サマルトリアの第一王女にTS転生した俺が雌堕ちする話   作:社畜のきなこ餅
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少しだけ雲行きが怪しくなりつつ、段々とクッキーに変化が出てきます。
果たして彼、ならぬ彼女の未来はどうなることやら。 雌堕ちは確定なんですけどね!

それと、本作はドラゴンクエスト大辞典的なサイトに大変お世話になっております。
なので、原作やリメイク版、小説版やゲームブック版の設定の美味しいとこどりしてるという節操の無さっぷり。
ひでー話である。


サマルトリアの第一王女にTS転生した俺が雌堕ちする話・転

 

 こちらの世界のお父様ことサマルトリア王、お元気でしょうか?

 不肖の娘こと、クッキーはハーゴンぶっ殺しツアー一行に新たな仲間を加えました。

 新たなニューカマーの名前は、亡国となってしまったムーンブルクの姫ことプリン王女です。

 アレンのような、最近人外の領域に足を突っ込み始めた膂力どころか、俺にも腕力と体力で負けちゃってる彼女ですが……。

 その呪文の破壊力に効力は折り紙付きです、なんせ彼女のバギはマンドリルを易々と駆逐します。頼りになると同時に、俺の鍛錬なんだったんだろうと思う今日この頃です。

 

 色々と尽きぬ言葉はありますが、地味に忙しいのでこのぐらいにしたいと思います。なんせ……。

 

 

「アレン! そっちにいったぞぉ!」

 

「わか……うわぁ、早いっ?!」

 

「きゃぁ、ちょっとコイツ私のスカートにぃぃぃ!?」

 

 

 なんやかんやの末に、ムーンブルク東の方にある塔で風のマントもゲットしたので、ドラゴンの角と呼ばれているムーンブルク西にある塔へ向かっている途中だったのだが。

 銀色に光るあいつを見つけたので、なんとなく袋叩きにしてみたらあら不思議。一気に強くなる不思議現象が我らに発生したので……。

 

 我らがハーゴンぶっ殺しツアー一行はただいま、メタルスライム狩りの真っ最中です。

 そう……経験値の概念が未だにふわっとした状況ですが、狩れば狩るほど力量が伸びてくのが実感する不思議生命体なメタルスライムです。

 

 

「この、スケベ金属め……ひゃぁぁっ?!」

 

「クッキー?!」

 

「こ、こんの外道がーーーー!」

 

 

 狩られてはなるものか、と必死に逃げ回るメタルスライム。こいつ変な知恵つけたせいか……。

 俺やプリンの体をすれ違いざまに這い回っては逃げ回るという高度なプレイをかますようになってきてます。

 気のせいかにやついた面をさらにだらしなくさせたそいつは、プリンの太ももを這い回った後。ぶっ殺そうと近付いた俺へターゲットを変更。

 

 殴るとクッソ激烈に硬いくせに、その体をうにょんと変形させ俺のブレストプレートと布鎧の隙間に飛び込んでくる。

 迎撃しようと細身の剣を突き出すが致命打を与えるには至らず、そのまま潜り込んだそいつはブレストプレートの内側で好き放題体を変形させ……。

 ダメージに至らない程度の刺激に、大変不本意ながら甲高い悲鳴を俺は上げてしまう。

 

 そんな俺の様子にアレンは唖然とした後怒りを顔に滲ませ、プリンは乙女の仇敵とばかりに憤怒のオーラをその身に纏う。

 無論、俺もヤラレテばかりではない。

 

 

「この、クソッタレがぁぁぁ!!」

 

 

 右手に剣を硬く握ったまま、左手で鎧の留め具を外し。時折上げそうになる声を抑えながら、ひんやりとしたツルツルのメタルスライムを引っ掴み。

 火事場の馬鹿力とばかりに全力で引きはがす、何やらベリって音がしたが痛みはないので皮膚が剥がれたりはしてないから問題はない。

 

 そのまま不届き者をフルパワーで地面へ叩きつけ、その次の瞬間。

 プリンが手に持った杖の石突部分を鋭く深くメタルスライムへ突き刺し、動きが止まったソレにアレンの会心の一撃と言わんばかりの唐竹割を叩き込む。

 その結果は、見事なまでな真っ二つだ。さすがハイパー脳筋勇者である。

 

 

「……取り乱したな、すまない」

 

「気にしないでクッ…………ちょ、ちょっと早く隠しなさい!」

 

 

 軽く咳ばらいをしつつ仲間達へ頭を下げるも、あんなの乙女の敵よぶっ殺し上等案件だわとプリン王女は軽く手を振りながら苦笑いを浮かべ……。

 次の瞬間、目を見開き俺を指さしながら大声を上げる。

 そういえば何やら胸元がスースーするなぁ、と思いつつ指を差された場所を目で追ってみると。

 

 大きくたわわな胸がふるんっと揺れ、その先端にある桜色の突起すら丸見えとなっていた。

 どうやら、勢い余って張り付いていたスライムを布鎧や鎧下どころか、下着ごと引きはがしていたらしい。

 

 

「…………え、ええと……」

 

「男は見るなぁ!!」

 

 

 視線を再度上げてみれば、気まずそうに目を逸らすアレン。どうやらバッチリ見られたらしい。

 そんな彼に、小柄なプリンがギャンギャンと威嚇する子犬のように両手を振り上げながら怒鳴り倒している。

 

 なんかこう、作為的なものを感じるラッキースケベであるが、であるが。

 

 

「……むぅ」

 

 

 なんだか妙に気恥しくなって、左手で胸元を隠しつつぺたんとへたり込んでしまった俺は、間違ってはいない筈だ。うん。

 あ、プリンの怒りの鉄拳が言い訳にならない言い訳を続けてたアレンの頬にめり込んだ。

 

 

 ともあれ、なんだか狩りを続けるという気分でもなくなったし、とっとと野営に入る我らが一行。

 勿論さっさと着替えたぞ、さすがの俺も素肌にブレストプレートを纏うようなビキニアーマーじみた格好は御免だ。

 

 

「……ねぇクッキー」

 

「む、どうした?」

 

 

 おばけネズミの腿肉と、下処理したタホドラキーの肉を手早く調理する俺に声をかけてくるプリン。

 しっかりとした淑女教育を受けていたプリンは料理もそんなに得意ではないので、パーティの料理担当は相変わらず俺である。

 

 

「アナタ、ちょっと無防備すぎ」

 

「無防備? いや確かに今日は醜態を晒したが、警戒はしっかりしてるぞ? ああアレン、この腿肉を焦げない程度に焚火で炙ってくれ」

 

「そういう意味じゃないわよ、淑女としてって意味よ」

 

 

 肉の準備が出来たので、手際よく山菜とムーンペタで仕入れた日持ちする野菜を入れたシチューの用意をする俺を……ジト目で見てそんなことをのたまうプリンである。失礼な。

 だが、戦闘的な意味合いではどうもないらしいその物言いに。俺はただ首を傾げるばかりである。

 

 

「そう言われてもなぁ……」

 

「はぁ……まぁそこがクッキーらしさでもあるんだけども、アナタの妹もこの様子じゃ苦労してそうね」

 

「うむ、何故か知らんが似たようなことを言われてはよく溜息を吐かれたぞ!」

 

「胸を張って言うなぁ! 何よその大きく揺れる胸、嫌味なの!?」

 

 

 重い溜息を吐くプリンの言葉を、えへんと自信満々に胸を張って肯定してみれば。うがーっと叫んで突っ込みを入れてくるプリン。 解せぬ。

 そしてふと視線を感じた方を見てみれば、アレンがさっと目を逸らしていた。 不思議だ。

 

 

「いいクッキー、男はケダモノなのよ?」

 

「ケダモノなのか」

 

「そうよ、ましてやクッキーは黙ってればスタイル抜群で美人なんだし。 そこのアレンもちらちら見てるのよ?」

 

「まぁそうかもしれんが、俺なんぞに言い寄る男など居ないさ……それにアレンは仲間だし、大丈夫だろ」

 

 

 懇々と説教を受ける俺、そしてその言葉に対して口答えをしてみれば……サマルトリアに残してきた愛しき妹のように目を吊り上げていくプリン。

 思わずアレンへ助けを視線で求めてみれば、複雑そうな曖昧な笑みを浮かべられて腿肉焼きに専念された。 なんてこった。

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、3人仲良く和気藹々と旅を続け到着するはドラゴンの角。

 2階以降のフロアの中央部が空洞になっており、外側の縁を歩きながら上層へと歩を進め……。

 時折襲い来る、かぶとムカデやまどうしはアレンの剛剣で脳天から真っ二つに叩き割られ。

 ふよふよと漂い襲ってくるメドーサボールは、中央の目を俺の細身の剣で刺し貫かれ。

 群れを成して襲ってきたリビングデッド達は、プリンのバギによって永遠の眠りへと就かされていく。

 

 そして。

 

 

「ここから、風のマントで向こう岸に跳べるんだね」

 

「そのようね、さ。行きましょう」

 

「ま、待て。少しだけ心の準備をさせてくれ」

 

 

 最上階へ到着した俺達は、向こう岸へ渡る準備を始める。

 アレンは手際よくマントを外すと、翼じみた意匠の風のマントを装着し。彼の逞しい左腕に、プリンがぎゅっとしがみつく。

 いやぁ、何のかんの言って仲良いよなぁこの二人。良きかな良きかな。

 

 

「何怖がってるのよクッキー」

 

「こ、こここ、怖がってなんかいないぞ?」

 

 

 にやぁ、と悪戯っぽい笑みを浮かべてこちらを見てくるプリン。 失敬な!

 ただこう、ファンタジーなドラクエ2世界に転生してそれなりに経つが。これはその、なんかこう、違うだろ! 度胸試しってレベルじゃないだろ!

 

 

「クッキーが冷や汗をだらだら流してるの、初めてみたかも」

 

「でも、顔はいつものすまし顔なんだから。ある意味凄いわよね」

 

「も、もう少しだけ待ってほしい。そう、ちょっと大きく深呼吸をして気持ちを整えるから」

 

 

 そんな俺が愉快なのか、朗らかに笑うアレン。笑ってないで助け船を出したまえ! 仲間だろう!?

 

 

「埒あかないわね、アレン。やりなさい」

 

「なんでプリンが仕切るのさ? けど、しょうがないよね」

 

「ま、まて、まてまてまてまてぇ!?」

 

 

 左腕にプリンをしがみ付かせたままアレンがのっしのっしとこちらに近づいてくる、まって。ねぇ待って。

 ああそうか、アレンに接近される魔物ってこんな気持ちだったんだね。そりゃ硬直して隙晒す魔物も出るわ。

 って、そんな事考えてたら小脇に抱えられてるぅぅぅぅ!? 逞しい腕で身を委ねたくなる安心感あるけど、ちっとも有難くねぇぇぇぇぇ!

 

 

「じゃあ、行くよ!」

 

「れっつごー!!」

 

「ま、待て!待ちたまえ!! 今度の食事は野菜少な目にしてアレンの好物を多めに……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 

 助走を始めるアレンを必死に小脇に抱えられたまま制止する、が。ダメ!

 そのまま彼は勢いよく塔の縁を蹴り、風になった。  俺とプリン諸共。

 

 

 結論から言うと、向こう岸には無事到着出来た。

 だが、俺の威厳は若干死んだ。 主に、必死な醜態を晒した的意味で。

 

 

「……ふ、ふん。なんだ、思ったより快適だったじゃないか」

 

「クッキー、アナタ。めっちゃ膝笑ってるわよ」

 

「あの時の必死な様子、ちょっとかわいかったかも……」

 

 

 向こう岸につき、いつもの鉄面皮のまま腕を組み俺は勝利宣言。

 背後でプリンとアレンが何やら言ってるが、聞こえないったら聞こえないぃ!

 

 

 そんなわけで、道中からかわれつつ無事ルプガナへ到着する我らハーゴンぶっ殺しツアー一行。

 ちなみにアレンとプリンには、晩御飯の献立できっちり報復済みである。

 

 

「さて、ここはどうやら随分と港の規模がでかいようだな」

 

「そうみたいだね、なんだろあのでっかい腕みたいなの?」

 

「アレはクレーンって言うらしいわ、人では持てない荷物とか船から降ろせるらしいわよ」

 

 

 町へ踏み入ってみれば、中々に賑やかで人の往来が激しい町である。

 そんな中で一際威容を放っているのが、港の方に見える幾つものクレーンである。アレどんな動力なんだろうね。

 

 色々と興味深いが、まずは旅を続けるために船の調達……の前に宿探しである。

 ……だが、しかし!

 

 

「そっちはどうだった?」

 

「ダメ、全滅」

 

「そっちもか……」

 

 

 3手に別れ、宿を確保しようとするも。見事に空振り。

 丁度大きな船が入港した関係もあって、軒並み宿屋がいっぱいという悲しみである。

 

 

「いっそ門番に話を通したうえで、町の外で野営するか……そういえばアレンは?」

 

「まだみたいね、野営するかどうかは。アレンの成果待ちましょう」

 

「それもそうだな、出来ればゆっくり休みたい……ん?」

 

 

 二人して雑踏から離れた脇道で溜息を吐いていると……。

 人ごみの喧騒に何やら異常が見える。

 

 

「? ケンカかしら?」

 

「わからん、だが行ってみるぞ」

 

「しょうがないわねー、まぁ怪我した人がいたらホイミくらいかけようかしら」

 

 

 というワケで喧騒に乗り込めー。とばかりに小走りで向かう俺とプリン。

 人混みをかき分けるごとに、周囲から聞こえる声や様子が逼迫したものへ変わっていき。

 ようやく辿り着いたそこで起きていたのは。

 

 

「ケケケケケケ! シネェ!」

 

「くっ……!」

 

 

 民家がひしめく中の裏路地、そこで2匹の羽が生えた小悪魔……確かグレムリンとやらに襲われているアレンだった。

 一気に斬り伏せようとするも、どうやら背中に庇っている町娘のせいで動くに動けないらしく。

 

 そんなアレンを、二匹の魔物が嬲るように襲い、悪意を好き放題ぶつけていた。

 

 

「プリン!援護を!」

 

「任されたぁ!」

 

 

 仲間を、どす黒い悪意を以って傷つけようとする魔物の姿に、思考が怒りに染まるのを自覚しながら。

 奇襲も何もかも投げ捨てて、大声でプリンに指示を出しながら細身の剣を抜いてグレムリンの一匹へ斬りかかる。

 

 

「グェッ?!」

 

「くそっ、浅いか!」

 

「クッキー?! なんでここに!?」

 

「騒ぎになっていたから、野次馬にきただけさ!」

 

 

 たまらぬとばかりに空へ逃げたグレムリンへ、プリンがすかさずバギを叩き込み切り裂くのを横目に見ながら。

 闘いによって出来たであろう傷に塗れたアレンへ、ホイミをかける。

 

 俺の攻撃によって傷を負ったグレムリンはプリンのバギによって、その命を散らした。

 即ち。

 

 

「グギ、グギギギ。 ボク、ワルイグレムリンジャナイヨゥ」

 

「そうか、だが死ね」

 

 

 我らハーゴンぶっ殺しツアー一行が揃った今、一匹程度の魔物敵ではないのである。

 

 そんなワケで、消化試合気味にグレムリンを袋叩きにした俺達は今何をすべきかと言えば。

 

 

「で、なんでまた宿屋のなさそうな住宅地にアレンはいるんだ?」

 

「まぁ、うん。結果的にあの人助けれたから良かったけども」

 

 

 どうしても不思議な疑問を、アレンへぶつける事である。まぁ人命救助に繋がったから糾弾とか詰問ではないのだが。

 だが、俺達の疑問に何故かアレンの返事は煮え切らない。何故だろう。

 

 視線をさ迷わせつつも、何かを気取られまいとするアレンに釈然としない俺はなんとなく周囲を見回す。

 そして、ふと気付いたのだ。

 

 

 ひっそりと、民家のような形をした何らかの店から。おっかなびっくり顔を覗かせているうさみみバンドを付けた女性に。

 そのまま、俺はツィーと視線を動かし。看板らしきものを探せば、よくよく見ると発見。そこにあったのは。

 

 

 『ぱふぱふ屋』という文字であった。

 

 

「……まぁ、うん。君も男だし色々あるのだろう、うん。すまなかった」

 

「? どういうこと? クッキー」

 

「な、ななな、なんでもないよプリン!!」

 

 

 腕を組み嘆息する俺、恐らくだが宿の場所の聞き込みをしてる間に、その手のお店の事を誰ぞに吹き込まれたのであろう。

 まぁしょうがない、もはや残り滓程度しか残ってない俺の中の男の子が。見逃してやってほしいと、助命嘆願をしているし。

 

 だがこう、何故かもやもやする。凄くもやもやする。

 ついでに、アレンの背後に庇われたままの娘が。アレンへ熱を帯びた視線を向けているのも、なんか凄くムカムカする。 非合理的である。

 

 

「…………はぁ、まぁいい。そちらの娘さんを家に送った後宿を探すぞ」

 

「……ごめん、クッキー」

 

「何故謝る? 俺は別に怒ってはいないぞ。そうだ、俺は怒っていないとも」

 

「いやそれ、怒ってるって言ってるようなものじゃない」

 

 

 腕を組み、指でトントンと腕を叩いて熟考を重ね。宿探しをほっぽってぱふぱふ屋という名の夜の宿を探索していたアレンへ無罪判決を下す俺。

 そんな俺に対して、何故か恐る恐るといった具合に謝るアレン。何故だ。

 プリンもまたジト目で俺を見てくる、何故だ。 まぁ知識豊富であれど、初心な彼女にぱふぱふ屋について言う気はないが。

 

 

「あ、あの……宿をお探しですか?」

 

「え? うん、そうなんだけど……中々空いてる宿屋がなくて」

 

「それならば、お仲間の方と一緒に……是非家へ来て頂けませんか? 祖父ならきっとなんとかしてくれますから」

 

 

 そんな中、アレンの背にひっついたままの娘がついついとアレンの袖を引き、彼へ問いかけ……。

 アレンから返された言葉に、娘はパァァと笑顔を綻ばせる。

 

 

「ねぇクッキー」

 

「どうしたプリンよ」

 

「あの娘さ、アレンに……その……」

 

「……っぽいな」

 

 

 そして話の外に置いてけぼりな、俺とプリンはと言えばこそこそと話し合っている。

 どう見ても、娘の目は熱を帯びておりアレンをうっとりと見詰めている。これでそうじゃなかったら、むしろビックリだ。

 

 

「命の危機に助けてくれた王子様だ、そりゃぁそうなるだろう」

 

「まぁ物語でもお約束だけどさ、けどクッキー。やっぱり怒ってない?」

 

「なんだプリンまで。俺は怒ってないしムシャクシャもしていない」

 

 

 ともあれもしかすると、人助けの報酬で宿を借りれるかもしれないチャンスだ。

 是が非でも有効活用すべきである、だからこの話を断るなんて言語道断である。  だけど何故か断ってアレンを引っ張って去りたいのは内緒である。

 

 

 

 まぁ結論から言えば、だ。

 アレンが助けた娘は、ルプガナの町の代表者である老人の大事な孫娘だった。

 そんな孫娘を助けたアレン、そして俺達に老人は涙を流しながら深く深く感謝を述べ……宿だけではなく。

 なんと、大事な商売道具である船まで貸してくれるのであった。  王女の俺が言うのもなんだが、港町の金持ちはスケールも半端ない。

 

 ただ、一つ二つ難点を上げるとするならば。

 アレンがローレシアの王子だと知った老人が、是が非でも娘を嫁にと猛攻勢を隙あらば仕掛けてくるのと……。

 

 

「クッキーさん」

 

「何だ?」

 

「私、アナタには負けませんから!」

 

「…………上等だ」

 

 

 娘さんに、アレンをかけた謎の宣戦布告をされた事である。

 だが、アレンは俺にとっても大事な遠い親戚であると共に旅の仲間だ。

 彼女にとって大事な恋であることは理解した、だがそれとこれとは話が別である。

 

 

 

 プリンなら納得だし俺も応援する、だがしかし、だがしかしだ。

 大人気ないと笑わば笑え……こんな娘なんぞに、アレンは絶対に渡しはしない。

 それぐらいなら俺が…………。

 

 

「……俺がどうするんだろう?」

 

 

 一瞬頭をよぎった思考に、ルプガナの老人から借りた船の上で。

 一人首を傾げる俺であった。

 




【人物紹介】
ローレシアの王子:アレン
 原作主人公にて、ドラクエシリーズ屈指の脳筋勇者である。
 ローレシアとサマルトリアは非常に距離も近く、故に互いに親密な関係を長い年月の間築いてきた。
 そしてそれは、王族同士のパーティについても同様で……幼き頃のアレンは、当時からやりたい放題気味だったクッキーに良く振り回されていた。
 故に彼は知っている、鉄面皮と称されるクッキーが実は面倒見が良く、とても気が利く素敵な女性であると。
 だからこそ、クッキーがしょうもない嫉妬を拗らせてしばらく疎遠になっていた時は、彼なりに何か彼女の怒りを買ったのではないかと気をもんでいたのは、彼だけの秘密である。
 
 幼いころの想い出が想いを発芽させたクッキーは、彼にとって初恋の存在である。
 
 


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