人生はプラマイゼロ。俺はそれを旨に生きている。球磨川さんの言う通り、それは幸せ者の常套句だ。
だが俺の場合はこういう見解だ。人生において
それは平凡で平穏で平坦な人生。ジョジョの吉良吉影よろしくストレスを感じない生き方…のようなものか。安心して安定し安息がある人生。益体はないが無為で無益で無駄のない人生
必要最低限あれば人生は幸せだ。普通に起床し、歯を磨き、朝食を食べ、いつも通りただ学園に登校する。そしていつも通りの普遍化した不変な日常が始まる
つまりはつまらない人生
俺は
流石に本名で呼ばれるとあまり気分がいいとは言えないので知り合いからは切木と苗字で呼ばれている。1-4組普通科所属
特に特筆すべき個性を持たず端役というにはあまりにも役不足でもったいないのレベルなのでモブで十分だ。だがさすがに立ち位置的に名前がないと誰がどうしゃべっているか分からないので
わざわざ切木夢という名前表記が必要だ。めちゃくちゃどうでもいい。ああ、それとどうでもいいが俺にはデジャヴというありがたい能力がある。だれがどういう行動をするのかが大体わかる。
・・・早速感じた。モブAが俺に向かって近くの自販機で買ってきたペプシを首筋に当てるといういたずらがまた起こる。数秒後、首筋に冷たい感触を感じた。
切木「冷たい」
抑揚のない声で反射的に言う、そして先ほどから言っていたのが彼らだ
モブA「はっは!よう切木!今日も冷たい反応だな!せっかくの冷やかしが台無しだぜ!!ほれ」
と俺にジュースを渡す彼はモブA。俺と同じく特に特段説明するほどの特徴のない俺と同じモブ。俺と同じクラスであり1-4組普通科であるがスキルホルダーだ。異常性スキル
切木「毎回やられれば反応は薄れる」
モブA「そんなにやってねーよバーカ!それよりよ、今週のエグゼロス見たか?まじでエロ過ぎてヤベぇ!なんせ××が…」
比較的どうでもいい話に相槌を打っていると後から息を切らしながらモブBが来る。どうやら一緒に登校していたらしい
モブB「もう…はぁ、はぁ…。急に走らないでほしいですAさん!あ、切木さんおはようございます…。つ、疲れました…」
切木「おはようございますBさん」
彼女はモブB。モブBの友達であり同じクラスメイトだ。実は俺は彼女についてよくは知らない。知っていることと言えば過去にモブAの下着食いを食い止めたということだけだ。
というより俺は彼らのことをそこまで知らない。まあ、興味がないだけで言及や追及はしていないから知らないのも仕方がない
モブA「ワリ―ワリー!切木がいたから暇つぶしに脅かしてやろー、ってな!」
まあ、それは嘘だ。彼女の前で猥談を歓談出来ない為の口実でありモブBは下ネタは平気であるが無関心であるためモブAは代わりに俺に下賎で卑賤な話をしている
ここまで見ているならわかると思うだろうがこれはただのいたって普通の高校生の日常を淡々と流すだけの本当につまらない話だ。
だからこそそんな話に口を挟むようにハサミを忘れた為代わりに青龍刀二刀流で切断しようと切りかかる人物もいるわけで
デジャヴで行動を予測し回避、ハサミのごとく二つの刃を交差し繰り出される斬撃は肉も骨も断つほどの寸分たがわず正確だ。見ようによっては華麗で美麗で秀麗だ。まあ、切られる側でなければそういう感覚を持てていただろう。
かわさなければ俺の体は間違いなく切断され即死。脆弱で貧弱で繊弱な俺ならなおさらだ。
初撃を躱したため次の迎撃が来る。当たり前だが逃げる。
二撃目のデジャヴを視認し二手目は空転に終わりながらも体勢は崩さず左手に持つ青龍刀を投擲、回転しながら宙を舞う刃をかがんで回避、数ミリかがむ態勢を間違えれば間違いなく死に至らずとも致命傷ものだ。
俺の代わりに電柱に刃は突き刺さる。次に彼女は青龍刀を回収する為電柱に向かい引き抜くのを少し苦戦していた為その時間を利用して全速力で彼女の視界から俺は消える。これで終わる…と言いたいところだが彼女は必ず俺の位置を特定する。
だから得策ではなく愚策に過ぎない。そのため俺は
逃げ出した先、そこに運よく廃墟があったので一目散に飛び込んだ。柱やそこに以前あった道具など障害物があるのである程度は防御できる品が揃っているので逃走経路にもってこいといえる。
案の定彼女は廃墟に入ってくる。回収した二刀の青龍刀を刃を刃で互いに打ち鳴らし音が廃墟に金属音が反響する。
どうやって俺を探し当てたのか知らないし知りたくもない。彼女の執念と執着はどこからくるのだろうと考えながら視線から彼女は消える。周囲を見渡す…背後から、生暖かい…吐息が聞こえた。
真後ろにいた彼女は破竹の勢いで繰り出される唐竹割。二刀流で繰り出されるそれは直線で俺の体を切断し断絶するだろう。だが
その刃は、肉どころか、皮膚にすら傷つかず痛くもかゆくも痛痒もなく通用しない。
切木「
モブC「・・・切れませんわ…!」
俺のスキル
モブC「切れませんわぁぁぁぁあ!!やっぱり!わたくしたちは!!切っても切り離せない仲なのですわぁぁあ!!!」
懸想をかき頬を朱に染めながら青龍刀をすて頬を両手で覆いながら舞い上がる
・・・彼女はモブC、馬鹿とハサミの使いどころを間違えたようなモブだ。声高に歓喜の声を上げる為廃墟内が反響してうるさい。
彼女とは別にそういう仲ではない。というかそんな仲ならば切りかかってくるはずないだろう。彼女もモブAとモブBと同じくクラスメイトだ
知り合った経緯はなんてことはない。ただ単に授業中彼女がハサミを忘れていたため何気なく貸したというたったそれだけである。
切木「いや、普通キレるよCさん。なんで切ろうとするの」
当然の疑問をかまをかけるように問いかける。だが悲しいかな、彼女は決まって同じ返答をする。
モブC「え?だって切木さんでしょう?庭師なら木を切るのが仕事ではなくて?」
そう、彼女は庭師だ。そういう家系に生まれている彼女は無駄な枝を剪定するために木を切らなければならない。と、別のそれは理由になっていない。
切木「理由になってないよCさん。それなら、世界中の切木さんを切るの?」
モブC「冗談じゃありませんわ、冗談でもそれは殺人になりますわ!」
心外と言わんばかりに踵を返しながらモブCはいう。それはそうだ、彼女は俺が躱すのを想定して切りかかってきたのだ。そして俺のスキルを知った上で行っている。
そのため彼女も屋外で俺に切りかかるときはちゃんと手加減している。本気なのはあくまで屋内だけであり廃墟に入った瞬間視界から消えるほどの速度を彼女は持っている。
そしてそれが毎日続いているためにさすがの俺も慣れてきておりとりあえず一息つくためにモブAからもらったジュースを空ける。さすがに揺らし過ぎたために炭酸が噴き出る為慎重に開ける、だが
切木「・・・オレンジジュース?」
動揺が走った戦慄が走った怖気が走った。だが…少し深呼吸して落ち着いた。
モブC「?。どうかしまして?」
切木「いや、なんでもないよ?」
ペプシだと思っていたがオレンジジュースだったというだけだ。さすがのデジャヴでも少しの誤差がある。
未視感、メジャヴュが少し垣間見えた気がしたが、たぶん気のせいだろうと言い聞かせた。
お目汚しをば。色々書いてみたので少し実験段階です