吸血鬼になったエミヤ   作:炎の剣製

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更新します。


019話 修学旅行異変《参》 一時の癒しと魔法バレ

 

 

 

―――修学旅行二日目の朝

 

 

 

 

シホはなにやら妙な気配と重みを感じ目を覚ますと胸の上にはなぜかおこじょが寝ていた。

 

「……………」

 

自然と目は一瞬で覚め首筋を掴むと紐を投影して縛り上げる。

 

「起きなさい。起きなければひき肉にしてエヴァに差し出すわよ? そういえば最近珍味に拘っているとか言っていたわねぇ?」

「はい! 起きます! 起こさせていただきます」

「なにをしている?」

「なにって、そいつはシホ姉さんの胸の温かみを堪能「さて、殺すか」…冗談ッすから指から火を灯さないでください!?」

「で? 今度こそ話さないと本気で実行するわよ?」

「はい…。昨日の件ですが…」

「あぁ…。それね。じゃ行きながら話すとしましょうか。みんなが起きだすし」

「んー…? エミヤン、誰と話しているの?」

「なんでもないわよ裕奈」

「そう…? あ゛ー、それよりなんか少し頭がいたいなぁ…」

 

裕奈が起きだしてそれを皮切りに他のものも起きだしてくる。

裕奈、亜子、まき絵の三名は二日酔いが残っていると思われたがすぐに復活していたのでこれが若さかとシホは思っていた。

同時に見えないようにカモを逃がしていたりする。

朝の食事所に向かう道中、カモは小声で話しかけてきた。

 

(なぁなぁシホ姉さん、なんで今まで黙っていやしたんですか?)

(黙っていたって…別に刹那同様に話す機会なかったし色々ごたごたしていたし…)

(そうっすか。過去に関しては聞いちゃいけないんすよね?)

(ええ。頭痛がしちゃうから…)

(そもそもなんでそんな頭痛を?)

(それ以上は聞いちゃいけないわよ? プライベートは話したくないし)

(へい。それにしても昨晩はすごかったすね。俺っちもあんな殺気は初めて感じたっすよ)

(裏の世界で生きていくならあの程度は耐性ないと生きていけないわよ?)

(確かに…それじゃシホ姉さんは結構の腕前で)

(まぁ…そこそこは。あ、ほらネギ先生がいたからもう戻りなさい)

(そうっすね)

 

カモはネギの元へ戻っていった。

戻る途中、(そういえばエヴァとか言ってたけど知り合いか?)と考えていたらしいが後で聞けばいいかと保留にした。

そして食事時、

 

『―――それでは麻帆良中の皆さん、――いただきます』 

『いただきまーす』

 

ネギのマイク放送によるお言葉で食事は開始された。

シホは食事をする傍らでタマモと会話をしていた。

 

「それでシホ様、今日は離れてしまいますけど琳ちゃんがついていますので安心ですよ」

「心配しすぎよ、タマモ。でもありがとね」

「はい♪」

 

ほのぼのと会話を楽しんでいる中で周りでは眠ってしまって昨晩を無駄にしてしまった者達の悔しい声。

他に木乃香に言い寄られ逃げる刹那。

それを見てどういった仲かを想像して楽しむ一同。

 

「こうしていると、平和ねぇ…」

「はい、そうですねシホ様」

 

こうして恙無く食事の時間は過ぎていった。

そして始まるネギと一緒に回りたい争奪戦。

ネギもこれからどうしたいか考えたいと言うときに始まるのはもうお約束。

それを眺めるシホ達。

 

「あー、もうやっぱりこうなったわね」

「はい。できればバラバラになるのは避けたいところですが…」

「それじゃ私とタマモはそれぞれの班を護衛しているから」

「お願いします」

「こういう時にサポートできる人は助かるわね」

「では一応ですが全部の班に式を放っておきます。なにかあればすぐにわかりますから」

「タマモも琳以外の他の子達に指示をよろしくね」

「はいです♪」

 

こうして騒いでいる間にテキパキとこれからについて決まっていった。

その会話の中でアスナはなにを話しているのか分からなかったらしいが、とりあえず良いことなのだと自己完結していた。

 

「ま、昨日アレだけやっておいたんだから今日はそうそう仕掛けてこないと思うけどなにかあったらよろしくね」

「はい」

「任せて!」

 

そしてシホ達は班別行動で分かれた。

ちなみにネギ争奪戦はというと、まき絵と委員長が言い合っていたが勇気のこもった宮崎のどかの一言。

 

「あ…あのネギ先生! よ、よろしければ今日の自由行動…私たちと一緒に回りませんかーーー!?」

 

それにネギはみんなで守れると言う打算も含めて考えて、

 

「わ、わかりました宮崎さん! 今日は宮崎さんの5班と回ることにします」

 

それを了承。

結果、5班行きとなった。

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

私は今裕奈たち4班と一緒になって奈良をぶらりとしている。

これといって重要な用事はないので楽しまなければ損というもので奈良公園の道を歩きながらも私も会話を楽しんでいた。

 

「でもネギ君誘えなくて残念だったなー」

「うんうん。後もう少しだったんだけどねー」

「…でも、宮崎さんは勇気だしたね」

「そやねぇ」

 

四人はネギの会話になるとテンションが上がっていった。

特に宮崎さんの勇気にはそうとう驚かされたらしい。私もだが。

 

「ふふっ…恋をすると誰しも強くなるものさ」

「いうね、龍宮」

「そういうエミヤはそういった話はないのか?」

「生憎となしだね。私はそういうのには疎いらしくて…」

「ほう…」

「何々!? 恋バナ!? 混ぜろー!」

「違う!」

 

裕奈が目ざとく乗ってきたので即で否定した。

だがノリがいいのかどうなのかはわからないが標的を以前にふられたという亜子に集中しててんやわんやしてしまった。

そのときの恨めしそうな表情は見なかったことにする。

 

「そ、それより次いこうか!」

「そういえばエミヤンってこういう日本の観光って初めてだよね。そこんところ大丈夫?」

「えっ? う、うん。大丈夫ダヨ」

 

いまいち自信がないので最後あたり片言で答えてしまった。

瞬間、裕奈の目が光った。

 

「ひっ!?」

「そっかぁ、それじゃ今日はエミヤンを奈良の観光で引っ張りだこにしよう!」

『おー?』

 

絶対何名かわかっていない返事だよ!?

 

「アキラ、お願い」

「わかった。シホさん、ごめんなさい」

「ちょっ、まっ!?」

 

わーお、びっくり。なぜか片手で私は担がれてしまった。

この細腕のどこにこんな力が!

背後で「南無…」といったジェスチャーを龍宮にされてしまい私はもうあきらめた。

それからは奈良公園を皮切りに東大寺、春日大社、銀閣寺など主要なところを時間の余す限り回らされた。

や、楽しかったからよかったけどもっと自由性にとんだものにしたかった。

そして甘味所で一休みをとっていると、

 

「いやー、ごめんなさい、シホちゃん。ゆーなについ乗せられちゃった♪」

「別にいいよ? 楽しかったのは本当だし」

「そういってくれると身が休まるよ」

「そうやね」

「こらー。私だけ悪者扱いするなー!」

「ふっ…」

 

そういって一同は笑みを浮かべる。

それに私も一緒に笑みを浮かべる。そういえばこういった純粋な楽しみはここ最近なかったからとても新鮮だ。

それでとても楽しめたと思う。

そして旅館に帰る道で、

 

「やっと笑ったね」

「え?」

「だってエミヤンってこういった思い切った行動でもしないと心の底から笑えないかなと思って、ね」

「裕奈…」

 

え? なに、なんなの? 裕奈って失礼だと思うけどこんなに気を使える子だったんだ。

私は思わず感動してしまい裕奈の肩に顔を預けて、

 

「…ありがとう…」

「うん♪」

 

頭を撫でられてなんか子ども扱いされているようだったけど悪い気分ではなかった。

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

帰ってきたネギはぼうっと遠くを眺めて放心していた。

原因はわかっている。

のどかに告白されたからだ。

だが整理がつかず顔を赤くしながらなにか考え事に耽っており時折意味不明な言動や行動をとっていた。

しまいには床をごろごろと転がりだす始末。さすがにその奇怪な行動に生徒達もさすがに心配になったらしく雪広を中心としたグループになにがあったのか聞かれて、

 

「いや、あの別に何も! 誰も僕に告ッたりなんか…!」

 

と、見事に自爆をした。

その一言が発端となり騒ぎが生じてネギは意味不明な言葉を並べながらも一緒にいたカモとともにどこかに走り去ってしまった。

そこで影から見守っていたアスナと刹那にシホ達は話を聞いてみた。

 

「ネギ先生はどうしたの? なにやら思いつめていたようだけど」

「あー…それはね」

「はい。それが宮崎さんにネギ先生は告白をされまして、それで混乱してしまっているようです」

「えっ? 告白!?」

「いいですねぇ、学生の恋。タマモも憧れます」

「いやタマモ、そうじゃなくてね…」

 

少しずれた会話がされている中でネギはというと、

 

「ふぅ…」

 

なにやらため息をつきながら外に出る道を歩いていた。

カモがしっかりするよう言葉を送っているが効果は今ひとつ。

それでどうしたものかというときに道にネコが飛び出し車に轢かれそうになってしまっていた。

ネギは悩んでいた素振りも見せずに飛び出して、

 

風花風障壁(フランス・バリエース・アエリアーリス)!!」

 

車を弾き飛ばしてネコを救った。

だがその光景を見ていた人が一人。

 

(き、来たぞー! 超特大スクープ~~~!!)

 

目撃した少女。朝倉和美はその光景に目を輝かせていた。

その後、ネギが入浴中に朝倉は源しずなに化けネギに魔法のことについて詰め寄った。

だがすぐに変装はばれてしまい強硬手段にとる。

携帯のボタン一つで世界にネギのことがばれてしまうという事実にネギはついに混乱の境地とも言わんばかりに魔法を暴走させてしまった。

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

ネギ先生がどこにいったのかと考えているとどこからともなく叫び声が聞こえてきた。

 

「―――うわああぁあぁ~~~~ん! だめです~~~~っ、僕、先生やりたいのにーーーーーーーー!!」

 

まるで遠雷のように響いてくる泣き声。

なにごとなのかと刹那たちと急いでお風呂の方に走る。

到着してみるとそこには裸のネギ先生となぜか朝倉がいた。

 

「ネギ君!?」

「朝倉さん!?」

「あっ、いやっ、これはっ!」

 

他に騒動をかけつけたものたちによって朝倉は成敗されていた。

なにかあったか知らないけどやりすぎはよくないと思うよ。

そして始まるネギ先生になにがあったのかの質問で、

 

「ええーーーーっ!? ま、魔法がばれた!? しかもあの朝倉にーーー!?」

「は、はい…ぐし…」

「アスナ、声がでかい」

「あ、ごめん。でもさ…」

 

アスナが必死にどうしてとか問いただしているが回答はあやふやでどうにもできない。

それであきらめムードになりネギ先生は「一緒に弁護してくださいよ!」と必死になっていたが、その時に背後から朝倉の声が聞こえてきた。

 

「おーい、ネギ先生」

「兄貴、ここにいたか」

 

なにやら仲良さげに朝倉とカモミールがやってきた。

それにネギ先生はびくつき後ろに下がり気味でアスナも、

 

「ちょっと朝倉。あんまり子供をいじめるもんじゃないわよ」

「イジメ? ノンノン、まさか。私がそんなことするわけないじゃん」

「そうっすよ。むしろブンヤの姉さんは俺っち達の味方だぜ」

「報道部突撃班、朝倉和美。カモっちの熱意にほだされてネギ君の、いやここにいるメンバーの秘密を守るエージェントとして協力することにしたからよろしくね」

 

そういって、朝倉はネギ先生に今までのネガや写真を渡している。

それにネギ先生はさらに驚いたが問題が一つ減ったと喜んでいた。

 

「でも、エミヤン達が関係者だったなんてね」

「ごめんね朝倉。隠すようで悪いと思ったけど…」

「いいよ。エミヤンも事情があったわけだし」

「ありがと」

「ありがとうです」

 

朝倉はそう言って追求は避けてくれた。

ここで綺麗に終わっていればよかったのだけれど、後の件でこっち入りに関してもっと深く言っておけばよかったと思ったのは私の一生の不覚だが。

 

 

 

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