女性恐怖症の一夏君   作:のんのんびより

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9話

ピットからアリーナへと飛び出た一夏。アリーナには既に鈴が出て近接用の剣を両手に持って佇んでいた。

 

「ようやく出てきたわね、一夏。ふふん、私がクラス代表よ。ねぇ、驚いた?」

 

そう言いニヤリと笑う鈴。が、

 

「その、そんなに驚いてない。むしろ、勝手に変更して、良いのかな?って思ったくらい」

 

そう、一夏は思った事を口にした。一夏の返答に目元をヒクヒクとさせる鈴。

 

「ちょっと何よその反応! もう少し驚いたとか、そう言った反応しなさいよ!」

 

そう一夏に怒鳴るも、一夏は反応に困っていた。

 

「そ、そう言われても…」

 

「だぁ~! そのオドオドした姿勢も止めなさいよ!」

 

怒りを露にして怒鳴り散らす鈴。そのままの勢いで鈴は、今まで溜め込んでいた鬱憤を吐き出す。

 

「大体アンタの所のクラスの子達、一体なんなのよ! アンタの症状を治そうと思ってクラスに行ってるのに毎回邪魔ばっかりしてくるし、その上行く度に教室の扉前でガールズトークなんか始める始末で、入りづらいのよ!」

「それにアンタもアンタよ! 教室に入れないから廊下から呼んでるのに、毎回無視するなんてどういうつもりよ!」

 

ひとしきり言い終えた鈴は肩で呼吸をし、息を整える。

 

「その、呼ばれた事なんて1度も無いんだけど…」

 

〈確かに無いわね〉

 

思い返すように零す一夏。だが鈴は

 

「何度も言ってるわよ! もう良いわ。アンタを倒してそのままの勢いで優勝して、アンタのクラスの子達にアンタらが守るよりも、強い私が守った方がいいって分からせてやるわ!」

 

そう叫びながら武器を構える鈴。一夏もアサルトライフルを取り出す。

 

『ではこれより、第1回戦を始めます! カウント、3…』

 

アナウンスでカウントが始まり一夏は安全装置を解除していると

 

「そう言えば、アンタのクラスの子達はアンタを守ってばかりよね。要は怖がっているなら怖くないと分からせればいいだけじゃない。症状の緩和にもならない事をずっと続けた所で何の意味の無いのに」

 

鈴はそう言い1組の生徒達の行いを無意味だと言い捨てた。その言葉に一夏の中にある何かがキレた。

 

〈全く何てこと言うのよ彼女。一夏、もう彼女の声は聞こえない様集音マイクを「……許さない」一夏?〉

 

「……クラスの皆は、僕なんかの為に色々考えて接してくれてるんだ。それを無意味だなんて言い方…」

 

俯きながら若干震える体から滲み出る様に出る言葉。その言葉には僅かながら怒気が含まれていた。

 

『1…試合開始!』

 

「先手貰ったぁ!」

 

そう叫びながら鈴は両手に持った双天牙月を構えながら突っ込んでくる。一夏は手を下に下げたままだった。

 

(試合放棄? なら好都合! 待っておきなさい、アンタを守るのは私だけ…ッ!?)

 

鈴は一夏に攻撃しようした瞬間、言い知れぬ何かが襲い突っ込むのを止め距離をとる。

 

(な、何今の? い、今私……か、体が震えてる?)

 

鈴の体はガタガタと震えていた。熱いわけでもないし、寒いわけでもない。それなのに体が震えている。そして頭でずっとサイレンが鳴り響いていた。

逃げろ、勝ち目なんかないと。

すると、手を下に下げていた一夏がおもむろに手に持っていたアサルトライフルを拡張領域に仕舞った。

 

「……クラスの皆は」

 

「えっ?」

 

「……クラスの皆は、僕みたいな人を温かく迎え入れてくれた。発作が起きない様にと色々配慮してくれた。それを、それを無意味だなんて言い方」

 

声は小さく震えている。だが、はっきりと鈴は分かった事が一つだけはあった。それは

 

「絶対に許さない!」

 

一夏が激しく怒っているという事だった。




次回予告
鈴の言葉でキレた一夏。そして一夏は拡張領域から武器を大量に取り出し鈴に向け放つ。

次回
キレた一夏。~……無茶しおって~

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