三人にリサが加わり四人となったメンバーは、
鬼蜘蛛の恐怖、蛇の呪縛、豚の誘惑を振り払い、次への入口の井戸を見つけます。
四人は、ロープをつたって地下4階層へ向かいます。
さぁ、何が待っていることやら?
はじまり、はじまり、
案内人のポタラを先頭に、ルンバ、リサ、光志郎の順番で、井戸にたらしたロープをつたって、漆黒の闇へ降りていきます。
「残念ながら、ロープはここまでです。…後は、飛び降りるほかありません………いいですね!」
ポタラは、ロープから手をはなし漆黒の闇のなかへ落ちていきます。
「お姉さま、リサ、怖いわ!」
「大丈夫よ、リサちゃん、さぁ、私と一緒に行こうね!」
怖がるリサに声をかけ、ルンバとリサは、同時に落ちていきます。
続けて光志郎も、何のためらいもなく奈落の底に落ちていきます。
どれくらいの時間をかけて落ちたのかわかりません。
永遠でもあり、一瞬でもあったように感じます。
気がつけば、四人は地面の上にいました。
どうやら、四人は、高い山の頂上にいるようです。
周りは、辺り一面何も無く、乾燥した大地は砂煙をあげています。
下の方には、川が流れているのが見えますが、その先にもずっと続いているようです。
「ポタラさん、いったい、ここは、どこなのでしょう?」
光志郎はポタラに聞きます。
「はっきりとは、わかりませんが、今までの流れからすると、奈落の底…俗にいう…地獄だと思うのですが。」
ポタラは、下の方の川を見ます。
「さしずめ、あれが、三途の川のようです?」
「これは、現実なのですか?」
光志郎は、ポタラに聞きます。
「私達がいうところの現実とは大分違います、今でいうところのVRプログラムの世界といいますか……三次元の物理原則は当てはまらないと考えた方がよいでしょう。」
「それでは、何の原則でこの世界は動いているのでしょうか?」
「おそらくではありますが、思念によるイメージの力だと思います。……皆さん、決して、諦めないでください!……諦めた時点で、肉体は消滅し、他の死者同様にこの世界の原則に従わざる負えなくなるはずです。」
ポタラは、真顔で言います。
「いや~ん、リサ、怖~い、お姉さま、守ってね!」
リサは、ルンバにすり寄ります。
「リサちゃん、ここで起きることは全部、幻だからね、諦めないでね!」
ルンバは、自分に言い聞かすように、リサに言います。
「とりあえずは、あの川を渡ってからということですね?……それならば、渡るしかないでしょう!」
光志郎は、どこまでも前向きに川に向かいます。
河原のふちでは、子供が石を積んでいます。
「あの子たちは、何をしているのですか?」
ルンバは、不思議そうに聞きます。
「仏教では、親より先に死ぬだけで罪となります。…あの子たちのせいでは決してないのですが、親が死ぬまでずっと、ああして石を積み上げるしかないのです。」
ポタラが説明していると、鬼がきて子供が積み上げた石を崩していきます。
「ひどい!あれに意味はあるの?」
リサは、自分のことのように怒ります。
「この世界に意味は無いのです。……悲しいかな、凝り固まった魂の浄化が目的であって、ただ、決められた法則を繰り返すだけなのです。……ちなみに、地獄の中にも、8つの階層がありまして、上から、等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄、無間地獄となり下へ行くほど苦痛は厳しくなります。それぞれの生前の罪の深さによって、どの地獄へ送られるかは決められます。」
ポタラは、真顔で説明します。
光志郎のそばに、いつの間にか、意地の悪そうな婆さんがやってきています。
「おい、お前たち、金は持ってきたか?」
婆さんは、いきなり、訳のわからないことを言い出します。
「このお婆さんは、奪衣婆(ダツエバ)といって、川の渡り賃として、六文を集める役なのですが、あいにく私達は一文無しですので、代わりに、私達の服を剥ぎ取りにきます。」
ポタラが説明していると………
「ほお~、よく、しっているじゃねえか、さっさと、服を脱ぎな!」
奪衣婆は、光志郎の服に手を掛けます。
光志郎は、奪衣婆を睨み付け軽く振り払うと、奪衣婆は吹っ飛びます。
「あれ、やり過ぎちゃたかな?…お婆さん、大丈夫?」
光志郎は、自分の力に驚きます。
「だから、この世界では、思念によるイメージ力が、そのまま強さとなると説明したでしょ!肉体のまま、この世界に来た私達は、いわばゲームのバグの様なものです。早い話が、チートですよ!」
ポタラは、ニヤリと微笑みました。
「思念エネルギーの強さに比例するということは、サンシャイン ラブの能力を持つ光志郎は、無敵ということですか?」
ルンバも微笑みます。
「今の光志郎君なら、ルンバさんとリサを抱えて簡単に川を飛び越えられるはずです。…私に付いてきてください。」
ポタラは、ビヨーンと川を飛び越え、向こう岸へ渡ります。
「さぁ、行くよ!」
光志郎は、ルンバとリサを両脇に抱えて川を飛び越えるイメージをします。
ビヨーン
「はぁ~い、上手くできました!」
リサは、光志郎をからかいます。
川を渡ってしばらく行くと、
「おい、お前は、生き物を殺したことがあるか?」
鬼が、ポタラに聞いてきます。
「お前は、等活地獄の鬼だな、……私は、これでも、僧侶のはしくれ、殺生は好かんわ!」
ポタラは、鬼を睨み付けます。
「本当だな、ゴキブリ一匹殺していないな?…もしも、殺していたら、果てし無い殺しあいの刑罰だぞ!」
鬼は、しつこくポタラに詰め寄ります、
「だから、殺さない程度にしごいて殺るだけだー!」
ポタラは、鬼をぶっ飛ばしました。
「さぁ、次、行きますよー!……ポタラさんを怒らすのはやめといた方がいいかも?」
光志郎は、真顔でうなずきました。
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「やい、てめえ、盗みをしたことはあるか?」
鬼が、ルンバに聞いてきます。
「ルンバさん、今度は、生前に窃盗をした者を、熱く熱した斧で皮膚を削がれる刑罰の黒縄地獄ですよ。」
ポタラは、ルンバに、そっと耳打ちをします。
「私は、真面目で有名なのが自慢てす!……窃盗などするわけないでしょ…不愉快です!」
ルンバが、あまりにも、キッパリ言うので、鬼は、気迫負けして逃げていきました。
さぁ、次、行くよー!……さすがは、僕のルンバちゃん、惚れ惚れする~!」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「おい、そこのお前、愛する相手意外に手を出したりしたことは無いか?」
鬼は、光志郎に訪ねます。
「光志郎君、ここは、衆合地獄、いわゆる不倫をした者を色気で誘いだし、ノコノコ出てきた所を巨人が踏み潰すを繰り返す刑罰をする場所です。」
ポタラは、光志郎に教えます。
「なるほど、ならば言おう、この絶望光志郎、生まれて此の方、妄想ルンバ以外の女性を知らん、……絶望光志郎は、妄想ルンバを愛しています。」
光志郎は、スッキリした顔で、鬼を軽く押すと、あまりの衝撃に驚いて逃げていきました。
「ただのおのれけかー……それでは、次へ行きますよ!」
ルンバは、照れながら言いました。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「酒飲みはいないか?……お前、やたらと、酒ばかり飲んでないか?」
鬼が、ポタラに聞きます。
「飲んだくれを熱した金棒で叩く刑罰の、叫喚地獄ですね。僧侶は酒を飲みません。………残念!」
ポタラは、鬼を蹴っ飛ばします。
さぁ、次、行くよー!…酒は飲んでも飲まれるな!
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「嘘つきはいねいか?……嘘つきはいねいか?……」
鬼がやってきます。
「ここは、大叫喚地獄ですね。…ああやって、生前に嘘をついた者をばっする地獄で、熱々に熱した鉛を無理やり喉に流し込むのです。決して、嘘をついたと認めてはいけませんよ!」
ポタラは真顔で説明します。
「おい、そこの小娘、お前は、嘘をついたことがあるか?」
鬼は、リサに詰め寄ります。
「はぁ~、今時、何をいってんのよ、嘘も方便、本音と建前ができて、社会は上手く回っているのよー!……あんた、でっかい図体して、バカなの~?」
鬼は、リサの気迫に押されぎみです。
「なんだとー、お前は家族もいないで、寂しくないのかー?」
鬼も、負けずと切り返します。
「そんなの、寂しくなんかないわよ!」
「本当に寂しくないんだな?…嘘じゃないんだな?……本音をいえば、お前の両親にあわしてやるぞ!」
鬼は、リサの弱みに漬け込み、心を揺さぶります。
「本当に…会わしてくれるの……?」
「駄目だよ、リサちゃん!…リサちゃんには、私がいるじゃない!」
ルンバは、リサの手を握ります。
「寂しくなんかないわよー!………あっちいって!」
リサは、鬼を蹴っ飛ばします。
「うわぁ~、こりゃ、たまらんわー!」
リサに蹴っ飛ばされて、鬼は逃げていきました。
「ねぇ、お姉さま、ずっと、リサのそばにいてね、約束よ!」
リサは、ルンバに抱きつきます。
「さぁ、次、行くよー!……嘘も方便か~?」
光志郎は、ニッコリ微笑みました。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「うわぁ~……今までとは違って、やけに暑い所だなぁ~……ポタラさん、次は、どんな地獄ですか?」
「え~っと、焦熱地獄といいまして、殺生、窃盗、色欲、飲酒、嘘、の全ての罪を犯した者がくる場所でして、体中をバラバラに切断されたあげくに、地獄の業火で火炙りにされるを、ひたすら繰り返す刑罰です。」
ポタラが、説明している間も、そこら中で悲鳴が飛び交います。
「うわぁ~、気持ち悪いこと言わないでよ~」
リサは、青ざめた顔をしてルンバに抱きつきます。
「おい、お前たち、何を呑気に楽しんでいるんだ……なめてんのか?」
光志郎の前に、今までの鬼の二倍はあろうかという牛頭の鬼がいます。
「お前らは、俺が怖くないのかー?……いったい、何処から来たのだ!」
牛頭の鬼は、今までの鬼よりは賢いのか、光志郎たちを警戒して、いきなり仕掛けてはきません。
「こいつは、牛鬼といって、鬼のリーダーのような者だよ、だけど、まだまだ…………まぁ、私に任しておきなさい。」
ポタラは懐から、ヴァジュラ(サンコショ)という両側に三股の突起がついた30センチ程の武具を取り出し、牛鬼を殴り付けます。
牛鬼は、よろめき、後ずさりします。
「ほお~、なかなか、頑張りますね。それでは、これでも、立っていられますか?」
ポタラは、助走をつけてヴァジュラで突き刺します。
「おわぁ、」
さすがに、牛鬼も崩れ落ちます。
「さあ、命までは取りません。…おとなしく通しなさい!」
「う、悔しいが、お前、強いな!…だけど、この先の大焦熱地獄の虎鬼は、俺の10倍強いからな!」
「ポタラのおっさんって、めっちゃ、強かったんだね!」
リサはポタラを見直しています。
「このヴァジュラは、密教の法具でして、マントラで私の守護神の迦桜羅(カルラ)の力が練り込んであるんですよ!」
ポタラは、自信満々にいいます。
「迦桜羅というと、あの大日如来の八部衆で仏教の守護神…鳥頭人身有翼のですか?」
「そう、光志郎君、よく知っていたね!……ちなみに、陀来僧侶の守護神は、大日如来なのですよ!……つまりは、私と陀来僧侶の守護神同士も侍従関係なのですよ!」
ポタラは、嬉しそうにいいます。
「さぁ、次へ行きますよ!」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
しばらく行くと、釈然の熱風が吹き寄せてきます。
真っ赤に熱っせられた、川が流れており、虎の頭をもつ鬼が罪人を川へ突き落としています。
「ここは、強姦をした者がくる場所で、グツグツと煮えたぎる川に落とされ、体が無くなるまで魚についばまれるということを、繰り返す刑罰です。」
ポタラが、大焦熱地獄の説明をしていると、虎の頭の鬼がやってきます。
「この、虎の頭をもつ鬼が虎鬼といいまして、牛鬼の十倍の強さを………」
ポタラが説明をしていると、虎鬼がポタラをつかみ、川へ放り投げます。
ポタラは、背中から赤い鷲の翼を出して、ヒラリと舞い戻ってきます。
「何者だ、貴様!」
虎鬼が、叫びます。
「これは、守護神変化といいまして、マントラを唱えイメージする事により守護神と同等の力を使うことが出来るようになります。…ただし、相当な修業が必要ですがね!」
ポタラは、説明をしながら虎鬼を上空からヴァジュラで攻撃します。
加速の付いた上空からの攻撃で、虎鬼は戦意を消失します。
「待ってくれ、お前、強すぎ!……通してやるから、黙って行ってくれ!……それにしても、最近の地上はどうなっているのだ、やたらと、殺伐とした心の罪人がやってくる、地獄も定員オーバーで困ったものなのだ!」
虎鬼はうなだれます。
「たしかに、弱肉強食の競争社会が現実な世の中ですからね、強い者はより強く、弱い者はさらに弱く、なかなか希望がもてない時代で、ある意味、この地獄よりもひどいかもしれませんね。………それが、人の世を終焉に向かわせているようで、……私達は、それを止める為にここまで来ているのです。」
「そうだったのか、また、人間の世界は終わるのか?……悲しいことだなぁ……俺たちも、好き好んで人間を罰しているわけではない、これも、魂を浄化させ次への修業へ向かわせる為にしているのだ!」
光志郎たちは、虎鬼に別れを告げます。
「さぁ、次の無間地獄で最後ですよ……行きますよ!」
ポタラを先頭に四人は、煮えたぎる川を飛び越え、先へ向かいます。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
しばらく行くと、崖っぷちにでます。
「ポタラさん、この先は行けそうにないです。」
光志郎は、崖っぷちを覗くと、漆黒の闇が広がっていました。
「ここから先が、地獄の本番です、この先の無間地獄では、今までの7つの地獄をたした千倍の苦しみが待っています。………皆さん、弱気は禁物ですよ!……さあ、付いてきてください。」
ポタラは、漆黒の闇の中へ飛び越みます。
「ルンバちゃん、リサちゃん、一緒に行こう!」
光志郎は、ルンバとリサと手を繋いでポタラの後を追って漆黒の闇の中へ飛び越んでいきました。
はい、今回のお話は、ここまでです。
無間地獄とは、どんな所なのでしょうか?
それは、次回のお楽しみ!
【挿絵表示】
私が、子供の頃に、永井 豪 という漫画家さんがいまして、マジンガーシリーズにデビルマン、今でいうところのスパロボの元祖ですかね、あの時代にしては、結構なエロ&バイオレンスにコミカルな作品でした。今回の地獄編もデビルマンのような話になればと思いましたが、なんせ、光志郎君は、愛と平和主義者ですからね、次回は、頑張って、地獄のバトルに挑戦しようと思います。
デビルマンは、いつまでたっても私のなかでは、ナンバーワンの名作です。