞ。
リムルも同じ気持ちだったので土御門と神裂を集めて事情を話した。
「ミーシャがそんなことを?」
「なあ、
俺は聞いてみた。
「はい」
「英国図書館のどこにも記録されていない未知の現象ぜよ」
「そんなものが未完成なんてどうしてわかるんだ?」
俺はふと疑問に思ったことを口にした。
「!?」
一つ疑問を浮かべると枝分かれして次々と疑問が湧いた。
「完成したら厄災が起きるってどうしてミーシャに言い切れるんだ?ミーシャはどうして俺の右手に触れなかった。単に恥ずかしいからか・・・それとも」
「自らが発動させ」
「現在進行形で起きている
そしてパズルのピースをはめていくように疑問の答えが出てきた。
「カミやん!家に案内しろ!」
「おう!」
「オレもついていくぜ」
「私は待機しています!」
インデックスが危ない!ミーシャを止めないと!
×××××××
タクシーで3時間後、父さんに送ってもらった住所を頼りに上条家の新居にたどり着いた。
「ここが俺の家」
ドアは母さんが言った通り鍵が閉まっていなかった。どうやら母さんとミーシャよりも先に家に着いたようだった。
家の中はいたるところにどこかの神様の像や魔除けっぽいシンボルが置かれていた。父さんの海外からのお土産だろうか。
「あ」
父さんの部屋に入ると小さい頃の俺が書いたであろう家族の絵が壁に掛かっていた。
「当麻っち」
リムルが心配そうに俺に声をかけてきた。
「大丈夫」
なにも思い出せない、このことを意識すると心が虚しくなってくる。
一階に戻ると台所で土御門が虎のミニチュア像を見ながら考え事をしていた。
「どうした土御門」
「なるほどな」
「ん?これがどうしたんだ?」
「触るな!」
虎のミニチュア像に触れようとした時土御門に手を弾かれた。
土御門はリビングの方に行った。
「土御門!どうしたんだ?」
「・・・」
土御門は写真を眺めている。
「これは、家族写真。これが母さん」
母さんは奥ゆかしそうな優しそうな人に見えた。
「ん?ちょっと待てこれって」
リムルが写真に写っているもう一人の人物を指差す。
「当麻っちのお父さん入れ替わってないぞ!?」
「なんだって!どうして!?」
「入れ替わらないのはカミやんなどの例外を除いて、術者本人しかいない。早く戻るぞ!」
その直後、リビングのドアから母さん(インデックス)とミーシャが現れた。
「ひ、一一一!なんでここにいるのか分からないけどわたし的にはどうでもよかったりしてー!」
「うわ!」
母さん(インデックス)は土御門を別の誰かと勘違いして抱きついた。さらにミーシャは俺が持っている写真を見てすぐ家を出て行った。
「俺に構わず追え!上条刀夜が危ない!」
「おう!」
外に出るとミーシャの姿はなかった。
「ランガ!」
「我が主人」
俺とリムルは旅館に全速力で戻った。
ーーー父さん。どうしてオカルトなんかに手を染めちまったんだ!?
×××××××
夕暮れ、旅館にて。
全ての事情を神裂に話した。どうやら今父さんは砂浜を散歩しているらしい。
「分かりました。あなたはここで待機していて下さい。刀夜氏の身柄はこちらで拘束します」
「ああ火織っち任せるか?」
「はい」
神裂とリムルが話を終わらせようとする。
「待てよ!これは俺の問題なんだ!俺に行かせてくれ!」
「しかし」
「しかしじゃねえ!上条刀夜は俺の父さんなんだ!俺のたった一人の父親なんだよ!」
「当麻っち」
「リムルも手を出さないでくれ」
「・・・わかった」
「もし、刀夜氏から攻撃があった場合迅速に拘束しますからね」
「ああなんとして説得する」
父さん、俺はあんたが何の為にこんな事をしたのか分からない。けど止めてみせる。これが俺の使命だから。
××××××
日が沈む海水浴場の砂浜にて。
二人の親子は対峙していた。
「父さん」
「当麻」
今二人は何をおもうのだろうか
御使堕し(エンゼルフォール)
天使の精神を天界から人間界にひきづり下ろす術式。
上位セフィラから下位セフィラへと強制的に引きづり降ろされたため四界に影響あり。
天使が人間の肉体に入りまたその人間の精神が別の肉体に移動するので椅子取りゲームのように入れ替わる。
術の影響下にある人間は入れ替わった肉体ではなく本来そこに有る精神を持つものとして認識する。しかし術の影響外にある人でも誰が誰に入れ替わっているか分からない。
長い駄文を読んでいただきありがとうございます。やたら読みにくい話ですが次でエンゼルフォール編終わります。