サマルトリアの第一王女にTS転生した俺が雌堕ちする話 作:社畜のきなこ餅
想いを自覚し、枷も柵もすべて振り払ったフリーダムTS転生者は、危険である。
Lv1
拝啓、お父様ことサマルトリア王。お元気でしょうか? 俺は元気です。
結構前にお父様が見合い話を持ち込んできたとき、俺は烈火のごとく怒り狂いお父様の毛髪を思いきり引っこ抜いたことがありましたよね。その節は大変申し訳ありませんでした。
あの時、思いきり男に股を開く趣味は無いなどと乙女にあるまじき事を叫んだこと。今はとても反省しております。
恋って、素晴らしいですね。
「というワケで、だ愛しき妹よ。 愛するアレンを篭絡するための知恵を貸してくれ」
「久しぶりに帰ってきたと思ったらコレだよこの、まるでダメなお姉ちゃん」
リリザの町で一泊し、色々と疲労を取ったり補給のために長めの休みと言う事で……。
俺がアレンにキュン死した夜の翌日、我らハーゴンぶっ殺しツアー一行は今、サマルトリア城へ来ているのだが。
アレンとプリンに部屋で待ってもらい……覚悟完了しつつ、妹へ大真面目に相談しに来たらこの扱いである。 解せぬ。
「まぁいいや、うん。淑女失格どころか城内でも乙女の形したマンドリルって言われてたお姉ちゃんの春だし、手伝うよー」
「待て愛しき妹よ、篭絡の知恵を貸す前にそんな事ぬかしたヤツを教えてくれ。叩っ斬ってやる」
思いきり溜息を吐いた後、聞き捨てならない事を言いつつ協力を快諾してくれる我が妹。
だが妹よ、それ以上にそのマンドリル扱いしたヤツを教えてほしい。恋する乙女になんてこと言いやがる。
「まぁまぁいいじゃないそんな事、とりあえずお姉ちゃんはアレン王子とどうしたいの?」
「むぅ、そうだな……」
にへーって笑いながら宥められる俺、くそ。今回はそんな事よりアレン篭絡が最優先だし引くとしよう。
ともあれ、どうしたい。か……。
「……アレンと一緒に、魔物を退治したり。抱きしめられたり。俺が捌いた魔物を美味しいって言ってもらったりしたい」
「うーんこの、蛮族的思考と乙女思考が入り混じった不思議なお姉ちゃんよ」
腕を組み、組んだ腕に旅の中で更に大きくなった胸を乗せつつ思考を口に出す。ブレインストーミングだな!
「他には?」
「そうだな……アレンと一緒に風呂に入ったり、一緒のベッドで寝たり……」
「おー、あだるてぃーだね。お姉ちゃん!
「アレンの赤ちゃんをたくさん産みたい」
「そして途中経過すっ飛ばしてそこに行きつく辺り、流石お姉ちゃんだよね」
ぼんやりと願望を口に出してる内に、妹の突っ込みを受けて自分が何を口走ったかを理解する俺。 今更である。
だが、すでに自覚した俺はここで取り繕ったりはしない。 もう俺は恋愛クソ雑魚ナメクジではないのだ!
「そうは言うがな妹よ」
「不穏な気配感じるけど、とりあえず聞くよお姉ちゃん」
「諸事情省くが、アレンのあの逞しい体で抱きしめられたあの時にな。 子宮が痛いぐらい熱く疼いたんだ、しょうがないだろ」
「お姫様的以前に、乙女としてその言葉どうかと思う」
もうだめだコイツ、と言わんばかりの顔を妹に向けられる俺。 解せぬ。
ちなみにいつも、妹の部屋の中で護衛に控えてる兵士達は今日は部屋の外に出てもらっている。
さすがの俺も、男の前でこんな話をしない程度には進歩しているのだ!
普通は実の妹にもこんな風に相談しない? それはそれ、これはこれだ!!
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最終的に、お姉ちゃんの情欲と本能の赴くままイケばいいんじゃない? と言う、とても有難いゴーサインが妹から降りたので。
俺は強い決意を抱きつつ、父のいる玉座の間へ入る。
「おお、クッキーよ。どうしたのかの?」
何のかんの言って俺と妹に甘い父は、大臣との話し合いを中断して玉座の間へ入った俺へ声をかけてくる。
今思えば、王族の姫として血をつなぐという大事な責務を放置して好き放題やっていたことを。凄く申し訳ないと思う、だが……。
父よ、安心するがよい!!
「父よ、俺は決意したぞ」
「ふぉ? 何をじゃ?」
「俺は、アレンの子を孕む」
「ふぉぉぅ!?」
俺の発言に感極まったのか、勢いよく噴き出す父。ついでに周囲の大臣と衛兵。
そんなに喜んでもらえるなんて、俺とアレンの未来は輝きに満ちているな!
「ま、待つのじゃクッキー……」
「俺とアレンの子だ、間違いなくサマルトリアを更に発展させるに違いない! もちろん一人や二人で終わる気はないから安心するがよい、父よ!!」
「違う、そうじゃなくて。話を……」
「ああでもアレンはローレシアの大事な跡取りだしな、俺が嫁入り……ないし側室入りという形になるかもしれん、だが男子は何人かはこちらへ送れるようにするぞ!」
「待って、お願い待って我が娘」
ではさらばだ! と心の底から湧き上がる希望と喜びの赴くまま高笑いを上げて玉座の間を辞する俺。
背後で何かが倒れ込むような音と、慌てふためく大臣らの声がしたが。まぁ些細なことに違いない!
さぁて、なんか色々やらかしてる気がするが国内的な宣言は終わった! 今行くぞアレン!
そんなわけで、愛と希望と欲望を胸に抱きつつ、アレンが寛いでるであろう一室へ向かう。
そして、勢いよく扉を開け放てば。
「何か初めてみるレベルの輝かしい笑み浮かべてるけど、どうしたのよクッキー」
椅子に座り、足をプラプラさせつつも優雅にお茶を飲んでいたプリンが部屋にいました。
やっべぇ。そういえばこの部屋プリンもいるんだった、危うくプリンの目の前でアレンに誘惑かますとこだった。
「何、些細な事だ。 アレンがどこにいるかわかるか?」
「アナタのその笑顔を見て些細な事って言える人間どれだけいるのかしら……確か練兵場へ行くって言ってたわね」
「うむ、ありがとう!」
欲望フルスロットルの俺はプリンの言葉を聞くや否や身を翻そうとし……僅かに残った理性が必死にブレーキをかける。
友を裏切り、男を奪っていいのか? と。
その囁きに俺は足を止めると大きく深呼吸。再度振り返りプリンの向かいへ座る。
「? アレンのところ行かないの?」
「……ああ、その前にプリンへ謝らないといけない」
「???」
色ボケた思考を再起動し、じっとプリンの目を俺は見つめ。
プリンは何がなんだか、とばかりに首を傾げる。
そして、俺は。
「……すまないプリン、俺は。アレンが好きだ、アレンを愛し、アレンに愛されたい」
「ふーん……で?」
「だから、その……ごめん。アレンを、奪うような形に、なる」
俺の言葉にプリンは俯いてカップをソーサーへ戻すと、椅子から立ち上がり俺の隣へ歩を進める。
あー、やっぱり怒られるよなぁ……しょうがないよなぁ……。
思わずそんな思考を頭によぎらせる俺の頬にプリンは両手を伸ばし。
勢いよく俺の頬を左右に引っ張った。
「い、いひゃいいひゃい?!」
「アナタねぇ、何今更んなこと言ってんの?!」
「ひゃい?!」
ぐにぐにむにむにと、俺の鉄面皮ほっぺを思いきりつねりひっぱり弄ぶプリンの小さな手。
俯いた顔を上げたプリンの目には、烈火のごとき怒りが燃え滾っていた。
「この際だから言っておくけどね、私はアレンに特別恋愛感情ないわよ? ムーンブルク再興には最高の嫁入り先だけどね」
「うぅ……そうなのか?」
目いっぱい俺の頬を弄んで満足したのか、フンッと勢いよく鼻息をつきつつプリンは俺の目を真正面から見て言い放ち。
プリンの言葉が意外であった俺は、自分で頬を摩りつつ涙目でその目を見つめ返す。
……あれ? 言われてみれば、旅の最中でもアレンとプリンって特別甘い空気出してなかったような気が今更してきた。
どちらかというとこう、男と女の友情的だったような……。
「その顔を見ると思い至ったようね? まぁアレンは私の事眼中になかった、ってのもあるけど」
「?」
「本気でわかってないわね……まぁそんなワケで私に遠慮なんて無用よ、やりたいようにやりなさいな」
ほらほらとっとと行った行ったとばかりに手をヒラヒラ振るプリンに、俺は若干呆けた姿を晒し。
ただ、なんとなく頭を下げたくなって。深く頭を下げると急いで部屋を飛び出す。
その時、俺は聞き逃していた。
「……それに、私が本当に好きなのは……」
わーりと地味に、俺がプリンの嗜好というか指向を歪めていたという事実に思い至る彼女の呟きを。
後日の後日、俺はこの時の事を自業自得気味に後悔する羽目になるが……。
今の俺はもう、アレンの事しか頭になかった。
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すべての枷を解き放たれた俺を止める者は誰一人いない、その勢いでスキップしかねない勢いで練兵場へ俺は赴き。
そこで、その逞しい体で黙々と素振りを繰り返し、汗を流すアレンの姿を見つける。
やだ、凄くかっこいい。
「精が出るな、アレン」
「あ、クッキー。 妹さんとの話はいいの?」
「ああ、大丈夫だ」
メイドからタオルを受け取りつつアレンへ歩み寄り、彼へ手渡しつつ。
先ほどまでの鍛錬で、その逞しい体から吹き出た汗を拭ってる彼を見て、あのタオルに口元つけて深呼吸したらよい具合にトリップ出来そうだなぁ。などという事を考えていたら。
「く、くくく、クッキー?!」
「ん、すぅ……はぁ……」
無意識のうちにアレンに自分の胸がアレンの体で圧し潰されるほどに強く抱き着き、彼の胸元で深呼吸してる俺が居ました☆
是非もないよね。無防備にこんな素敵な状態晒してるアレンが悪い、だから俺は悪くない。
ああいかん、この逞しい匂い。下腹部が疼いてしょうがない。
なんだか衛兵や訓練兵のどよめきや、メイドの黄色い声が聞こえるが些細な事だ。
「き、汚いよクッキー?!」
「何が汚い? 素敵な匂いだぞ」
慌てふためくアレンの言葉に、我ながらソレはどうかと思う発言をする俺。だがしかししょうがない。
俺は自覚したのだ、そして俺は我儘なのだ。
欲しいと思ったものは、欲しいのだ。
「そ、そそそそ、それに!」
「なんだ?」
ぎゅぅぅ、と抱き着き。アレンの胸元にマーキングするように頬擦り、これは俺のだ。
「あ、当たってる。当たってるから!」
「ふふ、何を言っている。 当てているのだ」
「クッキィィィィィィ?!」
時を遡れば勇者の泉の頃から、俺の裸を見る機会があった時……君が俺の胸へ釘付けだったことを俺は覚えているぞ。
君は、大きな胸が好きなのだな! ならば、有効な武器は徹底的に使うのが合理主義だ!
その後俺は、大慌てで走ってきた爺にこっぴどく叱られました。淑女どころか乙女としてどうかと、思いきり。
っく、衆目の中で行動に移した俺の失敗だったか……。
「次は、もっとうまくやらねば……」
「ひ、め、さ、ま?!」
「ひぃ」
だがまずは、怒り狂う爺をなんとしても宥めなければいかん。
結構先の未来にて
未来プリン「ねぇクッキー、貴方の三男だけどさ」
未来クッキー「む、コナンの事か?」
未来プリン「うん、その子さ。 私のところに養子にくれない?」(どろりと情欲に塗れたお目目)
未来クッキー「」
この作品はガールズラブはないので、プリンの想いが明確に描かれることは多分ない。