戦場終えて、歩み続けていく日常です
響と二人。俺達は電車に乗って、気ままな旅を楽しんでいた。
ゆっくりと景色が流れていく。窓から流れ込む風が良い。静けさと涼やかな香りが心を癒やす。
季節は秋になる頃だろうか。なんとも気ままな旅心地だ。
「良い天気だね」
「ああ」
俺達の会話ものんびりとしている。
いつもクールな彼女の面立ちが、ふにゃりと緩んでいた。ほっぺがお餅みたいだ。食べたい。いや比喩だ。食べる気はない。
可愛い。めっちゃ可愛い。
良い空気だ。平和を味わっている。
「…戦争、終わったね」「そうだな」
そうだ。終戦からもう数ヶ月は経ったか。
今更こんな言葉が出るくらい。実感が遅れていた。
「ここまで皆との日常だったな」
「ふふ」
白露を筆頭に駆逐艦達と賑やかな日々を過ごし。神通、那珂などの軽巡洋艦は平和を噛みしめていた。俺の父性が増したのか。存外慕われている。
天龍と龍田は訓練艦として活躍。鳳翔、伊良湖、間宮は変わらず。食堂を切り盛りしている。
そうして川内は、ああ。いつものように笑ってくれていた。
距離は近く。だけど抱き合いもせず。
ただ今までと大きく変わったこともあって。
今彼女は俺のすぐ隣に座っている。
頭を俺の肩に乗せて、甘えきってくれている。めっちゃ良い匂いがする!
それで俺も調子に乗り。優しく頭を撫でてみたり。とても手触りが良い。
いつかの時。頭を撫でた時よりも、遙かに感触が良い。丁寧に手入れをしているのだろう。
おそらくは俺のために。最高だぜ。
彼女が甘えるように息を吐いた。エロいぞ。頭を撫でる手を、頬に下ろす。ぷにぷにすべすべ。いい。とても良い。
なんて。なんて尊い日常だろうか。
「…川内さん。まだ創が好きだよ」
言葉が零れた。さしこむような声だった。
「う、浮気はしてないぞ」
惹かれているのは否定しない。まだまだ俺も精進が足りない。だけど! エロエロはしてないから! …うん。してないからね。しょうがないね。
「ふふふ。遊びじゃないなら、なんて」
にやにやと笑っている。不安げな様子はない。えっ? ハーレムありですか。ありなのですか。
「ああでも構ってくれなくなったら」
唇をとがらせて。
「…拗ねちゃうかもしれないな」
「響~!」「わふっ!?」
思わず抱きしめてしまった。可愛い。他の乗客がいなくてよかったぜ。他の乗客がいたら、この子の可愛さで溶けてしまった筈。
温泉宿に着いた。もちろん響と同じ部屋だ。
窓から見える紅葉。綺麗な山景色である。
そんな山々を見つめる響の横顔よ。たまらない光景だと思えた。
彼女を抱きしめた。
「どうしたの?」
困った様に。それでも嬉しそうに彼女は言った。可愛い。
小柄な体が柔らかい。ふわりと甘い匂いがする。愛おしい。抱きしめながら、優しく頭を撫でてみる。応える様に。響もそっと抱きしめ返してくれた。
とても、とても穏やかで平和な感触だ。互いの体温で暖まる。秋風で凍えた体が、相手の熱をより一層愛おしくさせた。たまらんぜ。
どこからともなく口づけを交わした。
ぷるりと柔らかく。瑞々しい唇が気持ち良い。
「…これ以上は温泉に入ってから。ね?」
汗を流し夕食を終えて、夜闇を眺めるように二人。穏やかな時間が流れている。
ぽつりと、響が呟く。
「幸せかい?」
「ああ」
微笑むように俺は答えた。長く。長く戦い続けてきた。
いつかみた世界を目指して、愛おしい日常を求めて歩み続けてきた。
鎮守府は俺を受け入れてくれた。
最愛の少女と、艦娘としての役割も超えて、愛し合えたんだ。
これ以上ないと言うには、まだまだ日常は続けていくけど。
「幸せだよ」
夜風が流れ身を重ねながら、愛情に満ちた時間が続いていった。
今まで本当にありがとうございました
拙いながらも続けられたのは
読者がいてくださったからです
あまり綺麗な終わり方ともなりませんが
一つの区切りとして
締めくくらせていただきます
本当にありがとうございました