吸血鬼になったエミヤ   作:炎の剣製

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050話 学園祭編 ネギとの仮契約

少し、時間を遡り、無事(?)タカミチとのデートで失恋を経験したアスナはこのかとともにネギ達より先に別荘へとふて寝をしにきたのだったが、別荘に入った次の瞬間になにやら騒がしい事に気づき、

 

 

「あれ……?アスナぁ、なんか知らんけど騒がしいみたいやで?」

「関係ないわよ……今のわたしは高畑先生との失恋でいっぱいいっぱいだから……」

 

と、とぼとぼと中心までやってきて、そこでなにやら慌しく動いているエヴァと遭遇する。

エヴァは二人を目に入れると舌打ちをしながらも、

 

「……ちっ。おい、神楽坂明日菜に近衛木乃香。貴様らも少し手伝え!シホがいま一大事なんだよ」

「シホが!?」

「シホになにかあったん!?」

 

それで二人はエヴァにある部屋に案内された。

そこでは複雑な魔法陣がいくつも敷かれていてその中心に悪魔の翼が顕わになったままで苦しい表情を浮かべているシホが台にうつ伏せの状態で横になっていた。

 

「ちょっと……これ、どういう事よ?麻帆良武闘会の時に様子がおかしかったけどやっぱりなにかあったの……?」

「エヴァちゃん、シホ……どうなってるんや?」

 

アスナは顔を真っ青に染めてもうタカミチの事など頭の片隅に放りやる感じであった。

そんなアスナを気にしながらもこのかがエヴァにそう問う。

 

「落ち着け、お前ら。お前らももう見ている光景だがあの夜にシホがあの悪魔を倒しただろ?」

 

エヴァは一旦二人を落ち着かせてあの日の番の出来事を思い出させる。

それを聞いて無言で頷くアスナとこのか。

 

「その時にな。あろうことか悪魔の奴は死に際にシホの顕わになっていた悪魔の翼に呪詛を浴びせた……」

「呪詛……」

「それって、呪いって事……?」

「まぁそうだな。それがどういう訳か今更になって活性化してな。シホは大会後に我慢が効かずに悪魔の翼が暴れ出しておさまりが付かなくなったのだ」

 

それがこの結果だ。とエヴァは話す。

それなら!とこのかが手を上げてアーティファクトを起動しようとする。

このかのアーティファクトは完全治癒以外にももう片方の扇が異常状態を治す機能もあるからだ。

だが、エヴァは無言で首を振る。

 

「なんで!?」

「おそらく効果はないだろう。アヤメの宝具でも治せなかったのだからただのアーティファクトでは無理だろう」

「アヤメの……?アーティファクトじゃなくって、宝具……?なにそれ?」

「貴様らはもうアヤメが普通の生き物ではないくらい知っているだろ?あいつの正体は英霊だ」

「英霊……?」

 

それで首を傾げる二人。

エヴァは順に説明を入れていく。

アヤメの正体は過去の英雄・反英雄が魂を昇華させて英霊と化した存在であり、アヤメの正体はかつて安倍晴明に倒された九尾の狐である『玉藻の前』であり、そんな玉藻の前の宝具は呪いを打ち消すほどのものなのだ。

だが、サーヴァントに身を落としたためにランクは下がり、全開では使えないためにシホの異常状態の治癒までには至らなかったという事。

 

「よくわからないけど……つまりこのかのアーティファクトより効果はすごいって事?」

「まぁそこらだけでも理解してもらえていれば上出来だな」

 

エヴァにこけおろされている事にもアスナは気にした素振りも見せずにただシホのことを心配そうに見つめるだけだった。

 

「それじゃ、シホはどうなるの……?このままだと悪化もするかもしれないんでしょ……?」

「そうだな」

「そうだなって……そんな呑気な!」

「手はあるんだ」

「ウチ以外の手があるん……?」

「ああ。ぼーやだ」

「ネギ……?」

 

それでエヴァはネギを話題に出しながらも、シホの精神世界での話を二人に聞かせていく。

イリヤやもう一人のアインツベルン、そして例の名無しの吸血鬼もその場にいたことなど……。

 

「イリヤって……シホ達と一緒に遊んでいた子供の事……?」

「いや、シホの元の世界の義理の姉に当たる人物だ。いろいろ事情があってな。今はシホの中に魂が一緒に存在しているんだ」

「一緒にって……そんなことありえるの?」

「私だってそういう例は初めて見るんだ。だから詳しい事は分からん。ただ、ぼーやとの仮契約をするタイミングで一緒に外に出れるように飛び出す準備が……この部屋の魔法陣なんだよ」

 

それで部屋中の魔法陣を見せながらそう話すエヴァ。

 

「よーわからんけど、そのイリヤさんって人が表に出てこれるようになったらシホはどうにかなるん?」

「いや、肝心なのはもう一人のアインツベルンと言う存在の方なのだ。精神世界で少し話をしたが、なんでも創造をする魔法が使えるらしくてな。その権限の一部を使用してシホの魂にこびり付いている悪魔の残滓を吹き飛ばす計画らしい」

 

そこまで聞いて、アスナ達はネギがくるまで待つしかないって事になったので、

 

「なんか、ふて寝するつもりで来たんだけど、どうにもそんな状況じゃないわよね、このか……?」

「そうやね。高畑先生に失恋したんは今は棚上げやな」

「思い出させないで!!」

 

それを聞いていたエヴァはアスナの滑稽な姿で一通り笑った後に、

 

「クククッ……ふぅ、それじゃシホの看病は頼んだぞ。私は一回外に出てくるのでな。なに、すぐに戻ってくる」

「わかった。任せてエヴァちゃん」

「シホの看病を見るへ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから何日か経った(外の時間ではニ、三時間だが)あとに、一回出ていったエヴァが戻ってきた後にようやくネギ達が別荘の中に入ってきたという話を受けて、

 

「シホ……ネギが来たからもうすぐ苦しみから解放されるからね?」

「そうやで。もう少しの辛抱や」

「…………」

 

二人が話しかけるが、今はシホは気を失っており、荒い息だけがその場でされていた。

あと、何度も悪魔の翼が勝手に動いて暴れ出しそうになっていたので抑えるのに大層二人は苦労したというだけ。

勝手に翼を切り裂いてしまってシホになんらかの異常が発生したら目も当てられないからだ。

 

 

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

 

 

 

僕はあの大会後に、シホさんの事を探すことにしました。

試合中に見せたシホさんの異変……あれはただ事ではないと思いましたから。

でも、結局あの後はシホさんの事を発見は出来ませんでした。

ですのでその後には一緒にいた茶々丸さんや千雨さんと一緒にまだ回っていない皆さんの出し物に言ったりして、道中でシホさんと会えないかなと思って、結局夜までシホさんとは会えずに、そのまま退学するという超さんとも戦う事になって、流れ流れで僕と関わって魔法の事を知った皆さんと共に別荘へと向かう道中でアヤメさんにシホさんの現状を聞く事が出来ました。

なんでもやっぱり異変があったらしくてとにかく僕とカモ君の力が必要との事で……。

 

「アヤメさん……シホさんになにがあったんですか?」

「それは一回シホ様を見ていただいてからお話します。そうすればネギ先生のすることもおのずと理解できると思いますし」

 

アヤメさんは辛そうな表情でそう言いました。

いったい、シホさんの身になにが起きているのか……。

 

「ところで、早乙女さんらは大丈夫なのですか……?シホ様の事は表向きしか知らないのでしょう……?」

 

そうだ。ハルナさんと千雨さんはシホさんが吸血鬼って事も知らないし……。

どう説明しよう。

 

「そのご様子ではしょうがないですね。わたくしが説明いたしますからネギ先生はとにかくシホ様を救う事だけお考え下さい」

「わかりました」

 

それで別荘に入ると、当然ながらハルナさんや千雨さん……それに初めて中に入った楓さんもとてもビックリとした顔になってました。

 

「ネギ君!? ここどこ!?」

「どうやら異空間らしいでござるが……」

「やっぱ……着いてくるんじゃ……」

 

と、三者三葉の反応です。

分かります。最初は僕もとても驚きましたから。

と、そこに師匠(マスター)がやってきて、

 

「きたか。さて、話も急だがぼーや。少し顔を貸せ。シホがある意味危篤状態なのでな」

「危篤状態!? エヴァちゃん、シホになにかあったの!?」

 

と、先ほどまで驚愕していたハルナさんがいち早く反応していた。

なんだかんだでやっぱり友達思いですね。

 

「…………また面倒な。新人に一から説明するのには疲れるんだぞ、ぼーや?」

「すみません……」

「まぁ、魔法の存在を知っているのなら簡潔に話そう。シホは元人間であり現在はとある事情で吸血鬼だ」

「はぁっ!?」

 

やっぱりハルナさんはすごい顔になってるし、千雨さんも多少表情には出ていますが、なんとか頭の中で処理しようと難しい顔になっています。

 

「それだけ知ればあとは他の奴らにでも聞け。時間も惜しいのでな」

 

そう言って師匠(マスター)は背を向けて歩いていく。

僕達は急いで着いて行っている間に、のどかさんと夕映さんがハルナさんと千雨さんにシホさんの身に起きた悲劇を説明しているようで、それを聞いたお二人はとにかく目を見開いて顔を真っ青にしていたのが印象的でした。

それだけの過去をシホさんは秘めているというだけで改めてシホさんの傷は僕以上に深いと思います……。

 

そして、一つの部屋の前に到着し、師匠(マスター)は事前に「悲鳴は上げるなよ?」と忠告した後に、扉を開けると中には悪魔の翼を出したままで苦しそうな表情を浮かべているシホさんと、そんなシホさんをずっと看病していたのか少し顔に疲労の色が見えるアスナさんとこのかさんの姿がありました。

 

「これは……ッ!」

「シホさんは……大丈夫なんですか?」

「やっぱりあの翼は痛そうですー……」

 

みなさんがシホさんの事を心配しつつ、師匠(マスター)にシホさんの現状を聞きました。

悪魔の残滓が残した呪詛により苦しんでいる、そしてシホさんの精神世界に潜り込んで判明したシホさんの姉であるイリヤさんと言う存在と、もう一人のアインツベルンの存在……そして名無しの吸血鬼の存在……。

 

「シホさんは……多重人格だったんですか?」

「逆に聞くが、20年と言うむごい時間を過ごして心に傷が一つも残らないわけがないだろう。刹那に聞いてなかったのか?」

 

そう言われて刹那さんに聞くとまず「すみません……」と謝罪を受けた後に、シホさんの春の事件の時の話を聞かされて、僕はショックを受けました。

そんな事があったなんて……。

 

「ネギ先生にも話しておきべきでしたが、あの時はまだシホさんの事に関してはネギ先生には負担になると思い伏せていたのです」

「そうだったんですか……」

 

僕の為と言う感じでしたが、できれば教えて欲しかったです。

シホさんは僕にとって父さんと同じくらいに尊敬できる人物ですから傲慢ですが、もっと知りたいとも思っていますから。

と、そんな僕の個人的な考えはいまは伏せておくとして、

 

「それで、僕はなにをすればいいんですか……?」

「なに、簡単な事だよ。シホの中にいて表に出れないでいる奴らをパクティオーをしてそのタイミングで一緒に自由に出てこれるようにする。そして、出てきたものの力でシホに憑りついている悪魔の残滓を祓うと言うのが今回の目的だ」

 

ざっくりそう説明されましたが、ようするに僕はシホさんとキスをして仮契約を結ぶだけでいいと、そういう事なのかな……?

 

「おおっと? なんかラブな気配が感じなくもない感じ?でも、シホの意識がないのはどういうんだろうね?」

「そこは事後承諾で諦めてもらうしかないな。今は何よりシホを治すのが先決だ」

 

そう、ですね……。

とにかく今はシホさんが元通りになってくれるのが一番ですからね。

 

「わかりました。カモ君」

「オッケーだ、兄貴! 前々からいつかはって思っていたんでぃ!」

 

そう言ってカモ君は慣れた手つきで仮契約の魔法陣を描いていく。

するといつもと違って周りの魔法陣もカモ君が描いた魔法陣に重なるように連結して繋がっていく。

 

「よし。ぼーや、後はお前だけだ」

「ネギ。シホをお願い……」

「はい、アスナさん」

 

それで僕はシホさんとキスをして、光が上がったと同時に一枚のカードが現れました。

そこにはシホさんの姿が描かれていますし、なんなら他にも三人くらいの影が背後に見える感じで、とにかく特殊な感じのものでした。

そして、カードはひとりでに輝いてそこには一本の剣が浮かんでいました。

その剣は刀身が赤く、剣と柄の間に四つの色をした四角い結晶がそれぞれ埋め込まれているプレートがありました。

紅い結晶にはトランプでいうスペードのマーク、紫の結晶にはハートのマーク、青の結晶にはダイヤのマークが浮かんでいて……だけど、あと一つの結晶は他のとは違って黒く濁っていてそこに消去法で描かれているであろうクラブのマークは浮かんでいませんでした。

とにかく、そんなプレートが今度はひとりでに回転しだして青の結晶が刀身の向きに合わさった瞬間に、

 

 

 

【全異常削除】

 

 

 

そんな、どこか澄んだ女性の声が聞こえたと思いましたらその剣がシホさんの悪魔の翼を実際には斬れていないんだけどまるで切る裂くかのごとく、一太刀浴びせていました。

すると、どこからか遠い方向で、

 

 

 

 

 

《ぎゃあああぁぁぁぁ……――――》

 

 

 

 

 

という、あの時の悪魔の断末魔の叫びが響いてきました。

えっと……つまり、どうなったのでしょうか……?

それでシホさんを見ると、なんとシホさんの悪魔の翼が今までは黒かったのに白色へと変色していきます!

 

「ま、師匠(マスター)!これって……」

「恐らくは完全にあの悪魔が消え去った事で悪魔成分が抜けて翼も宿主をシホと完全に認めたという事になるのだろうな……詳しく調べんと分からんがこれでシホはようやく解放されたのかもしれん」

「そ、そうですか……」

「シホ様!シホ様!!」

 

アヤメさんがシホさんに寄りかかると先ほどまで荒い息だったシホさんの容態も落ち着いたのか規則正しい呼吸になっていました。

翼も勝手にまたシホさんの背中に収納されていき、普段通りのシホさんの姿に戻っていました。

 

「しかし、シホは良くなったはいいが……この剣はいったい……?」

 

もうそこには剣はなくカードに戻ってしまった状態で地面に落ちていました。

僕はカードを拾うと、師匠(マスター)はとにかく、よし!と言いながら、

 

「そうだな。シホも落ち着いた事だし目が覚めるまでは自由時間としよう。それと、早乙女ハルナに綾瀬夕映。どうせここにいるという事はぼーやと仮契約でも結んだのだろう?少しカードを見せて見ろ。悪くはせんから。ぼーやもその拾ったカードを見せろ」

「「「は、はい……」」」

 

謎の威圧感を放つ師匠(マスター)に僕と夕映さん、ハルナさんは仮契約カードを見せました。

 

「ふむ。では…………『登録』」

 

師匠(マスター)はシホさんとの仮契約カードを出してなんとシホさんの了解を得ずに勝手に三枚のカードを登録してしまいました!

というか、

 

「マスターカード側からでも登録ってできたんですか!?」

「ふふん。シホには悪いがこいつには使える手が増えた方が今後面白そうだと思ってな。私側のカードからでも登録できると言うのは試しでやってみたが、成功して安心だな」

 

その、どこか勝ち誇ったような顔をしている師匠(マスター)に事情を知っている夕映さんはともかく、ハルナさんはハテナ顔で、事情を聞くと、

 

「なにそれ!? シホのカードってずるい!!チートじゃん!!」

 

と、この世の不条理を嘆いていました。

そうですよねー。

今更ですけどシホさんの師匠(マスター)との間で現れたカードの能力はすごいです。

とにかく、シホさんが助かった事はよかったです!という事で僕達はようやく本格的に超さんについての対策ができる感じになってきました。

 

 

懸念としては僕とシホさんとの間で出来たカードはまだ不明瞭な部分がありますから、先ほどの剣と謎の声のことも含めて調査していく感じですかね。

そして、シホさんが目を覚ますのを待つくらいですね。

 

 

 

 

 




シホとネギが仮契約しました。

次回、やっとイリヤ達が表に出ますかね。

剣の形状はグリッ○ーブ○ードを参考に!

それと、できれば今日中に『剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ』の方も更新できたらいいなと言う感じですね。有休をちょうどとっていたので時間ありますし。
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