吸血鬼になったエミヤ   作:炎の剣製

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更新します。


035話 学祭準備編 学祭に向けての出し物決め

 

 

 

中間テストも終わり、ようやく落ち着けるかと思っていた矢先に今度は学園祭が始まるという事でシホはシホでお祭り騒ぎが好きな学校だなーと思う次第であった。

登校風景はそれはもう前夜祭にも劣らないほどの主に大学生が中心の仮装集団でごった返していて、見れば学園の目立つ場所にはパリの凱旋門かと疑うほどの出来の学園門というものが出来上がりつつある。

聞けばこの学園はサークルや部活などはお金稼ぎをしていいというものなのでより一層精を出す若者が多いとの事。

 

「…………この中でならタマモも元の姿でもただの仮装としか思われないのかしら?」

「それはどうなんでしょうかねー? 分かる人には気づかれてしまうとは思いますが」

 

シホの言葉にタマモも案外楽しんでいるようで言葉が弾んでいる。

それだけこの学園は学園結界の効果もあり気づく人が少ない認識なのだろうと納得する。

そういえば、とシホはとある数日前の出来事を思い出す。

それはもう報告も込めてお馴染みとなった学園長室での一コマ。

 

 

 

 

 

『―――……という事がありました』

 

シホは学園長にあの悪魔事件での出来事を伝えた。

それを聞いた学園長は一瞬ではあるが目を見開いた後に、

 

『そうか……シホ殿を……していた悪魔が現れてしもうたのか。よくぞ無事で済んだものじゃ』

『あはは……はい、なんとかこうして無事でいます。結局名前も聞き出せずに抹消してしまいましたけどね』

『ほっほ。還すどころか抹消とな。まぁシホ殿の過去の出来事を踏まえれば存在を消したい気持ちも分からなくはないかの。じゃがほどほどにの。その悪魔がどこでシホ殿の存在を嗅ぎつけたのか詳細は分かってはおらん。そして他にも知っているものがどこかで潜伏しているやもしれん。

儂の方でもいろいろと調べてはいるが尻尾は掴めておらんからな。これからもシホ殿は用心するに越したことはないからの』

『はい、私も気を付けて行動しますね』

『それならよしじゃ。ところでシホ殿、近々学園祭が近づいておるのは知っておるな?』

『はい。なんでも某ランドにも負けないほどの賑わいを見せるとかなんとか……』

『その通りじゃ。他にも今年に限っては見過ごせない案件がある。とある日に魔法使い達を集めて集会をするが、シホ殿も参加してほしいんじゃ』

 

学園長のそんなどこか真剣みを帯びた言葉に、シホも少し真面目な顔になり、

 

『なにかきな臭い案件ですか……?』

『まぁの。その時になったら呼ぶからそんなに今から緊張はせんようにの』

『わかりました』

 

それで学園長との会談は終わった。

 

 

 

 

 

 

そんな事を思い出しつつ、

 

「(本当にこの学園は飽きがこないものね……)」

 

と、少しばかりこの学園の空気に感化されてきているシホは、それでも客観的に見る視線も交えつつ『その時』というのを待つのであった。

 

 

 

 

そんな事を思いつつも教室に入るとなにやらきな臭い事を一同がやり始めているではないか。

それぞれ可愛らしい格好(おもにメイドに該当するもの)に身を包んで思い思いに楽しんでいるというもの。

 

「あ、エミヤンにアヤメさん、来たね! まずはおはよう」

「おはよう、朝倉」

「おはようございますー。ところでこの賑わいはなんなのでしょうか?」

「よくぞ聴いてくれた。私達は学園祭ではクラスの出し物は『メイドカフェ』でもしようかなって思ってね」

「なるほど……あれ? でも、出すものとかいつ決めてたっけ?」

 

シホの疑問に朝倉は少し苦い顔をしながらも、

 

「それがまだ決まっていないんだよ。でも委員長も話をしたら乗り気でメイド服各種を取り揃えてくれたし、いいかなって」

「そうなの……」

「というわけで、エミヤンも何かに着替えてよ!」

 

それで出される服装種類各種。

それにシホは一瞬眉を細める。

まず感じるのが記憶を思い出す前のシホのままだったら、素直に着ていただろうけど、今はもう『衛宮士郎』としての記憶も思い出されているわけで可愛い格好はあんまりしたくないのが本心であるシホ。

それでどうしたものかと思っていたところで目についたのがとあるバーテンダーの衣装。

 

「これを着てみるわ」

「それではわたくしめは素直にメイド服を着させてもらいますね」

 

シホはバーテンダーの服を。

タマモはメイド服を試着した。

そしてみんなの前に姿を現すとそれぞれ騒いでいた一同がシホを見て思わずどこかほう……っとした顔つきになる。

 

「シホさんって、そういう衣装も意外と、っていうかかなり似合ったりする……?」

「どうかしら? でも、バーテンダーの仕事なら前にしたことあるしそれなりには……」

「ほう……?」

 

そこで話を聞いていたエヴァが目を光らせていた。

その視線に気づいたシホは思わず身を引くがエヴァの目は訴えていた。

 

 

“貴様の腕を私の舌で試させてもらおう”

 

 

と。

それでシホは仕方がなくなぜかカウンターまで用意されているので、

 

「五月、ちょっと場所借りるわね」

「………―――どうぞ……」

 

それからはまだ一同は未成年なのでノンアルコールの物(エヴァだけはアルコールもの)を選び調合してプロも顔負けの腕でシェイカーを振って、コップに均等に注いでいく。

 

「どうぞ……」

「ふわー……色が綺麗……」

「匂いもどこか上品さがある……」

「シホさんはどこでこんな技術を……?」

 

委員長にそう聞かれてシホは曖昧な笑みを浮かべて惚けるしかなかった。

まぁぶっちゃけ衛宮士郎時代にルヴィア邸でのバイトで腕を磨いたというのが真相なのであるが、ここでは話すに話せないのである。

エヴァもすでに一口喉に通していて、一言。

 

「さすがだな……私の喉も久しぶりに唸ったぞ」

「お褒めにあずかり光栄です」

 

と、飲んだ人たちはそれぞれにシホの腕を褒めていた。

五月やチャオなども飲んでは「むぅ……」と唸っていてなかなかに好評であった。

そんな時にタイミングよくネギが教室に入ってくる。

 

「わぁっ!? な、なんですかこれは!?」

 

ネギは素直に驚き、この惨状をどうするか悩んでいたが生徒達に言葉巧みに誘導され出し物のお客役になっていて、生徒達がそれぞれどこかの怪しい大人のお店の女店員を彷彿とさせる行動をネギに試していて、

 

「……いいの、あれ?」

「放っておけ。馬鹿どものお遊びだ。それよりシホ、もう一杯くれないか」

「わかったわ」

 

そんな感じで場は流れていき、ついには新田先生が突撃してきて「全員正座!!」と相成ったのであった。

まぁあのままではネギが本気でお金を払いかねなそうであったので流れてよかったかもね

とシホは思うのであった。

そして結局、メイドカフェは新田先生によって禁止にされてしまったのであった。

お酒類はなんとか隠せたけども、ある意味ではよかったのかもしれない……。

 

 

 

 

 

 

 

…………翌日の事。

 

 

シホはエヴァに『超包子(チャオパオズ)』で一時的に働いてみたらどうだ?という提案を受けていたのだけど、さすがに今から頼み込んでもバイトのシフト関係で迷惑を掛けるだろうと思い、辞退をしていたのであった。

五月やチャオは残念がっていたが、まぁ仕方がない。

まぁそれはそれとしてシホとタマモは露店には顔を出してはいるのだが、

 

「あ、エミヤンにアヤメさんネ。来ていたノ?」

「ええ、チャオさん。なにか頂ける? ニンニクが使われているのもいいけど、少し苦手でね」

「わたくしは点心でも頂けますか?」

 

チャオにはまだ正体は明かしていないために、そう誤魔化しながらも頼むシホであったが、そこで意外な反応をされるとは思っていなかったシホ。

そう、チャオはこう言ったのだ。

 

「わかてるネ。シホさんは異界の人でエヴァさんと同じ(・・・・・・・・・・・・・)……。特別なものにしておくヨ」

「ッ!? チャオさん、あなたは……」

「ん? なにカナ?」

「…………、いえ」

 

その、チャオの邪気の無い笑みを向けられてシホは黙り込むしかなかった。

それでチャオはなんでもないように歩いて食事を取りに行った。

そんな後姿を見送りながらも、

 

「……シホ様。なにやらチャオからきな臭いものを感じました。彼女にはご注意してくださいね?」

「わかった。タマモもそう言うんならなにかあるんでしょうね。私も彼女の動きには警戒しておく……」

 

そんな会話をしながらも、それでも出てきた食事には美味さに舌鼓を打つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、チャオもチャオで裏方の方で壁に背中を預けて息を整えながらも思う事があった。

 

「シホさん……。私は正直アナタが怖いネ……。私の歴史には存在しなかった人物……『赤き翼』に加入してすでに歴史に干渉している。だからこれからどう歴史に影響してくるのか皆目見当がつかないヨ……。

…………せめてもの救いと言ってはシホさんに悪いが、シホさんが赤き翼の最終決戦に参戦しなかった事カ? これも歴史の修正力と言うモノなのカナ……?」

 

チャオの悩みは晴れなかった。

その頃、ネギはシホとチャオの会話など知る由もなく五月のスープを飲んで気合を燃やしていた。

 

 

 

 

 

 

そしてホームルームの時間。

今度こそ出し物を決めようと張り切っていたネギだったのだが、桜子の発言によってまた混乱することになる。

 

「『ドキッ☆女だらけの水着大会・カフェ♪』がいいと思いまーす!」

 

それで全員ずべっと滑る事になる。

 

「頭が痛いわね……」

「こー言う時にバカは困りますね」

 

一番後ろの席でシホが頭を抱えて、千雨がまた震えていた。

だが3-Aの勢いは止まらない。

『それだ……!』と納得するものが数名。

さらには、

 

「じゃあじゃあ『女だらけの泥んこレスリング大会喫茶』!!」

「負けねーぞ! 『ネコミミラゾクバー』!!」

 

と、バカ発言が続き、

 

「もう素直に『ノーパン喫茶』でいいんじゃないかしら?」

「「「それだああぁぁぁぁぁっ!!」」」

 

と、悪い方向に盛り上がりを見せていく。

それで意味が理解できなかったのかネギやのどかなどは震えて涙を流していたり。

それを誰にも聞かないようにと説得する龍宮の額にも嫌な汗が流れる。

さすがに中学生がしていい会話ではない。

 

「(さすがに黙っていられないか? このままじゃ死人(意味深)が出る……)」

 

と、シホも発言しようとしたところで、それも遅くハルナが落ち着いてある事を語り出す。

 

「確かに……可愛い女の子を見世物にするというのは些か単純かもしれないわね……それならいっそのこと逆で!」

 

起こるどよめき。

一同の目線の先にはネギがターゲットに入り、ネギは思わず震える。

 

「ネギ君をノーパンに!!」

「きゃあああああ!!?」

 

そして余りの騒ぎにまたしても新田先生が突入してきて、脱がされる途中のネギの姿を見てゾッとした顔をしながらも、

 

「なにをしているかー!! 全員正座!!」

 

それでまたしても出し物は決まらずに流れてしまう事になってしまった。

 

「うーん……あまりに統率がないうちのクラスはこんな調子で学園祭を迎える事ができるのかしら……」

「アハハハ! 中々に笑えるではないか!」

「わたくしもあまりの奇想天外さに笑いが抑えられませんよ~~!」

 

シホは心配し、エヴァとタマモは心底おかしく笑っていた。

 

「ちょっと、励ましにいってこようかな?」

 

と、シホはネギの後を追ったアスナに合流する。

 

「それで、アスナはどうするの?」

「どうするって……あれじゃどうしようもないわよね」

「なにかで発散できればええんやろうけどね」

「難しいものですね」

 

四人の視線の先には一人涙しているネギの姿があり、どう声を掛ければいいか分からないのである。

そんな時に五月がネギのところに現れて屋台に誘っていた。

五月の料理に素直に美味いと言うネギの姿を見て、もう大丈夫かな?と思っていたがそこに新田先生達が姿を現して思わず隠れるネギ。

五月の暴動を鎮める姿を見て、強い人だなと思いつつそこに新田先生に見つかってネギは絡まれてしまう。

そのままなし崩しに一緒に飲むことになったんだが、ネギは甘酒を呑んでしまい酔いつぶれてしまった。

さらにはネギが実は泣き上戸だったことが判明し、タカミチが来たことによって一時は落ち着いたのだが、

 

「違うんですぅ! 僕は強くなってないんですー! 僕っ……ただ逃げていただけなんです!! シホさんの事も何も知らずにとんでもない無知だったんですー!!」

 

とうとう鬱憤が爆発したのかその後もネギは「僕はダメ先生でダメ魔法使いなんですー!!」と危ない発言をぶちかましていた。

 

 

 

そんな中で、それを聞いていたシホはというと、

 

「やっぱり……10歳の子供には私の事はショックが大きかったみたいね……」

「ですね……」

 

そのままネギは屋台で寝かせてもらって、翌日に五月と何かがあったのかスッキリした顔になっていた。

その勢いとでもいうのか、ホームルームでは、

 

「それで僕の厳選と皆さんの投票をもって出し物は『お化け屋敷』にしたいと思うんですが、どうでしょうか?」

「「「「「「いいんじゃない!?」」」」」」

 

と、納得された。

こうして3-Aの出し物は『お化け屋敷』に決定したのであった。

 

 

 




原作を抽出しながらもオリジナルの場面も加えてみました。
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