「黒幕はフィーネかな」
あの戦いから数日、俺は雪音さんが行ったこれまでの行動について、その黒幕についてを考えていた。
雪音さんと最初に出会った際に彼女の保護者だと思われていた人物の正体がもしも俺の予想が正しければ、これまでの一連の事件の黒幕もしくは深い関わりを持っていると考えるのが妥当だろう。
「それで、お前はなんでそんなに上機嫌なんだ、ウォズ」
「いえいえ、我が王よ。
いよいよ始末するのですね、フィーネを」
「始末するつもりはないけどな。
ウォズはあの人の事は嫌いなのか?」
「えぇ、それは勿論です。
ですが、我が王が望む時を待っていたのです」
「とりあえず、話だけでも聞く」
それだけ言うと俺は立ち上がり、バイクライドウォッチを取り出す。
「ですが本気で戦うようですね」
「まぁな、あれだけの事をしている人だからな。
話し合いだけで解決できるとは思えない」
本音を言えば、話し合いで解決したいが、相手はノイズを操る武器を平然と使う奴だからな。
「場所は分かるか」
「えぇ、我々は情報戦においてはアドバンテージは遥かに上ですから」
それだけ言うと、ウォズが取り出したのはウォッチだが、ウォッチは開くと同時に、その形はロボットの鷹へと変わった。
「これは?」
「タカウォッチロイド。
現在のフィーネの居場所まで案内してくれる僕です」
「そうか」
俺はそれだけ言うと、タカウォッチロイドが跳ぶ方向を見ると、そのまま歩き出す。
「ウォズは来ないのか?」
「本当はあの女が泣き叫ぶ顔を見たい所ですが、私はこれから用がありますので」
「・・・そうか」
俺はそれだけ言うと、再びタカウォッチロイドについていく。
タカウォッチロイドの後をついていきながら、街から少し離れた森の中で歩いていくと、タカウォッチロイドは何やら激しく反応したので見てみると木の後ろから現れたのはあの時見たフィーネだった。
「こんな所にお客さんとは珍しいわね。
それも、まさかあなたが来るとはね」
「久しぶりというべきですかね、フィーネさん」
そう言い、俺は森の中にいたフィーネに話しかけると、こちらに対しては怪しい笑みを浮かべながら、応える。
「えぇあの時は世話になったわ。
けど、あなたの目的は何かあるんでしょ?」
「雪音さんになんであんな事をさせているんだ?」
「あれはあの子の意思で行っている事よ。
私はそれを手伝っているだけよ」
「促したの間違いじゃないのか?」
「さぁどうでしょうね。
あなたこそ、あの怪しい預言者擬きを信じているのかしら?」
「ウォズの事か?
信用できない所はあるが、言っている事は大抵は真実だけで、情報としては頼りにしている」
「なるほどね、まぁ良いわ。
けど、私からはあなたを勧誘したい所だけど、無理そうね」
「あなたの目的が分からない以上は。
といっても、目的が分かっていても、ノイズを使うならば俺は止めますが」
「へぇ、なるほど」
そう言うと、フィーネはこちらを心底面白そうに観察しながら見る。
「なんですか?」
「いいえ、あなたは意外と底が分からない人物だと思っただけよ」
「なに?」
「立花響は本当に表裏がないような明るい性格だけど、あなたは似ているようで全然違う。
あなたを動かしているのは偽善者にも似た行為。
あの力を使えば、世界中の人々を救えるのに、あなたが救ったのは妹である立花響の周りだけ。
とても正義のヒーローだとは思えないわ」
「・・・俺は正義の味方になったつもりはない。
ただ、目の前で助けられる人がいるならば、助けるだけだ。
それに最も守りたい人を守れなきゃ、意味はないだろ」
「なるほどねぇ、それが歪な所なのね。
まぁ良いわ、それよりもあなたにお客さんよ」
「っ!!」
その言葉と共に俺は上に跳びあがり、ジクウドライバーを腰に巻くと共にジオウライドウォッチをすぐに挿入する。
「それじゃあ、私はあなたの可愛い妹に用があるので、引かせてもらうわね」
「ちっ、変身!!」
その言葉と共にジクウドライバーを回し、目の前に迫りくる攻撃を防ぎながら着地する。
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!】
「今度はなんだ?」
そう言いながら、地面を転がりながら、襲ってきた奴の正体を確かめると、そこに立っていたのは巨大な青い鬼の剣が片手で一体化になっているアナザーライダーが出てくる。
「こんな時に、邪魔をするなよ」
俺はそう言い、手に持ったジカンギレードを片手に持ちながらアナザーライダーに斬りかかったが、アナザーライダーはその手から出る力で大きく後ろへと吹き飛ばされる。
そのまま片手に持ったライドウォッチをジクウドライバーにセットし、そのまま回す。
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!アギト!】
その音声と共に俺は勢いよくアナザーライダーを殴りかかる。
アナザーライダーは巨大な剣で俺の攻撃を防いでいく。アギトアーマーの身体能力を頼った戦い方を行いながら、俺は攻撃を行っていくが、アナザーライダーはその手と一体化した巨大な剣を使ったカウンターを行い、吹き飛ばす。
アナザーライダーとの戦いでもそうだが、今はなによりも
「響が危ないんだよぉ!!」
【バーニング】
その音声が鳴り響くのと同時に、俺は拳にマグマが溢れるような熱量と共にアナザーライダーに殴る。
それにより、アナザーライダーの剣は大きくひび割れるが、それに構わず、俺はアナザーライダーを殴り続ける。
「がはぁ、はぁ、はぁ、なんだ、これは!?」
突然湧き上がる力に疑問に思いながら、少しずつ冷静さを取り戻していく。先程まで溢れていた熱は収まり、見てみると、手は通常と同じアギトアーマーへと戻っていた。
「今のは一体、けど今は」
先程までの現象については疑問に思いながらも、現状はアナザーライダーを倒す事を優先し、俺はジクウドライバーのボタンを押す。
【フィニッシュタイム!アギト!グランド!タイムブレーク!】
その音声と共に、俺の右手に光が集まりだし、こちらへと迫っていたアナザーライダーに向けて殴りつける。
それによりアナザーライダーは空高く吹き飛ばされる。
「はぁはぁはぁ」
『結構無茶するようだな』
「すいません、俺は、今は」
『分かっている。
お前は守りたい奴の元へと行きたいんだろ』
「あぁそうだって!?」
俺はそう答えた相手を見ると、そこにはアナザーライダーの元になっていたと思われる二人と一緒に不良のような座り方をしている赤鬼がいた。
『なんだ、文句あるか!?』
「いや、まぁ、確かに驚いたけど」
『うん、僕からは言える事は少ないけど、君には伝える事は一つだけ。
君が大切な人を、決して忘れないで欲しい。
その人との間の記憶が、君の力になってくれるはずだから』
『そういう事だ。
という事で、俺達からの贈り物だ』
「贈り物?」
『まったく、爺ちゃんは色々と無茶するんだからな』
『うん、でもありがとう幸太郎』
『じゃあな、後輩』
その言葉と共に、俺の視界は元の世界へと戻ったが、贈り物って一体。
【タイムマジーン!】
「うわぁ!!
いきなり巨大な音が聞こえたので、見てみると、俺の上空には巨大なバイクのような何かがあり、フィーネかウールの仕業かと考えたが
「もしかして、さっきのライダー達が言っていた贈り物って、これか?」
俺は疑問に思いながらも、恐る恐る入っていくと、中は思っていた以上に広く困惑したが、目の前の画面には何かが表示されていた。
「えっと、操作方法はこれで合っているのか?」
俺はそう言いながら、レバーを引くと、大きく振動しながら、移動している事を確認できた。
「響に、翼さん、それに雪音!!」
画面を見ると、その先には響達が戦闘しており、雪音は白い鎧ではなく、赤い鎧を身に纏っていたが、ノイズがクリスに襲い掛かろうとしていた。
「フィーネっ!!」
俺はそう言い、自然とレバーを操作するとタイムマジーンは変形し、なんと手足が生えると雪音達に迫っていたノイズから守った。
「えっと、何ともないけど、あれっ!?
巨大ロボット!?」
「あの顔って、ジオウ!?」
「どうやら、無事だったみたいだな」
俺はそう言い、タイムマジーンから飛び出ると、建物の上にいるフィーネに向かって睨み付ける。
「本当に怖い存在だね、ジオウ」
「あんた、雪音の保護者だろ」
「誰もそんな事は言っていないわ。
その子には既に利用価値は無くなった、だから捨てただけよ」
「フィーネ」
「それに保護者とは違うけど、あなたも何時まで正体を隠しているつもり?」
「っまさかフィーネ!!」
「立花響、疑問に思わなかったのか」
「何がですか?」
「お前が危機的な状況になった時、なぜ仮面ライダーが現れるのか」
「フィーネ、それ以上喋るな」
そう言い、フィーネの後ろに出てきたウォズは止めようとしたが、フィーネはまるで予想していたように笑みを浮かべながら、ノイズを放った。
「くっ!?」
ノイズ相手に一瞬だけ後ろへと跳び、そのままフィーネは話を続ける。
「仮面ライダーは、なぜお前を優先的に守っているのか!!」
「辞めろっ!!」
雪音は急いで走り出すが、フィーネは笑みを浮かべながら話す。
「それはな、立花響。
仮面ライダージオウの正体、それはお前の兄、立花ソウゴだからだ」
「えっ?」
何を言っているのか分からない様子で呆けていた。
「お兄ちゃん?」
「・・・」
俺は無言のままで響に対して、それを答えるべきか不安になるが
「ふっ、そのような戯言を信じるのか?」
「その割には焦っていたな」
「ぐっ」
「・・・・」
ウォズがなぜ正体を明かして欲しくないのかのか、理由は分からないが、それ以上にもう響には秘密にする事はできない。
俺はそれを観念するように、ジクウドライバーからライドウォッチを外すと、変身は解除される。
「悪かったな、これまで秘密にしていて」
「・・・」
正体を知って、少し放心気味だったが、俺は再び話をしようとしたが
「我が王よ、これ以上の干渉は控えてください」
「ウォズさん!!
待ってください、私お兄ちゃんと「これ以上干渉しないでもらいたい」なんで!!」
「ウォズ、手を出すな」
「・・・はぁ、私怨を優先しすぎました。
あの時、フィーネを追う事を止めておくべきだったですね」
「あなたにも聞きたい事がありあます」
そう言い、翼さんはウォズの後ろへと取るが
「悪いけど、今後の事を知られる訳にはいかないので、行かせてもらうよ」
その言葉と共にウォズはそのまま消えていった。
ウォズが消えた後でも、俺と響の間の微妙な空気になっていたが、これからどうするのか。
オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは
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天羽々斬
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イチイバル
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シュルシャガナ
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イガリマ
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アガートラーム