わたくし上条当麻は7月28日、記憶喪失になった。
頭の中に10万3,000冊の魔道書を保持する少女、インデックスの悲劇を止めた代償であった。
はじめて目覚めた日、彼女に記憶喪失のことを彼女のためよりも自分のために隠した。
それから10日後再び事件に巻き込まれた。
その時、俺の中から突然リムル・テンペストという異世界の住人が出てきた。しかもそいつの仲間もこっちの世界に転生されていて助けださなければならない。
リムルは俺の近くから離れられない状況でそれも解決しなければならない。
しかし俺にはやらなければいけない使命がある!
それは・・・補習だ
本来なら7月中に終わっているはずなのだが、以前の俺は一度も来ていないらしく現在8月19日夏休み真っ只中にも関わらず猛暑の中、学校に登校しているのである。
「おっす〜上やん、リムル!今日もお似合いカップルだにゃー!ふべし!」
「カップじゃないって言ってるだろ!シスコン野郎!」
リムルをからかって殴られた金髪にサングラスをかけた胡散臭い少年は土御門元春。
彼は実は俺の部屋の隣に住んでいる。だが毎日妹の土御門舞花が彼の部屋に通っており兄妹ともにシスコン、ブラコンだった。
「リムル〜今度ワイのコレクションのゴスロリ着てくれへんか〜?ふべし!」
「青髮!それ以上言ったら今度殺すからな!」
もう1人リムルをからかって殴られた青髪にピアスをつけた少年は青髪ピアス。
彼は誰から見てもやばい女好きだった。何でもいけると彼は言う。逮捕されないか心配だ。
「まーまー落ち着けリムル。こいつのロリコンは病気なんだよ」
「ロリコンやないで、ロリも好きなんやで〜!」
「はーい、授業始めますよー!席に着いてくださーい!」
そして教壇に立ったのは身長135センチのミニマム女教師、月詠小萌先生。彼女は見た目は小学生なのに中身は大人である。
「はーい!」
元気に返事をするリムル。リムルは人の姿で基本的に活動しておりスライムであることは俺とインデックス、姫神、ステイル以外に誰にもばれていない。
でも俺とリムルは訳あって3メートル以上離れることはできない。だから学校にもこうしてついてくるしかなかった。
ではなぜリムルが学校に馴染めているかというと、リムルは俺の親戚扱いで夏休みの間、俺の家で預かっていて日中暇だから俺の学校に来ているという嘘をついた。
正直バレると思ったが小萌先生の粋な計らいで教室にいることが許された。
リムルは持ち前の明るさや気さくな性格もあってかすぐに彼らと仲良くなった。
しかもリムルは頭がいいのか授業内容をどんどん吸収していった。本人が言うには最初はこの世界を知るためだったが今では純粋に好きで勉強しているらしい。
「小萌先生今日の授業は何ですか?」
「そうですねー。今日は1992年に行われたESPカード実験についての授業です。この実験の必須条件のおさらいをしましょう。ここで大事なのは素材がABS樹脂に変更されていることですね。これは表面に着く指紋によってカードのトリックが分かってしまう事に対するものでー、って上条ちゃん早速寝ないでください!」
俺はリムルと違い勉強は苦手で授業のやる気も失せていた。
「聞いたとこでレベル上がるわけないでしょ先生、イタッ」
「授業を聞けよ、上条」
授業を妨害されてイラつくリムルに叩かれた。
「カミやんレベル0だからなー」
「伸びないものは伸びないんだにゃー」
しかしバカ達は騒ぐ。
「でもでもー、そんなことは悲観していては上がるものも上がりませんよ。常盤台中学の御坂美琴さんは元々レベル1だったのですけど頑張って頑張って今では学園都市レベル5の第3位になったのですよー」
「うわー会ってみてー」
「ワイもやで、リムル。常盤台といえばお嬢様学校そんな子に会ったら僕はふべし!」
「青髪自重しろ」
「時代はお嬢様じゃなく義妹ぜよ!ふべし」
「お前もだよ!」
「むにゃむにゃふべし」
「起きろ!上条!」
「わー!喧嘩はダメですよー!」
教室の中は大乱闘になり小萌先生が必死で止める。
結局小萌先生が泣き出し喧嘩は止まって俺たちはボロボロの中授業を受けたのだった。
不幸だ。
☆☆☆☆☆
第七学区、図書館にて。俺とリムルは勉強していた。
「だからフリーエネルギーを見つけたニコラスが世紀の発明家であってエジソンじゃないんだよ」
「ふーん」
俺はリムルの話を聞き流していた。
「あ、そうだ今度このツリーダイアグラムについて調べようぜ」
「なあ、リムルって元の世界でもこういう科学について詳しかったのか?」
「え?あー、オレ元の世界が生まれた世界じゃないんだ」
「どういうこと?」
「俺は元々普通の世界、RPGのような魔物もいない、SFのような魔術も能力も存在しない。学んだことだって普通だよ。普通に生きていてゼネコンで働いてたんだ。でもある日通り魔に刺されて死んじゃったんだ」
「え?」
「死んだ後、目が覚めたら異世界に転生していてね。しかも姿はスライム。まあ二度目の人生楽しくスライム人生過ごそうかなって思ったら、沢山の出会いをして仲間が出来てそいつらと色々な問題を解決していくうちに大きなコミュニティになって国まで作ってしまったんだ。しかもオレはそこの主人」
「お前偉かったんだ」
「そうだぞもっと敬え、えっへん」
リムルは胸を張って言った。全然偉くなさそうなんだが。
「そういや、ゴブゴブリン達今何やってんだ?確か学園都市にいるはずだよな」
「あいつらか、じゃあ行ってみようぜ!」
「行くってどこに?」
☆☆☆☆☆
第七学区、ショッピングセンターの一角。
そこは平日の夕方に関わらず人が並んでいた。
「ここが関係あんのか?」
「まあ見てな」
俺たちは店舗の中を覗いた。
何とゴブゴブリンの女の子がセレブそうな女性の接客をしている。
「いらっしゃいませー!本日はマッサージと犬カフェどちらになさいますか?」
「じゃあ今日は奮発してどっちもいいかしら?」
「ありがとうございます!ダブルプランなので5000円引きで合計25000円です!」
「はい」
「ありがとうございます!お客様入りまーす!」
「わんわん」
「あらーランガちゃん相変わらず可愛いわねー」
セレブそうな女性を迎えたのはあの恐いテンペストウルフだったが、今目の前にいるのは小さくなって普通の犬みたいになっていた。
「なんなんだアレ?」
「あいつらが生きていくためにはじめた商売だよ。主にマッサージと犬カフェをやって普段からストレスを抱えるキャリアウーマンとか名門校の学生をターゲットにしているんだ」
「いいのかよそんなことやって」
「統括理事長から許可もらってるからな大丈夫だろう」
「お前いつのまに統括理事長とコネクション作ったんだ」
「あははー」
笑って誤魔化さられた。
そんなリムルの凄さに気づいた俺だった。
☆☆☆☆☆
夜、上条当麻の学生寮にて。
「わーやめろーインデックスー」
「プニプニしてて気持ちいいんだよー」
スライム状態のリムルはインデックスに弄ばれていた。
「助けてくれー上条ー」
「すまない、リムル。今のうちに上条さん晩飯作るからつまみ食いされないようにそこで時間稼いでくれ」
「そんな〜」
リムルは女の子に弱いみたいであまり抵抗出来ないらしい。
そんなこんなで賑やかに夕食を食べて三人でゲームをして上条さんの1日は終わった。
☆☆☆☆☆
深夜、第七学区。
ズドン!バギン!
銃声が響いた。
15分後、路地裏には常盤台中学の制服を着た少女の死体があった。