吸血鬼になったエミヤ   作:炎の剣製

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031話 日常編 悪魔襲撃(前編)

 

 

目を覚ました男の子はなんと正体は京都でネギと敵対した犬上小太郎、だったのだが覚えているのは名前だけで今は千鶴の作った食事をぱくついていた。

その勢いは見ていた夏美が「うひゃー」と呟くほどで食べ盛り真っ最中とはまさにこの事である。

 

「うむ、うぐ…うまいわこれ!」

「よく食べるねー」

「あらよかった。どんどん食べてね」

「うん! おかわり!」

 

元気に答える小太郎。

おかわりをもらいすぐにパクつきお礼を言うところは義理堅いのだろう。

もう熱も下がりあとは記憶を思い出すだけなのだが…、

 

「いや……あかん……。頭に靄がかかったみたくなって…」

「そう…しかたがないわね。…それじゃぁ……お待ちかねのオシリにネギをいってみましょうか」

 

なぜネギ? という疑問は小太郎が気絶した後、「ネギ…」と呟いていたためである。

このネギが近い未来、彼女に大きく関係してくるものなのだが今はまだ先の話である。

それはともかく千鶴はネギを構えて小太郎に迫ってくる。

冗談だというが目は結構本気だったのは聞かないほうがいいだろうと夏美は思った。

その後、小太郎はお風呂に連れて行かれたりしたが肩の傷に気づき謝ったりしていた。

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

同時刻、アスナ達は雨の降る中、エヴァの家から出ていた。

 

「おじゃましましたー」

「うひゃースゴイ雨や」

「傘一本しかないですね」

「それだったら…投影開始(トレース・オン)

 

シホが人数分傘を投影して渡した。

 

「ありがとシホ」

「なんでも作れるんだなー」

「なんでもというわけではないけどね…」

「それよりエヴァちゃん、テスト勉強の時間足りなくなったらまた『別荘』使わせてよ」

「別に構わんが………女には勧めんぞ? 歳取るからな」

「う゛!! そうか…」

「気にしないアルよ」

「いいじゃない。2、3日くらい歳とっても」

「若いから言える台詞だな、それ」

 

アスナ達は傘をさしながらエヴァ邸を後にしていった。

 

「やれやれ…やっとうるさいのが行ったか」

「楽しそうでしたが? マスター」

「でも、今回の事でさらに魔法に足を突っ込む要素が増えてしまったのは確かな事よ」

「そうですねー、もっと現実をみてもらいたいものですが」

「まぁな………ん?」

「………あっ」

「どうかしましたか?」

「シホ様?」

「いや…気のせいか」

「私は嫌な気配がしたけど…なんか身震いがするのよ。本能的に来るものがあるわ…」

「ふむ…では少し調べてみる必要があるな、めんどくさいが…」

「ありがと、エヴァ…」

 

 

 

 

そして寮まで戻っていったネギ達は解散しようとしていたが、ネギがなにかあったら協力するという話がされていた。

ネギ自身もまだまだ修行を頑張らないといけないという気持ちでまた走り出していった。

 

「もーあいつまた一人で気負って張り切っちゃって」

「あやーネギ君またフラフラになってまう? ネギ君て少し頑張りすぎる性格やなー」

「マジメすぎんのよ」

「…その性格もネギ先生の過去を聞いた後では納得とゆーカンジですが…」

「うーーーん…まぁホントだったら近所の悪ガキとバカなコトして遊んでるような年頃なのよね…」

「そうですね…しかし先生の周りには年上のお姉さんばかりですし」

「そ言えばネギ君てカモ君以外にはいつも敬語やしねー」

「ま、まぁな」

「んー…同い年の友達でも日本にいればえーのになー」

 

一同がネギの事を心配している天井の上では悪意あるものが「ククク…」と笑っていた。

そしてネギは途中で委員長と出会い「その服も似合っていますね」と英国紳士として褒めていた。

それで委員長も気を良くしその気分のまま部屋に戻ったが中がなにやら騒がしい事に気づき扉を開けた途端、小太郎が腹に突貫してきて委員長は直撃をくらい倒れてしまった。

その後、復帰した委員長はこの子はなんですの!? と問い詰めたがさらっと千鶴が、

 

「この子は夏美ちゃんの弟の村上小太郎君ですわ」

 

それに夏美と小太郎は驚愕の顔を浮かべるが千鶴の怖い笑みに黙らされた。

委員長もそれで納得し一時は落ち着くかと思われたが、小太郎の「このおばさん誰や?」と失礼な発言をしてしまい喧嘩になってしまった。

ネギとの違いに大いに叫ぶ委員長。

その後機嫌を悪くしてしまい自室に入っていってしまった。

 

「小太郎君おばさんはないと思うよ」

「ま、まぁな。老けてるゆーたらどっちかっつーとこっちのちづる姉ちゃ…「何か言いました?」…いや、なにも!?」

 

千鶴の威圧の笑みにまたしても黙殺されていた。

 

しかしまたしてもその天井裏では何者かが密かに会話をしていた。

 

『どうかね?』

《見つけたゼ。学園の近くで返り討ちにした奴ダ》

《混乱の魔法が効いたのか女といちゃついてるゼ?》

《一時的な記憶喪失デスネ》

『よろしい。ではそちらから片付けよう』

《犬上小太郎は懲罰により特殊能力を封じられてマス》

《気は使えますガ…》

《今なら楽勝ダナ》

『よろしい君達は作戦通り事を運び給え。ハイデイライトウォーカーに気づかれぬように。それとシホ・E・シュバインオーグには相手がいるから出てくるまでほっといていいだろう』

《ラジャ》

 

声の主の従者達は行動を開始した。

そして声の主は雨の降る中、もう一人の人物と会話をしていた。

 

「やれやれ…では始めるか」

「フフフ…そうですね、ヘルマン」

「正直に言えば私はあなたが苦手な部類に入るのだがね…しかし今回は協力者ゆえ私が終わるまで手出しはなしで頼むぞ」

「わかっていますよ。私の目的は愛しの吸血姫だけですから」

「…何体人形を用意してきたのかね?」

「さて、私にも把握は出来ていないね…しかしどれだけ数がいようと私の渇きを潤すものではない。やはり…」

「それ以上は聞きたくないね。私はあなたのような特殊な嗜好は持ち合わせていないのだよ」

「つれませんねぇ…まぁいいでしょう」

「…では作戦を開始するとするか」

 

その言葉どおり、まず標的にされたのは今現在大浴場に入っているのどか、夕映、古菲、朝倉の四名だった。

四人は男の従者である三名の人外に取り込まれて意識をすぐに奪われてしまった。

次の標的は刹那。このかに化けて油断させられ隙をつかれ誘拐されてしまった。

最後にアスナとこのか。二人はネギが部屋から出て行った後、同じ手口で誘拐されてしまった。

 

そして男は小太郎がいる部屋に委員長を気絶させ入っていった。

 

「やぁ狼男の少年。元気だったかね?」

「お、お前は!?」

 

それを切欠に小太郎は吹き飛ばされる。

男は「瓶」を渡せと小太郎に言い迫る。

だがそこで、千鶴が男に部屋に土足で上がるのは紳士失格だという事を冷静に告げていた。

 

「これは失礼。日本はそうだったね。いや失敬クロゼットは弁償するよ」

 

そして男は自分から名乗りを上げる。名はヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマンという伯爵らしい。

それから千鶴と少し会話をした後、また小太郎と戦闘になりあきらかに小太郎が劣勢になるが影分身で意標をつき最後は狗神でケリをつけようとしたが発動しない。

それで手を掴まれ腹に重い拳を入れられ倒れふしている小太郎に向けてヘルマンは口からなにかを出そうとしたが、そこで間髪いれずに千鶴がヘルマンの口を叩いた。

 

「どんな事情かは知りませんが子供に対してすることではありませんわ」

 

千鶴は気丈にそう答えるがヘルマンは「気に入った」といい千鶴を気絶させた。

そこにネギが駆けつけてきた。

 

「やぁ早かったね、ネギ・スプリングフィールド君」

「!? な…那波さん!?」

「て、てめぇは!?」

 

ネギはヘルマンに抱かれている千鶴を離す様に言ったが、返答は君の仲間と思われる七人はすでに預かっているという。

 

「学園中央の巨木の下にあるステージで待っている。仲間の身を案じるなら助けを請うのも控えるのが懸命だね…」

「あっ待て…!」

 

逃げられてネギは悔しそうにしているが事態を確認しようと夏美に話しかけるがなにかはわからないという。

そこでカモがあることに気づく。

気絶している小太郎がいたのだ。

ネギは何度も起こして小太郎が起きたときには一気に記憶を取り戻したのだが、咄嗟に思い出したのはネギとの決闘で「決着つけようや!」と言った。

それにネギは「そんな場合じゃないでしょー!」と言っていた。

それから事情を把握してアスナや刹那が捕まってしまった事に驚く小太郎。

そこで切り札に使えと小太郎からある瓶を渡されるネギ。

小太郎は千鶴達を巻き込んでしまった事を責任感を感じてしまっていて助けたいという気持ちになっていた。

そして共同戦線するネギと小太郎。

ステージへと向かっていった。

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

一方、シホはタマモ、エヴァ、茶々丸、楓と共に世界樹の木の上でステージを見ていた。

 

「一応言っておくがシホ、今回はぼーやの修行の成果を見るために手は出すなよ?」

「ええ…でも、この嫌な予感は拭いきれない。だからその時が来たら私は飛び出すから」

「いいだろう。おそらくだがお前にとっても今回は試練になるやもしれないからな」

「シホ様、安心してください。私はどこまでもついていきます」

「ありがとう」

「なにやら拙者は置いてけぼりにされているでござるなー」

「安心しろ、長瀬楓。貴様もいずれ分かる」

「そうでござるか。ではそれを待つとするでござる」

 

そしてステージ場では水牢に閉じ込められているこのか達がスライムの三体に「出して」と言っているが、

 

《私達特製の水牢からは出られませんよ。私あめ子》

《水中なのに呼吸ができる辺りが特別製………。ぷりん》

《すらむぃ。溶かして喰われないだけありがたいと思いナ。一般人が興味半分で足突っ込むからこーゆーことになるんダゼ》

 

それで夕映達は顔を俯かせていた。

 

「…そう。興味本位だけで魔法の世界に足を突っ込むのだけはいけない」

「シホ殿…?」

「楓ももし魔法の世界に介入するなら現実を知ってからのほうがいいわ」

「現実でござるかー」

「うん、現実世界と魔法世界はどちらも変わらないのよ…私はそれを直に味あわされた…」

「そうでござるか…」

 

二人がそんな会話をしていると遠くからネギ達がやってくるのが見えた。

牽制で『戒めの風矢』を放つがそれはなにかの力によって弾かれた。

シホの千里眼はそれを何かという事を捉えていた。

 

「やっぱりあのアスナにつけられているペンダントか。もう、だから利用されたら厄介だって言うのに…」

「シホ、お前はなにか知っていそうだな」

「今は内緒よ。口止めもされているし」

「ふむ、まぁいいだろう…いずれ知らされることだろうしな」

 

そしてステージ場ではネギ・小太郎とスライム達の戦いが始まる。

戦闘が始まりネギは日頃の身体強化の魔法と中国拳法の力も含めて力量が上がっている事がわかる。

ヘルマンに無詠唱で光の射手を打ち、消されるがそれでも回り込み封印の瓶をかかげて魔法を唱えるが、それはアスナの苦しみの声と共にかき消された。

そして今度はヘルマンとの勝負が始まる。

『白き雷』と『犬上流・空牙』を放つがまた掻き消されてしまう。

そして明かされるアスナの力。

 

「一般人の筈のカグラザカアスナ嬢………彼女が何故か持つ魔法無効化(マジックキャンセル)能力。極めて希少かつ危険な能力だ………。今回は我々が逆用させてもらったがね」

 

それによって魔法無しで戦うことになってしまい、カモもアスナにつけられているペンダントを取ろうと動くがスライムに捕まってしまい水牢に入れられてしまった。

それでも挑むが強力な攻撃がネギ達を襲う。

そしてヘルマンはいう。

 

「先ほどの動きは中々良かったが……どうやら私が手を下すほどではなかったようだね………?」

「―――いや違うな。ネギ君思うに君は………本気で戦っていないのではないかね?」

 

それにネギは反応した。

 

「な、なにを…? 僕は本気で戦っています!」

「そうかね? やれやれ…サウザンドマスターの息子がなかなか使えると聞いて楽しみにしていたのだがね。

彼とはまるで正反対、戦いには向かない性格だよ」

 

カモ達は水牢の中でネギのピンチに慌てている。

 

「あのおっさん異常に強え!! しかもその上魔法が効かないってんじゃ分が悪すぎる!! このままじゃ…」

「ネギ君やられちゃう!?」

「うーぬ…」

「どどどどうしようー!」

「カモ君、アスナの胸のペンダント取ればええの?」

「あ、ああ…少しは希望が…」

 

するとこのかは策があるらしく全員を円状に囲み一本の杖を取り出した。

それをシホは見て、

 

「あ…このか達がなにかを始めそうね?」

「数少ない勝機だな。だがそれがいい」

 

そしてステージではなにかが始まろうとしている。

 

「君は何のために戦うのかね?」

「な、何のために…?」

「そうだ。小太郎君を見たまえ、彼は実に楽しそうに戦う。君が戦うのは仲間の為かね?くだらない、実にくだらないぞネギ君。戦う理由は常に自分だけのモノだよ。そうでなくてはいけない」

 

ヘルマンの独白は続いていく。

 

「怒り、憎しみ、復讐心などは特にいい。誰もが全霊で戦える。あるいはもう少し健全に『強くなる喜び』でもいい。小太郎君みたいにね。そうでなくては戦いは面白くない」

 

「ぼ……僕は別に戦う事が面白いなんて………。僕が戦うのは…!」

「一般人の彼女達を巻き込んでしまったという責任感かね? それとも助けなければという義務感? 義務感を糧にしても決して本気になどなれないぞネギ君。………実につまらない」

「そんな…つまらないとか今は―――…」

「いや…それとも、君が戦うのは…」

 

 

―――あの雪の夜の記憶から逃げるためかね?

 

 

それによってネギの表情が驚きに染められる。

困惑しながらもそれを否定するネギだが、ヘルマンは「では…」と帽子を取った。

するとそこには先ほどまでの人間の顔はなかった…。あったのは―――…。

 

「……………!!!!!?????」

 

ネギの顔は色々な感情がない交ぜになって汗を大量に出していた。

他の者達もそのことに気づき注視する。

 

そこには悪魔がいた。

 

「そう…君の仇だネギ君」

 

再び帽子を被ると人間の顔に戻っていたがそれでもネギは恐怖か、それとも………ただ震えている。

 

「あの日召喚された者達の中でも、極僅かに召喚された爵位級の上級悪魔の1人だよ。

君のおじさんやその仲間を石にして、村を壊滅させたのもこの私だ。あの老魔法使いにはまったくしてやられたがね」

「……………」

「ネ……ネギ…」

「どうかね? 自分のために戦いたくなったのではないかね?」

 

そこに小太郎が戻ってきてネギに話しかけるがネギは未だ固まっている。

小太郎も痺れを切らして叫ぶが、

一瞬…そう一瞬でネギはヘルマンの所まで移動して拳を突き上げるように叩きつけて空に飛ばし自身も飛びその拳をヘルマンの腹にマシンガンの如く叩きつける。

シホはそれを見て、

 

「魔力の暴走…私の時の比ではないわね」

「そうだな。またいいものを見れたが、だが外れやすくなっているんじゃないか? あいつは…」

 

見ている先で尚続くネギの暴走による攻撃。

それをヘルマンは、

 

「ふははははははは!! いいね! 素晴らしい!! これだよこれを待っていたのだよ!! それでこそサウザンドマスターの息子だ!!!」

 

小太郎はそれを見て「すげぇ…」と呟いていたが、だが暴走した力では勝つ事はおろか自滅しかねない。

ヘルマンの姿が悪魔の姿になり口から石化の光を放とうとしていた。

だがギリギリでネギに追いつくことが出来た小太郎は地面を削りながらもなんとかネギと共に石化は免れた。

それによって正気に戻ったネギだったが、

 

「ぼ、僕は…い、今…なにを…?」

 

ネギはヘルマンの真の姿を見て、それが“仇”だと認識した瞬間、意識を手放し、感情のままに暴走してしまっていたのだ。それが信じられなかった。

だがそんな思いも小太郎の「アホがーーー!!」と殴られた事により霧散する。

 

「アホ!! いくらパワーがあってもあんな闇雲に突っ込んでったら返り討ち喰らうんは当たり前や!! 確かにお前の底力が凄いのはわかったけどな、今の戦いは最低や!! 周り見えてへんし決め手も入れられへん!! あんな力押し俺でも勝てるわ!! ったく、頭良さそーな顔しとるくせにな! 仇か知らんけどおっさんの挑発に簡単にキレよってからに!! アホ!!」

 

そう言ってネギの頬を思いっきり伸ばす。

それによって落ち着きを取り戻したネギは小太郎と共にまた構えた。

だがその時、このか達が必死に唱えていた魔法がついに発動して杖から炎があがった。

それによりこのか達は脱出することができて、各自動きを見せる。

このかは刹那が閉じ込められている水牢に杖を掲げる。

夕映とのどかは魔法の瓶を拾った。

古菲は千鶴の方の水牢を拳で割る。

朝倉はアスナのところまで行きペンダントを引き千切った。

そしてスライムどもは夕映とのどかの唱えた詠唱で瓶に封印された。

 

「今だ!! ネギ君!!」

 

朝倉の声でネギ達は笑みを浮かべる。

 

「へへへっ…もういくしかないね!! とっておきのやつがある! 小太郎君、前衛を頼める!?」

「へっ! ナメンなや! お前こそ大丈夫かいな!?」

「大丈夫! いくよ!」

 

そしてネギ達はヘルマンに挑んでいく。

小太郎がネギの魔法の準備の時間を作るように何度も影分身をしてヘルマンを撹乱する。

だが全部吹き飛ばされてしまった。

そしてヘルマンは口から石化の光線を放とうとするがその前に本体の小太郎が下に回りこんでいて思いっきり殴り飛ばす。

そこにネギがトドメを刺すためにエヴァに教えてもらった方法を挑む。

 

 

 

―――魔法の射手・雷の一矢!! 搉打頂肘!!

 

 

 

それによってヘルマンの体は痺れ、

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!! 来たれ虚空の雷、薙ぎ払え!!ああああああああああああああああっ!!!」

「ぬううっ!!」

「『雷の斧(ディオス・テュコス)』!!」

 

ついに振り下ろされた魔法はヘルマンに直撃し、戦いは終結した。

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

「…ふん。乗り切ったようだな」

「内心ハラハラ半ばオロオロだったようですが…無事でよかったですねマスター」

「茶々丸、お前な…いいかげんその方向のツッコミはよせ。………まぁぼーやのシホの戦いの時より多大なほどの潜在力を見れたのはよかったよ。ヘルマンとやらには礼を言わねばな。

………さて、シホ。後はお前の仕事だ。倒せよ?」

「わかっているわ…」

 

眼下ではヘルマンが還ろうとしていた。

消える前にヘルマンはこのかに指をさし、

 

「コノエコノカ嬢…おそらく極東最強の魔力をもち…修練次第では世界屈指の治癒術師ともなれるだろう。

成長した彼女の力を持ってすればあるいは…今も治癒のあてのないまま静かに眠っている村人達を治す事も可能かも知れぬな」

「…!」

「まぁ何年先になるかはわからんがね。ふふ、礼を言っておこうネギ君。いずれまた成長した君を見る日を楽しみとするとしよう。私を失望させてくれるなよ少年!」

「ヘルマンさん!」

「―――最後だが私の次に来る彼はまだ君には敵わない相手だ。気をつけたまえ…」

「えっ…」

 

そしてヘルマンはその姿を消した。

 

「次に来る彼…?」

 

ネギが困惑していた。

 

 

 

 

―――ヘルマンは敗れましたか。ようやく私の出番というわけですね。ふふふ…。

 

 

 

 

『!?』

 

その時、またしても新たな刺客が現れる。

 

 

 


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