女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

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23話

「――では1限目を終了します」

 

き、起立。礼

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

ちゃ、着席

 

1限目の授業が終わり生徒達は使っていた教科書等を手早く片付けていく。一夏も使っていた教科書などを片付け本を取り出して読み始めようとしたところで

 

「織斑君、少しいい?」

 

そう相川が声を掛けてきた。

 

「な、何でしょうか?」

 

「うん、さっきの授業で少し分からないところがあったから教えて欲しくて」

 

「ど、何処ですか?」

 

そう言い一夏は先程片付けたノートを取り出す。

 

「この32ページにある問4の問題なんだけど」

 

「えっと、それでしたら、この式で解けます」

 

そう言い一夏はノートをパラパラと捲り、相川が聞いてきた問の回答が書かれたページを見せる。

 

「あ、なるほど此処が間違ってたのかぁ。織斑君ありがとうね!」

 

「い、いえ。お役に立てたなら、嬉しいです」

 

「あの、織斑君。私も聞いてもいいかな?」

 

そう言い今度は鷹月がノートを持ちながらやってくる。

 

「昨日の5限目に織斑先生が教えていた箇所、ちょっと分からなくてさ。ちょっと教えてくれない?」

 

「あ、はい。ちょ、ちょっと待って下さい」

 

机の中から別のノートを取り出しペラペラと捲り昨日やった箇所のページを開く一夏。

隣の本音もノートを取り出しながら分からなかった箇所を聞こうとする。

3人が一夏に分からない箇所を教えてもらっているのは、何時もと変わらない光景であった。

 

周りの生徒達も相川や鷹月から教えてもらった通り普段通りに過ごす。そんな中鷹月や相川が生徒達に説明していたのを耳に入れた復活したセシリアや箒は一夏の元に向かおうと考えていた。

 

(普段通りにしていればいいと言っておられましたが、どう言う事でしょう? うぅ~ん、相川さん達は一夏さんに勉強を教えてもらっている様ですし。はっ! 私も彼女たちのように勉強を教えてもらえばいいのでしょうか? そうですわ、色々あれこれ教えてもらえるチャンスですわね)

 

(普段通りと言うが、私は何時も普段通りだからな。それにしてもあいつ等、何時も一夏と一緒に居る方が可笑しいだろうが! えぇい、今日こそ追い払ってやる!)

 

2人はそれぞれそう思いながら立ち上がり一夏の元に向かおうとしたが

 

「「ふもぉ?」」ジャキッ

 

一夏の背後に居た2体のモッフが2人に向け銃を構えたのだ。

 

【自分の席に戻れ。これは警告だ】

 

一体がプラカードを見せながらそう告げた。モッフ達警備部隊は今現在警戒状態になっており、発作の原因になりそうな者などから一夏を守るべく警戒態勢になっていた。

因みに相川や鷹月が接近を許されたのは、警戒しなくても大丈夫だと判断されている為である。

 

「い、一夏さんに勉強を教えてもらおうとしてるだけですわ」

 

「お前等には関係無いだろ」

 

それぞれそう言い一歩踏み出した瞬間、バスンと発砲音が鳴り響き箒とセシリアの額に模擬弾が命中しそのまま二人は仰け反り倒れた。

 

「「~~~~~~っ!!!???」」

 

2人は声にならない程の痛みに撃たれたところを抑える。すると廊下から2体のモッフが現れ倒れている2人を拘束してそのまま教室から連れ出していった。

一連の光景に生徒達は

 

((((馬鹿だねぇ、あの二人))))

 

と思ったのであった。

 

そんな事がありながら2限目の授業が始まり取調室から戻って来た千冬が教卓へと立つ。

 

「えぇ、2限目を始めるがオルコットと篠ノ之は何処に行った?」

 

「接近を許されてもいないのに織斑君に近付いた為に、モッフ君達に撃たれて連れて行かれました」

 

2人が居ない事を生徒達に聞いてきた千冬に一人の生徒がそう説明すると、千冬はそうか。とだけ答え授業を開始した。

そして暫くして授業終了のチャイムが鳴り響く。

 

「――では2限目の授業は以上だ。織斑、挨拶を」

 

「は、はい。起立、礼」

 

「「「「ありがとうございました!」」」」

 

「ちゃ、着席」

 

着席したと同時に千冬と真耶は教材を持って教室から出て行く。他の生徒達も教科書などを片付けていく。すると数人の生徒達が一夏の元に近付く。無論警戒態勢にあるモッフ達は近付く生徒達に

 

【用件は?】

 

とプラカードを見せる。セシリア達と対応が違うのは警戒度が大きく違う為である。

最大警戒度が5だとすると

 

警戒度0→千冬、本音、束

警戒度1→相川、鷹月

警戒度2→ご近所の奥様達

警戒度3→1組の生徒達

警戒度4→他のクラス、真耶

警戒度5→1期ヒロイン

 

となっている。

 

「えっと、織斑君や本音さんとお菓子を食べたいなぁと思って」

 

「あ、勿論未開封のお菓子です。検査してもらっても構いません」

 

そう言い持っていた未開封のお菓子をモッフに手渡す生徒。受け取ったモッフはお菓子の箱を入念に調べ、封を開けお菓子の成分を調べる。暫くして検査を終えお菓子を生徒に返す。

 

【異常は無い。接近を許可する】

 

そうプラカードを見せられ生徒達は一夏の元に向かう。

 

「織斑君お菓子食べよ」

 

「本音さんも一緒にどう?」

 

「食べるぅ!」

 

「い、いただきます」

 

そう言い生徒達と共にお菓子を食べ始める一夏。お菓子を食べる一夏に生徒達はほんわかしながらお菓子を食べる。

 

その後3限目、4限目と授業が終わり昼食の時間となった。一夏は何時もと変わらない本音達と共に昼食をとろうと考えていると

 

「あ、織斑君。今日は私達も交ざってもいいかな?」

 

「お邪魔じゃなければご一緒してもいいですか?」

 

そう話しかけてきたのは、四十院神楽と鏡ナギであった。

 

「えっと、あの、ぼ、僕は構いませんよ」

 

「私も良いよぉ。それに皆と食べたほうが美味しいしぃ」

 

一夏が構わないと許可が取れ2人はやった。と喜び本音達と一緒に弁当を買いに向かう。暫くして弁当を買ってきた本音達ともに一夏はクラスで昼食をとり始めた。

昼食をとり始め和気藹々と談笑が開いている中、一夏は昼食が始まる前から気になっていた事をナギ達に聞く。

 

「あ、あの、鏡さん。少し、いいですか?」

 

「なに、織斑君?」

 

「その、今日は皆さんどうして僕によく、話しかけてくれるんでしょうか?」

 

一夏は不安そうな表情を浮かべながら聞く。今朝の事もあって一夏は周りの皆に迷惑を掛けた為、距離を置かれると思っていた。

だがクラスメイト達は距離を置くどころか一夏を気に掛ける様に話しかけたりして来たのだ。

その事で一夏は疑問が沸いたのだ。

 

「そりゃあ織斑君が心配だからだよ」

 

「そうそう」

 

「し、心配ですか?」

 

「うん。ほら、今朝の事もあって皆心配してたんだよ」

 

「織斑君が戻って来た時は嬉しかったけど、直ぐに駆け寄って大丈夫なのかなって思ってたんだ。そしたら相川さん達から普段通りに接すればいいって教えてもらってね。だから普段通りにしながら織斑君の様子を気に掛ける様にしてたんだ」

 

「まぁ昼食を一緒にとろうって誘ったのは相川さん達が羨ましいから、混ぜてもらっただけなんだけどね」

 

ナギはそう言い笑みを浮かべる。隣の四十院もそうですね。と同意しながら笑みを零す。

2人の話を聞いた一夏はと言うと

 

「(´;ω;`)ブワッ」

 

と涙目になっていた。

 

「ど、どうしたの織斑君!?」

 

「わ、私達変な事言っちゃった!?」

 

「イッチーどうしたの!?」

 

突然涙目となった一夏に5人はアワアワと慌てる。

 

「み、皆さんが、そんなに、気に掛けてくれていたなんて、知らなくて。それが、ヒック。その、嬉しくて…」

 

そう言い涙を流す一夏に、あ、そう言う事。と5人は納得しながら涙を流す一夏に慰めるのであった。

因みにそんな様子を扉の影から覗いていた人物がいた。

 

「良かったな、一夏。お前の事をちゃんと気に掛けてくれる生徒達で」

 

と千冬が嬉しそうな表情を浮かべながら見ていた。因みにその足元には

 

「むぅ~~! むぅ~~!?」

 

と猿轡をされた鈴がロープで拘束されて転がされていた。毎度の如く1組に突撃して一夏を連れ出して食堂でご飯を食べようとしたのだが、千冬が現れてこの様な状態にされたのである。




次回予告
クラスメイト達に気に掛けられて数日が経ったある日。部活で使うレシピを調べるべく図書室に行く一夏とモッフ達。
そして放課後、料理研究部へと行き料理を作り始める部員達。
さてさて、一夏君は今回どんな料理を作るのだろうか?

次回
旬の食材の料理~お腹空いたぁ~

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