ソウゴSide
「例え、仮面ライダーが三人集まった所で今の僕には勝てない!!」
その叫び声と共に、こちらに向かって勢いよく手を出すのを見た俺達はその場から一斉に飛び上がると、その場から炎が出てくる。
「奴の持っている能力は厄介だ。
注意して、戦え」
「あぁ」
「分かっている」
その言葉に合わせるのと同時に、俺の目の前に出てきたのはこれまで使っていたジカンギレードとも、アーマーに備わっている武器とも何かが違う武器だった。
「なるほど、19人のライダーの力を持っているだけある」
「19人?」
その言葉を聞き取るのと同時に、俺の腕を見てみると、そこにはこれまで手に入れたライドウォッチとは違うライドウォッチがあった。
「一体何時の間に?」
「あいつはずっと見守っていたという事だ。
俺がこの世界に来た時から、あいつは遠くから見守っていたようだ」
「そうだったのか」
そう言われ、俺は腕の中に収まっているライドウォッチを見つめる。遠くであの人が見守っていたのが分かると、なんだか負ける気がしない。
「そんな武器が出たぐらいで、どうにかなるか!!」
「いいやっ!!
なんとかできる!!」
その言葉と共に、俺は手に持った剣にあるダイヤルを回して、一つのマークを選択する。
【キバ!デュアルタイムブレーク!】
その音声が流れるのと同時に、目の前に迫っていた何かに向けて俺は剣を振り下ろすと、剣から金色の蝙蝠が現れて、全てを吹き飛ばす。
「すっすげぇ!!」
「当たり前だ、それよりもライドウォッチをベルトにもう一つ装填してみろ」
「あっ、本当だ」
見てみると、ディケイドライドウォッチに空きがあるのを確認し、俺はさっそく新しいライドウォッチであるクウガを装填する。
【ファイナルフォームタイム!ク・ク・ク・クウガ!!】
その音声が鳴り響くのと同時に俺の手足には赤い装甲と金色の線が描かれており、右足には特に金色の装具が付けられていた。
「なんだ、これはっ!?」
全身から感じるエネルギーに対して、俺は震え上がりそうになるが、足にエネルギーを籠めながらウールに向かって走り出し、そのままクウガの映像で見た蹴りを再現するように攻撃する。
「ぐぅっ!!
なんだ、この力はっ!!」
「ぐぅ!!」
俺自身で放った蹴りに思わず、後ろへと飛んでしまい、装填していたライドウォッチがすぐに飛び出る。
「一体、何が!?」
「よりにもよって、クウガか。
おい、もうクウガは使うな、それは危険だ」
「あぁ」
確かに、後から出てくる疲労感は凄まじい。
先程の蹴りの威力はこれまで出したどの技よりも強力だが
「これはとっておきだな。
だけど」
この戦いに勝つには、この力が必要だ。
なぜかそう思え、俺は足を踏みながら、ウールを見つめる。
「まったく、無茶な事ばかりする」
「まぁ良いが、未だに終わっていないからな」
その言葉と共に土さんとゲイツは各々に新たなアイテムを取り出す。
【カメンライド!ドライブ!】
【ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!
アーマータイム!コンプリート!カイザ!】
その音声と共に土さんの姿はドライブへ、ゲイツは俺が変身しているファイズとは色が違うアーマーを身に纏い、手にジカンザックスを持ち、ウールへと突っ込む。
「ぐっ、確かに今のは驚いたけど、それだけの話だっ!!」
【フィニッシュタイム!カイザ!ギワギワシューティング!】
そう言い、ウールはゲイツ達に向かって攻撃を放つが、ドライブに変わったディケイドは軽々と避け、ゲイツは武器を弓へと変えて、ウールに向けて放った。
それにより、ウールの前に金色の四角形のエネルギーが形成され、そこに向かって走り出す。
そして、ウールの前へと突っ込み、攻撃を与え、土さんはウールを囲い込むように攻撃を与える。
「鬱陶しい!!」
そう言い、二人を勢いよく吹き飛ばし、それを見つめると手に持った槍を俺に投げてくる。
【ファイナルフォームタイム!ガ・ガ・ガ・ガイム!】
その音声が鳴り響くのと同時に、先程とは違いオレンジ色の鎧を身に纏った俺は二人の前に飛び出すと、圧倒的な防御力でその攻撃を防ぐ。
「ぐっ」
「はぁ、なんとかできたか?」
「十分だ」
【カメンライド!ゴースト!】
【ファイナルアタックライド!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!】
「はぁ」
その音と共に後ろで新たな姿へと変わった土さんは俺の後ろから上空へと飛び、同時にウールに向かって蹴り上げる。
「ぐっ」
「まだまだ!!」
それに続くように、俺はベルトに装填されていたディケイドライドウォッチをジカンギレードに装填する。
【フィニッシュタイム!ディケイド!スレスレシューティング!】
「はぁ!!」
俺はそのままジカンギレードを構えると、オレンジ色のエネルギーがジカンギレードの銃身に集まり、ウールへと向かう。
「がはぁ、けどまだぁ!!」
「ウール、お前は一体何を望んでいるんだ?」
「決まっているだろ!!
僕達の為に動く時の王者の作り出す事!!
けど、この力があれば、もうその必要はない!!」
「・・・なんで、そんなに怖がっているんだ?」
「はぁ、何を言っているんだ!?」
そう言いながらもウールはこちらに手を向ける。
「甘く見るな。
俺はいつも響と一緒にいた。
だからこそ、分かるんだよ、怖がる気持ちが」
「いきなり喋って説教か!!」
「さぁな、でもさ、さっきからの力の使い方、まるで怖い物を離そうとしているようだが?」
その言葉の通り、俺達の攻撃が当たりそうになると、これまで見たことがない程に焦っているようだった。
その意味は読み取れた。
「黙れ黙れ黙れっ!!僕は、僕はぁ」
「すいません、力、貸してくれ」
その言葉と共に、俺はクウガライドウォッチを見せると、ため息を吐きながら、二人は新しく取り出す。
「まったく、お前は」
「いいだろう、自滅覚悟でいけ」
【ファイナルアタックライド!ディ・ディ・ディ・ディケイド!】
【フィニッシュタイム!タイムバースト!】
その音声が鳴るのと同時に、左右に分かれて各々から放たれる蹴りがウールへと向かう。
だが、ウールはすぐさまに二人の攻撃を防ぐように炎の壁を作り出す。
「ぐうぅ!!」
「終わらせる」
その言葉を合図に俺は手に持ったクウガライドウォッチを再び装填する。
そうする事により、再びあの姿へと変わる。
【ファイナルフォームタイム!ク・ク・ク・クウガ!】
姿が変わり、俺は再度ジクウドライバーを回す。
【フィニッシュタイム!ディケイド!アタック!タイムブレーク!】
その音声と共に、俺の目の前には古代文字が浮かび上がり、そのまま俺は古代文字を通り過ぎるように走り、ウールへと向かって蹴る。
「まだっ!!」
ウールはすぐに防御を行うように炎の壁を作るが、俺の蹴りと壁がぶつかり合い、周りに火が飛び散っていき、戦いは続く。
「はあぁ!!」
炎と炎のぶつかり合いは全ての力が出し切るように一瞬が長い時間のように通り過ぎるようだった。
「お前だって、所詮はこんな使い方しかできない!!
誰かを救うなんていう綺麗事など、糞くらえだ!!」
「確かに、世の中は綺麗事だけじゃできないかもしれない」
『だけど、誰もがそう言うからこそ誰もがそれを現実にしたいんだ』
「目の前にいるお前も助ける。
その綺麗事を突き通す為に、俺は今は戦っている」
『本当は暴力でしかやり取りしかできないのなんて、悲しすぎる』
「だからこそ」
『だからこそ』
「『俺は自分が大切だと思うモノを守りたい!
だから、この力があるんだ!!』」
そうして、炎の壁とのぶつかり合う中で、聞こえてくる声と共に放った蹴りはやがて炎の壁を突き破りウールへと激突する。
「はああぁ!!」
「がはぁ!!}
そして、ウールは俺の蹴りにより、ダメージを与えられると同時にアナザーダグバの姿から元の少年のような姿へと戻り、変身に使われたアイテムは同時に消滅した。
「はぁはぁ、なんとかなったか」
「無茶な奴だぜ」
そう言われながらも、倒れそうな俺を土さんとゲイツがなんとか支えてくれる。
「まだ、終わっちゃいない」
「あぁ終わっていない。
ウール、お前と話さないといけない」
「話してどうなる?
僕は君達の味方になるつもりなんてないんだから」
「だとしても、ウールが本当に望む事はなんだ?」
「本当だと?」
「アナザーライダーを生み出して、自身も怪物のような力を手に入れて、何から逃げたいんだ」
「・・・そんなのっ、教える訳ないだろ!!」
そう言いウールは立ち上がる。
「今回は負けを認めるよ。
君は想像以上に強い、けど戦いはまだ終わっていない!!」
「分かっている、何度でも来い。
その度に、お前を止めてやる」
「・・・」
そう言うと、ウールはその場から消えていった。
本当は捕まえたかったが、ウール自身が変わってくれる事を願えば、この場で捕まえるなんて間違っているからな。
「お前、本当に馬鹿だな。
そう簡単に変わってくれるとでも思うか?」
「全然、だけど、少しずつ変われば良いさ」
「そうか、まぁ今回はここまでらしいな」
そう言い、土さんの背後には銀色の壁が現れる。
「俺はまた旅に出る。
今度会う時はもう少し強くなっておけ」
「ありがとうございました!!」
その声を聞き取ると、今度こそ土さんが消えていった。
「ジオウ、どうやら戦いは終わったらしいな」
「あぁ響達もな」
そう言い、後ろを見ると、既に戦いを終えたように見えた。
そして、ゆっくりとだが、俺達は歩いていくと、そこには前までに見えたシンフォギアとは別の物へと変わっていた響達だった。
「お兄ちゃん」
「・・・伝えられたか?」
あえて、俺は響にこの事を聞いた。
フィーネの事も、彼女が化けていた櫻井了子という女性とも、俺はほとんど面識はなく、どういう関係だったのか分からない。
でも
「うん、そして受け取った。
私の自分の中の歌を信じなさいって」
「そうか」
そう言われた以上は
「止めないとな」
「うん」
俺達は上を見ると、そこにはこちらに向かってくる巨大な欠片があり、あれがなんなのかなんて、さっぱり分からないが
「ゲイツ、最後に手伝ってくれるか?」
「あれを止めなければ、俺も困るからな」
「頼むぜ」
その言葉と共に、俺たちの後ろに出てきたのは俺のタイムマジーンと、俺のとは別の赤い色のタイムマジーンだった。
そのタイムマジーンがロボへと変わり、空を飛び始めると、俺達の間で一緒に飛んでくる響達の歌声が聞こえる。
タイムマジーンを操縦している時、響達を送るように背中に乗せ、欠片の前へと行く。
「あぁ、止めて見せる!!」
ウールSide
「くっそ」
僕はイラついている。
あのジオウに倒された事もそうだけど、なぜかその言葉をどこか受け入れそうになっている僕がいる事に。
「失敗したようね、ウール」
「五月蠅い!!
けど、本当にどうして」
「お前はジオウを舐めすぎた。
それしかない」
そう言いながら後ろを睨むと、そこには既にオーラとスウォルツが座っていた。
「それにしても、こうやって見ると凄いわね。
ルナアタックは」
「歴史にも残った大災害だからな。
まぁ、シンフォギアによって阻止されたが、まさかジオウまで加わるとはな」
そう、この世界において、なぜかジオウとシンフォギアは協力している。
疑問にしか思えない事が起きている。
「けど、どうするの?
あいつ、オーマジオウになる為のウォッチを全部集めたわよ」
「心配はない。
ウォズがどのように考えても、今の奴はオーマジオウには決してならない」
オーラはそう言い、これからの事について話そうとするけど、スウォルツの奴はなぜか自信があるかのように応える。
「どうしてよ?」
「なんだって、とっておきの枷があるからな。
それが外れない限り、決して奴はオーマジオウにはならない」
「枷ってもしかして立花響の事?」
この歴史において、ジオウを見ていたけど、なぜか立花響の事を執着的に守っている。
疑問にしか思えないような行動だったけど
「けど、可笑しいわ。
だって、立花響とジオウが兄妹なんて」
「既に歴史は大きく変わっているからな。
俺達が知らない、何かがあるからな」
「それにしては楽しそうね?」
「当たり前だ、本来のアナザーライダー以外のウォッチもこうして出来上がったからな」
「それ、結局なんなの?
僕が使ったダグバもそうだけど」
「仮面ライダーがもしも人々を救う英雄ならば、これは人々に恐怖を刻み込んだ存在。
そうだな、あえて名を付けるならばヴィランウォッチ」
「ヴィラン、敵っていう意味でそのままね」
「あぁだが、これ程ぴったりな名前もそうないだろ。
さて、再び決めるとするか、王の選定を」
そう言い、スウォルツは空に浮かぶ月の欠片を見つめながら笑っている。
そんな行動を見て、僕はイラつく中で思ってしまう。
もしも、あの時、手を取っていたら、変われたのか
「くだらない」
僕はそう言いながらイラつきながら、眼を閉じる。
オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは
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天羽々斬
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イチイバル
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シュルシャガナ
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イガリマ
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アガートラーム