戦姫絶唱シンフォギア 時の王である兄   作:ボルメテウスさん

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届けっ!その思い!

「これは一体」

 

響達はガディンギルを止める為に私立リディアン音楽院へと向かっていた。

 

だが、その道中の建物の様子は可笑しかった。

 

「これは何が?」

 

「本当に困った物よね」

 

「えっ!?」

 

後ろから聞こえてきた声に振り返ると、そこには櫻井了子が困ったように笑っていた。

 

「櫻井さんっ、無事だったんですね!!」

 

「えぇ、まったくウールの奴もとんでもない事をするわね。

ここまでするとは」

 

「櫻井女史、まさか」

 

「まぁ、その予想は合っているわね」

 

そのまま笑みを浮かべながら、櫻井はネフシュタンの鎧を身に着ける。

 

「まさか、これまでの事も、今ここで起こっている事も!!」

 

「アナザーライダー以外に関しては確かに行ったわ。

でもね、この出来事に関しては、もうすぐ来るわ」

 

「「「っ!!」」」

 

その言葉と共に、後ろから聞こえた音に振り替える。そこで響達が目にしたのは、これまで見た事のない仮面ライダーだった。

 

「あれは」

 

「ソウゴと同じ仮面ライダーの!!」

 

「っ!!」

 

その驚きと共に、ゆっくりとこちらに近づく音が聞こえ、見てみるとそこにはジオウがいた。

 

だがそのジオウはこれまで知っているジオウとは違った。

 

全身が黒い棘のような鎧を身に纏っており、ベルトには黒く変色したジオウライドウォッチと黒い靄によってよって覆われたライドウォッチが装填されていた。

 

そして何よりも、その顔に描かれていたライダーという文字は黒くなっていた。

 

「お兄ちゃん?」

 

「やぁ、立花響。

だけど、こいつはもう君の知る兄じゃないよ」

 

「何を言って」

 

その言葉を示すように、響の背後が突然爆発し、驚いて後ろを振り向くと炎が舞い上がっていた。

 

「危なかった所だね」

 

「ウォズ!!

てめぇなんか知っているのか!?」

 

「あぁ私としても、このような事は望んでいないからね」

 

「一体どういうことなんだ」

 

「今の我が王はこの地に封印されていた究極の闇によって、心を支配されている」

 

「究極の闇?」

 

「この地下にはかつて、仮面ライダークウガに蓄積された闇を払う為の遺跡があった。

だが、グロンギとの戦いで遺跡は崩壊し、闇はそのまま封印された」

 

「その闇は長い年月をかけて、より巨大な力を身に着け、今のジオウを支配している訳さ」

 

「それでは、このままではジオウは」

 

その言葉を聞き、響達はジオウを見つめる。

 

「なんでだよ、フィーネの事もあるのに、ソウゴも助けないと!!」

 

「・・・そうだねっ!!

お兄ちゃんも未来も絶対に助ける」

 

「あいつから任された以上、やらないとな!!」

 

その言葉で覚悟を決めるのと同時に、

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

「Killiter Ichaival tron」

 

その歌声と共にシンフォギアを身に纏い、響はジオウの元へ、翼とクリスはフィーネの元へと向かった。

 

「立花響だけで、ジオウを倒せるとでも思っているのか?」

 

「立花は倒すなんて、考えていない」

 

「取り戻したいと考えているだけだ!!」

 

その言葉のまま、響は目の前にいるジオウへの説得の為に言葉を出し続ける。

 

「お兄ちゃんっ!!」

 

何度も、その言葉が届くのを信じ続けるように、手を伸ばす。

 

だがその度に、ジオウは響を突き放していく。

 

「無駄だよ、彼の心は既に闇によって支配されている。

君では元に戻す事なんて、できないよ」

 

そう言い、ウールは響を諦めさせようとする。

 

その先では、フィーネと翼が戦っている隙に、ガディンギルを止める為にクリスが空へ跳んだ。

 

「君では何も救えない。

この場にいる仲間も、君の帰りを待っている友達も、そして目の前にいる兄もね!!」

 

その言葉と共に響は目を閉じた。

 

「諦めるなんていう選択肢なんて、ないよ!!」

 

しかし言葉と共に、響は立ち上がる。

 

「救えないなんて、諦めたら、終わってしまう。

それを教えてくれたのはお兄ちゃんだから」

 

握り締めた拳と共に、響は再び目の前にいるジオウを見る。

 

「2年前から、ずっと守ってくれたお兄ちゃんを」

 

そうして、走り、ジオウへ、ソウゴへと込めた思いの拳がジオウへと当たる。

 

「今度は私が守るから」

 

だが、拳はジオウによって、受け止められてしまう。

 

「ここまでよく戦ったね。

だけど、終わりだよ、君はこの場で死ぬから」

 

その言葉を聴きながらも、響は決して諦めないように真っすぐとジオウを見つめる。

 

そして、ウールの言葉に従うようにジオウの拳が響へと振り下ろされようとしたが

 

「えっ?」

 

出てきたのは、ウールの驚きの声だった。

 

その言葉の通り、ジオウの拳は響の前で止まっていた。

 

「どういう事なんだ!?」

 

突然の出来事に動揺を隠せなかった。

 

「どうやら上手くいったみたいだな」

 

その言葉が聞こえ、ウールは振り向く。銀色のオーロラのような壁が現れ、そこから出てきたのは黒いコートを身に纏ったピンク色のカメラを持った男だった。

 

「お前はっ!!」

 

「あなたは一体」

 

「馬鹿な!!

あれは究極の闇だぞ!!

僕が探し出した究極の存在なはずなのに、なんで!!」

 

「当たり前だ、そんなのでこいつの思いは消えない」

 

「っ!!」

 

男はそのままウールの言葉を簡単に否定し、笑みを浮かべる。

 

「誰?」

 

「お前はっ!?」

 

「2年間、こいつは大切な人の為に力を使っていた。

それはやがて広がるが、変わらないのが一つあった。

誰かの笑顔を守りたい、そんな思いは究極の闇なんかに屈しない力を持っている」

 

「お前はっ!!」

 

「ただの届け物をしに来ただけの旅人だ。

受け取れ」

 

その言葉と共に、男の手にはピンク色の光が現れ、その光は響達の元へ行き、黒い鎧を身に纏っていたジオウは光によって剥がされ、そこからソウゴが出てきたのだった。

 

「お兄ちゃん!!」

 

「待たせたな」

 

オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは

  • 天羽々斬
  • イチイバル
  • シュルシャガナ
  • イガリマ
  • アガートラーム

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