子宝さんの、おもうてたんと違うんだけど   作:ミレニアムいたっちー

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最近TS物が増えて気がする。
気のせいかも知れないが、本当なら嬉しいこっちゃで。
もっと増えたらええなぁ( ・ω・)y━~~


おもったより、夫がチャンレンジャーな友人関係築いてるんですけど

季節は巡り夏本番。

じりじり焼けつくような陽射しが降り注ぐその日。

オレと高虎は無謀にもクーラー無き野外を歩いていた。

 

「あづい、どげるぅ」

「・・・・お前、まだ朝方で涼しい時間帯だぞ?少しは外に出るようにしろ。怠け過ぎだ」

「むりぃ、じぬぅ。どげでぇじぬぅ」

 

自然と溢れる文句に高虎が溜息をつくが、そんなん言われても嫌なものは嫌なんだから仕方ない。

そういう嫁を貰ったと、是非に諦めて欲しい。

 

そんなにキツいなら帰れば良いのに、そう思うだろう。オレだって帰りたい。でもそういう訳にはいかない。帽子被って、日焼け止め塗ったくってるのはお散歩の為ではないのだ。ちゃんと用事があって外にいるのである。

というか、行き先がないなら家に引き込もっているに決まってる。当然だ。アイス食べてる。キンキンに冷えた部屋の中でも毛布被る、本末転倒な暴挙すらしてるわ。太陽この野郎。

 

「バーベキューなんてぇ、断ればよがっだぁ・・・」

 

高虎夏休みに入る前。

いつものように夕飯を食べていると「バーベキューしたいか?」と高虎がいきなり聞いてきた。意味が分からず理由を聞けば、大学で出来た友人に誘われたらしい。それなら大学勢で行けば?と言ったのだが、高虎の友人がオレに会ってみたいらしく、バーベキューはその口実なんだとか。

 

良い肉も用意するとの事も言われて、それならと顔を出す事に決め━━━そして今に至る訳だ。

 

水分補給をこまめにしつつ頑張って歩き、漸く待ち合わせ場所となっている駅前に辿り着く。すると高虎から聞いていた迎えの車である、青のSUVがそこに止まっていた。

 

「子宝ー、こっちこっちー」

 

軽い声に視線を向ければ、SUVの開いた窓から茶髪のにいちゃんが手を振っていた。

 

「高虎、あれ?」

「ああ、行くぞ」

 

高虎に手を引かれて車の所に着くと、茶髪のにいちゃんが驚愕の声をあげる。

 

「おおっ!嫁さんってその人か!?聞いてた以上に可愛いんですけど。いるんだな、リアルにお人形さんみてぇな人・・・つか、子宝が隣立つと犯罪臭すげぇな」

「喧しい。・・・ゆたか紹介する。弦巻清正(つるまききよまさ)だ」

 

紹介された茶髪は掌をヒラヒラさせて「よろしくー」と軽い挨拶をしてくる。オレは身嗜みを軽く整えてから高虎より一歩前に出た。

 

「お早う御座います、子宝ゆたかです。いつも夫の高虎がお世話になってます。本日は夫婦共々よろしくお願いします」

 

軽く会釈してマザーから仕込まれた挨拶をきっちりすると、弦巻は口許に手を当て変な声をあげた。何なのかと様子を窺えば、頬を赤らめてプルプルしてる。

 

「かわゆぃ・・・子宝(大)よ、この子、うちにお持ち帰りして良い?」

「・・・・命を懸けろ」

「命懸けろとか、あはは━━━━ひぃ!?ジョーダンだって!目がマジ過ぎるだろ!」

 

弦巻が酷く怯えてるので、高虎がどんな顔してるのか見ようとしたけど、後ろから抱き着かれて阻止された。頑張って顔をあげても顎しか見えない。

そして糞暑い。

 

そのまま後部座席に連行されて、高虎の膝の上に座らされた。逃げようにもがっちり掴まれてて動けない。暑すぎる。

 

「高虎、あつい・・・」

「弦巻、クーラー全開にしろ」

 

「まあ、クーラーは全開してやるけど・・・離れないと意味ないと思うぞ。・・・・あーはいはい、聞く耳なしね。お好きになさってくれぇい」

 

ガンガン吹き荒れる冷気にオレの火照りが静まっていく。もうずっとここにいたい、そんな気すらしてきた。温度が低くなっていく車内。背中から伝わる高虎の体温がまた良いアクセントになって、心地良くて段々とウトウトしてくる。

 

「寝てて良いぞ」

「うーん、でも・・・なぁ・・・」

「大丈夫だ。着いたら起こしてやる」

 

チラッと運転してる弦巻を見ると、同意するようにコクコク頷いていた。

それならばと、お言葉に甘えて瞼を閉じ高虎に体重を預ける。すると高虎の心臓の音が聞こえてきた。そのまま音をぼんやり聞いていると意識が少しずつ遠退いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「キヨーーー!!っそいのよぉ!!」

 

甲高い怒鳴り声に目を覚ますと、運転席に座る弦巻が開いた窓から伸びる腕に胸ぐらを掴まれ、縦横上下に激しく揺らされている光景が視界に入ってきた。

何となしに腕の出所を追って窓の外を見ればライダースーツを着たポニーテールの女の人と、鬱蒼とした森林が目につく。

 

「ごめっ、ごめんってば!でも俺のせいじゃねぇって、だって混んでたからぁ!」

「っさいわ!!この糞暑い中、目の前でバカップルがいちゃつく中、一人寂しく待ってた私の身になれっての!!死ね!!」

「だからっ、俺が迎えにいくっていったのに!!ぐぇ!?ごぶっ、お、お前が、バイクで行きたいとか、言ったせいじゃねぇかよぉ!!免許取り立てで嬉しいのは分かるけど、ちょっとはしゃぎすっぎぎぎぎぎぎ!?ギブ!!ギブ!!しぬぅぅ!!」

 

争う二人をぼんやり見てると頬っぺたをつつかれた。

見上げると高虎の顔がある。

 

「起きたか?」

「まぁ。あれは?」

福島照海(ふくしまてるみ)っていってな・・・弦巻の友人だ。・・・俺にとっては知り合いだ」

「そこは友人じゃないんだな」

「弦巻の友人だから会うこと自体は良くあるが、個人的には付き合いもないしな。勘違いされても困る」

「勘違い?ん?」

 

何を勘違いするのか分からないが、こうして一緒に遊び行く予定を立てるくらいなら友人なのでは?と思ったけど・・・・まぁ、高虎がそういうなら態々何か言うのも違う気がしたので黙っておいた。

 

尚も争う二人に高虎が態とらしく咳き込む。

 

「清正、福島。楽しんでる所悪いんだが、もう良いか?」

 

「「楽しんではない!!」」

 

息ピッタリ。

なにあれ、凄い楽しそう。

 

鬼のような形相をしていた福島さんだったけど、高虎とオレを見るとその表情が変わった。怪訝そうな顔から驚きを浮かべた顔に。そして鬼の角の代わりに、犬の耳が生えた気がする。

 

「子宝くんっ、その抱えてるのって、えっ、なにそれ、可愛いんだけど。妹さん━━━ではないわね。似てないし。はっ!!まさか、その人が噂の子宝くんの妄想嫁!?」

「妄想じゃないと言っただろ、いい加減━━━」

「犯罪じゃないのぉ!!」

 

そういうと福島さんはドアが開けてオレを高虎から拐っていった。外気に晒されたオレの体力は凄い勢いで減っていく。あと何秒かしたら死ぬ。

 

「見損なったわ!キヨと付き合う割には、わりとまともそうだと思ったのに!!中学生に手を出すなんて!!」

「そいつ少し小さいけど、俺達と同い年だからな」

「うっそぉ!?こんなに可愛いのに!?」

「それは否定しないが、それとこれとは関係ないだろ」

 

福島の疑うような目がオレを見下ろす。

 

「本当に?」

「一応は・・・」

 

そういうと福島さんの目がジロジロと体を見始めた。

そしておっぱいの所で視線が止まる。じーっと見てきて、自分の胸を触って、またじーっと見てくる。

 

「B?」

「ギリCはあるけど」

「ぐはっ、負けたっ!!」

 

福島さんはオレを離し、胸を押さえながら膝をついた。

よっぽどショックだったのか放心してる。なんか小さい声で「可愛いは正義」とか呟いてる。最後のはなんか違う気がするけど、面倒臭いので放っておいた。なんか、弓子と同じ臭いがするから。

 

しかしなぁ、オレとしては胸より身長が欲しかったから、福島さんの高めの背も、スレンダースタイルなんかも羨ましい限りなんだが・・・まぁ、人それぞれだからな。こればっかりは。

 

暫くして元気を取り戻した福島さんと挨拶すまし、バーベキュー用の道具やら材料やらを皆で手分けして持って車を後にした。

 

福島さんに案内され森林に囲まれた道を歩いていくと、拓けた場所に辿り着いた。

森の中に拓かれた大きな空間の中には、その広さに見合った広々とした庭と二階建ての大きなログハウスが建っていた。庭の端には藍色の屋根の東屋も見える。

ちょっと目をこらして見れば、庭の向こうの雑木林の先に湖的な物も見えた。

 

「別荘的な?」

「らしいな。俺も詳しい事聞いてないんだが」

 

高虎に聞くと頷いた。

そうらしい。

 

「皆さーーん、こちらでーす」

 

元気な声に視線を向ければパラソルの下でバーベキューの用意をしてる二人の男女の姿があった。

一人は丸っこい眼鏡を掛けた文学系女子で、もう一人は淡い黄色のサングラスを掛けた金髪ヤクザ。

 

オレは静かに高虎のTシャツの裾を握った。

 

文学系女子は兎も角、あれは駄目だ。

前世の時から、あの手の連中とは仲良くなれる気がしない。心底苦手だ。今世においても、それはミジンコ一匹分たりとも変わらない━━━というか今世の方が確実に悪化してると思う。

基本的に高虎がいたから大丈夫だったけど、あの手の人種はたまにやってくるのだ。ナンパとか断ってもしつこいし、直ぐ怒鳴ったりするからマジ無理。ヤンチャな人にひかれる奴の気持ちがしれん。こわくないか。普通に。あれか、ドMなのか。

 

しかもよくよく見ると、目の上とかに刀傷みたいなのあるんですけど。・・・というかメチャクチャ睨んできてるんですけど。

 

ふいに、頭の上に大きな掌が乗っかった。

突然の事にびっくりしていると、そのままぐりぐり撫でられてしまう。抗議する為に見上げれば、優しい色をした瞳と目が合った。

 

「大丈夫だ、あいつはそんな悪いヤツじゃない。見掛けはあれだけどな。それに、もしそうでも、俺がいるだろ」

「・・・・まぁ、うん」

 

そこを疑ってる訳ではない。

それは信用してるし、頼りにしてる。

 

視線を高虎から文学系女子達に戻すと、不思議そうな顔をした文学系女子と目があった。文学系女子はこちらを見て眉を潜めてる。

そして隣のヤクザを見て、オレを見て、またヤクザを見てから、その頭をペシンとひっぱたいた。

 

「何睨んでるの。ただでさえ怖い顔してるんだから駄目でしょう」

「てぇっな・・・仕方ねぇだろ。クセなんだよ」

 

ポカポカとヤクザを叩いた文学系女子はこちらに駆けてきた。

 

「こんにちわ、縁あって子宝高虎くんと仲良くさせて頂いています。加藤あかりです。あっちの目付きの悪いのは二輪安治(ふたわやすはる)って言います。目が悪いのと、顔が悪いのがちょっとあれだけど、噛みついたりしないから安心して下さいね。今日は宜しくお願いします」

「こちらこそ・・・・初めまして、子宝ゆたかです。高虎が、えっと、夫がいつもお世話になってます」

 

お互いペコリとお辞儀交わしてると、金髪ヤクザ二輪がこっちにきた。何故か傘を手にしてる。あと、さっきより少しだけ眉間のしわが薄い気がする。

 

「・・・・睨んで悪かった。いや、睨んでるつもりは無かったんだが・・・・気になってな。それ」

 

二輪がサングラスを取ると、緑色の瞳が覗いた。

今になって気づいたが、二輪は全体的に色素が薄い気がする。肌も白っぽいし、髪だって染めた感じないし。何よりこのくそ暑い日に長袖長ズボンなのが気になる。

 

オレの視線に気づいたのか、二輪は傘を差し出してきた。

 

「体質でな。俺とは違うかもしれねぇが、あんたも日射しに強い訳じゃねぇだろ。ここはよく光がさす。帽子だけだとキツイから使え」

 

ぶっきらぼうな言い方だけど、心配してくれたのは分かった。どうやら本当に悪いやつでは無さそう。

 

「えっと・・・ありがとう。でも折り畳みのやつ持ってるから大丈夫・・・です」

「そうか・・・・なら良い」

 

外見はあれだけど、何処と無く同士の気配を感じて見つめあってると高虎に後ろから抱き上げられた。

二輪の方もなんか加藤さんに耳を引っ張られてった。

 

「なんだ、今の妙な間は」

「?なんだって言われても、別に?」

 

よく分からない高虎の相手をしてると、加藤さん達も似たような事してるみたいで剣呑な話声が聞こえてくる。なんの取り調べだろうか。変な雰囲気。

 

それから少しして、弦巻が妙な空気を完全無視して残りの準備を済ませた事により、お昼ちょっと過ぎにはバーベキューが始まった。

 

焼ける食材を眺めながら皆の話を聞いて分かったのだが、どうやら高虎の大学の友人はお金持ちが多いみたいだ。チャラ男弦巻はどこぞの会社の跡取り息子で、福島さんも良いとこ出の御嬢様らしい。ヤクザ二輪もヤクザではないけど、大きい家の子だとか。加藤さんに至っては、今バーベキューしてる別荘と目の前にある湖を含めて大体所有地、という破壊力のある言葉で察した。

 

東屋のベンチに涼みながら食べる焼きたてのお肉はとても美味しかった。少し暑かったけど、高虎の友人の事をしれて良かったし来て良かったと思う。

 

ただ、まぁ、今度何かに誘ってくれる時があるなら、涼しい所を希望したい所だ。

暑いのマジ無理。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前いじめられてない?」

「いじめられてはないな。・・・まぁ、たまに果てしないズレを感じる時はあるが」

「それなら良いけど」

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