比企谷八幡と、彼の最低で最高なパートナーの話

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最低で最高な相棒

あの高校生活から8年が過ぎた。

大人になると子供の頃を思い出したくなる。

あの頃は若かったなぁ...。専業主夫とか考えてたし。

がしかし、今はちゃんと働いている。

...何かって?

 

 

警察だよ。

 

 

俺は大学卒業後、何の職に就こうか全く考えてなかった。

だから、せめてもの「I LOVE 千葉」精神をもとに警察になった。のはいいんだが...。

 

「おはようございます。」

朝、まだ少し眠たい目を擦りながら部署へ向かうと見慣れた好青年が見える。

 

「やあ、おはよう比企谷。」

 

葉山隼人。俺の高校時代の同級生であり、同じ部署の同期だ。

高校時代からそのスタイルは変わっていないが、トレードマークの1つであった金髪はやめたようだ。

「うーす。」

ついでに言うとデスクまで隣だ。

...何でこうなったんだよ。

 

 

 

---数年前---

「えと、比企谷八幡です。今日からよろしくお願いします。」

そうして俺の警察としての人生は始まった。

ただでさえ狭い俺の人間関係、さすがに知人が同じ職にいるわけ...

 

あるんだよなぁこれが。

「葉山隼人です。今日からよろしくお願いします。」

よりにもよって同じ部署なようだ。助けて(懇願)。

 

部署のトップからのありがたい話の後、少しだけ時間が余った。こちらから話す気はなかったが、向こうからやってきた。

 

「やあ、比企谷。まさか君が警察になるとはね。」

その表情は高校の頃と何ら変わってない。なら、そのままの付き合い方でいいか。

「こっちのセリフだよ。てっきり親を継ぐもんかと思ってたぞ。」

「まあ、色々あってな。」

その色々あっての意味は聞かなかった。

聞いても何の得もないし。

「まあ、これから仲間同士、協力していこう。」

葉山は爽やかに笑う。

 

協力か。

自然と社会で求められる能力。ましてや警察にはもっと必要だろう。だからまあ...

「あぁ、まあ差し支えない程度にな。」

 

...

 

 

---現在---

とまあ、なんだかんだで今日までやってきた。

実際、協力が必要な場面はめちゃくちゃあって、それによって助けられた分もあり、今はその大切さが理解出来ているつもりだ。

 

とはいえ。

やはり俺は葉山隼人が苦手だ。

第一、方向性がさっぱり合わない。犯人逮捕の時に至ってもその手法はいつもすれ違ってばっかりだ。

 

それなのになんで一緒にいるかって?

それがさぁ...。

 

 

---数年前(入って数年後)---

俺は署長に呼び出された。隣には何故か葉山もいる。

なんか悪いことしたっけな...?

そんな事を思い、署長の言葉を待つ。

 

ただ、署長の放った言葉はもっとタチが悪かった。

「比企谷君、葉山君。当面は君たち2人でペアを組んでもらって動いてもらうよ。」

 

...はぁ?

 

「分かりました。尽力します。」

葉山はNoの一言も無かった。なにか思うところはあるかもしれないが、その顔色は伺えない。

 

はぁ...。やるしかないのか。

「...分かりました。」

一瞬の沈黙を経て、俺も渋々yesを出したのだった。

 

...

 

---現在---

という訳で、残念ながら運命共同体となってしまった2人である。

1回、部署のリーダーに直訴したこともあったが...。

「いや...だって君たち成績余裕でトップだし...。」

の一言で終わらされてしまった。

 

そんな成績トップの2人組のデスクに1本の電話がかかってくる。

身体に緊張が走り、それまでの甘ったるい空間が無くなる。不謹慎だが、この状態は好きだ。

 

気持ちを入れ替え、受話器を手に取る。

「はい、...はい、はい。分かりました。」

ガチャと音を立て受話器を戻す。

 

「おい、仕事だ。行くぞ。」

 

 

今回の事件は銀行強盗らしい。数は1だが銃を所持している、との事だった。

とりあえず現場の銀行へと着く。他には1台のパトカーしか止まっていなかった。

 

「さて比企谷、どうする?」

葉山は真剣な眼差しを向ける。

「そうだな...。とりあえず中の様子次第だが...。」

そう言ってガラス越しに中を見やる。犯人は職員に向けて遠くから銃を向けて脅しているみたいだ。

 

「人質の取り方的に、突っ込めばどうにかなりそうだが...。」

「それはリスクが高すぎるんじゃないか?」

 

これだ。またいつものすれ違いパターンに入りそうだ。

 

「確かにリスクはあるな。なりふり構わず職員を撃たれたら最悪のケースだ。ただ、他にどういう手段がある?」

「...要求を聞く、は厳しそうだな。出口を塞がれてる以上、要求は安全な逃走で間違いなさそうだ。」

ただ、葉山からそれ以上の意見はなかった。自分は手詰まり、ということのようだ。

 

「だとすると、ここで逮捕するしかない訳だ。だからさっき言った通り俺は犯人に向かっていく。...なに、無闇矢鱈に突っ込むわけじゃねえよ。ちゃんと策はある。」

葉山は少し悔しそうな顔をする。

「...聞こうか。俺はどうすればいい?」

「それはだな...」

 

 

 

作戦決行。

俺は銀行の裏口へと入っていった。この銀行のつくりは、裏口を進んでいけば、犯人の横から出られる構造になっている。

ドアの前までくる。このドアを開ければ目の前には犯人だ。

少し恐怖を抱くが、力強くドアを開け、犯人へと全力疾走で向かっていく。

 

「おい!!こっち向け!!」

犯人は驚いた反応を見せ、俺の方を銃を構えたまま向いた。

まだ犯人と距離がある。向こうが銃を撃つには充分だ。

 

「なんだってんだてめえ!!邪魔すんな!!」

犯人は震える手で引き金を引いた。その瞬間、俺は右に少し避けた。が、弾丸は命中し、服から赤い液体が滲み出す。奥の方から女性の悲鳴も聞こえる。

 

これが合図だ。

 

いけ、葉山!

油断した犯人の意識がこっちを向いた瞬間、正面の扉から葉山が入り、犯人を取り押さえた。

「10:25!現行犯逮捕する!」

そうして外で待機していた別のパトカーに犯人は連れていかれた。現場には銀行職員と俺と葉山だけが残っていた。

 

「おーい、大丈夫か?」

葉山は心配の言葉をかけるがそんなに心配してそうになかった。

それはそうだ。作戦はちゃんと成功したのだから。

 

今回の作戦に俺は特殊なペイントボールを用いた(自作)。

弾丸がこれに当たることで破裂し、あたかも血が出たように見えるという訳だ。あとは本人の技量次第だが。

 

「よっと。」

そう言って身体を起こす。勿論、その身体は痛まない。

 

「...なんだかんだ、成功したな。」

葉山がぶっきらぼうに呟く。

「これが一番リスクが低いからな。いざと言う時怖いけど。」

「まあな。」

「...」

 

一瞬の沈黙が場を包んだ。

 

次に口を開いのは葉山だった。

「今回のやり方といい、何も変わらないな君は。」

苦笑混じりに葉山が言う。

「お互い様だろ。変わらねえのは。」

「ああ、そうだな。だから...」

そう言って葉山は左の拳を差し出す。

「...まあ、俺も考えてる事は一緒のようだな。」

その拳に答えるように右の拳を差し出して、葉山の左拳にぶつける。

 

 

 

 

「だから俺は、君(お前)が嫌いだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。亜睡めるです。
前作書いて少し開けて繋ぎの短編です。
女のほぼ登場しない作品ってのも悪くないですねぇ...。

今回もそうですが、次回書くのに時間空きそうです。
...fgo回らせてくださいm(_ _)m。
というわけで、次あたりは前作のsidestoryを、その後は新作を書いていこうと思います。
ではまた別作品にて。
――――キリトリ線――――
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
亜睡めるはこれからも頑張りますので、よろしくお願いします!

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