川崎沙希編の合間に書いた八×雪です

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秘密のサイン

奉仕部

 

いつもの日常と違うことが起こっていた…

 

「なんだこりゃ?まったく、わからんぞ」

「ヒッキー、さっきからどうしたの?」

「由比ヶ浜、これわかるか?」

「ん?どれ…。あ~、あはは」

「由比ヶ浜に聞いた俺が間違いだった。雪ノ下、悪いが、ここ教えてもらえないか?」

「あら?比企谷君、理系は捨てたんじゃないの?」

「あ~、追試を回避したいしな」

「そう…。いい心がけね。…二人とも、こんなところもわからないの?」

「面目ない…」

「えへへ」

「ここは、…こうするのよ」

「なるほどな」

「さすが、ゆきのん」

 

カリカリカリ

 

ポチポチ

 

ペラッ

 

「あ~!雪ノ下、すまん。ここはどうやるんだ?」

「この問題は…。こう解くのよ」

「さすが、雪ノ下先生」

「その呼び方、やめてちょうだい」

「ねぇねぇ、ゆきのん。勉強会しようよ」

「私はかまわないけど」

「ありがとう、ゆきのん」

「抱きつかないでくれるかしら…」

(満更でもないクセに。女子二人で勉強会。ゆりゆりしてください)

「場所はヒッキーん家ね」

「ふぁ!俺ん家!」

「ヒッキーはイヤなの?」

(由比ヶ浜、上目遣いは卑怯だぞ)

「まぁ、あれだ。雪ノ下、小町の勉強も少し見てくれるか?」

「そういうことなら、かまわないわ」

「わ~い、じゃあお菓子沢山買っていくね」

「由比ヶ浜さん、勉強会よ」

「わかってるよ♪」

(出ました。雪ノ下のやれやれのポーズ。由比ヶ浜には甘いなぁ…)

 

比企谷家

 

「ただいま」

「お帰り、お兄ちゃん」

「小町、日曜日に雪ノ下と由比ヶ浜が来るからな」

「お、お兄ちゃん。まさかの修羅場…。ポイント低いよ」

「ちげぇよ。勉強会だとよ。小町もわからないところは、雪ノ下先生に聞くように」

「は~い」(^-^ゞ

 

~~~~~~~~~~~

 

日曜日

比企谷家

 

「やっはろー」

「こんにちは」

「結衣さん、雪乃さん、やっはろー」

「あれ?ヒッキーは?」

「リビングに居ますよ。さあ、上がってください」

「お邪魔しま~す」

「お邪魔します」

 

「ヒッキー!やっはろー!」

「こんにちは、比企谷君」

 

「おう。早速で悪いが、雪ノ下ここがわからん」

「これは、ここの応用で…」

「こうか?」

「えぇ、そうよ」

「ヒッキー、どうしちゃったの?」

「最近、すごい勉強してるんですよね」

 

「雪乃さん、ここは…」

「これはね…」

 

「ゆきのん、ここはどうすればいいの?」

「ここはね…」

 

「すまんな、雪ノ下。教えてもらうばっかりで」

「いいのよ、教えることで、復習になるから」

「いつか、埋め合わせはするよ」

「期待しているわ」

 

「ゆきのん、休憩しようよ」

「そうね。詰め込み過ぎても、いけないわ」

「やったー!小町ちゃん、お菓子食べよう」

「お茶いれますね」

「俺は参考書取ってくるよ」

「比企谷君、貴方の書棚見せてもらってもいいかしら?」

「構わんが、俺の部屋だぞ」

「何かいかがわしいものでも…」

「ねぇよ(PCの中はセーフだよな?)」

 

~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

「どうぞ」

「お邪魔します」

「そこの棚だから、好きに見てくれ」

「そうさせてもらうわ」

 

「参考書、参考書…」

「この本…ちょっと高いわね…」

「キャッ!」

「危ねぇ!」

 

ドサッ

 

(雪ノ下が床にぶつかる前に体を入れられたのはいいけど…)

(比企谷君に覆い被さってしまったわ)

(やっぱり、雪ノ下は綺麗だなぁ)

(比企谷君て、以外と整った顔してるのよね)

((顔、真っ赤じゃん))

(やっぱり、雪ノ下のことを俺は…)

(やっぱり、比企谷君のことを私は…)

 

「ひ、比企谷君」

「ゆ、雪ノ下」

 

(雪ノ下の顔が近づいてくる…)

(比企谷君と…)

 

「お兄ちゃ~ん!雪乃さ~ん、お茶が入ったよ~」

 

ビクッ

 

「すぐ行く」

 

「ひ、比企谷君。あ、あの…」

「雪ノ下、これは事故だ」

「そ、そうね…」

「深呼吸したら、行こう」

「えぇ」

 

「今日はいっぱい勉強したね」

「雪ノ下が居ると理系が捗るな」

「雪乃さん、ありがとうございました」

「いいのよ」

「ねぇねぇ、今度はゆきのん家でやろうよ」

「そうね」

「ヒッキーも一緒に」

「お、俺も…///」

「あ、貴方さえ良ければ…///」

 

~~~~~~~~~~~

 

翌週 週末

 

ピンポーン

 

「はい」

「比企谷だけど」

「今開けるわ」

 

「お邪魔します」

「えぇ、いらっしゃい」

「由比ヶ浜は?」

「まだよ」

「先に始めるか」

「そうね」

 

「約束の時間から一時間経つけど、由比ヶ浜どうしたんだ?」

「電話してみるわ」

 

「もしもし、由比ヶ浜さん?」

『ゆきのん、ごめん!ママが怪我しちゃって、病院に行ってたから』

「お母様は大丈夫なのかしら?」

『1日か2日は入院かな』

「それでは仕方ないわね。お母様についていてあげて」

『ごめんね、行けなくて』

「そういう事情なら仕方ないわ」

『ヒッキーにもごめんて言っておいて』

「えぇ、わかったわ」

 

「ガハママ、ケガしたのか?」

「入院するそうよ」

「それは仕方ないな」

 

(あれ?雪ノ下と二人っきり?)

(比企谷君と二人っきり…)

 

「あ、あの、年頃の男女が二人っきりって良くないと思うから、帰るわ」

「待って、比企谷君」

「危ない!」

 

(庇おうとしたら雪ノ下に覆い被さってしまった…)

(比企谷君…)

(早く離れないと「通報するわ」とか言われたかねん)

「す、すまん。すぐに退くから」

「ダメ!」

(雪ノ下の腕が首の後ろに)

「こ、このまま通報するのか?」

「違うわ」

「じゃあ…」

「その…、この前の続きを…。位置は逆だけど…」

(そんな潤んだ目で見つめるなよ)

「後悔するなよ」

「しないわ」

「俺は…、雪ノ下雪乃が好きだ」

「私は…、比企谷八幡が好きよ」

「「んっ」」チュ

 

(俺の方にもたれかかっているのは、氷の女王・雪ノ下雪乃)

(私が体を預けているのは学校一の嫌われもの・比企谷八幡)

 

「なぁ、雪ノ下」

「何かしら?」

「どうしてこうなった?」

「?」

「首を傾げながら、何言っての?みたいな顔するな。可愛いだろうが」

「か、可愛い…///」

「いや、これは…そのだな…」

「私、可愛くないの?」

「上目遣いやめろ。可愛い過ぎてキスしちゃいたくなるだろ」

「ん」

「何、目を閉じてるの?」

「キス…してくれるんしょ?」

「ん」

チュ

「ふふっ…///」

「なんだよ」

「比企谷君とキス出来る日が来るとは思わなかったから」

「俺だってそうだよ…///」

 

「雪ノ下は、お、俺のこと、す、好きなのか?」

「好きよ。でも、自己犠牲や周りを敵にまわすやり方は嫌い。だから、貴方の側にいて、貴方が傷つかないようにしたいの。貴方が一人だけ傷ついているのを見ていると私も辛いの…」

「俺だって、お前が一人で抱えこんで潰れていく姿なんて見たくない。雪ノ下さんは一人でなんでも出来る。雪ノ下、お前はそうならなくてもいいんだ。俺を頼ってくれ」

「でも、貴方に頼ると、また自己犠牲で解決しようとするじゃない」

「俺は…、雪ノ下に憧れていた。そうなりたいと思っていた。でも、雪ノ下が雪ノ下さんになれないみたいに、俺だって雪ノ下にはなれない。だったら、雪ノ下が頼ってくれる人間になりたいと思った。雪ノ下一人でも、俺一人でも雪ノ下さんには敵わない。だったら、二人で向かっていけばいい…。ほかのことだって、二人で解決出来る。そう思っていたら、それがいつの間にか恋心に変わってた」

「そう…だったのね。…もしかして、理系の勉強始めたのって…」

「お察しの通り…///」

「貴方は変わろうとしてくれている」

「まぁな」

「私も変わるわ」

「お前は、そのままでいいんじゃねぇのか」

「嫌よ」

「どうして?」

「私も…貴方を支えられるようになりたいから…///」

 

 

「なぁ、雪ノ下」

「何かしら?」

「一応、言っておくよ」

「雪ノ下、俺と付き合っ…」

「ごめんない、それは無理」

「なんでだよ…」

「だって、もう恋人なんだもの」

「唇を触るな、ドキドキするだろ」

 

 

「…由比ヶ浜さんに何て言おうかしら…」

「そうだな。これから、考えていこう」

「そうね…」

 

週明け 奉仕部

 

 

「やっはろー!」

「おう」

「由比ヶ浜さん、こんにちは」

「この前は、ごめんね」

「えぇ、大丈夫よ。お母様の具合はどう?」

「そうそう、家には帰ってきたんだけど、まだ不自由だから、早く帰らないといけないんだ」

「まぁ、ガハママが全快するまで、こっちはなんとかするよ」

「そうね。由比ヶ浜さん、早く帰ってあげて」

「二人とも、ありがとう。じゃあ、またね」

「おぅ、またな」

「また」

 

チラッ

「なんだ、雪ノ下」

「二人っきりね」

「ドキドキするから、そういうこと言うなよ」

「私もドキドキしてるわ」

 

「ねぇ、比企谷君」

「なんだ?」

「隣に行っても、いいかしら?」

「お、おう」

 

ガラガラ

「先輩!ヤバイです!助けてください」

「断る!」

「え~!こんなに可愛い後輩がお願いしてるのに」

「えぇい、あざとい!」

「と、いうわけで、雪ノ下先輩。先輩借りていきますね」

「俺は了承していない!腕を引っ張るな」

「ひ、比企谷君!」

「悪い、雪ノ下!ちょっと行ってくる」

 

 

「ただいま…」

「ふんっ!」

「何むくれてるんだよ」

「一色さんに腕を捕まれて、鼻の下を伸ばしていたクセに」

「そ、そんなことはないぞ」

「本当かしら…」

「俺は雪ノ下一筋だ」

「わかったわ。今回はおおめに見てあげるわ」

 

コンコン

「比企谷居る?」

「川崎、どうした?」

「明日、予備校行くだろ?」

「あぁ」

「……」

 

「じぁあ、明日頼む」

「おう」

 

ガラガラ ピシャ

 

「…」

「雪ノ下さん?」

「ふんっ!」

「え~と、何かお気に召さないことが?」

「川崎さんにも、鼻の下を伸ばして」

「してない。断じてしてないぞ」

 

 

 

週末 雪ノ下マンション

 

「また勉強見てもらって悪いな」

「大丈夫よ。だって、は、八幡君と二人っきりになれるんですもの」

「急に名前で呼ぶなよ。びっくりするだろ、雪乃」

「…///」

「どうした?」

「八幡君、二人っきりの時は名前で呼びあいましょう」

「あぁ、いいぜ。でも『君』は付くんだな」

「…ごめんない。まだ…///」

「まぁ、いいさ」

「ところで、先日一色さんと川崎に鼻の下を伸ばしていたようだけど…」

「ない!断じてない!俺は雪乃一筋だ!」

「本当かしら…」

「じゃあ、あの場で『雪乃、愛してるよ』って、言った方が良かったか?」

「そ、それは…。嬉しいのだけれど…。ダメね」

「わかった。合図するよ」

「合図?」

「俺と雪乃しかわからない、秘密の合図」

「例えば?」

「う~ん。ウインクだと、バレそうだなぁ…」

 

………

 

 

奉仕部

 

ガラガラ

「先輩!助けてください」

「生徒会の雑務だろ。断る」

「それを断ります」

「嫌だ。俺には勉強が…」

「観念して行きますよ」

「腕を引っ張るな。すまん、雪ノ下、由比ヶ浜」

「ヒッキー!がんばってね」

「仕方ないわね」

 

(彼が片目を瞑って指で軽くまぶたをさわる…。同じように私も返す。二人で決めた秘密のサイン。「愛してるの」サイン)

 

 

………

 

廊下

 

「雪ノ下さん、先日の件は」

「それは姉さんと話をしてもらえるかしら。それと、葉山君学校では、あまり話かけないでもらえるかしら」

 

「おぅ、雪ノ下。先に部室に行ってるぞ」

「えぇ、ごめんない」

 

(彼女が片目を瞑って指で軽くまぶたをさわる…。同じように俺も返す。二人で決め秘密のサイン。「愛してる」のサイン)

 

 

終わり

 

 

 

 

 



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