…神は創りたもうた…
俺の名前は、ブルー
これは、ブルー の物語
新たな物語がはじまる。
…闇から目覚めし者よ
暗闇のなかにも、光あり
内なる光
照らす先にみる夢に何を知る
求める光りに映る世界
<序章>
小鳥のさえずりがこだましている。
意識の片隅で現実へと誘う。
[あ~、もう少し待ってて…]
眠い目をこすりながら、あらがう意識をおいはらい指先でまさぐる。
毎朝のおきまりの動作で、さえずりを模したスマホのアラームをとめ、1日が始まるのだ。
目の前に広がるまぶしい闇の光がこちらの世界を写し出し、昨日の続きが始まるのだ。
ここは現実。
俺には、この現実という世界はあまり向いていないと感じている。
肉体という器が、どうにも不自由でしかたなく、わずらわしくてめんどうなことばかりだからだ。
どうやら、目をつむり眠りにつくと別の世界へいく能力があるようなのだ。
こちらの世界にいると、別の世界の記憶は曖昧になり、部分的なイメージでしかなく、つじつまがあわなくなってしまう。
ただ、こちらの世界も、俺にとってはいくつかある世界のひとつでしかないと感じている。
俺のイメージからすれば、この現実世界は暗闇でしかなく制約が多くて、まるで地獄のように感じてならない。
なんで、こんなにも多種多様な存在が混在しているのだろうか?
だから、複雑な関係性を制約により統合しようといているのか?
気だるいまどろみの中、どうでもよい思いがよぎっていく
「朝から何を考えているんだ………歯みがきしよ!」
歯みがきは、俺にとっては瞑想のようなものだ。
シャカシャカしながら、全身をゆらす。
いつもの動きがこの世界と俺の関係をリセットしていく。
俺の名前はブルー、高校2年の17歳。
親もとをはなれて、一人暮らしだ。
「さて、今日もいい日だ。…生きますか?」
鏡に映る自分におまじないのようにつぶやくのだった。
毎朝のルーティーンをしおわると、電動自転車で学校へ向かった。
今日は、週に一度の登校日で現実に仲間と会う日だ。
いつもは、仮想空間VRで互いに役割りを交代しながら社会性を学んでいる。
一昔前の学校とは、知識を詰め込む場であったようだが、外部に補助脳を持つテクノロジーが進歩した現在においては、知識は無限に検索できるようになったことで、必要なときに瞬時に検索するものとなった。今、自分が何の情報が必要か?…相手は何を求めているのか?…という己と他者の関係性からの客観的な[メタ認知]を学んでいる。
学年が上がるほどに、社会の範囲は広くなり、より大きな抽象化された世界観からのメタ認知が必要となるので、受け取れる情報から自分の状態を理解し相手の状態を想像しなければならない。最初は確率論から学ぶが、有機生命体とは確率論だけでは理解できなく、感覚を通しての情報から未発達の直感を磨くことが目的のようだが、…現時点では情報が不足しており、確実な指導方法は無いということだ。
俺が親元を離れてまで、この学校を選んだのも、そんなメタ認知直感を発達させることに特化した最先端の学校だったからだ。
5分ほどで学校につくと、[クレハ]が話しかけてくる。
「おはよう!博士…実験がんばろうね。」
博士とは、学校での俺のあだ名だ。
クレハは容姿端麗の利発的な女性で、学校での最初の仲間だ。
状況判断力が高く、気配りをしながら現実的に目的達成のために仲間に指示を出せるリーダーだ。
学校では、四人一組が班をつくって行動する。
他の二人の仲間、[炎]と[もゆるん]も、クレハが見つけてきたし、班の名前を[毘沙門]とつけたのも彼女だ。
この現実世界に馴染めない俺には、[毘沙門]の仲間にはずいぶん助けられている。
学校には、班ごとに部屋が用意されている。
俺とクレハが、毘沙門と表示されているドアを開けて班部屋に入ると、先に来ていたもゆるんが笑顔で話しかけてくる。
「おはよう!、今日の課題はなんだろうね?……ワクワクの楽しいのがいいよね。」
いつものように、くったくのない自然な笑顔でだ。
俺には、このもゆるんという存在が理解しがたい。
天真爛漫な無邪気な性格で、人目を気にせず感情のままに、喜怒哀楽を表現する。その上、見た目もロリ顔のくせに巨乳ときている。本人は周りからチヤホヤされていると知ってか知らないのかわからないのだが、ドジっ娘キャラまでつかいこなすアイドル的な奴なのだ。
「ねえねえ、博士、聴いてるの?」
俺の顔を下から真っ直ぐに見つめながら話してくる。
…なぜ、俺になつくのだ。
「俺に聞かれても知らん!…実験の課題は、当日の直前に発表されるのだからな。」
俺は無愛想に淡々と話す。
…なぜ、こいつは境界線を平気でこえて他人に入り込んでくるのか?そもそも、こいつに自他の境界線はあるのか?
俺とは、真逆な性質なのは間違いない!
「炎はまた遅刻のようね。…まったく、困ったものね。」
クレハが8時50分と表示されてる時間を見ながら独り言のようにつぶやく。
「いつものことだ。…ギリギリなのわさぁ。」
俺は、あいづちがわりにつぶやく。
完璧主義で時間に正確なクレハは、スケジュール通りに物事を運ぶのが正しいと思っている。
自分のタイミングを大切にしたい炎、こちらも真逆な性質なのだ。
俺でも解る、クレハの何気ない仕草にイライラを感じていると、空気を読めないもゆるんが話し出す。
「なんか、お腹すいた!…チョコ食~べよ」
マイペースにチョコを食べだすもゆるんが、クレハと俺にチョコを配りだす。
こいつは胃袋で思考して生きてるんだろな?と思いながら、渡してきたチョコを押し戻す俺とクレハだった。
そうこうしていると、案の定に炎がギリギリで入ってきた。
「うぃす。」
なにか言いたげのクレハを横目に自分の席につき、拡張現実であるARグラスごしにスマホに向かいだす炎だった。
炎は自分のやりたいことしかやらない、とことんまで自分主義を徹底した性質なのだ。だからこそ、仮想空間での情報検索(ハッキング)という、一芸にひいでた才能をもってはいるのだがな。そこは、クレハは認めているからこそ、必要以上に追及しないのだろうか?
それでも、出会ったばかりの1年生の頃はいざこざばかりだったけどな。
やれやれ、会話は最小限ですまし、SNSでの意志疎通のほうが本来の自分とでも思っているのか?…炎は、現実の世界よりも仮想空間の住人なのだと思う。
この一癖あるやつらは、困り事があると、なぜか俺にアドバイスを求めてくるのだ。
まぁ、こいつらは悪いやつらでなく、誰よりも自身の特性に正直に生きているだけだ。
本当に素直なやつらだと思う。
毎日、仮面というペルソナをかぶり、何かを演じて生きている俺に比べればな。
こいつらと過ごしていると、いったい俺は何者なのだという、わずらわしい自分を忘れて、俺もまんざらでもない気になってしまうのだからな。
ピコンという音声の後、班部屋の正面にあるスクリーンに本日の実験の課題が表示される。
「この街を使って、オリエンテーリングをします。目的地は5ヶ所で1ヶ所づつ発表します。目的地にあるキーワードを集めて意味を読み取ること。制限時間は午後4時。」
クレハが読みあげる。
「わ~い、オリエンテーリングだって、地図とコンパスを使うやつでしょ、楽しそうだね。」
もゆるんが笑顔で話す。
「こんな時代に、オリエンテーリングかよ?…めんどくせいな!」
俺は、あきれ顔でつぶやいた。
「きっと、ただのアナログなオリエンテーリングじゃないと思うわ。みんなで協力しましょうね。」
クレハが前向きに話す。
「へいへい、お好きなように。」
炎は、関心のない感じでこたえる。
おいおい、こんなんでだいしょうぶなのか?と思う、俺であった。
続く…
…読んでくださいまして、ありがとうございます。
新しい物語が始まりました。
さてさて、どうなることか?
なんとなく、書きたいことを思いついたまま始めてしまいまして、先の転回は何も考えておらず、正直な話、私にもわかりませんが、気ながにお待ちください。