楽笑おじさんと絶望こぞう   作:楽笑

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世界を救う為に、仏教の秘宝を探しに地獄の最下層まできた絶望光志郎たちは、炎の城の閻魔に会い、氷の城にあることを告げられます。
氷の城では、魔女ダッキーニの幻術に惑わされたが、なんとか切り抜けた光志郎たちは、次に待つ魔界竜ヴリトラの元へ向かいます。

さぁ、何がおこるやら?

はじまり、はじまり、




20話 キャッチ ザ モーメント ⑦ 阿吽《終わり・始まり》

光志郎は、ルンバとリサ、ポタラの幻術を解き、扉を開いてヴリトラの待つ部屋へ向かいます。

 

「いやぁ~私としたことが、幻術にかかるとは、すみません!……あのまま全員が幻術にかかっていたら、永遠にダッキーニに捕らえられていただろうね。」

ポタラは、申し訳なさそうに頭を下げます。

 

「気にしなくていいですよ、お互い助けあってきたのですから!…それよりも、ヴリトラとは何者なのですか?」

 

「ヴリトラに関しては、障害、囲うもの、天地を覆い隠すもの、さまざまな二つ名があるのだが、現在では、総じて水を操り災いを起こす者のようで、意味嫌われる存在であり、一方では、信仰の対象でもあるようだ。……古くは、古代インド神話のリグ・ヴェーダに登場しており、炎の中から産まれたそうで、雷神インドラによって、水の元を隠していたヴリトラが倒され、乾燥した大地に水が流れ込み、地球が出来たという地球創世の話なんだよ。……面白いことに、インドラがヴリトラを倒した際に使った武器がヴァジュラだそうだ!」

ポタラは、自分のヴァジュラを見せながら話ます。

 

「それが、本当なら、かなりのヤバイやつですね?」

光志郎は、少し渋い顔をします。

 

「ねぇ、おっさん、…ゲームやアニメにも竜の姿でよくでてきているよ!」

リサが、話に入ってきます。

 

「そうなの、意外とメジャーなのですね。」

ルンバは、リサにニッコリ微笑みます。

 

「どちらにしても、会ってみないと分かりませんからね、……あまり力ずくというのは好きではないのですが、当たって砕けろ、ゴーホーブロックですね。」

 

「砕けてはダメでしよ!」

ルンバが、光志郎にニッコリ微笑みます。

 

 

そうこう話て歩いているうちに大きな地鳴りのようなイビキが聞こえてきます。

 

曲がり角を曲がると、とてつもなく広い空間に真っ黒な大きな竜がとぐろを巻いて寝ています。

 

 

「光志郎君、寝ているようですね、……このまま先に進みますか?」

ポタラは、光志郎に小声で話ます。

 

「いや、せっかくここまで来たのですから、ヴリトラと話たいことがあります。…思念をあわせますのでルンバちゃんとリサちゃんは離れた所に隠れて少し待ってて下さい。」

光志郎は、眠っているヴリトラに思念をあわせます。

 

 

………………………

…・・・・・・・・・・・

・・・…………………・・・……

…………………………………………………………………………………『誰だ、……ワシの意識に勝手に入ってくるのは、………せっかくの眠りを邪魔しやがって、……殺されたいのか?」

 

 

『眠っているところをどうもすみません。……貴方と話がしたくて人間界からはるばるきました。……どうぞ眠ったままで結構ですので、僕と話をしてもらえませんか?』

 

 

『ワシは、本来なら、二千年ごとに目を覚ますのだ、坊主の話がくだらないようなら食い殺すからな!』

 

『はい、くだらないと感じた時には、どうぞ食ってください!』

 

『ほぅ、なかなか肝の座った人間もいるものだな、……早く話してみろ!』

 

『ありがとうございます。…それでは、単刀直入に聞かせていただきます。……僕たちは、人間が滅ぶのを止めたくて仏教の秘宝を、ここまで取りに来ました。……僕が思うに、あなたがそれを隠しているのではないのですか?』

 

『坊主、鋭いな!……お前の探す、仏教の秘宝は、ワシの中にある!……しかし、人間は、またしても同じ過ちを繰り返すのか?…つくづくアホとしか言いようがないな!』

 

『はい、僕も、そう思います。』

 

『分かっていて、まだ、助けようとするのか?……アホは見捨ててお前たちだけで、このまま天界道へ行けばいいではないか?』

 

『それでは、せっかく何千年も掛けて自然の中で培った進歩の歴史が無駄になります。……今、ここにある命は僕だけのものではない、奇跡の結果だと思います。……僕は、愛と平和こそが人間の本質だと信じています。』

 

『愛と平和だと、…くだらないことをいうな!……食うぞ!』

 

『まだ、話しは終わっていません!…もうしばらく話に付き合ってください。』

 

『たしかに、お金という見せ掛けの自由によって、人間の欲求は限度を越え、世界中が不満を抱え見えない争いを繰り返し、大自然の生態系が崩壊の危機にまで及びそうです。

しかし、言葉なき大多数の人々は、そこに満足は無いということに気づきはじめ小さな抵抗をしているのも見逃せません。……僕は、そんな我慢強い心ある人々に未来を届けたいのです。…欲にとらわれ、勘違いをしている人々も心で伝えれば気づくはずです。…その為に、貴方の持つ仏教の秘宝を使って世界中の人々と、言葉では無く心で繋がらなければならないのです。』

 

『ほお~、お前の言いたいことは理解した。…………それでは、ワシを殺して奪うがいい!』

 

 

 

 

光志郎は、ヴリトラの意識から無理やり追い出されます。

 

 

静かに横たわる静寂を崩し、折り重なるしめ縄のような巨体が波打ちだします。

 

「小僧、……お前の求めるものは、わしの中にある。……ワシを倒して手にいれてみろ!」

ヴリトラは、切り裂くような冷たい冷気を放ちながら叫びます。

 

更なる冷気をまとった大気は一瞬で凍りつき、辺り一面ピリピリとした気迫により、光志郎たちは、固まりと化します。

 

「ふんぬ!、気遅れるな!」

ポタラは、気合いとともに膠着状態をとき、全員に覇気を送ります。

 

「守護神変化だ、光志郎君!」

ポタラは、マントラを唱え、迦桜羅神(カルラ)の力を身にまとうと、真っ赤な翼に黄金のくちばしをはやします。

 

「オンマユラキランディソワカ」

続けて光志郎もマントラを唱え、孔雀明王の力をまといます。

 

「はっはっはっー、何をしようがワシには勝てぬわー!」

ヴリトラは、20メートルは有ろうかという筋肉質の極太な体格をうねらせ、空に舞い上がります。

 

ポタラと光志郎の二人の翼をまとった鳥人が、圧倒的なヴリトラの猛攻を掻い潜り頭部への打撃を打ち付けます。

 

「ふん、きかぬわ!……」

ヴリトラの硬い鱗が二人の攻撃をものともせず、跳ね返します。

 

「ポタラさん、あの硬い鱗には、攻撃が通じません。」

 

「まだまだ、こっちにだって奥の手がある」

ポタラは、懐からヴァジュラを取り出し握りしめます。

 

「光志郎君、リグ・ヴェーダの神話によると、インドラは、ヴリトラの口の中にヴァジュラを突き刺して倒したとある、私があいつの口の中に飛び込むからその隙をつくってください!」

 

「ひとつ間違えば、噛み殺されますよ。……危険過ぎる!」

光志郎は、真顔で答えます。

 

「危険でもなんでも、あいつを倒さなければ未来は無いのですよ。………いいですね、頼みますよ。」

ポタラも、真顔で答えます。

 

二人は、互いにうなずき、ヴリトラに向かって行きます。

 

 

ヴリトラは、口から、光志郎めがけて紫色の毒液を噴射します。

 

光志郎は、孔雀明王の解毒の能力により無効化します。

 

「ほぅ、さすがは、毒蛇を食らう孔雀の化身といったところか、では、これはどうかな?」

ヴリトラは、五本の鋭い爪で光志郎を切り裂きます。

 

光志郎は、厄難を振り払う翼で体を防ぎ防御します。

 

「なるほど、守りは固いということか、……だが、守ってばかりで勝てると思うか?」

ヴリトラは、大きく口を開け、光志郎を食らいにきます。

 

「ポタラさん、今です!」

光志郎は、自ら、大きく開けたヴリトラの口に飛び込み、自分の体を使ってつっかい棒替りにします。

 

「行くぞーー!」

ポタラは、真っ赤な翼に炎をまとい、ヴァジュラを掲げて、ヴリトラの口の中へ突っ込みます。

 

「ウオワァーーーー」

口の中に、炎の矢と化したポタラのヴァジュラが、ヴリトラの内部を切り裂きます。

 

さすがのヴリトラも、力を失い地面に落ちて横たわりました。

 

「待って、殺さないで!」

止めをさそうとするポタラに、突然、飛び込んできた、ダッキーニが割り込みます。

 

「彼を殺さないでください!……仏教の秘宝とは、このドクロなのです。」

 

「それは、貴女の大切な人のドクロではないのですか?」

光志郎は、ダッキーニに聞きます。

 

「そうです、私の大切な人であり、ここにいるヴリトラの物でもあります。」

 

「どういうことなのですか?」

 

「私とヴリトラは、まだ、この星が形づくられる遥か昔にやって来た、アスラ族と言う宇宙人なのです。……アスラ族は、この星を新天地として開拓していたのですが、そこに、ディーバ族と言う別の宇宙人がやって来たのです。……私たちは、争いを避け、ディーバ族と共存しようとしましたが、ディーバ族は、インドラ率いる戦闘にたけた種族であり、私たちアスラ族は敷いたげられる存在になっていきました。……しかし、私たちアスラ族にも戦闘体に魂を移して抵抗する方法がありましたが、一度移した魂は戻れないという悲しいものでした。私の大切な彼も、元の身体を捨て、戦う為に新しく開発された最強の戦闘体に魂を移したのです。……それが、今、あなた方が倒した魔界竜ヴリトラであり、その元の身体の頭部が、このドクロなのです。」

ダッキーニは、光志郎にドクロを差し出します。

 

「しかし、なぜ、そのドクロにそんな能力が宿ったのですか?」

 

「彼には、元から、何人にでも同時に心を繋げられるという不思議な能力がありました。……きっと、その能力がこのドクロに宿ったのでしょう?……ですから、ヴリトラである彼を殺してしまえば、ドクロの能力も消えかねません。……お願いです。……彼には、人であった時の記憶が無いのです。……お願いします。」

ダッキーニは、涙ながらに話ます。

 

「分かりました。…殺す必要も無いことですので、いいですよね、ポタラさん?」

 

「あぁ、…それが、仏の道だよ、…光志郎君!」

 

「それでは、孔雀明王の治癒力でヴリトラの傷を治してあげますね!」

光志郎は、マントラを唱えます。

 

ヴリトラの傷がみるみる治っていきます。

 

「ぐあお~う、……小僧も甘いな、さぁ、第2ラウンドといくか!…………………………は、は、は、は、冗談じゃよ、ワシの負けじゃ、仏教の秘宝を思う存分使うがいい!」

ヴリトラは、ニコリと微笑みます。

 

 

「あの~、そろそろ、そちらに行ってもいいですか~?」

遠くの角から、ルンバが恐る恐る聞きます。

 

「あぁ、ルンバちゃんもリサちゃんもおいでよ!」

光志郎は、大きく手を振って答えます。

 

『お~い、光志郎君、……よく頑張った!』

陀来僧侶から預かったペンダントから、陀来僧侶の思念が伝わってきます。

 

「あぁ、陀来僧侶、やりましたよ!……それで、この次は、どうしましょう?」

 

「そのドクロをもって、そのまま、北へ向かって天界道へ行ってください、そこで、地球全体に心を繋げて語り掛けてください!……わかったね!」

 

「でも、ダッキーニさん、ドクロを持っていってしまっても大丈夫ですか?」

 

「あぁ、いいのよ、……一度使うと消えてしまって百年後には、私の所に戻ってくるから!」

 

「それって、なんだか、なんとかボールみたい」

リサが、笑いながら言います。

 

「それでは、ダッキーニさん、ヴリトラさん、ドクロをお借りします。……じゃ、さようなら!」

光志郎たちは、天界道を目指して北へ向かいます。

 

 

 

………………》》》》》》

 

 

光志郎たちは、大きな光の川の前にいます。

 

対岸が見えないので、川幅がどれほどかは分かりません。

 

川というよりも、海なのかもしれません。

 

「ポタラさん、どうしましょう?」

 

「ん~、とりあえず、この光の川の中へ入っていけばいいと思います。」

 

「やっぱり、そのパターンですよね?」

 

「そうです、成り行きに任せて突き進むのみですね、……行けば、分かるさですよ!」

ポタラは、光志郎に微笑みます。

 

「ルンバちゃん、リサちゃん、光の川に飛び込むよ、……いいね!」

光志郎はニッコリと微笑みます。

 

「私たちは、光志郎君についていくだけだから!……リサちゃん、いいよね?」

ルンバもニッコリ微笑みます。

 

「リサは、お姉さまについていくだけだけどね!」

リサもニッコリ微笑みます。

 

「よし、皆、これで最後だ、……行くよ!」

 

光志郎の掛声で、四人は光の川へ入って行きました。

 

 

 

 

……‐‐‐―――━━━》》》》》》》》》

 

 

光志郎たちは、温かい光に包まれた空間にいます。

 

しばらく歩くと、何も無い光の空間の中に建物が現れます。

 

そこは、人々が行き交い、まるで人間界のようでもあります。

 

ただ、どの人も穏やかで満足そうな顔をしており、思い思いの生活を自由気ままにしているようです。

 

 

「ポタラさん、ここが、天界なのでしょうか?」

 

「そうだろうね。……人間界で執着を捨て、ある意味、思い残すことなく人生をやりきった人が来る所だからね。………それでも、本来の悟りとは、まだまだ、この先にあり、あくまでも六道の最上部に過ぎないのだけどね!」

 

「六道の先には、何があるのですか?」

 

「涅槃、極楽浄土といわれる仏の世界があるそうなのだが、所詮は人が感じとれる範囲のものでしかない、何かが有るのかもしれないし、何も無いのかもしれない……私たち人間には実際の所は、分からないのだよ?」

ポタラは、笑いながら話ます。

 

「私たち人間は、物質世界が現実だとしか認識できませんからね。……それでも、この天界に留まらずに更なる修行をしてまで悟りを求める人もいるのは何故でしょうか?」

 

「それはきっと、己なんて者は、まやかしでしかなく、全体の鏡のようなものだと、心底から気づいたからだろうね……いままで旅をしてきた、この幽界ですらも思い込みよるシステムのまやかしでしかないのかも?………そういう私も正確には捉えられていないから、いまだに此処にいるのだけれどね。……ただ、陀来僧侶に出会えたことが救いなのかな?……どんな世界にも希望と呼べるものは有るところには有るのだよ、それが、縁起というものだね。」

ポタラは、しみじみと語りました。

 

 

「あれ、あそこにいるのは、漫画の神さまの手塚治虫じゃない?」

リサが、大声で話します。

 

広場のテーブルには、手塚治虫と水木しげるに忌野清志郎が座って話しています。

その周りに人が集まり、人間界同様に耳を傾けているようです。

 

「やぁ、やぁ、君たちの活躍は、ここから観ていたよ。……わざわざ人々の為に自分の命をかえりみない行為は、此処にとどまり達観している私たちにとってアイドルのようだよ!」

光志郎に気づいた手塚治虫が話しかけてきました。

 

「なにをおしゃる?……僕たちのほうこそ、あなた方が生前に活躍されたおかげで、現在の日本があるのです。」

光志郎は、嬉しそうに話します。

 

光志郎は、冷静になり周りの人々を見ていきます。

 

「うわぁ、芸術家のダ・ヴィンチにピカソ、ダリじゃないですか、あっちには、ミュージシャンのレノンにフレディにプリンスまでいる。そっちを見れば、科学者のニュートンにアインシュタイン、ホーキングですよね、皆さん世界に影響を与えたかたばかりじゃないですか!」

光志郎は興奮しています。

 

 

 

「あれ、マイケルはいないの?」

リサが聞きます。

 

「あぁ、マイケルは天界に来てすぐに、まだまだ人々の為にやらなければならないことがあるといって、人間界に転生していったよ!」

プリンスが話します。

 

「ちぇ、あいたかったのになぁ!」

リサは、少し寂しそうにします。

 

 

 

「さぁ、君たちの活躍の続きを私たち天界人に見せてください。……今の私たちにとって、あなた方が最大の娯楽なのですよ!」

手塚治虫が、嬉しそうに話します。

 

 

「なんだか、皆さんにそう言われると照れてしまいますね。…………それでは、僕からひとつ提案があります。……これから、仏教の秘宝を使って人間界の人々に語りかけます。そのときは、あなた方にも僕の思念とリンクしてもらって力を貸していただきませんか?………あなた方ほどの愛に満ちていて影響力のある方々と一緒に語りかければ、すごいエネルギーが生まれるとおもうのですが!」

 

「うれしいことを言ってくれる、………皆さん、どうですか、光志郎に乗っていこう!」

清志郎が言います。

 

「いいぞー、……やります。………面白い……」

辺りは、興奮に包まれます。

 

「それでは、決まりですよね。……ポタラさん、ルンバちゃん、リサちゃん、此処まで一緒に来てくれて、ありがとう!……さぁ、リンクしますよ。」

光志郎は、ダッキーニから預かったドクロをひたいにあてると、時空間を超えた地球のイメージが伝わってきます。

『あぁ、そういうことなのか!』

光志郎は、ひとり納得します。

……………

思念を天界の人々の意識にあわせます。

 

……‐

‐‐‐‐‐―

―――――――――――

『みんな、用意はいいですか?……行きますよ!」

光志郎は、仏教の秘宝であるドクロの力を借りて、人間界の人々の心に向けて合わせた思念をリンクします。

 

…………‐‐‐‐―――――――――━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

光志郎の思念は、一気に人間界の人々の心と繋がります。

 

『皆さん、生きていることは、素晴らしいことです。……少しだけ、僕の話に付き合ってください。……今の世の中は、このままで良いと思いますか?……人間はあらゆる困難を知恵と勇気と団結力により乗り越えてきました。……その上に成り立つのが、神とでもいえるほどの科学技術の発展と経済力による過去に類をみないほどの権力の集中です。……私たち人間は自由意志をかかげ大自然の犠牲の上に大きな飛躍を手に入れました。……果たして科学は万能なのでしょうか?……自然があるからでこその科学ではないのではありませんか?……自分の心に聞いてみてください、果たして苦しみは少なくなったのか?……豊かで便利になり強力な力が増すほどに人々の不安は増し苦しみは増えたのではないのでしょうか?……誰にも何を求めてその力を使えばよいのか分からないでいるのではのないのでしょうか?……私たちの時代で人類の歴史を終わらせてしまってもいいのでしょうか?……無責任にならずに立ち止まって考えてみてください!……幸福とは何か?……今、現在、人類はとても危ない状況にあるのです。……少しだけでいいのです。……どうか、無責任な人間にはならないでください。……みんなの心がけしだいなのです。……僕は、信じています。……ありがとう……ありがとう…………』

 

――━━━━━━━━━━━

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐―

…………………

光志郎は、静かに目をあけます。

 

「いいぞ、光志郎君、!……いぇ~ぃ!」

 

周りで一成に拍手が起こります。

 

いつのまにか、光志郎たちの周りに大勢の天界人が集まって来ています。

 

「さぁ、これでやるべきことは終わりました。ここからが、本当の意味での人類の進化なのですね!」

光志郎は、爽やかに笑います。

 

「あぁ、そうだよ、……人々の心に種はまいた!……どんな花が咲くか、それとも、しおれて枯れるかはこれからの一人一人の行動にかかっているということだね!」

ポタラも笑います。

 

「それで、君たちはどうするの?……ここに残って天界人となるのか、それとも、人類として未来を築くのか?」

手塚が光志郎に聞きます。

 

「もちろん、帰るに決まってるじゃないですか!」

光志郎たち四人は、顔を見合わせてうなずきます。

 

「そうですか、それでは、そこの扉を開けて帰りなさい、……私たちは、ここからいつも応援していますからね!」

手塚は優しく微笑みます。

 

「はい、ありがとうございました。……それでは、また、会う日まで!」

光志郎は、元気一杯に言います。

 

 

光志郎たち四人は、扉を開けて入っていきます。

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐――

 

 

 

一瞬の間の後に、四人は、ラサにある祠(ホコラ)の前にいました。

 

「あれ、帰りは一瞬なんだ、どこでもドアみたい!」

リサが、笑いながら言います。

 

「そうですね、時間を見ると、ここに入った時とかわらないですよ。なんだか、本当にあったことなのかな?」

ルンバは、スマホを見ながら言います。

 

「まぁ、そういうことでしょう!」

ポタラは、さして気にならないそぶりです。

 

「そうですね、ポタラさん、ありがとうございました。」

光志郎も笑います。

 

四人は何かをなしとげたという自信を胸に爽やかに笑いました。

 

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 




いや~なんとか終わりました。

ありがとうございます。

これにて、キャッチ ザ モーメント編、終了となります。

ところで、地獄について書いていて思ったのですが、死後の世界を旅することは、人間の脳の進化を疑似体験することなのではないかということです。

人としての集団幻想という牢獄が地獄なのかも?

それにしても、時代により地獄も古くさくなってきていると感じるのは、私だけでしょうか?

私たち人間は、脳からは解放できないのでしょうか?

これからの時代、新しい脳機能が科学によって解明されていくことでしょう。

脳と宇宙の関係、現実と幻想、さまざまなことが解明されるかもしれませんね。

それでは、また!
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