吸血鬼になったエミヤ   作:炎の剣製

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更新します。


032話 日常編 悪魔襲撃(後編)

全員はその声に体を硬直させる。

ヘルマンとは違い濃度の高い殺気が辺り一帯を包み込んでいたからだ。

全員が目を向けた先にはまた一人の男が立っていたのだ。

 

「初めまして、かな? 皆さん…」

「…なにもんや、あんた?」

「おや、ご存知でない…? てっきり我が愛しの吸血姫に聞いていると思ったのですが…」

「そのいい様…もしかしてあんた京都で現れた悪魔!?」

 

悪魔という単語に一同はまた緊張をする。

 

「ふふふ…ご安心ください。あなた達などに手を出すつもりはありません…私は、愛しの吸血姫を待っているだけですから」

 

 

 

 

―――ご指名かしら。名も知らない悪魔。

 

 

 

 

そこにシホとタマモが空からゆっくりと降りてきた。

その瞳には静かな怒りが滲み出ている。

 

『シホ(シホさん)!!』

 

皆がシホの登場に喜びの声を上げるがシホは冷静に言葉を発する。

 

「小太郎、といったかしら?」

「…なんや、姉ちゃん?」

「那波さんはまだ眠らせておきなさい。今から酷いものを見せるかもしれないから…」

「わ、わかったわ…」

 

シホの圧倒的存在感の言葉に小太郎はネギに頼んで眠りの魔法をかけた。

 

「これでいい…」

「おお、おおーーーーー!!」

『!?』

 

突然の先ほどとは雰囲気が違う男の震えるような叫びに全員が目を向ける。

 

「おお! 我が愛しの吸血姫! 会いたかったですよ!! どれほどこの時を待ったことか…!!!」

「…私はお前の事なんて知らないわ。タマモ、いくわよ」

「はいです! 憑依!!」

全回路(オールサーキット)全て遠き理想郷(アヴァロン)へと接続」

『接続しちゃいます』

「―――投影開始(トレース・オン)

 

シホは一本の捩れた魔剣を投影する。

 

「アゾット・メ・ゾット・クーラディス…魔力変換開始(トリガー・オフ)術式固定完了(ロールアウト)術式魔力(バレット)待機(クリア)! 全魔力掌握完了(セット)!!」

 

それを魔力に再び変換し体に取り込む。

それによって全身が白く発光しだし紫電が体を奔る。

 

術式兵装(ファンタズム・コード)…! 是、“硬い稲妻”!!」

 

それによってシホの準備は終了した。

 

「これは…雷の属性を持つ宝具を取り込んだのですか…」

「シホさんからすごい魔力を感じます…!」

「なにもんやあの姉ちゃん…? ただもんやないで!」

 

全員がその存在感に驚いている中で、

 

「…悪いけど一瞬で終わらせるわ。学園結界で弱体化している事を後悔しなさい」

「フフフ…お相手をするのは私の人形たちですよ」

 

すると男の影の中から次々と黒髪黒目のシホの姿をした異形―――デットコピーが次々と出現する。

その数はゆうに数十体。

 

「あれ…全部シホさんの姿をしているのですか!?」

「なんでエミヤンの姿をしているのさ!?」

 

そいつらは両手を剣に変化させ一斉にシホに飛びかかってくる。

 

「舐めているの…?」

 

シュッ!

 

一条の光が一瞬で通り過ぎた後にはシホのデットコピー達はすべて爆発した。

そして光が過ぎた先では干将・莫耶を構えたシホが切り払っていて付着した血を振り払っている。

 

『すごい…!』

「フフフ…さすがですねぇ。私の人形達では相手にならないですか」

「この程度がお前の戦力だというなら正直ガッカリね…お前もすぐに殺してあげるわ」

「まぁまぁお待ちを…少し話をしませんかね? 我が愛しの吸血姫?」

「話…?」

「そう…この二十年に渡る積もるお話を…」

「! 貴様!? この場で話すつもりか!! させないわよ!!」

 

シホが一瞬で男と肉薄し一気に切り捨てようとした。だが…

 

ガキッ!

 

男の肉体はまるで鋼のように硬く、次には体が溶けてシホの体を黒い影が走りガチガチに固めてしまった。そしてまた実体に戻る。

 

「くっ…!? 軟体か!」

「いいえ、違いますよぉ…私はあなたの“血肉を取り込む”ことによってその体を変質させたのですよぉ…」

「え…? 血肉を取り込む、ですか?」

 

その疑問の声の主は夕映だった。

 

「夕映! それにみんなも聞いちゃダメ! お願いだから聞かないで!!」

「話してあげましょうかぁ…?」

 

男はその体をゆっくりと変化させていき悪魔の体になった。

 

「ッ!? あああああああああああああああああああーーー!!?」

『シホ様、落ち着いてください!!』

 

それを、その姿を見た途端、シホは苦しみの叫びを上げた。

 

「いい叫びを上げますね。思い出しますよ…この二十年の月日を…。最初はあなたが悪い悪い魔法使いの連中に吸血鬼化の実験をすると言って連れて来られた時は冗談を言っているものだと思いましたがね…フフフ、呪いをかけられて本当に吸血鬼化してしまうとは思いもしませんでした。

それからは弱点を無くすと魔法使い達はいい、最初は火葬から始めましたねぇ…体を焼かれながらも復元呪詛で再生を繰り返すあなたの姿はとてもよいものでした」

「ひぃ…!?」

 

それを語る悪魔の凶悪な笑みにこのかは涙を浮かべて悲鳴を上げる。

 

「やめ、ろ…語るな! うあああああ!!」

 

シホは抜け出そうとするが思いの他ガッチリと固められてしまい頭痛の苦しみもあり抜け出せずにいた。

男の語りは続く。

 

「次は十字架の力でしたね。正直言ってこれは見ていて楽しくありませんでしたね…。なんせ痛みは一瞬だったのですから。

だが白木の杭は大違いでしたね。これは一回一回がとてもそそられるものでした。一回打ち付けるたびに上げる声はとてもよいものでしたよ」

「それ以上喋らないでください!」

「酷い…!」

「あんまりや!」

「よくもエミヤンを!!」

「ネギ! あいつを倒すで!? ムカつく奴や!!!」

「うん!! 許せません!!」

 

ネギと小太郎が駆けたが、それはシホのデットコピー達によって足止めされてしまう。

 

「くっ…邪魔や!!」

「どいてください! あの人は止めなければいけないんです!!」

 

ネギと小太郎に二体ずつが相手をしている。しかし一体一体がヘルマンレベルだ。だから前に進む事が出来ない。

そして尚も男の言葉は続く。

 

「首の切り落としなどはとてもよかった。吸えないというのに必死に空気を吸おうとする姿は血が沸きあがる思いでした。

さらに人間ならば即死ものの薬物をいくつも飲まされ狂う姿は心が躍りました。

そして…最後に魔法使いは狂っていたのでしょう。私に彼女の血肉を喰えと言い出したのでしたから。

最初は私も遠慮しましたがいざ食すと病みつきになってしまい、結局はこの二十年の半分以上の食事が彼女の血肉でした。

ゆえに今の私の思いは…もう一度愛しの吸血姫の血肉を食したい!!」

 

悪魔の表情が狂気に染まる。

「化け物アル!」と古菲が叫びを上げる。

「これが魔法世界の一つの現実だなんて…!」と夕映が泣き叫ぶ。

「外道が…!!」と刹那が憎しみの篭った瞳で睨む。

だが同時に『バァンッ!!』と弾ける音がして全員が見ればシホが束縛を引き千切っていた。

 

「キサマ…ヨクモ私ノ事ヲ色々ト語ッテクレタナ!?」

「おお…やっと抜け出しましたか」

 

シホが目を赤く染めて怒りを露わにしているというのに悪魔は未だ平静を保っている。その自信はどこから沸いてくるのか?

 

「そうそう。私の翼は有効活用していますかね?」

「ナンノコトダ!?」

「おや? 忘れてしまったと…。私の翼を移植したのですよ? ならば起こしてあげましょう」

 

悪魔がパチッと指を鳴らすとシホはあの大浴場の時のように「痛い…!」を連呼しだし、しだいに背中から悪魔の翼が姿を現した。

 

「コ、レハ…!!?」

「キメラ、と言えばわかるでしょ? 実験内容にキメラ生成の事も含まれていたのですよ」

 

それで全員の表情が怒りに染まる。

なぜシホがそこまでの仕打ちを受けなければいけないのかという思いで。

 

「もう、いい…キサマは還すだけじゃ済まさない。この世から抹殺してあげるわ…タマモ、分離を…」

『は、はいです』

 

タマモがシホから分離を果たす。

 

「しばらく魔力供給できないほど魔力を消費するからなんとか自身の魔力だけで保っていて」

「…わかりました。シホ様、どうか勝利を…」

「ええ………感謝しなさい悪魔。私が“この世界”に来てから初めて使う秘奥の一を!」

「ほう…楽しみですねぇ」

「その油断、後悔させてあげるわ」

 

 

シホは目を閉じ手を掲げて詠唱を開始する。

 

 

 

―――I am the bone of my sword(体は剣で出来ている).

―――Steel is my body(血潮は鉄で), and fire is my blood(心は硝子)

―――I have created over a thousand blades.(幾たびの戦場を越えて不敗)

 

 

 

シホの詠唱が周囲に響くように聞こえている。

だが、悪魔はそれでも余裕の表情であった。これから地獄を見るというのに…。

 

 

「シホの姉さんはなにをしようってんだ…?」

「何も起こらないわよ?」

「あいつを倒せるものなら何でもええわ」

 

 

 

―――Unaware of loss(ただの一度の敗走もなく)

―――Nor aware of gain(ただの一度の勝利もなし)

 

 

 

「でも、なんやろ。シホの言葉が心まで響いてくるようや…」

「はい、お嬢様」

「エミヤンの呪文は不思議な響きがあるね」

「世界に浸透する声アルよ」

 

 

 

―――With stood pain to create weapons.(担い手はここに孤り)

―――waiting for one's arrival(剣の丘で鉄を鍛つ)

 

 

 

「シホさんの事を最後まで見届けなければいけません…」

「私も一緒に見届けるよ夕映ー」

「シホさんの魔法詠唱は、どこか悲しい響きがあります。でも、きっと負けません! シホさんは勝ちます!」

 

 

 

―――I have no regrets.(ならば、わが生涯に)This is the only path(意味は不要ず)

―――My whole life was(この体は) "unlimited blade works(無限の剣で出来ていた)"

 

 

 

 

瞬間、世界は炎によって破壊され、そして再生する。

出現するは黄金の太陽が照らし出す赤い荒野…そして無限に地面に突き刺さっている剣達。

 

「な、ななななにここ…!?」

「まさか…失われたといわれる『異界創造』の魔法っすか!?」

「武器だらけやー!」

「ど、どれも名剣に違いない作りだ…!」

 

一同が騒いでいる中、シホの脳裏では様々な変化がおきていた。

 

 

 

 

―――最初の悲劇であり、衛宮士郎の原初の記憶…体は生き残ったが、名前以外…記憶と心が死んでしまった大火災。

―――衛宮切嗣に引き取られ、魔術というものを知り、必死に教えてもらおうとした事。

―――引き取られてから五年して衛宮切嗣に死に際に託された『正義の味方』という理想。それによって初めてがらんどうだった自身に目指すものが見つかった事。

―――高校生になり、そこで魔術が使える事で巻き込まれた聖杯戦争という七人の魔術師と英霊という最上級の使い魔であるサーヴァント七騎で何でも叶うという聖杯を巡る殺し合い。

―――当然、魔術が使えるからといって聖杯戦争自体知らなかった為、アーチャーとランサーのサーヴァントの戦いを偶然目撃してしまい、ランサーに気づかれて心臓を貫かれ死にかけた事。

―――それをアーチャーのマスターによって助けられた事。

―――再度ランサーに殺されかけた時、突如出現して私を守ってくれた剣の騎士『セイバー』との月下での出会い。

―――バーサーカーのサーヴァントを引き連れた義理の姉『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』との悲しい出会いと闘争。

―――アーチャーのマスター『遠坂凛』との共同戦線、そして弟子になったこと。

―――その後にライダーとの死闘を辛くも勝利したが、キャスターによりセイバーを奪われてアーチャーすらも裏切ってしまった事。

―――イリヤと共闘しようとアインツベルン城に向かったが、そこで現れた第八のサーヴァント『英雄王ギルガメッシュ』。

―――イリヤは救えたもののバーサーカーはやられてしまった事実。

―――己の未来の可能性存在だという事が発覚したアーチャー…『英霊エミヤ』との死闘。

―――死闘の際、剣を打ち合う度に自身に流れ込んでくるエミヤの知識と経験、そして守護者としての永遠の殺戮の記録…そして、それを乗り越え真に見つけられた本当の道。

―――黒の聖杯に染まった後輩『間桐桜』の変貌した姿。そしてやられたサーヴァント達が黒く染まり襲い掛かってきた。

―――対抗するためにイリヤと凛の協力の元、宝石剣を投影したが自身にしか使えないものを作り上げてしまい一時的に「 」に繋がってしまって第二魔法を会得してしまった事。

―――そこに大師父が現れ、代わりに自身の宝石剣を使えと貸し与えてくれた事。

―――ギルガメッシュとの戦いの折、イリヤによる魔力供給によって発動した私の本当の魔術。

―――桜とその姉である遠坂による戦いで桜を助け出すことが出来たこと。

―――言峰綺礼との聖杯をかけた最後の戦い。

―――最後にセイバーによる宝具の開放で大聖杯の完全破壊。

―――そしてたくさんの死人が出たものの、それでも最小限に止められて永遠に消えていった聖杯戦争。そしてサーヴァント達。

―――これですべて終わったと思った半年後に起きた約束の四日間の奇跡。

―――それによって受け継がれた本来ありえない者達との平和な生活の記憶と、ある一人のすべての呪いを背負わされた男の決意の記憶。

―――正義の味方として駆け抜けた八年間。その中で得た様々の出会いと別れと闘争。

―――姉の想いを知り、新しくもらった体と『シホ・E・シュバインオーグ』という名前、『全てを救う正義の味方』ではなく新しく芽生えた『大切な人達を守る正義の味方』という新たな理想。

―――大師父の魔法による世界との別離。

 

 

 

まるで濁流のように失われていた記憶が思い出されていく。

 

 

 

(ああ―――………どうして今までこんな大事な事を忘れていたんだろう私は…)

 

シホはすべてを思い出した。

それで心が満ちていく衝動にかられていた。

 

視線の先では結界内に巻き込まれたのだろうエヴァ達がいた。

 

「…む? 巻き込まれたか」

「そのようですね、マスター」

「これは壮観な景色でござるなー」

 

シホは笑みを浮かべながら、

 

「エヴァ…無くしていた記憶、すべて思い出したよ」

「そうか! それはよかったな!」

 

…そして視線を前に戻すと控えていたのだろう悪魔とシホのデットコピーどもがすべて巻き込まれていた残りは約200体くらいだろう。

 

「ク、クク…なんだね、この世界は? 私は聞いていない…」

「狂っているところ悪いが…この世界は私の心象を外界に反転し映し出した世界…固有結界『無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)』よ」

「そんな魔法は聞いたことがない…! ありえないありえないありえないぃぃぃ!!」

「驚くことはない。これらはすべて贋作だ。本物と比べれば取るに足らない存在だろう」

 

ネギ達はシホの言葉に今一度剣達を見て思う。―――これらがすべて贋作? 真偽つけられるものなのか?と。

シホが右腕を掲げれば刺さっている剣達が主の願いを聞き届けたかのように地面から抜け浮かび上がる。

 

「我が愛しの吸血姫…あなたは何者なのですか!!?」

「この世界の主、『剣製の魔法使い』…いや『錬鉄の魔術使い』シホ・E・シュバインオーグ!」

 

シホの叫びに呼応して浮かび上がるすべての剣の剣先が悪魔とデットコピーの軍勢へと向けられる。

 

「さて、名の知らない悪魔。貴様が挑むのは無限の剣。剣戟の極地。恐れずしてかかってきなさい!!」

 

そこからは様々な剣の応酬がデットコピーどもをすべて斬り、裂き、焼き、貫いていく。

数の暴力という表現も当てはまらない圧倒的な蹂躙劇。

観客はネギとその仲間達にエヴァ達一行。

デットコピーはすべて滅ぼされ、後は悪魔一人だけ。致命傷になるものだけ避けて辛うじて命を繋いでいた。

だがシホはもう手加減しない事に決めている。

手に弓とある黒い牙のような剣を手に持ち、

 

「赤原を駆けろ! 赤原猟犬(フルンディング)!!」

 

放たれた赤き魔弾は悪魔へと一直線にかけていき悪魔は必死に回避を試みるがまるで生きているかのように急旋回をしては追い続ける。その姿はまさに猟犬にふさわしい。

そしてついに魔弾は男の腹に食らいついた。

そこに畳み掛けるように、

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!」

「ぐほぁー!?」

 

すごい破裂音と閃光に悪魔は包まれた。

爆発の煙の中からボロボロの悪魔が姿を現すが、シホは逃すはずも無く、

 

天の鎖(エルキドゥ)!」

 

悪魔を鎖で縛り上げる。

本来神性の高いものを拘束する宝具だ。神性がなければただ頑丈な鎖に過ぎない。

しかし時間稼ぎだけなら十分な時間である。

 

「貴様の魂はもう滅ぼす事決定なのよ。だから…最後はこれで決めてあげる」

 

シホの底知れない魔力が手に集まっていく。

衛宮士郎の時には造り上げるのも困難な代物だったが今の魔力容量なら造り上げる事は決して不可能ではない。

それは黄金の剣を次第に作り上げていった。

それは人々の願いにより星が造り上げた神造兵器、『究極の幻想』。

 

「滅びなさい、血に飢えた悪魔!!」

 

シホが振り上げた剣はもうあまりの輝きに剣の形が分からなくなるほどに光り輝き、そして、

 

 

約束された(エクス)―――……勝利の剣(カリバー)―――!!!」

「―――――――――ッ!!?」

 

 

振り下ろされた極光は悪魔を一刀両断し悪魔は断末魔の叫びを上げ還る事無く塵になって消滅した。

結局最後まで悪魔の名前は知る事無く決着はついてしまった。

そのあまりの余波で固有結界は砕けて辺りは元の学祭のステージに戻っていく。

シホは一息ついて、

 

「エクスカリバーなんて投影したからもう魔力が空っぽだわ…当分は回復を待たなきゃ…」

「シホ様~…私もちょっと自分だけの魔力じゃきついですよー」

「ごめんごめんタマモ」

 

タマモと会話をしているとネギが駆け寄ってきて、

 

「すごい…すごいです! シホさん!!」

「そうだな兄貴! なんせ世界の創造に宝具の雨霰の絨毯攻撃で最後は聖剣をぶっ放したんだからな!」

 

ネギ達の言葉を皮切りに一同が口々にすごいと言っているがその中で夕映が皆に聞こえるようにシホにある事をいった。

 

「シホさん! その、その翼で背中はいたくないですか?」

「あ………、うん。もう大丈夫よ、夕映」

 

シホは苦笑いを浮かべながらも悪魔の翼を背中に収納していく。

そしてすべてが消えるとただ残ったのは以前に見せた酷い削られたような痕だけだった。

それを見てネギ達は熱が冷めたのか冷静な思考を取り戻してきて、

 

「シホさん、その…」

「大丈夫ですよネギ先生。でも一つ言わせてください。それに皆にも…」

 

なんだろう?という表情になり、

 

「確かにさっき悪魔が言ったように酷い魔法使い達がいて私は今こんな事にされてしまったけど、でもそれは極一部のものだけよ。

だから魔法の世界そのものを嫌悪し嫌いにならないであげて…。

そして願わくば魔法と関わりを持つという事のその本質を見抜いて行動して。ただただファンタジーの世界の出来事だと思っていると私みたいに足元すくわれちゃうから」

 

それに全員は頷いた。どうやら分かってもらえたようだ。

 

「うん。それならよしね。エヴァ、ちょっといい?」

「ん? なんだ?」

「小太郎を学園長に会わせに行こうか。いつまでも無法滞在させておくわけにも行かないからね」

「そうだな」

「ってわけで小太郎。私達についてきなさい。かけ合ってみるから」

「おう! シホの姉貴!」

「あ、姉貴って…まぁいいわ。それじゃ楓、みんなの着替えを手配してくれる?」

「了解でござる」

 

それからシホ達はネギ達と別れて学園長室に向かっている最中、

 

「なぁなぁシホの姉貴! あんたは吸血鬼の真祖で強いんやろ?」

「え? まぁこれでも人間の時から『剣製の魔法使い』とか言われていたからそこそこの腕はあると思うわよ?」

「お! こりゃまたビッグネームやな。俺も話し聞いたことあるで」

「ちなみに私は『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』のエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」

「あんたも真祖かい。二人も真祖がいるなんて麻帆良は魔窟か?」

「あながちそうかもしれないな」

「そうね。他にも強そうなのは色々いるし」

「うー…こっちにいさせてもらえないかかけ合ってみるか? ネギもおるしアスナや刹那、楓姉ちゃん達もおるから強そうな奴がたくさんや。楽しめそうや」

「ふふ…それじゃまずはおそらく脱走だろう件は謝らないとね」

「うっ!…あたっとる」

 

それで笑いが起きた。

 

その翌朝、小太郎の願いは叶い麻帆良にいてもいいという事になりすぐにネギに会いにいって、そこでネギは『魔法拳士』になることを決めたのだった。

 

 

 




当時の自分に、どんな精神状態でこれ書いたの?と、小一時間くらい問いただしたいですね。



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