「「・・・はぁ」」
ゲイツの襲撃から数日後、俺と響はそれぞれの悩みに直撃してしまい、気分転換も兼ねて出かけたのだが、その気分は一切晴れなかった。
「ごめんね、お兄ちゃん、私」
「いいや、俺も悪いよ。
響の悩みに力になれなくて」
お互いに敵対している相手に対して戦えない気持ちもあり、力を発揮できずにいた。
「・・・ねぇ、お兄ちゃん、やっぱり私の思いは間違っているのかな?」
「・・・どうだろうな、俺も答えられない。
お前は人を傷つけたくないと思って、シンフォギアを身に纏っていた。
それは間違っていないし、それで纏えなくても、俺は責める事はできない」
実際に、人を傷つけるのを良しとする方が問題だ。
「っ!!」
瞬時に、俺は何かを感じて響の前に出ると、目の前から何かが現れた。それは
「てめぇは響を襲った奴か」
「おぉ初めて会ったなぁ、ジオウ。
ゲイツの奴がお前に執着的だったけど、どうやらガングニールと一緒にいるとはな」
「ゲイツを知っているのか、だったらゲイツに何をしたのか聞かせて貰おうか」
「残念だけど、用があるのは、そっちのガングニールなんだけどなぁ」
「こっちも聞きたい事があるんだよ、いけるか!!」
「うっうん」
その言葉に応えると共に、俺はジオウライドウォッチを取り出し構えるが
「響?」
「なっなんで、なんで歌がっ」
「あらまぁ、シンフォギアを纏えないの、だったらさっさと終わっちゃうよ」
「させるかよ!!」
すぐに俺はジクウドライバーを腰に纏い、同時にもう一つのライドウォッチを一緒に装填する。
「変身!!」
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!~!キバ!】
その音声が鳴り響くと同時に俺はキバアーマーを身に纏い、ガリィに一気に接近し、蹴り上げる。
「響っ逃げろ!!」
「でもっ」
「俺はいいから、さっさと逃げろ」
「そんな事、ガリィちゃんがさせるとでも?」
「させない、絶対に!!」
俺はそう言いながら、このアーマーを身に着けた瞬間から感じる身体の軽さを生かし、何か行おうとしたガリィの一つ一つの動きに警戒しながら攻撃を行っていく。
奴はそのまま腕を氷の刃に変えて、襲い掛かるが、アーマーの能力で身に着けた脅威の飛躍力と、近くにある物に乗っても大丈夫なバランス能力によって、トリッキーな動きができる。
「さすがにうざいなぁ、でもね」
「がはぁっ!!」
「ガリィちゃんは一人じゃないの!!」
「なっゲイツ!!」
そこにいたのはジカンザックスをこちらに構えていたゲイツだった。
「ガリィ、奴は俺が倒すぞ」
「良いよ、ガリィちゃんの狙いは最初からあっちだったから」
「好きにしろ」
「ゲイツっ!!」
俺はゲイツへと怒りを思わせている間にも、ガリィが何かを使ってアルカノイズを呼び出した。
「響っ!!」
「お前の相手は俺だ、ジオウ!!」
「邪魔だっ!!」
俺の前に立ちふさがったゲイツを無視し、蹴り上げ、急いでジカンギレードを持ち、響に接近しつつあるアルカノイズを打ち落としていくが、ゲイツがそれを邪魔する。
「お兄ちゃん!!
なんで、なんで私はっ!!」
そう言っている間にも近くまで迫っていたアルカノイズに対して、立ち向かったのは
「借りを返す時が来たようね」
「マリア!?」
そこに立っていたのはマリアだった。
だが、その姿はかつて身に纏っていたはずの黒いガングニールだった。
「マリアさんっ!!」
「ソウゴ、ここは私が死守する。
だから、お前はっ!!」
マリアが乱入してくれたおかげで、響の危機はなんとか救われた。
それでも、彼女には時間がないのか、ギアの様々な所から煙が出ていた。
「このまま、二人を見捨てられるかよ!!」
そう叫んだ瞬間、ジクウドライバーに収まっていたキバライドウォッチが強烈な光を放つと共に響達に向かっていたノイズが小さい何かによって倒された。
「なんだっ!!」
ゲイツは驚いている間に小さい何かがどこかに向かうのを見つめると、そこには巨大な銀色の壁があり、そこから出てきたのは一人の青年だった。
「・・・どうやら、ジオウの力は確かに覚醒しようとしているようですね」
「なんだ?」
「・・・ここで可能性を断つ訳にはいかない、キバット」
「おぉ!!キバって行くぜ!!」
その言葉と共に小さい影の正体が見え、そこに出てきたのは蝙蝠と思える何かだった。
蝙蝠はそのまま青年の手を噛むと、青年の顔にはガラスのような模様が浮かび上がったが
「変身」
その一言と共に蝙蝠が青年の腰から現れた赤いベルトに収まると、同時にその姿は変わり
「キバっ!!」
「えっあれも仮面ライダー!?」
「おいおい、聞いてないぞ、仮面ライダーは5人じゃないのか?」
「この世界ではね」
その一言と共にゆっくりとキバは歩いており、俺もすぐにゲイツから離れるようにキバに近寄る。
「あなたは」
「話はあとだ。
ここは手伝ってくれるか?」
「あぁ、むしろこちらから頼みたいぐらいだ」
「ライダーが一人増えたぐらいで」
そう言い、ゲイツは再びあのライドウォッチを使おうとしたが
「おいおい、そいつはとっておきだぞ。
この前みたいに倒れてもガリィちゃんは置いていくぞ」
「ちっ」
そう言い、ゲイツは別のライドウォッチを取り出し、ジクウドライバーに装填する。
「っ!!」
それを見ると共に、俺は同時に駆け出しながら、目の前で変身しようとするゲイツを止める為に走る。
【ナイト】
【ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!
アーマータイム!アドベント!ナイト!】
その音声と共にゲイツの後ろから巨大な蝙蝠がゲイツと一体化し、そこには黒いマントを身に纏ったゲイツが立っていた。
ゲイツは身に纏ったアーマーのマントを翻すと、そこから無数のゲイツが現れ、襲い掛かってくる。
「はあぁ!!」
それを合図に俺達は走り出した。
目の前に迫る無数のゲイツに対して、俺はジカンギレードを使い、迫りくる攻撃を受け流しながら戦う。
対して、キバはゲイツの隙を突くように素早い一撃を次々と放っていき、ある程度吹き飛ばすと同時に遠くにいたガリィに向かって跳びあがる。
「おやぁ、ガリィちゃんを狙うの?
それはそれで、ムカつくな!!」
その言葉と共にガリィの周辺には水の柱が現れ、そこから無数の分身が現れキバを囲む。
「渡、この世界にはあんまり長居はできないぜっ!!」
そう、キバのベルト部分に止まっている蝙蝠が喋ると同時に、キバの身体の端から少しずつ分解されていた。
「一気に決める、タツロット」
その一言と共に、キバが取り出したのは黄金に輝く笛だった。
それをベルトにいる蝙蝠が咥えると
「タツロット!!」
「ビュンビュン!異世界でもテンションフォルテッシモ!!」
その一言と共に小さな龍が現れ、周りにいるガリィを離れさせながら、キバに装着されている鎖を切り裂き、同時に左腕に装着されると
「変身!!」
その一言と共に、キバの姿は変わり、そこに立っていたのは全身が黄金に輝くキバだった。
「あれは」
「姿が変わった!?」
「変わった所で何ができるかなぁ!?」
「よせっ!!」
キバの姿が変わったとしても、余裕の態度を崩さないガリィだったが、そんなガリィとは別にゲイツがすぐに呼び止める。
迫りくるガリィに対して、キバはすぐに腕に装着されているタツロットの尻尾を掴むと、タツロットの身体にある模様が周り始め、一つの模様に変わる。
【バッシャーフィーバー!】
その音声が鳴ると同時に、キバが取り出したのは緑色の銃だった。
銃をそのまま手に装着されていたタツロットと合わせると、銃の先には巨大な水の銃弾が作り出す。
「なっ!!」
同時に複数に増えていたはずのガリィの姿は瞬く間に一人になっていた。
「水を全部、吸われたっ!?」
「ふっ」
「ちっ」
【ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!スピードタイム!
リバイリバイリバイ!リバイリバイリバイ!リバイブ疾風! 疾風!】
ガリィに向かって言った巨大な弾丸を防ぐ為に、ゲイツは俺から離れると共に、ゲイツは瞬く間にガリィを連れて、その場から離れた。
「ちっまさかお前が私を助けるとはな」
「お前がいなくなかったら、こちらが困るからな」
「くくっ、目的の為にという訳か。
だったら、今回はここで退散させてもらう」
その一言と共にガリィが取り出した何かを地面に叩きつけると、そこから魔法陣のような何がが浮かぶ上がり、その場からいなくなった。
「なんとか、なったのか?」
「そうだね、この場はだけど」
そう言い、近くに来ていたのは、キバだった。
「ありがとうございます、おかげで響達を助けられた」
「・・・そうか、それは良かった。
だけど、君はこのままではきっと彼に殺されるだろう」
「それは」
確かに、俺は最後までゲイツと本気で戦う事ができなかったと思う。
それを見抜かれるように、言われ、俺は
「・・・確かに話し合う事も大事だ。
だけど、時にはぶつかる事も大切だ」
「ぶつかる事?」
「それが、分かれば、君は」
その一言を終えると共に、キバはその場で消滅した。
あとに残ったのは、キバライドウォッチだが、それが一瞬だけ輝き、黄金に輝くキバライドウォッチになっていた。
「これって、さっきのキバの」
その言葉が終わる前に再びキバのライドウォッチは元の形へと戻った。
「今のは」
何が起きたのか、分からなかった。
それでも、響が無事だったから、今は深く考えることは止めた。
「お兄ちゃんっ!!」
「良かった、響が無事で」
その瞬間、力を使いすぎたのか、意識が無くなった。
響Side
「私のせいで、お兄ちゃんはっ!!」
私は、今、目の前の光景を後悔している。
キャロルちゃんの件があって、お兄ちゃんもゲイツ君と戦えない事に悩んでいたのに、私はガングニールを身に纏う事ができずに、お兄ちゃんを見殺しにしてしまった。
「私はっ!!」
「・・・そのままずっと泣いているつもりか」
「マリアさん」
そんな様子を見てか、マリアさんは血を流しながら、ガングニールをこちらに渡す。
「っ」
「立花響、目を背けてはいけない。
あなたを命懸けで守ろうとしてくれた立花ソウゴは何を思って戦っていたのか」
「お兄ちゃんが、何を思って」
これまでの人生の中で、私は多分ずっと頼り切っていたと思う。
小さい時から、あの事故から、そしてシンフォギアを手にした時も。
お兄ちゃんはずっと守ってくれた。
その時、お兄ちゃんは一体何を思って戦っていたの。
「ねぇ教えてよ、お兄ちゃん」
私は、未だに気絶を続けるお兄ちゃんに問うように、涙を流してしまう
オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは
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天羽々斬
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イチイバル
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シュルシャガナ
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イガリマ
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アガートラーム