吸血鬼になったエミヤ   作:炎の剣製

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更新します。


047話 学園祭編 楓との試合

 

 

 

 

超はシホとアル、そしてネギがあっている光景を目敏く確認していた。

 

「ふむ……なにやら込み入った話をしているようネ?」

「そうですねー。あ、シホさんがネギ先生に話に聞く宝石剣というものを向けましたよ!」

 

葉加瀬の言葉に超はすぐさまに、

 

「集音マイクをあの場限定で最大限に!聞き逃したらダメと私の勘が告げているネ!!」

「は、はい!!」

 

それで設定をいじって周りの音をすべて置き去りにする操作をしてシホを中心に言葉を拾えるように設定を完了する葉加瀬。

そしてシホが話した内容はというと、

 

『今からネギ先生に万華鏡のように連なる世界の一つ……私という異世界人がこの世界に介入しなかった世界のとある光景を見せます。そして決めてください。ネギ先生の判断に私は従います』

 

と言った。

そして七色の光が一瞬ネギを包んだと思った次の瞬間には、光は消えていたがなにやらネギの表情は色々な感情が綯い交ぜになったような表情に変化していた。

 

『し、シホさん……このヴィジョンは本当ですか……?』

『兄貴! なにを見せられたんすか!?』

『はい。もしもクウネルが決勝戦でネギ先生と戦った場合に起きたであろう並行世界での一端の光景です』

『そう、ですか……』

 

それで少しネギは黙り込んだ後に、

 

『…………わかりました。シホさん、父さんとも戦いたいです……でも、今の僕の気持ちは決まりました。弟子入り試験の時から成長した僕の力で挑ませてください。もちろん父さんの力を使わずに……』

『わかりました。私も全力とはいかずとも挑ませていただきます。でも、もう決勝に進出したつもりではいけませんよ?ネギ先生には準決勝で刹那が待っているんですから。私も楓がいますが…』

『わかっています。きっと、勝ち上がります!』

『その意気です。それでは私は先に準決勝を挑んできますね』

『はい!頑張ってください』

 

それでシホは舞台へと向かっていった。

それで残されたネギとクウネルはというと、

 

『ですが、クウネルさんがまさかシホさんに名前だけでも聞かされていました父さんの戦友の一人であるアルビレオ・イマさんだったなんて……』

『おや。並行世界では名乗っているんですね。あの一瞬の光の中でネギ君はなにをどこまで見せられていたのか気になりますが、はい。ですがこの大会ではクウネルで通してください。それとシホの言う通りになりますと彼の遺言は後程に改めてという事になりますかね?』

『はい。楽しみは取っておきます』

『わかりました。さぁ、ネギ君もシホの試合を見に行ってください』

『わかりました!』

 

そんな感じでネギも試合を見に行く。

そして一人になったアルは……ふと視線を超達が見ているだろう方へと向けて、指を口に添えて「しぃ……」と今の光景は内緒ですよ?と言わんばかりにジェスチャーした後に一瞬で姿を消した。

 

 

 

………………

 

 

 

「ふぅ……最後は少しひやひやしたネ」

「そうですねー……まさか気づかれているとは」

「あの調子だとシホさんにも気づかれていたのカナ?」

「どうでしょー……?」

「しかし、シホさんの能力の一つである『並行世界の運営』……すごいネ。並行世界の、しかもかなり限定的な光景だけを指定して切り出してネギ坊主に見せるだなんて……。だが恐らくそんなに連発は出来ないと見たネ?この学祭で魔力が満ちているから準備もなしに出来たと思うヨ」

「多分そうですね。もし無制限でしたら私達もきっと手が負えませんからー」

「そうネ。あれは並行世界から魔力も持ってこれるという話は茶々丸の聞いた話から知っているが、それは恐らく攻撃にも転用できて条件が揃えば無限の魔力も……という事にも使える……かなり恐ろしいネ。シホさん自身も実力は相当のものだというのは折り紙付きネ。ホントに敵にはしたくないヨ……どうにかこの学祭だけでも邪魔されないようにしないと計画の失敗は必須ネ」

「どうにかできればいいんですけどねー……」

「考えねば……」

 

それで頭を悩ます麻帆良の頭脳である天才二人がいたとかなんとか。

しかし、その天才二人もまさかシホ(厳密に言えばタマモ)に逆に手玉に取られているとは思うまい。

 

「(お母様、ビンゴです。お二人を発見しました)」

「(わかりました。そのままずっと張り付いていてくださいね、琳ちゃん♪最悪憑依して着いていてね?)」

 

二人の背後にはタマモの使い魔である管狐『琳』がずっと無言で二人に気取られずに張り付いていたのだから……。

そして他の三匹も今頃施設をくまなく冒険もとい探索中である。

焔と刃の二匹は「なにかたくさんのターミネーターや巨大なロボット発見したー」とキャッキャと報告してるし、雅は「高畑先生を発見……現在、脱出したのか移動中。尾行します……」と普段通り冷静に判断してタカミチに付いて行っている。お供のちびせつながキョロキョロと周りを気にしているが気づかれていない。

同じ使い魔でもレベルの差が天地ほどにありすぎるのだ……。

 

超ははたしてどうなるのかはわからない……。

タマモはタマモで当分は泳がせるのもありかなと思っている。

 

 

そして、そんなタマモとは関係なくタカミチを探すために来たという美空とココネがエヴァとの話で少し不安定ながらも気丈に振舞っているアスナ達と合流して地下に潜っていったとかなんとか……。

 

 

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

場面は戻り、シホと楓の試合になる。

 

「そういえば、シホ殿とはこうして相まみえるのは初めてでござるな?」

「そういえばそうね。別段争う理由なんてなかったわけだし」

「だが、こうして舞台は整えられてしまったでござるな。なにやらシホ殿はネギ坊主に用がある感じでござるが……信用してもいいでござるか?」

「まぁそれなりには……」

「そうでござるか。あいわかった……拙者としてもシホ殿という強者と戦えるのは素直に楽しみでござるからな」

 

それでお互いに笑みを浮かべるシホと楓。

 

『お互いにヒートしているようです!お二人は同じクラスの生徒ですので楽しみです!と言いますか、3-Aの関係者が多すぎじゃね!?という疑問を拭いきれません!とにかく準決勝第一試合、始めさせていただきます!』

 

朝倉の「Fight!!」という宣言とともに、すごい踏み込みとともにシホは楓に竹刀を叩きつけた。

一気に吹き飛ばされた楓は池へと沈んでいく。

 

「ふむ……手応えがないわね」

「いや……さすがの踏み込み、恐れ入るでござるな」

 

いつの間にか吹き飛ばされたと思っていた楓がシホの隣に立っていて身を震わせていた。ただし、4人いるが……。

 

『なんと! 吹き飛ばされたと思った長瀬選手、今噂の分身をしています!』

 

朝倉の声とともに二人は同時に姿を消して、見ればいつの間にか空へと飛んで四人の楓がシホに襲い掛かっていた。

そんなシホは冷静に四人に対処して攻撃を受けずに、しかしその瞳を光らせていた。

 

「密がある分身ね。ほぼ本体と同じくらいか」

「お褒め頂き光栄でござる。しかし攻めきれないのは些か辛いでござるな」

「そう。それじゃ私から行くわね?」

 

シホははなから分身には目もくれずに本体の楓へと斬りかかっていく。

楓はそれで目を見開きながら回避の行動を取るが、

 

「どうして本体が分かるでござるか……?」

「私の能力を教えていたっけ?解析魔術を使えば本体なんて簡単に特定できるわ」

「ずるいでござるなぁ……しかし、ただではやられんでござるよ!」

 

楓は空中で地面を蹴る歩法『虚空瞬動』を使い、四人同時に仕掛けて『朧十字』という技を仕掛けたが、錬鉄魔法で風を纏ったシホは無理やりに、しかし的確に高速の動きをして本体の楓を地面に叩きつけた。

そしてようやく地面へと着地したシホは、叩きつけた楓を見て、

 

「ほら。まだこんなものじゃないでしょ?楓」

「ふふふ……そう言われるともう少し粘ってみたいでござるな」

「そうこなくちゃ」

 

『先ほどまでの空中戦はすごかったです!ですが見る限りシュバインオーグ選手は一切息を切らしていません!長瀬選手も涼しい顔をしていますが、果たしてこの勝負どうなる!?』

 

楓はまだ負けたくない気持ちを前面に出して一瞬にして16分身をして、シホへと仕掛けていった。

しかし、シホは身体が紫電に光ると同時に……それはまさしく刹那の瞬間ともいえる一瞬で、まるで光が雷鳴のごとくじぐざぐに楓の分身本体構わずに迫っていく。

そして二人はそのまま交差して、

 

「…………」

「…………」

 

二人は無言。

シホは竹刀を振りぬいたまま停止し、楓は何かを仕掛けたかのように腕を上げたまま同じように固まっていて背中合わせに動かない。

 

 

『お互いに動かない! これは一体……ッ!?』

 

会場が少しの間、静寂に包まれたが、しばらくして、

 

「拙者の、負けでござる……」

 

見れば楓の服装は焦げたかのように黒くなっていて肌も何か所か少し痛々しく血が流れていて、特にお腹に受けたのだろう竹刀の傷がいまだに紫電が残っているのか斬られたかのように肌が露出していて青く痣になっていた。

気でガードしたのだろうが、それでも防げなかったのだろう……。

 

『長瀬選手、ギブアップ!シュバインオーグ選手の勝利です!長瀬選手はボロボロのようです!早く救護室に向かってください!』

 

朝倉の誘導で楓は舞台から去る際に、

 

「ネギ坊主の事、頼んだでござるよ?」

「任せて」

「しかし、世界は広いでござるな……シホ殿に手傷すら負わせられないとは。まだまだ修行が大事でござるな」

「そんな事はないわ。最後の一撃……少しだけ腕が痺れているから」

 

シホはそう言いながら腕を振っていた。

 

「そう言っていただけると戦った甲斐があるでござるよ。ではお互いにまだまだ精進でござるな」

「そうね」

 

シホも舞台を去ろうとする。

そして、ネギの方へと向き、

 

「待っていますよ、ネギ先生……」

 

そう言って舞台から降りていった。

そう言われたネギは逸る気持ちを抑えながらも、

 

「(シホさんが決勝へ駒を進めた……僕も、勝ってまたシホさんと戦いたい……でも)」

 

そこでネギはシホの先ほどのセリフを思い出した。

 

 

 

『もう決勝に進出したつもりではいけませんよ?ネギ先生には準決勝で刹那が待っているんですから』

 

 

そうだ。強くなるためには一歩一歩前進していくしかないんだ……どうしても刹那さんには勝たないと!という気持ちでネギは選手控室に行き、試合前の精神統一を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

選手席に戻ってくると、もうこの場にいるのは残り少ない選手の観客であるエヴァとアルがシホを迎えていた。

 

「シホ、勝ったか。まぁシホの実力を鑑みればアル「クウネルです」……クウネルが負けてしまえば後は出来レースみたいなものだったからな」

「フフフ……そうは言いますが、ネギ君の成長は目覚ましいですよ、エヴァンジェリン」

「そーかもしれんが、あのぼーやではシホには勝てんだろ?まず刹那にも勝てるか分からん」

「それはわからないわ。ネギ先生にはとある並行世界の光景を見せてきたから」

「……なに?」

 

それでエヴァが胡乱げにシホを、そしてアルを交互に見ながら、

 

「まさか宝石剣を使ったのか……?」

「ふむ、宝石剣とはなんでござるか……?」

「お金関係のものアルか?」

 

そこに首を突っ込んでくる古菲といつの間にか戻ってきたのか楓が聞き耳を立ててきていた。

シホはどう説明したものかと思ったが、エヴァが律儀に簡略的に説明してしまった。

 

「なんと……シホ殿はそんな能力も持っていたでござるか」

「まさにサポートも完璧アルな。まさか並行世界の光景を見せる事ができるとは……うはーでアル」

 

お手上げといった感じに古菲は折れていないほうの片腕を上げていた。

楓も「役者が違うでござるな」と素直に感心していた。

 

「しかし、そうなるとシホは決勝ではナギにはならないのか?」

「そうだね。ネギ先生も私自身と戦いたいって言っていたし、ナギの件は後程に改めてお願いしますって……そうよね?クウネル」

「はい。私としましては決勝戦でナギにコテンパンに打ちのめされるネギ君も見たい気持ちはありましたが……」

「わー……性格悪いアル」

「マ、コイツ的ニハ自分デ実行デキナイ以上ハ楽シマネェトナッテ感ジカ」

「まぁそうだろうな……さて、ではぼーやは刹那とはどんな勝負をするのか」

 

それで舞台を見れば精神統一を終えたのかネギが刹那とともに舞台へと上がっていく姿が見られた。

刹那は自然に、対してネギはまるで最初の試合かの様にガチガチになっていた。

 

「ありゃ? ネギ坊主、少し硬いアルネ」

「緊張しているのかはたまた……そういえば、ネギ先生と言えばアスナ達は?見ないけど」

「あぁ……そういえば先ほど美空達がやってきて高畑先生を救出するとかで数名で地下に潜っていったアルよ」

「そうなんだ? そりゃまた余計な手間が増えたわね……」

 

そう言うシホに古菲は「それはまたなんで?」と言った顔になっていて、

 

「タマモの使い魔達に超の施設を隈なく散策してもらっていて、タカミチも捜索してもらっているわ。ちょっとごめん……」

 

シホはタマモに念話をする。

少しして、

 

「タカミチはもう発見しているみたい。ついでになにやら重要な施設も発見したとか。なんかアスナ達や美空が田中さんの大群に襲われているとか……田中さんってあのロボット?」

 

タマモの情報により、その場に微妙な空気が流れたとか……。

ともかくネギと刹那の試合が開始されようとしていた。

 

 

 

 

 




古菲と楓は結構ずぶずぶにシホ達の情報を知っていってます。
そして超達は果たして……?
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