子宝さんの、おもうてたんと違うんだけど   作:ミレニアムいたっちー

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ふぅ、この一服の為に生きてるなぁ( ・ω・)y━~~


おもうてたより、シスコンの来襲が早かったんだけど『後編』

時刻はすっかりお昼時。

 

マザーに言われた通り布団を一度ひっくり返し、ついでに軽く部屋の掃除を済ませたオレとジョディーさんは、ちょっと前に配達されたピザを和室でテレビ見ながらモシャモシャしていた。

 

リビングで剣呑な雰囲気を醸し出しながら見つめあう、高虎と兄貴の様子をたまに窺いながら。

 

・・・それにしても旨いなぁ。

濃厚なチーズとスパイシーな香りが食欲をそそるよね。

たまには良いな、ピザ。

 

「What can I get you to drink?」

「ん?なんて?」

「aah……drink………ノムゥ?オチャァ」

「ど、どりーん?のむぅ?おちゃぁ?・・・ああ、飲み物か。良いよ、オレとって来る。ジョディーさん何が良い?」

「me?………ジャパニーズ グリーンティー プリーズ。OK?」

「おーけー!」

 

ジョディさんには座って貰ったまま、高虎の隣を抜けて冷蔵庫へと行く。幸い作りおきしてた冷茶が余っていたのでコップを一緒に持ってジョディーさんの所へUターン。

 

帰る途中ふと高虎達の方を見ると、テーブルに飲み物すら置いてないのが目についた。もうお昼なのに。

 

「高虎と兄貴もなんか飲む?てーかお腹減ってない?ピザ頼もうか?今から頼むと時間掛かると思うけど・・・」

 

そう聞くと高虎と兄貴が掌を翳してきた。

 

「俺はいつもの」

「僕もいつもの頼むよ」

 

いつもの?

高虎のいつものと言えば温かい緑茶だ。それも急須で入れる割りと本格的なあっつい奴。特に拘りのないやつだけど、これだけは矢鱈と凝ってるから嫌でも覚えてる。

まぁ、ちょうど茶葉切らしてるから出せないけど。

 

兄貴のいつものと言えば紅茶だ。

こっちにいた頃、ジャン何とかっていう淹れ方を自慢気に見せてきたのを覚えてる。

まぁ、茶葉どころかティーパックすらないから出せないけど。

 

「面倒臭いからコーヒーな」

 

間をとってそう言うと、何故か二人のテンションが目に見えて下がった。なんて失礼な奴らか。飲まず食わずで可哀想だからと気をきかせればこれだ。まったく、もう何もやってやらん。

 

「・・・・お昼はー?」

 

インスタントコーヒーの粉をコップに入れながら、一応念のために最大限譲歩して聞いてやる。

すると高虎は朝渡した弁当をテーブルに置いた。

 

「大丈夫だ。ある」

 

なんだろう、凄い良い顔するな。

ご飯は炊いたけど、基本おかずは冷凍食品なのに。

唐揚げか?唐揚げ一杯入れたからか?

 

兄貴の方を見れば笑顔が返ってきた。

あーはい。用意しろって事ですね?はいはい。

 

幸い朝炊いたご飯がまだ余ってる。

おかずだけ考えればいいから簡単だ。

 

そんな訳で冷凍庫を開いて見ると、弁当の余りの唐揚げが目についた。なので封を開けて皿に盛り付け、ラップをしたらレンジにゴーする。あとは三分したら出来上がり。

 

「・・・・ゆたか、お前」

 

声に振り向くと、弁当を開けた高虎が微妙な顔をしていた。

 

「なんだよ?」

 

高虎は何かを言おうとしたけど、直ぐ兄貴が割り込んで邪魔してきた。

なんかこっちも凄い良い顔してる。

 

「なんでもないよ、僕の可愛い妹。ただ、そうだね、ほんのちょっと、高虎くんが勘違いしてたみたいだから?いやー面白い。あはははっ、面白いねぇ。あれ?どうしたのかな?何かあるのかい?高虎くん?」

「育斗さん。そういう事するから、既読スルーされるんですよ」

「・・・・・ほほう?君はされてないと?」

 

なんか見つめ合う二人の視線が厳しい。

昔から相性は良くないけど、今日はいつになく仲悪いな。━━━まぁ、だからといって助けないけど。寧ろ助けて欲しいくらいだし。

 

だから頑張れ、高虎。

オレの平穏はお前に掛かってる。

 

それにしても便利な世の中だね。

冷凍食品って神だよ、本当。

チンって言ったらもう出来上がりだもんなぁ。

 

「Is it a boss's lunch frozen food?Really?━━━━Hahahaha! Nice joke!Yutaka's service is great! Hahahahaha!」

 

レンジの前で待ってたらいつの間にかジョディーさんがリビングに来ていて、こっちを見ながら大爆笑していた。レンジでチンする事の何が面白いのか。少し分かりあえてきたかと思ったけど、文化の壁って大きいんだなって。外国人のツボは分からん。

 

「ジョディー?」

「Hahahaha…ha…a……oops」

 

今のは分かった。

ジョディーさん怒られたんだな。

 

それから少しして、出来上がったコーヒー二つと唐揚げ丼(ふりかけon)を兄貴にあげて、オレはジョディーさんと和室に戻ってピザとしゃれこむ。

チンしてからというもの、何故だかジョディーさんが矢鱈と楽しそう。

基本英語?で何言ってるか分からないけど、兄貴の悪口とか言ってる気がする。ジョディーさんとは良い酒が飲めそう。まだ飲めないけど。

 

「それにしても、何話してるんだろ?」

 

オレを救出した後、高虎は兄貴と二人きりで話してる。

ジョディーさんとオレ放って置きっぱなしでだ。

そりゃぁ、高虎に兄貴の相手を頼んだのはオレだけど・・・・。

 

「んーーー、んーーーんーーーー」

 

ピザも食べ終わって、テレビも飽きてきて、いよいよやる事がない。普段ならゲームしてるけど、流石にお客さんの前ではやりづらい━━というか、今やってるのギャルゲーだからジョディーさんの前で凄いやりづらい。んー、いや、二人で出来るやつなら・・・・気分じゃないなぁ。

それにゲームやるならリビングのでっかい奴でやりたい。和室のはちっちゃすぎる。

 

暇だからゴロゴロ転がってると苦笑したジョディーさんが手招きしてくる。何だろうかと思って近づくと懐から携帯ゲーム機が出てきた。しかもオレがまだ持ってない、配管工のおじさんが絶大な影響力を持つ、あのハード機である。

微笑を浮かべたジョディーさんは、二つあるコントロールの内一つを静かに差し出してきた。

 

「ジョディーさん、マジか」

 

そっとそれを手にすると、ジョディーさんは深く頷き親指を立てた。

 

「I love Japanese culture, manga, animation and games.……aah………oh!━━━I am a オタァク!」

「オタク!?」

「Yes!オタァク!」

「オタク!!」

 

思わず手を差し出すとジョディーさんが握手してきた。

がっちり繋がった掌が熱い。

 

「アニメ大好き!」

「Yes!ダイスゥキィ!」

「ゲーム大好き!」

「ダイスゥキィィ!」

 

「「イェーー」」

 

そういう訳でゲーム機のスイッチを入れ、大乱闘して、スマッシュして、ブラザッた。

 

新キャラを増やすこと暫く。

いい加減布団を取り込む時間になった頃、ジョディーさんの胸元からモンスターをボールに捕らえそうな音楽が鳴り始めた。ジョディーさんの表情が曇る。どうやら帰る時間らしい。

 

「sorry Yutaka. I wish could play the game,but I have places to go…」

「よく分かんないけど気にする事ないって。それより連絡先交換しよ」

 

パッとスマホを見せると今日一番の笑顔と共に「of course !」の言葉が返ってきた。

 

仲良く連絡先を交換していると「随分と楽しそうだな」とぼやきが聞こえてくる。見れば高虎と兄貴がこっちを見てた。やや、いつの間に。

 

「話終わった?」

「割と、大分前にな。はぁ・・・まったく、誰の為にやってると思ってるんだか」

「ん、なんだよぉ」

 

高虎に頭をグリグリと撫でられ髪が乱れる。

ムカついたので手をペシッておく。

この野郎が。

 

「・・・ん?高虎?」

「何だ」

「・・・んー?いや、なんでも・・・・」

 

何となくだけど、少し寂しそうな顔してた気がした。

直ぐいつもの顔になったけど。

 

髪を直していると今度は兄貴と目があった。

何か言いたげな顔をしてる。

 

「・・・ゆたか、お兄ちゃん取り敢えず今日は帰るんだけど」

「今日はって、また来る気かよ?」

「ははは、そりゃ勿論。暫くは日本に滞在するから、また遊びに来るよ・・・・嫌かい?」

「・・・・まぁ、別に。たまになら良いよ」

「ははは、相変わらずゆたかは言葉を飾らないね。そういう所も素直で可愛いけど、外では気をつけるんだよ?」

 

そういうと兄貴は頬っぺたをプニプニしてきた。

 

「なんだよぉ」

「ねぇ、ゆたか。お兄ちゃん、向こうの国で凄く頑張ったんだ。だからね、ゆたか一人くらい面倒見てあげられるよ。好きなゲームも買ってあげる。美味しいご飯も食べさせてあげる。ゆたかは何にもしなくて良い。ゆたかが、ずっと好きな事出来る場所を作ってあげる。だから━━━━」

「やだ」

 

断ると兄貴の手が止まった。

 

「そっか」

「だってそれ、大前提として兄貴のいる所にいかなきゃなんないんだろ?やだよ。英語喋れないし、読めないし。てーか、普通に日本好きだからな。日本食の無いところは住みたくない━━」

 

兄貴が今住んでる場所とか知らないけど、英語が必須なのは理解出来る。そんな所で日本人一人とか、無理ポヨというものだ。正気の沙汰ではない。

 

それに━━━━━それに?

 

 

「━━━・・・・・ん、んん・・・なんていうか。うん。まぁ、うん」

 

 

言葉に迷って兄貴を見上げると、優しい視線が返ってきた。

 

「通訳とかつけるよ?少し足を運べば日本食だって食べれる場所だ。移動には勿論車を出すし、ボディガードもつけてあげる」

「余計にやだよ。絶対気を使うもん、そんなの。それにそう言うのは気軽に一人でスッといけるから良いんだよ。風情だよ、風情。兄貴は頭良いけど、相変わらず分かってないなぁ」

「・・・・本当だね、僕は━━━全然分かってないね。教えてくれてありがとう、ゆたか」

 

それだけ言うと兄貴は頬っぺたをプヨンプヨン弄ってからそそくさと帰っていった。本当に忙しいらしい。

今度来るときは事前に連絡を入れるらしいが・・・無理して来なくても良いのにとも思う。

 

ジョディーさんは歓迎するけど。

 

兄貴が帰ってから何故だか高虎に付きまとわれた。

布団取り込む時も、洗濯物取り込む時も、夕飯作る時も、ずっっっっっと後ろから抱き着きっぱなし。超邪魔。

お風呂にまでついてこようとしたので、そこは金的して突き放しておいた。

 

風呂は駄目だ。風呂は。

貞操が、死ぬるだろうが。

変態ボケ野郎が。

 

 

 

 

 

 

「ゆたか、背中流すか?」

「入ってきたら離婚な」

「分かった」

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