さぁ、何がおこるやら?
はじまり、はじまり、
陀来僧侶と光志郎、ルンバはインドのブッタガヤに来ています。
空は、どんより曇り、今にも雨が降ってきそうです。
この時期のインドは雨季の真っ只中で蒸し暑い日が続きます。
ブッタガヤは、お釈迦様であるブッタが、悟りをひらいた菩提樹(ボダイジュ)という木がある場所で、仏教の最高聖地とされており、ブッタを慕う仏教徒や観光客が訪れています。
「はぁ、ついた、ついた、それにしても蒸し暑いですね。これじゃ、日本の梅雨よりひどいですよ!」
光志郎はやけにまとわりつく気配を気にしながら、汗でべたつく体をタオルで拭きます。
「今の時期が一番のピークだからね、それにしても、今日の蒸し暑さはすごいかな?……さぁ、座って休憩としよう。」
陀来僧侶は、マハーボーテー寺院の前にある休憩所の椅子に座ります。
「うわぁ~高いお寺ですね。なんメートルあるのですか?」
ルンバが聞きます。
「たしか、52メートルだったかな。」
20階建てのマンション位の高さで、塔のように先が細くなっていく建物が、目の前に建っています。
「さぁ、光志郎君、この寺の中で瞑想をしようかね。」
三人は、陀来僧侶を先頭にマハーボーテー寺院にある、大菩提寺(ダイボダイジ)の中へ入っていきます。
大菩提寺の中は、外ほど蒸し暑くなくひんやりしています。
陀来僧侶は、懐から布をとりだして床にひき、その上にあぐらをかいて座ります。
光志郎も、陀来僧侶と向かいあう形であぐらをかいて座ります。
「ルンバもとなりにおいでよ、一緒に瞑想しようよ。」
光志郎がルンバを誘い、光志郎のとなりにルンバが座ります。
「さぁ、まずは、体の力をぬいて、ゆっくり深く呼吸するよ。…吸って……吐いて……」
光志郎はルンバを優しく誘導します。
光志郎とルンバの、深い呼吸のリズムがぴったり合っていきます。
陀来僧侶も二人の呼吸に合わせます。
光志郎、ルンバ、陀来僧侶の呼吸が合わさり、三人の思念が混ざり合っていきます。
三人の目の前には、菩提樹(ボダイジュ)があらわれます。
菩提樹の木陰には、僧侶が一人座っています。
「やぁ、待っていたよ。こちらに来て座りなさい。」
光志郎、ルンバ、陀来僧侶は、菩提樹の木陰に入り僧侶の前に座ります。
菩提樹の僧侶は、優しく穏やかな微笑みを浮かべ身体からは七色の光をはなっています。
「私は、君に伝えなければならないことがある。」
「はい、それを伺いに、あなたに会いに来ました。」
「まぁまぁ、そう固くならないで、何事も自然体でなければ半分も本質はみえないよ。そちらのお嬢さんもくつろいでください。」
菩提樹の僧侶は、目を閉じ、なにかを観ているようです。
「君は、ずいぶん変わった生い立ちがあるようだね。」
「自分では、わかりませんが、僕の周りでは変わったことがよく起きるようには思います。」
「…そうか、…だから、君なのか……」
「なにか、みえたのでしょうか?」
「いやぁ、これはまだ知る時ではないのだろう。私から伝えることではないなぁ、自然にわかるときがくるからまっていなさい。」
「はい、まっています。」
菩提樹の僧侶は、目を開き光志郎を見ます。
「君にやってもらいたいことがあるのだか」
「なんでしょう?」
「この人の世界は、実は4回目でな、今までに人類は3回仕切り直しているのだよ。どうやら、この世界には、私たちとは別の大いなる意識があるようで、なにかを目指すために私たち人は存在しているようなのだよ。」
「その、大いなる意識とは、なんなのですか?」
「君は、空(クウ)という思想はしっているかな?」
「はい、この世界にある物質も、頭に浮かぶ考えも、心にめばえる感情も、全ては空であり、空とは、有る無いにとらわれず、望む望まないにかかわらず、現実に存在する物質や現象、意識にめばえる形なき想像をふくむものだと思います。」
「まぁ、少し、かたくるしいが、そんなところであっているよ。それで、その空というのが、私は大いなる意識だと思うのだよ。」
「その大いなる意識が、なにを伝えようとしているのですか?」
「いゃ、正確には、大いなる意識は何も伝えてはおらず、そこから、こぼれ落ち発生してくる意識から、新な未来が産まれて伝わってくるのだが、それがこの世界の未来への可能性の元のようでな、それによると、この世界は、大きくバランスを崩しており、いつ崩壊してもおかしくない状況だそうでな、………君は、この世界を形つくる現実とは、何が影響していると思うかな?」
「う~ん、……それは、…私たちから出てくる思想や想像、感情が欲求となり影響して現実としてあらわれているのだと思います。」
「そうだよね、その欲求のバランスが崩れてきており、本来、空からこぼれ落ちてくる可能性を満遍なく繋いでいくはずの未来が、片寄りだし、社会秩序は乱れ、現実の自然現象にまで影響が出てきているのだよ。」
「ということは、最近おきている、太陽活動の低下にはじまり、異常気象、自然災害は、人類の意識思想が片寄ってきているからなのですか?」
「仏教は、全てを内包しており、本来、絶対神はおらず、世界は縁起でつながっているのだよ。ありとあらゆる世の全ての形なき死者が仏として、自然と互いに影響しあって世界の形を整えていく思想でな、時空を越えた縁のなかでそれぞれが成り立っいるのだか、最近の人類は、我欲に走り、他をかえりみず、己が自然の一部であり役割りの上に存在しているということを、忘れてしまったようなのだが?」
「いくつか、思いあたることはありますが、…時代とともに新しい宗教や思想があらわれ、我こそが神だと思い上がる………しかし、……それは、人間の自由意志による自己表現でもありませんか?」
「たしかに、人の自由意志が世界を形創るのではあるが、君を形つくっているのは、君自身の自由意志だけではなく、現在、過去、未来をとわず、君を囲む事柄が影響を与えているのではないのかな?人の自由意志が、生命のよりどころである大自然にまで影響を与えすぎなのでは?」
「それは、そうですが、人間の探求心が科学を発展させ、宇宙にまで広がろうとしているのも事実ですが、それも、悪いことなのでしょうか?」
「それは、悪いことではなく、むしろ、人の本質であり、それなしでは、人は意味をなさない。ただ、目的達成のために、他者の犠牲を省みず、独りの人が必要以上の我欲をむさぼっていいものだろうか?」
「その通りです。だからこそ、陀来僧侶のような、争いを好まず、慎ましやかでも満ち足りた思想を広げようとしている人間もいるのでは?」
「そうなのだよ、今なら、まだ、間に合う。だからこそ、君にお願いがあるのです。」
「なんでしょう?僕にできることであれば、愛と平和のために、やらさしてください。」
「これは、君にしかできないことなのだよ。君の能力がなければね。」
「サンシャイン ラブのことですか?」
「そう、その能力を増幅する秘宝が、ラサにあるのだよ。」
「ラサというと、陀来僧侶のガンデン寺があるラサですか?」
「そう、そのガンデン寺に隠された地下道があり、その奥に仏教の秘宝が眠っているのだよ。」
「わかりました、それを取ってこればいいのですね!」
「そうです。その秘宝を使って、世界中の人に君の愛と平和の思想を伝えてください。まだ、あきらめるには早い、多くの人はとまどっています。君の思念で語りかければ、きっと、人は立ち上がるはずです。どんな未来を望むかは、世界中の一人一人の意識による選択にかかっています。私にできることは、ただ、人を信じることだけです。」
光志郎はルンバの手をとり、陀来僧侶と顔を見合わせます。
「さぁ、帰りますか。」
陀来僧侶の声とともに、瞑想が解かれ、意識か身体に戻ってきます。
「いったい、あのお坊さんはだれだったの?」
ルンバが不思議顔で問いかけます。
「あれは、ブッタだよ、きっと、人を哀れみ、私達を導いて下さったのだろう。」
陀来僧侶は、印を結びマントラを唱えます。
「よ~し、愛と平和のためにがんばるとするかぁ!」
光志郎は、両手を挙げ、背伸びをします。
次の日、光志郎ご一行はチベット、ラサにあるガンデン寺へ向かいました。
どうでしたでしょうか?
次回は、チベット ラサでのトレジャーハンティングの話になる予定です。
さぁ、何がまつのか?
次回もよろしく!