その日、S.O.N.Gはパヴァリア光明結社が起こそうとしているのは大掛かりな錬金術ではないか調べる為に神社へと訪れていた。
過去にキャロルの計画においても竜脈を使った錬金術を使用した事があり、詳細を知る為に訪れていた。
夜遅くまで調べており、そのまま神社に泊まる事になったが、そんな中で月読は外へと出ていた。
「・・・」
ゆっくりと月読は月を見つめながら、これからどうすれば良いのか悩んでいた。
これまでの戦いにおいて、クリスとマリアは新たなアーマーを身に纏う事ができ、他の皆はユニゾンを成功させる事ができた。
だが、そんな中で自分だけはユニゾンもアーマーも成功できていなかった。
過去に装着する事ができたWアーマーにおいても、親友である切歌と一緒でなければ成功できなかった。
その事もあり、月読は、ただ一人だけ仲間の足を引っ張っているのではと思い、悩んでいた。
「早く、ユニゾンや完全なアーマーを身につけないと」
そう言いながら、月読は砕けた月を見つめている。
「そう焦っても、力を手に入れても間違えるだけだぞ」
「えっ?」
突然聞こえてきた声に驚いていると、彼女の手元に小さな何かが入った。
「アメ?」
「ひとやすミルク。
俺のお気に入りだ」
「誰?」
突然現れた刑事服の男に対して警戒するように見つめる。
だが、男はまるで動揺しない様子で月読に話しかける。
「あなたは一体」
「まぁ俺の事は気にするな。
敵じゃないからよ」
「なんで、そんな事を」
「お前は」
月読が驚いている間に彼に近づく影が見える。ゲイツだ。
「お前は」
「よぉ、お前は確かゲイツだったよな」
「ゲイツの事も」
「お前、仮面ライダーだな」
「えっ!!」
その言葉を聞き、驚きを隠せなかった月読は目を見開く。
「まぁとりあえず、俺が仮面ライダーだと分かったとしてもだ。
この質問に答えないととてもじゃないけど、力は使えないけどな」
「質問…?」
「君は仲間を仲間だと思えているか?」
「仲間だと、そんなの当たり前です」
目の前の刑事…泊進ノ介の問いに、月読は怒りを露わにするように言う。
「今まで一緒にいてくれた切ちゃんやマリアもそう。
S.O.N.Gに入ってからも響さんやソウゴさん達……皆を仲間だと思っています。
思って……」
そう、言葉を続けようとしても、月読はそこで言葉が止まってしまう。
「私は、狭い世界の関係しか知らないから……」
「・・・そうか?」
「えっ?」
そう言いながら泊はその手に収まっているキャンディを食べる。
「狭い世界の関係と言っているけど、人と人の関係なんて、そんなもんだ。
俺達が知らない世界で、広がる世界なんて分からない。
だけど、無理に広げる事はないんじゃないか?」
「広げる必要はない……」
「狭い世界でも大切な関係はこれからも大切だ。
そして、無理に広げようとしなくても良い。
仲間達と、そして戦った敵との関係でそれが分かったから」
「敵?」
「あぁ。そいつらは俺達では分からない価値観を持っていた。
だけど、それを理解できないと思うんじゃなくて、踏み込めば良い」
「ふぅ、そうですね」
そう言った調の表情は先程よりも幾分か軟らかくなっていた。
「私は、今、できる繋がりを大切にしたい。
少しでも、多く」
「それで良い」
そう会話を見守っていたゲイツの元にファイズフォンXが鳴る。
急いで、それを取ると
「月読、行くぞ。
錬金術師が現れた」
錬金術の出現を知らせたのだった。
「はい!!」
その言葉を聞き、向かおうとした月読の元にピンク色の光が迫る。
「えっ?」
彼女の手の中にはシフトブレスとピンク色のシフトカーがあった。
「これは」
「ドライブの力だ、受け取れ」
「っはい!」
「行けるか」
「はい、行けます」
その言葉と共にゲイツはマッハライドウォッチを取り出し、月読は左腕にシフトブレスを装着する。
「「変身!!」」
【ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!
アーマータイム!マッハ!マッハ!】
その音声と共にゲイツはマッハアーマーを身に纏う。
そして月読のシンフォギアは一旦離れると、その形を変え、まるで車を思わせる鎧へと変わり、車輪を思わせるマフラーを纏う。
「ひとっ走り、付き合えよ!!」
普段の月読からは考えられない程の声を出すと共に、ヘッドギアからさらにパーツが現れ、月読の隣にはピンク色のトライドロンが現れる
それに迷うことなく乗り込んだ月読とゲイツはそのままアクセルを踏み、走り出す。
道路は既にS.O.N.Gによって開かれており、トライドロンはピンク色の光となり、錬金術師の元へと向かった。
「あの巨大なけん玉は」
「間違いありません、プレラーティです」
その姿を確認すると、さらにアクセルを踏み、スピードを上げる。
トライドロンのスピードは凄まじく、瞬く間にプレラーティに追いついた。
「ちぃ、もう気づいたのか。
だが!!」
だが、追跡を許さないように、プレラーティはその手から次々と錬金術による攻撃を仕掛けていく。
「ふっ」
だが、トライドロンの窓から出たゲイツはそのままトライドロンの上に乗り、その手に持ったゆみモードのジカンザックスを構え、撃ち落としていく。
マッハアーマーの効果により、ジカンザックスの矢は変幻自在に方向を変えながら、プレラーティに攻撃を仕掛けていく。
「だけど、道がなければ」
その言葉と共に、プレラーティは近くにある壁を破壊し、道路を防ごうする。
【ファンキースパイク】
「なっ!!」
だが、トライドロンのタイヤから緑色の棘が生え、でこぼこになった道路の上を簡単に走り抜ける。
それでも追撃を辞めないプレラーティは次々と炎や氷などの攻撃を仕掛けていく。
【マックスフレア】
【ロードウィンター】
トライドロンの前のタイヤから放たれる熱気と冷気により、全ての攻撃を防いでいく。
【フッキングレッカー】
その音声と共に、トライドロンの後ろのタイヤから出てきたフックによって、プレラーティの動きは止められる。
「しまった」
【フィニッシュタイム!ヒッサーツ!タイムバースト】
「はぁ!!」
同時に月読のヘッドギアから、100を超える程のタイヤがプレラーティの周囲を囲み、トライドロンからゲイツと月読が飛び出す。
「ぐっ!!」
瞬時に危機を察知したプレラーティは、手に持ったけん玉を中心に結界を張り、攻撃を防ぐが、二人は周囲にあるタイヤとトライドロンの加速と共に攻撃の威力を上げていく。
「「はああぁ!!」」
そして最後の一撃を与えるように、ジカンザックスとタイヤ型の鋸を一体化した巨大な武器でプレラーティの結界を打ち破る。
「ぐぅ!!」
結界の基盤であるケン玉が壊れ、同時にタイヤによって拘束され、体の自由を奪われたプレラーティは悔しそうに顔を歪ませる。
「やったな」
「はい」
互いに勝利を確認するように、彼らは手を重ねた。
オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは
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天羽々斬
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イチイバル
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シュルシャガナ
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イガリマ
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アガートラーム