「ここは、どこなんだ」
ギャラルホルンに導かれ、その日は他に用事が多い響達に代わり、ソウゴとウォズの二人が並行世界に向かった。
だが、その世界はあまりにも荒廃が進んでおり、人が住んでいるとは思えない環境になっていた。
「ふむ、時刻などを調べたが、間違いなく我々が住む町で間違いないようだ。
違うという点は、町がゴーストタウンになっている事だけだが」
「あぁ、あまりにも人がいない事もそうだけど殺気がやばい程に来ている」
そうやりとりしつつ、ソウゴとウォズは背中合わせになりながら、周りを見つめる。
「あっああぁ」
そこに現れたのは映画に現れるようなゾンビと、それを従えるような泥を纏った何かだった。
「こいつらは一体」
「話し合いができる雰囲気ではない事だけは確かだな
「とにかく、ここは戦うしかないようだ」
【ジオウ】【ウォズ】
「「変身!」」
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!】
【アクション!投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!】
同時に仮面ライダーへと変身した二人は各々の武器を使い、戦い始める。
ゾンビは戦闘能力はそれ程高くないのか、ジカンギレードによる一撃で簡単に倒せる程の弱さだった。
だが、それとは対照的に泥を纏った何かの戦闘能力は凄まじかった。
「うわぁ、やばっ!!」
目の前に迫った何かは両手に持った剣でソウゴに襲い掛かる。
ジカンギレードでは防御を行うのは難しく、さらに追い打ちをかけるように獣のような何かが襲い掛かる。
「我が王、くっ」
一方、ウォズの方も足元を凍らされて、身動きが取れなくなった所を、ミサイルを連続で撃たれ、受け流す事しかできなかった。
互いに徐々にだが、危機的状況になってくる。
絶体絶命の瞬間だった。
「はぁ!!」
「っ!!」
弾丸の音が聞こえると共にジオウへ襲い掛かった何かは驚き、その場を立ち去った。
合わせるようにウォズの近くに何かが来るのと同時に氷を砕いた。
ウォズもすぐにその場を飛び出し、見つめる。
「大丈夫ですか」
「君達はまさか仮面ライダースペクターに仮面ライダーネクロム!?」
「えっ私達を知っている」
「あなたは一体」
「しかし、性別は違うようだ」
目の前に現れた謎の仮面ライダースペクターとネクロムの参戦により、危機的状況を脱する事ができ、戦闘態勢を整えるが
「とにかく逃げましょう。
あの泥の英雄と戦っても無駄よ」
「泥の英雄?
どういう」
その疑問に答えるよりも先に、空から緑色の巨大なトカゲが現れた。
「えっとっトカゲぇ!!」
「乗って、早く」
トカゲから顔を出した少年はそのままソウゴ達に向けて、手を伸ばした。
「あっあぁ」
突然現れたトカゲに驚きを隠せないソウゴだが、何事もなかったように乗り込む三人に合わせるようにソウゴも乗り込む。
「行くよ」
少年の言葉と共にトカゲは走り出した。
同時にゾンビ達も襲い掛かるが、その先に見つけた黒い影にソウゴは驚きを隠せなかった。
「あれは、アナザーゴースト!」
「なるほど、ここはそういう世界だった訳か」
影の正体がアナザーゴーストであると悟ったウォズは一つの仮説を立てた。
「ここはアナザーゴーストによって、支配されてしまった世界なんだ」
ウォズは悲しそうに、その光景を見つめていた。
「アナザーゴーストって、もしかしてゴーストの事を言っているの?」
「何か知っているの?」
「ある日、突然現れ、侵略を開始をした謎の存在よ。
それまでは影も形もなかったゾンビ達が次々と現れて、今ではこの町はすっかりゴーストタウンになっているの」
「つまり、あれは元は町の住民?」
「いいえ、ゴーストに作り出された偽物よ。
町の住民は今は避難しているけど、響は」
「えっ、響がっどうしたんだ!!」
響という一言に反応し、ソウゴは思わずネクロムに詰め寄った。
「あなた、響さん達と知り合いなの?」
「知り合いと言ったら良いか謎だね。
なぜならば、私達の話は君達にとっては摩訶不思議な出来事だから」
「こんな町の状況になって、今更何を聞かされても驚かないわ」
「俺に、力があれば」
そんな話をしていると、トカゲを動かしていると思われる青年は悔しそうに呟いた。彼が何者なのか分からず、ソウゴはネクロムに質問する。
「彼は天空寺武瑠、私達の幼馴染で、この先にある天空寺の神社の一人息子なの」
「俺もよく状況が分からないんだけど、このイグアナが妙に懐いているから、こうやって皆を運んでいるんだ」
「懐いているねぇ」
「んっ?」
ウォズは何やら彼に近づく。
「なるほど、そういう事か」
「えっ、何か分かったの、ウォズ」
「あぁ、実に単純なっ!」
「きゃっ!!」
「もう追いついてきたの!!」
振り返ると、何かは既に追いついていた。
イグアナの動きを止めるように岩などを投げてくるゾンビもおり、危機的状況になっていた。
「諦めない、俺は絶対に!!
皆の命を守るんだっ!!」
「っ武瑠!!」
そんな中、イグアナの操縦に夢中になっている武瑠に向かって、何かは刀を持ち、武瑠に襲い掛かろうとしていた。
「我が王よ、ゴーストライドウォッチを彼に」
「んっ、分かった」
ウォズの助言を受け、ソウゴはすぐに武瑠に向けて、ゴーストライドウォッチを投げる。
「ボタンを押したまえ、天空寺武瑠!!」
「えっ、うわぁ!!」
ウォズの声に反応し、思わず武瑠はゴーストライドウォッチのボタンを押す。
その瞬間だった、彼を中心にオレンジ色の光が辺り一面に広がり始めた。
その場にいた全員が何が起きているのか分からない状況の中で、武瑠はゆっくりと手を伸ばす。
「そうか、思い出した。
ごめん、忘れちゃって、皆!!」
武瑠のその叫び声はその場で一面と広がった。
それと同時だった、武瑠に襲い掛かろうとしていた何かの泥は解け、そこに現れたのは豪華な着物を着飾り、二振りの刀を持つ女性だった。
「あぁ、頭がくらくらするぅ。
まったく、君はもうちょっと、早く思い出してよ」
「そーだよ!!
おかげで僕達、とっても大変な目にあったんだから」
「あとで埋め合わせをしてね」
「勿論、でもその前に」
その言葉と共に武瑠はイグアナから降りると同時に、手に持ったアイテムゴースト眼魂を起動させ、腰に現れたゴーストドライバーに装填する。
「変身!!」
【カイガン!俺!レッツゴー!覚悟!ゴー!ゴー!ゴースト!】
「そうか、武瑠は」
「あぁ、彼こそ、この世界の本当の仮面ライダーゴーストだ」
その音声と共にゴーストへと変身した武瑠は被っていたフードを取り、迫りくるゾンビを見つめる。
すると、ゾンビの皮は剥がれ、現れたのは見たことのない黒い人影だった。
「あれは」
「この本によれば、こことは別の世界にある仮面ライダーゴーストと戦った眼魔アサルトだ。
」
「アナスタシア、頼む」
【カイガン!アナスタシア!呼ぶは精霊!王家の末裔!】
「問題はなさそうだね。
しかし、記載されていない姿とは、興味深いな」
ウォズの言葉と共に現れた氷を思わせるゴーストは、そのまま地面に足をつけると、迫りくる眼魔アサルトを次々と凍り漬けにさせていく。
続いてダウィンチ眼魂を取り出し、ゴーストドライバーに入れる。
「ダウィンチ、一気に行くよ」
【カイガン!ダウィンチ!一切!合切!超天才!】
【ダイカイガン!ダウィンチ!オメガドライブ】
巨大化した左手を眼魔アサルトに向けると同時に、火炎放射を一気に放つ。
氷と炎の同時攻撃を受け、その場にいた全ての眼魔アサルトは消滅した。
「ふぅ、なんとかなった」
「なんだかとんでもない事になったな」
「ねぇ、武瑠。
他の英雄は」
「うん、まだ合流できそうにない。
でも、もう時間もなさそうだ」
「その通りだ、我が王、あれを」
ウォズが示す先に目を向けると、そこには黒い泥が溢れ出しており、すぐにでもアナザーゴーストを倒さなければ、危険な状況だ。
「まぁ、俺が仕切るのなんだけど、一気に攻め込むが、良いか」
「「「あぁ」」」
その声に気付くのと同時に、アナザーゴーストはソウゴ達に向けて、手を伸ばすと、同時に影から幾つもの眼魔アサルト達が現れて襲い掛かる。
「一点突破で行かせてもらう!」
「ひとっ走りで行かせてもらう!!」
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!ドライブ!ドライブ!】
【カイガン!アストルフォ!触れれば転倒!理性不機能】
その音声と共にソウゴはドライブアーマーを装着し、武瑠はアストルフォ魂へと変わり、走る。
ソウゴは手に持ったジカンギレードで、自身の身体で回転しながら黒英雄達を吹き飛ばし、武瑠は手に持ったガンガンセイバーナギナタモードで、一刀両断していく。
「二人共、張り切りすぎだよ!!」
「こっちの身にもなって欲しいよ」
「だが、それでこそ我が王!!」
そう言いながら、3人の仮面ライダー達はそのまま眼魔アサルト達がソウゴ達に追いつかないように援護するように戦う。
その先に進むと、アナザーゴーストはソウゴと武瑠に襲い掛かるように、泥と一体化した腕を振り下ろす。
だが、武瑠はすぐに手に持ったガンガンセイバーを振り上げると、泥と一体化している足が崩れ落ちた。
同時にそれを確認すると、ソウゴはすぐに別のライドウォッチを取り出し、ジクウドライバーに挿入する。
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!~!響鬼!】
その音声と共に響鬼アーマーを身に纏うと同時にアナザーゴーストに向けて、腕を振り上げた。
同時にアナザーゴーストに音撃鼓が展開される。
同時に叩き込むと、アナザーゴーストに身に纏っていた黒い泥は払われる。
「ぐぅ!」
すぐ泥は巨大な刀へと変えられ、二人に向けて、襲い掛かるが
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!ソイヤッ!鎧武!】
【カイガン! ムサシ! 決闘!ズバット!超剣豪!】
二人は二刀流を操る姿へと変わるのと同時に迫りくる剣に向けて、構える。
同時に走り出すと、ジオウはその手に持った大橙丸Zとゴーストのガンガンセイバー二刀流モードで次々と細切れにしていく。
その一騎当千の戦いを眺めていたアナザーゴーストは怒りを爆発させる。
「ふざけるなぁ!!」
「「うわぁ!!」」
アナザーゴーストの咆哮と共に周りにあった黒い泥がジオウ達を包み込む。
「貴様らが、幾ら喚こうと、この世界の命は全ては私の物だぁ!!」
「そんな事、させない!!」
その叫びと共に、武瑠の身体は光始める。
その光に呼応するように、ソウゴの手元にあるゴーストライドウォッチにも変化が起きる。
「あぁ、人の命は一つ。
だからこそ、支え合う事で、新たな可能性を導く!!」
その言葉と共にソウゴの身体も光り、武瑠の手元へと納まる。
「「命の可能性は無限大だ!」」
その言葉と共にソウゴの持っているゴーストライドウォッチは光り輝き、武瑠の手には新たな眼魂が出現した。
「これは」
「あぁ」
二人は互いに頷くと同時にアイテムを起動させる。
すると二人を拘束していた黒い泥は崩れ去り、白い光が包み込む。
そして二人は新しいアイテムをベルトに装填し、機動させる。
【ライダータイム!仮面ライダージオウ!
アーマータイム!命燃やすぜ!ゴーストムゲン!ムゲン!】
【カイガン!ジオウ!時の王者!顔にライダー!】
ベルトから音が流れると、同時にゴーストは新たに現れたジオウゴーストパーカーを身に纏う事により、仮面ライダーゴーストジオウ魂へと変身する。
そして、ジオウもまた変わった。
これまでのゴーストアーマーとは違い、足まで届く白いマントに全体的に白く輝くその姿こそ、仮面ライダージオウゴーストムゲンアーマーである。
「これはっ我が王の新たな姿、そして我が王の力使う同士の誕生!
これは、ぜひやらなければ」
同時に遠くで戦っていたウォズはその場の車の上に立ち、構える
「祝ぇ「祝えッ!」
「なに?」
ウォズが宣言をしようとした次の瞬間、ウォズよりも目立つ場所にて、白いローブを身に纏った男が笑みを浮かべながら言う。
「片や全ライダーの力ッ!片や全英雄の力を受け継ぎ、時代を越え、新たな未来を切り開く英雄たちッ!
その名も仮面ライダージオウ ムゲンアーマーと仮面ライダーゴースト ジオウ魂ッ!
新たな物語が創造された瞬間であるッ!!
いやぁ、一度やってみたかったんだよね」
祝辞を終えると共にまるで良い仕事を終えたばかりに謎の男は笑みを浮かべていた。
同時にウォズはその手にジカンデスピアーを構える
「き、貴様ぁぁぁッ! 祝福を邪魔するとは言語両断ッ! マーリンシスベシフォーウッ!!」
【ヤリスギ!】
「ちょっとッ!? 急になんなのさッ!」
ウォズと謎の男は不毛なケンカを始めたが、彼らは何事もなかったように目の前の戦いに集中していた。
新たな姿へと変わった事により、アナザーゴーストは動揺を隠せないが、それでも戸惑いを隠すように大声で叫ぶ。
「はぁ!!」
ゴーストはすぐに手を前に出すと、そこにはジカンギレードが現れる。
ジカンギレードを銃モードへと変え、ガンガンセイバーもジュウへと変え、二つの銃でアナザーゴーストに放っていく。
アナザーゴーストはすぐに霊体化し、その攻撃を避けようとするが、その背後に立ったジオウはアナザーゴーストを蹴り飛ばす。
「ぐっ!!」
「はぁ!!」
一瞬で姿を見せたアナザーゴーストに隙を与えないように攻撃を続けた。
ゴーストは手に収まっているジカンギレードとガンガンセイバーの二つの武器のモードを次々と切り替えながら、攻撃を行う。
それはまるでゴーストだけが時を止めているように、武器の形は次々と変わっていく。
「行くぞ!!」
「あぁ」
ゴーストの声にジオウが応えると、各々のベルトに手を伸ばす。
【ダイカイガン!ジオウ!オメガドライブ】
その音声と共に、ゴーストは走り出し、アナザーゴーストを蹴り上げる。
それにより、ゴーストの足から出てくる【キック】という文字は空まで届き、アナザーゴーストを宙へと飛ばす。
【フィニッシュタイム!ゴースト!ゴッドオメガ!タイムブレーク】
その音声と共に、アナザーゴーストの後ろには背中に∞の虹色の翼で空を飛ぶジオウがいた。
「「命、燃やすぜ!!」」
その言葉と同時にゴーストとジオウは各々の場所からアナザーゴーストに向けてライダーキックを放つ。
二人のライダーのライダーキックを喰らい、アナザーゴーストは
「がああぁぁ!!」
叫び声と共に、消滅した。
「勝てたのか?」
「なんとか?」
その言葉と共にアナザーゴーストがいた空を見つめる。
そこには、アナザーゴーストの力によって、覆われた暗雲が晴れ、太陽が輝いていた。それこそが戦いに勝利した証だった。
「ふぅ、疲れたぁ!!」
「まったくだ」
【オヤスミー】
その音声と共に変身を解除した二人はそのまま倒れ込み、太陽を見つめる。
「なぁ、アナザーゴーストはなんで世界を自分だけの物って考えていたんだろう」
「きっと、何もかもうまく行き過ぎたんだろう」
そう言いながら、ソウゴは手を上に伸ばす。
「何もかも一人で上手くいって、誰とも手を繋げる事が分からず、生きていたんだろう」
「・・・そうか、だったら、俺はとっても運が良いのかな」
そう言い、武瑠は腕を伸ばす。
「俺は多くの誰かの助けを得て、ここまで生きていた。
それが、こうやって大切な人が沢山できた、だから、うん!!」
同時に武瑠は立ち上がると
「皆、ありがとう!!」
その言葉は町いっぱいに広がり、ゴーストタウンと呼ばれた町が再び活気で溢れるのは、それ程遠くないことだった。
オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは
-
天羽々斬
-
イチイバル
-
シュルシャガナ
-
イガリマ
-
アガートラーム