アナザー龍騎の事件から数ヶ月、あの後はアナザーライダーに関しての事件はきっぱりと無くなっており、不気味な程の平和が訪れた。
不思議に思っていながらも、響の心のケアを優先していた俺だが、この数ヶ月でも変化が起きた。
まずは父さんが、失踪した。
残念ながら響のライブにより、仕事先で迫害が起こり、それが原因で父さんは家族からも逃げるように出て行ったのだ。
当時の父さんの顔は酷く、響に対して睨み付けそうになった際に自分で目を覆うなどの行動が見られ、自己嫌悪などを繰り返していた。
父さんはきっと響の事を大切に思っているが、響のせいで家族がバラバラになり、自身が父親とは思えない行動に走りそうになってしまったのに恐れているんだろう。
響の事を確かに守らなくちゃいけないが、それ以上に、俺は父さんをこれ以上苦しませる事はできず、家を出ていくその後ろ姿を見つめる事しかできなかった。
そして父さんの代わりになぜか立花家で仲間入りしたのがウォズで、住む場所がないという事で居候している。
当初から家族全体では怪しい人物扱いしており、俺に対して我が王と言っている事もあり変人認定されていた。
けど、様々な事を得意としており、家族を守ってくれているので、しばらくは様子見を行っている。
そしてゲイツに関してだが、あの戦いの後でも一ヶ月に一回ぐらいに戦っている。
ゲイツに何の目的があるのか、何度も戦いを繰り返しているが、今だに目的が分からず、不安は募るばかりだ。
そんな数ヶ月が過ぎた、とある休日
「さて、今日は久しぶりの都会だ」
「我が王よ、そんなに張り切ってどうしたんだい?」
休日、普段ならば響と一緒に過ごしているが、今日は俺は大事な用事があって、普段住んでいる場所から少し遠目の都会へと来ていた。
「なぜって、決まっているだろ、響の誕生日プレゼントだよ」
「あぁ妹君へのか、それで何をプレゼントするんだい?」
「あぁ、とある筋で手に入れた情報で、ツヴァイウィングの最後のアルバムが出るらしくてな。
しかも風鳴翼のサイン付きでな」
「ほぅ、あの事件から既に半月程は立っているから可能だが、なぜそんなのを?
妹君にとっては思い出したくない思い出のはずでは?」
「確かに、あのライブで響は不幸になったかもしれない。
でもそれはノイズのせいであって、ツヴァイウィングはむしろ被害者なんだ」
「被害者ねぇ」
そう言っていると、ウォズはなにやら意味深な笑みを浮かべていた。
「それよりも、お前こそなんで付いてきたんだ?」
「なに、我が王に従うのは従者として当然。
それに、もうそろそろ来ると思ったのでな」
「来るって、まさか!?」
「あぁ、久しぶりのアナザーライダーだ。
まぁ出現はまだまだ先だがね」
「先って言われてもな、とりあえず、急いでアルバム買って、アナザーライダーを止めないと」
俺はそう言い、噂のCDショップへと向かうと、既に人で溢れており、しばらく時間がかかりそうだ。
「どうしようかな、しばらく別の場所に行くか?
でもなぁ?」
俺はそう言って、悩みながらもとりあえずはサインを書いてもらう為のアルバムを買い、その場から離れると
「うわぁっと、すいません!!」
「あっいえ、こちらこそ」
考え事をしていた為、人にぶつかってしまったので、見てみると、そこには青い髪が腰まで伸びており、サングラスを付けて、帽子をつけている人がいた。
「・・・・」
「えっえっと、何か」
「いや、どっかで見たことあるかなと思って」
「そんな事はないわ」
「そうですか?
とにかくすいません」
「いえ、今後気をつけてくださいね」
そう言い、その女性はその場から離れたが
「どう見ても翼さんだよな」
近くでサングラス越しで見た目の色からしても、アルバムに写っている風鳴翼その人だと思える。
「なんだかなぁ」
「何か不安のようだな、我が王」
「あぁウォズって、お前、それは?」
ウォズが帰ってきたので見てみると、片手にはいつの間にかクレープを持っており、二つの内、一つをこちらに渡した。
「お腹が空いていると思ってね」
「そっか、ありがとうな」
俺はそう言いクレープを受け取り、食べる。
「それよりも、君が気になる事でも?」
「いや、別に大した事ないけど、なんだか翼さん、元気がないなと思ってさ」
「そうかね?
私も遠くから見ていたが、とてもそうとは思えないが?」
「確かに普通に見えるけど、なんていうか、今の状態、響と似ていて、心が不安定になっているような気がするんだ」
「なるほど」
「なんか馬鹿にしている?」
「とんでもない、君の予想、以外にも当たっているかもしれないよ、我が王」
「んっ?」
ウォズが何か不思議な事を言っていたが、何か叫び声が聞こえ、俺は急いでその声の方を見ると、そこにはオタマジャクシのような何かと人のような何かが大量に現れていた。
「あれって、まさかノイズ!?」
そこにいたのはライブで大量の死者を出した原因でもあり、俺が憎むべき存在でもあった、ノイズだった。
「ここら辺では、あそこだな」
俺は急いで物陰に隠れると、すぐにジオウライドウォッチを取り出し、ジクウドライバーにセットする。
「変身!」
俺は同時にベルトを回す。
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!】
その音と共に、俺はノイズに向かって走り出し、勢いよく殴った。
「やばっ!」
俺は思わずアナザーライダーと戦っている調子で思いっきりノイズを殴ってしまったが、身体は灰にならず、ノイズを吹き飛ばした。
「えっ?」
「我が王よ、仮面ライダーは普段から人とは違う異形と戦っていた者達です。
我が王はそれらのライダー達の力が宿っている為、ノイズの能力は完全に無効にできます」
「それって、つまりは問題ないという事だ!!」
俺はその言葉と共に、こちらに迫り来るノイズ達を殴りながら対処する。
「数が多い時にはこれだな」
そう言い、俺はエグゼイドライドウォッチを取り出し、ジクウドライバーにセットするのと同時にジクウドライバーを回す。
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!レベルアップ!エグゼイド!】
その瞬間、俺はエグゼイドアーマーを装着すると、地面にガチャコンブレイカー・ブレイカーを叩きつけて、周りに迫っていたノイズ達を衝撃波と共に消し去っていく。
「他のノイズはっと!!」
俺はそう言い、ノイズを探そうとしたら、こちらに向かってくる雷が来たので、その場で避ける。
すると雷は俺の近くまで迫っていたノイズ達を吹き飛ばす。
「ノイズを吹き飛ばした?」
その疑問を余所にアナザーライダーがその姿を現した。
これまでのアナザーライダーと比べて細身で西洋の鎧を身につけているイメージがし、身体にはスペードのマークが付いていた。
何より目立つのはその剣で、人と同じぐらいにあると思われる剣を背負っており、こちらを睨んでいる。
「あれが、アナザーライダーか?」
「ふっ!」
「うわっと!!」
こちらに気づくとアナザーライダーは一瞬でこちらに詰め寄り、その手を上に振り上げる。
すぐにガチャコンブレイカー・ブレイカーを盾にするが、あっさりと切り裂かれてしまい、俺は後ろへと飛ぶ。
「これは一撃でも当たったら危ないな」
俺は急いで避けるが、すぐに方向転換するように攻撃を仕掛けてきて、その剣に一撃でも受けると危険だと思い、俺は避ける事を精一杯だった。
「せめて武器があれば、あっそういえば!!」
普段から戦いは素手で行っていたが、思えばゲイツはライドウォッチ以外でも変身していた時に出していた斧のような武器があった。
もしも同じジクウドライバーで武器を取り出す事ができれば、なんとかなるかもしれない。
「武器、出てこい!!」
その一言と共に、俺はアナザーライダーから離れ、手をまっすぐに伸ばすと、ジクウドライバーから桃色の線が現れ、そこから形成されたのは【ケン】という文字が埋め込まれた武器が出てきた。
「ジカンギレード、やっぱりな」
前回の戦いでゲイツが使っていた武器に関して、俺には使用できないかと考えたが、ゲイツと同様に俺にもその武器は備わっていた。
これでなんとか戦いにおける不利は多少は緩和できる。
「ハァ!」
「くっ!!」
俺はジカンギレードを取り出し、アナザーライダーの攻撃を受け止めるが、なんとか防御できた程度で、受け止めるのと同時に地面が割れてしまう。
「フゥ!!」
「おわっと!!」
なんとか攻撃を受け止める事ができたが、アナザーライダーの攻撃は止む所かむしろ増していき、受け止めるだけでも必死だ。
「このままじゃ、やばいな!!」
そう言いながら、俺は危機的状況の打開を考えていると、後ろから銃弾が聞こえるが、その音と共に、アナザーライダーの動きが止まった。
「っ!!」
何が起きたのか分からないが、様子見を行う為に後ろへと跳ぶと、俺の隣には何時の間にかスーツを着た男性が立っていた。
「あんたは」
「僕は緒川慎次、彼女のマネージャーです」
「マネージャー?
あのアナザーライダーに取りつかれた人のか?」
「アナザーライダーというのがあの姿の事を指すのでしたら、正解です」
そう言いながら、俺は目の前にいるアナザーライダーを見つめると、何かに拘束から抜け出そうと、動いているが
「彼女がなんで、あの姿になっているのか知っているんですか?」
「それ「それ以上の詮索は不要」ウォズ」
「王よ、それ以上の情報を教える必要はありません。
アナザーライダーを倒すのにはね」
「倒す、まさか」
「あぁ、けどどちらにしてもあの人を助ける事が先決だ。
何か後悔した事とか、深い恨みがアナザーライダーへと導くが、知っていますか?」
「王」
俺が緒川さんに質問すると、ウォズはこれまでに見せた事のない怒りの表情でこちらを見つめる。
「必要以上の情は命取りになります。
所詮は倒す相手、それを忘れてはいけません」
「情なんかじゃない、俺は助けたいと思ったから戦っている。
俺は助ける為に仮面ライダーになったんだ、だからこれが俺にとって戦う理由なんだよ」
「・・・彼女は風鳴翼」
「それって、嘘だろ」
確かにこの戦いの前に見えた翼さんの表情はとても明るくはなかった。
「はい、翼さんは、あのライブ以降ノイズに対して恨みを持ち、そして自分の心を必要以上に心を閉じてしまいました」
「そうか、だから、あの行動を」
ここに来る前にあのアナザーライダーがノイズを倒していたのは、その思いからなのか。
「だったら、救わないとな」
「・・頼みます」
「任せてくれ」
その言葉を聞き、俺の中にある覚悟は決めた。
「ぐぅ」
「翼さん、あのライブで心に傷ついたんだったら、俺は救ってみせる」
その言葉と共に手にライドウォッチを取り出し、スイッチを押す。
【龍騎】
その瞬間、俺の周りの炎が囲まれ、同時にベルトにライドウォッチをセットする。
そしてゆっくりと歩きながら、ジクウドライバーを回す。
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!アドベント!龍騎!】
その音と共に炎はドラゴンへと変わり、咆哮を上げるとと共に分離し、俺へと装着され、目の前にある文字がリュウキとなる。
「まぁ良いだろう。
祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしらしめす時の王者。
その名も仮面ライダージオウ龍騎アーマー。
また一つ、ライダーの力が継承した瞬間である!」
その言葉と共に、俺はゆっくりとジカンギレードを構え、同時に走り出し、互いの剣がぶつかり合った。
だが、今度はその力のぶつかり合いはこちらが勝っており、アナザーライダーのパワーが今のこの姿の方が強く、容易く切り返す。
力での優位は確かにあったが、それでも剣の腕は向こうのアナザーライダーの方が上で、こちらの力技の攻撃を意図も容易く受け流す。
「だけど、負ける訳にはいかないよな!!」
俺はその言葉と共に剣を受け止めると、肩に装着されていたアーマーから炎が噴き出てアナザーライダーを遠くへと吹き飛ばす。
「私は強くならなくちゃいけない!!
奏を守れなかった時よりもずっと」
「確かにそうだ、あなたが戦う理由で強くなろうとしている事は間違っていないかもしれない。
けどな!!」
俺はそう言い、再び翼とぶつかり合う。
「あなたが強くなろうとしている理由は本当にその人と誓った約束なのか?」
「そうだ、あの時、ノイズに復讐を誓った奏との約束だ!!」
そう言い、アナザーライダーはその剣に雷を集め、こちらに放ち、それに対して、俺はアーマーから炎を出して、対抗する。
「けど、あなたは見ていたはずだ、あのライブ会場で多くの人々が苦しんでいる所を」
『人々が傷ついている姿を見たくなかった』
「なんだ、この声は!?」
俺の言葉と共に聞こえてくる声と共にアナザーライダーが苦しみだした。
「復讐から始まったとしても、奏さんは人々を守る為に戦っていたんじゃないのか?」
『そこにいる人達を助ける為に、戦っていたはずだ』
「奏は、確かにあの時、奏は」
「だったら諦めるなよ」
『君が大切な人が不幸になる道を作るな』
「『自分を不幸にするだけの運命と戦え!!』」
「私は!」
俺と、どこからともなく聞こえてくる声と連動するように、俺はジクウドライバーのボタンを押し、回す。
【フィニッシュタイム!龍騎!ファイナル!タイムブレーク!】
その音声が鳴り響くと同時に俺は両手を前に出し、そのまま足を前に出し、走り出し、肩にあるドラゴンが炎を吐き出しながら、俺はアナザーライダーへと蹴る。
「がっがああぁ!!」
その瞬間、アナザーライダーはその場で崩れ落ち、俺はその場で着地すると同時に、後ろから爆散する。
「なんとか、なったのか?」
俺はそう言うと共に、周りの時間が止まったような感覚に陥り、俺は慌てて周りを見渡すと、ゆっくりと近づくと、何か音が聞こえ見ると爆発の中から足音が聞こえる。
慌てて、俺は構えると、そこには先程まで戦っていたアナザーライダーとは見た目が似ていたが、その姿は仮面ライダーと呼べる姿へと変わっていた。
その方の手の中にはテレビで見た事のある風鳴翼さんが気絶していた。
「まさか、出てきた?」
『彼女の思いは確かに負の感情があったかもしれない、けどそれは決して特別でもなんでもないんだ』
「特別ではないか」
『あぁ、俺も守れなかった人達がいた。
大切な人もいた、けど、自分の力が不足していたせいで、守れなかった思いがある。
彼女はそれを利用されただけなんだ』
「それは決して弱さであって、弱さじゃない」
『問題なのは、その感情とどう向き合うかだ。
俺ができるのは、ここまでしかできないが、ここから先は君に託す』
そう言い、仮面ライダーはその場で彼女を地面へとゆっくりと降ろした。
『例え、どんな困難な事があっても、立ち向かう事を忘れないでくれ」
「えぇ、決して諦めません」
『良かった、俺の力を託せる事ができて』
その言葉と共に、仮面ライダーの姿は徐々に光っていき、その光は確かに俺のライドウォッチに宿っていく。
そして、時間は再び動き出し、周りは火で囲まれている状態は続いていた。
「翼さん!!」
すると、その中で翼さんを心配して、やってきた緒川さんが、翼さんの元へと行く。
「・・・どうやら、新たなライドウォッチを手に入れる事ができましたね、それでは行きましょう」
「あぁ、でもその前に用事だけ済ませてくる」
「何をしに」
そう言い、俺は緒川さんと翼さんの元へと行く。
「ジオウさんと言えば良いでしょうか。
今回の事は助かりました」
「いいえ、俺はただ助けるしかできませんでした。
彼女自身の問題は未だに解決する事ができてませんし、俺が手を貸せる事は少ないかもしれません」
「そうですか、本当はこのまま同行して頂きたいのですあ、あの人が許してくれそうにないですか」
「当たり前だ、我が王にこれ以上負担になる事を増やす訳にはいかないからな」
「だから、俺はここで失礼します。
あっけど、その前に一つ、お願い事があります」
「お願いですか?
なんでしょうか?」
「伝言です。
翼さんに、運命に負けないでくれと」
「・・・分かりました」
「それじゃあ」
それだけ告げると、俺はすぐに近くにある鏡に向かって走り、鏡の中へと入ると、そのまま向こう側の世界に入っていった。
「あっ!!」
「どうかしましたか?」
「サイン入りのCD、買うの忘れてた!!」
どうしよう、響が泣いてしまう!!
「我が王は本当に妹君が大切ですね」
「当たり前だろ!!
荷物って、確か、あそこだよな」
そう言い、俺は急いで荷物があった場所の近くの鏡へと走っていく。
「我が王よ、あなたにこれから待ち受ける運命があなたを強くするでしょう。
運命の歌姫の覚醒も、あと一人ですからね」
「なんか言ったか、ウォズ?」
「いいえ、何も」
今回はゾウリムシさんのリクエストでアナザーブレイドを登場しました。
まだまだリクエストも募集しておりますので皆様の応募お待ちしています。
また感想などは作者の励みになりますので、ぜひお願いします。
それでは次回のの更新、お楽しみに。
オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは
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天羽々斬
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アガートラーム