楽笑おじさんと絶望こぞう   作:楽笑

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いやぁ、やっぱり、描いておかなくては!

てなわけで、今回の主役はチェンとなります。

どうぞ、よろしく!




外伝 2031 チェンザンマイ

武術の天才

 

物心がついた頃には、そう呼ばれていた。

 

なぜだかイメージ通りに体が動いた。

 

一目見た動きを自分で再現することで、教わることなく身体理論まで理解できた。

 

周りの専門家は、人並み以上の身体能力と異常な身体反応感覚を持っていると言っていた。

 

相手の体の動きを見ただけで手に取るようにわかり、次の動作が予測できた。

 

だからこそ、当たり前のように喧嘩に明け暮れた子供時代だった。

 

気に入らない奴は、大人であろうが遠慮なくぶちのめした。

 

ただ、倒しても倒しても、なぜだか満足感はおとずれなかった。

 

圧倒的な強さに嫌気がさし、虚しさだけが残った。

 

過去への固執を忘れ、先が気になりはじめた。

 

………そんな少年時代だった。

 

 

 

 

 

俺の名前は、イップ チェン、香港産まれだ。

 

身長182cm 体重78kg 今年で29歳になる。

 

俺が六歳の時に両親が亡くなり、二歳の妹と二人で施設に引き取られた。

 

はっきりとは解らないが、両親は事件に巻き込まれて殺されたようだ。

 

親の仇討ちと香港中を探し回っている間に、十三歳で香港で最強になっていた。

 

身勝手な執着は時にはエネルギー源ともなろうが、盲目にもする。……井の中の蛙しかり、大海に飛び出さねば!

 

そのころの香港は、1997年までイギリス領であったせいか、中国にとって窓口であり、まだまだ国際都市だった。中国領に変わってからは、中国の富裕層の隠れ家になっていた。それでも、国際感覚に優れた住民が多く、失われた中国以前のアジア大陸文化が香港に流れ着き残っていた。だからこそ、いまだに様々なアジア発祥の古武術武道家も多くいたのだ。

 

そんな中での最強なのだから、かなりの話題になっていたようで、ある時、アメリカの研究機関から調査が来た。

 

身体的能力は勿論だが、身体反応数値が異常な程高く、脳を調べたところIQ202で、感覚反応から無意識が動きを予測して正確に身体をコントロールして、動物のように直感的に反応行動をしているようなのだ。

 

そんなこんなで、十五歳の時に、アメリカにあるカインドオブブルーという極秘研究機関から誘われたのだ。

 

そこで同期生として出会ったのが、光志朗とバーカーだった。

 

二つ年上の光志朗とは、出会った時から馬があった。

 

バーカーとは、性格のせいもあろうが、十歳の年齢差は、十五歳の俺にとっては大きかったのか、バーカーのことを〔おっさん〕とよんでいた。

 

それでも、三人で三年程の時間をさまざまな研究を通して共有していた。

 

カインドオブブルーでの、俺の研究テーマは主に〔考えるな感じろ〕という未知なる感覚基幹の可能性についてだった。

 

 

 

 

今、俺は、扉の前に立っている。

 

二年前から調査していた日本を裏から操作しているともいえる[ホツマツタエ]という組織の親玉とやっと会えるのだ。

 

案内のもと扉をくぐると、かってしったる顔馴染みにあうことになろうとは………

 

15年前に出会った三人が、2031年の此処日本で顔をそろえているのは奇妙な偶然なのか?

 

互いに立場を代えて、背負うものを背負って鉢合わせしている。

 

 

 

 

俺の前には、相変わらず色白の根暗そうな男が座っていた。

 

「まさか、おっさんが日本の裏組織の親玉だったとはな!」

ウイズバードの指令のもと、やっとの思いでたどり着いたのがバーカーとは?……物事にどうじない俺でも、流石に笑うしかなかった。

 

「それにしても、なんでお前が此処にいるんだ?……まさか、光志朗がおっさんを操っていたなんていわないだろうな?」

 

バーカーの隣に何気無くいる光志朗が、いつもどおりに微笑んでいた。

 

光志朗が言うには、日本の裏組織である[ホツマツタエ]から依頼があり、来てみたらバーカーが居ただけだとのことだった。………まぁ、光志朗のことだから、はじめからサンシャインラブの能力で知っていたのは間違いないだろうが、……なぜなら去年、陀来の葬儀の時に[ホツマツタエ]の頭首が俺たちの共通の知り合いだと言ってたのだから!

 

 

「なぁ、おっさん!……今さら俺たちの間に堅苦しい礼儀なんていらないだろ、……遠慮なしに本題に入らせてもらうぜ!」

 

どうせ、今から言うことすら光志朗は知っているはずだろうと思いながら、俺は単刀直入にベッチ所長からの伝言をバーカーに伝えた。

 

「ベッチ所長の予知では、2050年を境に地球と宇宙との関係が変わるということで、……それまでは、決して表に現れなかった宇宙人が姿を表し、直接、人類に影響を与えるということなのだ。」

 

思ったとおり、光志朗は当然だと言わんばかりの表情をしている。

 

バーカーにいたっては、もとから表情がないので読み取りようがない。

 

どうにも張り合いのないふたりに、苦笑いまじりに俺は話しを続けた。

 

ベッチ所長の、世界の無意識からこぼれ落ちるビジョンのかけらから未来予知をする能力もオカルト臭いのだが、バーカーを頭首とする、古来より続く陰陽道の力により人々の無意識を操り、自然の力を引き出して結界をはって国を守ってきた世界最古の秘密結社、[ホツマツタエ]はオカルトの極みではないか!……光志朗のサンシャインラブにいたっては、オカルトを通り越してエスパーときている。……俺も常人ばなれの能力を持っているが、こいつらを見ていると俺など普通に感じてしまう?………こいつらにしてみれば、宇宙人など当たり前の存在なのだろう!

 

 

「だからな、20年後には宇宙人がやって来るから地球人どおしで争っている場合でないって言ってんだよ!……おっさんの[ホツマツタエ]は、世界中への影響力があるのだろ!、だからな、わざわざ知らせに来たんだよ、俺は!」

 

なぜだか、俺だけが焦って心配しているような気がしてしまうのがバカらしいのだが、おっさんに言わせれば、そもそも、地球は宇宙人の実験場であり可能性の極みのパワースポットだという、そのなかでも、今だに遺伝子レベルで脈々と受け継がれて古来からの伝承が残っているのが日本なのだそうだ。……そんなことは、今に始まった事ではなく知るべき所では当たり前のようで、だからこそ、世界中の古来からの権力者が天皇の元に集まったということなのだそうだ。

 

 

光志朗は、全てを知っているような感じで、おっさんの話しを聞いていた。……おっさんの話しに付け足すように、「まぁ、宇宙人にも色々いるからね……とりあえずは、大きな流れに任せるしかないのだろうね。……割りと上手く良い方向に向かっていっていると思うよ。……策略は悪い事も生み出しかねないから、自然に対応したほうが良いんじゃないかな?」なんてことを言っていた。

 

たしかに、俺の格言である[考えるな感じろ]と考え方は同じで、おきてもないことを考えすぎると組織が大きくなりすぎて動きがとれなくなるということだろう。

だからこそ、古来よりのシステムとしての伝承が、世界中に有るのかもしれない?

 

俺の知らない所で、この世界には、俺の考えも及ばない繋がりが有るのだろうか?……二人を見ているとそんなことが頭に浮かび上がってくるのだった。

 

 

 

光志朗が、「せっかく三人が集まったのだからご飯でも食べに行こう」と言い出したので、嫌がるおっさんを強引に連れ出し、俺たちは昔話を肴にたわいもない食事を楽しむことになった。

 

 

なんとも、間の抜けた一日となったが、きっと、これが俺たち三人の縁なのだろう!

 

 

翌日俺は、次なる指令を裁く為に、新たな日常へと向かった。

 

 

 

 

 




[考えるな感じろ]

産まれた時に定められた体という個体差

あるがままを受け入れ自然になれたなら、人の歴史はかわっていたのかも?

都合よく勘違いする思考とは?

効率ばかりが正しいのか?

自然を正しく見ようとしない時代になりつつあるのかも。

世の中は、体を忘れて知識ばかりを追い求める。

はたして、それで身に付いているのか?

無意識を変革するためにすべきことは何か?

そんなことを感じながらのチェンザンマイでした。

そして、私の中から産まれた[光志朗][バーカー][チェン]という三人の人格。……新たな謎が、多様なる個人を内包しているのか?


それでは、

また、会いましょう!
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