それが現れた瞬間、確かにその場は一瞬、時が止まった。
漆黒の身体に黄金に輝く鎧を身に纏い、真っ赤に光る『ライダー』の二文字をした、存在、オーマジオウ。
その存在はその場にいた全員が知っており、そして決して存在する事がないはずのないオーマジオウに驚きを隠せなかった。
「ソウゴ」
「・・・ゲイツ、そこで待っていろ。
すぐに決着をつける」
そう言ったオーマジオウの声は冷たく、ゆっくりとバールクストリニティに向けて歩いていく。
「まさか、オーマジオウが現れるとはな。
だがっ!!」
そう言ったバールクストリニティが取り出したのはヴィランライドウォッチだった。
無数のライドウォッチのスイッチを次々と押していったバールクストリニティはそのまま宙へと投げると、ライドウォッチは光に包まれながら、その姿を現す。
そこに現れたのは紫色の宝石を身に纏った魔法使い仮面ライダーダークウィザード、蛇を身に纏った漆黒のアーマードライダー魔蛇、シルバーと黒を中心に赤い目が特徴的なゲムデウスムテキ。
「あれは一体っ!?」
「こいつらはかつてのライダー達との戦いで最も強き力を持ったライダー達だ。
例えオーマジオウでも「まったく、愚かだ」なに?」
バールクストリニティは召喚した3人の仮面ライダー達を披露し、笑みを浮かべていたが、そんな彼の声を遮ったのは、ウォズだった。
「スウォルツ、お前は間違いを犯した。
そう、我が王を怒らせたという、この世にはあってはならない罪を」
「何を言っている」
「では、それを分からせる為に言わせてもらおう」
そう言った瞬間、ウォズは沈んだ顔を髪に隠しながらも本を佇み、手慣れた動きで腕を広げる。
「祝え!時空を超え
過去と未来をしろしめす究極の王者!
その名もオーマジオウ!ここに歴史の終着点が再び辿り着いた瞬間である」
そう言い終えたウォズはどこまでも悲しそうに、だがオーマジオウになったソウゴの戦いを見守るように、ゲイツの元へと向かう。
「ウォズ、お前」
「私だって、この結末は望んでいない。
だが、我が王があの姿になった以上、もう止められない。
今度こそは君を助ける為に」
「俺を、まさか」
その瞬間、ゲイツがソウゴがオーマジオウになった理由を察し、手を握りしめる。
かつての戦いにおいて、自身が死んだ理由、ソウゴを庇い、死んでしまった事。
それが、現代になってオーマジオウの復活の理由になるとは、思いもしなかった。
そんな彼の悔しい思いとは裏腹に、オーマジオウはゆっくりと歩き出す。
オーマジオウの歩みに合わせてか、3人の仮面ライダー達は各々の武器を取り、一斉に攻撃を始めた。
ダークウィザードは指輪から次々と魔法を放っていき、オーマジオウの動きを止めるように鎖や土を使い、オーマジオウの足を止めた。
だが、瞬間、オーマジオウの足元から魔法陣が現れ、彼の動きを止めようとした全ての物を焼き払った。
魔蛇はその手に持った剣を使い、オーマジオウに向けて剣を振り下ろし、漆黒の蛇が、オーマジオウに向けて幾つも襲い掛かり、オーマジオウの身体を蝕むように次々と噛みついていく。
だが、噛みついた蛇はオーマジオウから生えた無数の草木によって締め付けられ、そのまま蛇を放った魔蛇を縛り上げた。
ゲムデウスムテキは走り出すと共に、その姿を消すと同時にオーマジオウへと襲い掛かる。
姿を見せては消す、瞬間移動を何度も繰り返しながら銀色の光を纏いながら、オーマジオウへ次々と攻撃を仕掛けていく。
だが、オーマジオウへと仕掛けた攻撃は全てが外れたように≪MISS!≫と表示されており、一切ダメージを受けていない様子だった。
「なっ!?」
「これで終わりか。
ならば、こちらの番だ」
その一言と共に、オーマジオウはダークウィザードに視線を向けると遠くにいたはずの共に足を蹴り上げると同時に、オーマジオウの足の先端から魔法陣が現れ、そこから現れたウィザードドラゴンが変形した姿『ストライクフィーズ』によって、ダークウィザードは瞬く間に踏みつぶされ、消滅する。
「なっ!?」
余りにも呆気なく倒されたダークウィザードに驚いたバールクストリニティだが、オーマジオウはそのまま手を魔蛇に向けると、無数に生えた植物の蔦が魔蛇を拘束する。
身動きが取れない魔蛇に対して、オーマジオウは手に収まったライドウォッチ『冠』を起動させると、オーマジオウの横に白銀の林檎の鎧を身に纏ったアーマードライダー冠が現れる。
冠はそのまま無言でその姿を光り輝くボールへと姿を変え、オーマジオウはそのまま冠を魔蛇に向けて蹴り上げる。
魔蛇はそのまま冠が叩き込まれると同時に、叫び声をあげる事なく、消滅した。
「なっ、なんだ今のライダーはっ!?」
「仮面ライダー冠、鎧武と同じ仮面ライダーだ。
戦ったのはたった一回だけであったが、確かに存在した」
「なぜ、そんな奴が、それにあいつのライドウォッチなど」
「もほや、あの姿になった我が王にとっては関係ない」
「なっ!?」
ゲムデウスムテキはそのまま両手に自身の武器である剣を振り上げ、襲い掛かるが、オーマジオウはその剣を片手に持っていたガチャコンバグヴァイザーⅡの刃で受け止めると同時に、もう片方の手に持ったガシャコンキ―スラッシャーで切り上げる。
「っ!?」
【ムテキガシャット!キメワザ!ハイパークリティガルフィニッシュ!】
その音声と共にオーマジオウはゲムデウスムテキに向けて手をかざすと、ゲムデウスムテキはそのまま吹き飛ばされる。
そして、手に持ったガシャコンキ―スラッシャーは黄金の輝きを放ちながら、オーマジオウの手元から離れると、ゲムデウスムテキに向けて、次々と斬撃を放っていく。
黄金に輝くその剣は、ゲムデウスムテキは大きなダメージを与えていき、瞬間移動を使い、避けようとしても、ガシャコンキ―スラッシャーは先読みをしたように追撃をしていく。
やがて、最後の一撃と共にオーマジオウの手元へと戻り、オーマジオウはそのままゆっくりとゲムデウスムテキに向かって歩いていく。
そして、少し手を触れた瞬間、次々とゲムデウスムテキは≪HIT≫という文字が表示され、吹き飛ばされていき、壁を突き抜けて、空まで舞い上がると同時に爆散する。
【究極の一撃!!】
ガシャコンキ―スラッシャーから鳴り響く音を聞きながら、オーマジオウはそのまま手を離すと、光となってガシャコンキ―スラッシャーは姿を消す。
「なっ」
「スウォルツ、これで分かったか?
お前はあの戦いでオーマジオウの力を理解したつもりだったが、それは間違いだ。
オーマジオウの力は絶対無敵、その力に敵う者は誰もいない」
そう言ったウォズは自慢げに語っているはずなのに、その表情は未だに暗かった。
「なら、なぜお前はそこまで悲しそうなんだ」
「我が王がオーマジオウになる瞬間。
それは望んだ結末ではない事だ、そして、戦いが終われば世界が書き換わる可能性がある」
「なっ」
その言葉を聞き、ゲイツはすぐにウォズの胸倉を掴みながら、近づく。
「なぜ、それをっ!!」
「もう遅い。
既に時は過ぎ去り、終わりが始まる」
そう言ったウォズの目の前にはオーマジオウがあともう少しの所までバールクストリニティの元へと近づいていた。
「ははぁ、確かにオーマジオウの力は強大だ。
だがっ!!」
その言葉と共にバールクストリニティの目の前に現れたのは別の影だった。
その影はオーマジオウと瓜二つと言っても過言ではない姿をしており、仮面が割れて剥き出しになっている目は真っすぐとオーマジオウを睨んでいた。
「なに?」
「アナザーオーマジオウ。
俺とこいつが手を組んだ瞬間、お前に勝機はない」
「試してみるか」
そう言い、オーマジオウは拳に黒と黄金が入り混じった光を集めながら、アナザーオーマジオウに向けて振り下ろした。
だが、アナザーオーマジオウはまるでダメージを受けていない様子で立っており、反対に白と黄金が入り混じった光でオーマジオウへと攻撃を仕掛けた。
「ほぅ」
「なっ!?」
「アナザーオーマジオウはオーマジオウの攻撃を全て無効にする事ができる。
そして、お前には全ての平成ライダーの力があったとしても、この俺は全ての平成ライダーの力を無効にする事ができる!!」
「なるほど、完全に私対策という訳か」
「馬鹿な」
オーマジオウを倒す為に、オーマジオウの全ての力を封じる為の二人の存在に、これまで明かされなかった事にウォズは驚きを隠せなかった。
「バールクストリニティの完成には平成ライダー達の力を受ける必要があった。
その為の受け皿に奴らを使い、そしてアナザーオーマジオウもこうして誕生した。
歴史から消える時だ、オーマジオウ」
「そうか、ならば」
その一言と共に、オーマジオウの足元から亀裂が出来始める。
「貴様らを徹底的に倒す。
例え、この身が無くなったとしてもな」
「我が王っ!!」
既に完全に対策された二人の存在に対しても決して怯む事無く、自身の命すら捨て去ろうとしているオーマジオウに対して、ウォズは叫ぶ。
「駄目だ、ソウゴ!!」
「止めるな、ウォズ、ゲイツ。
俺はこいつらを倒さなければならない」
「ふっ、貴様に勝てる術はない」
「倒すと言った、勝つとは言っていない」
そう言い、オーマジオウは手をかざすと、その先には黄金の時計で彩った門が開いた。
開かれた扉は強烈な風と共に吸い込み、バールクストリニティとアナザーオーマジオウを吸い込もうとしていた。
「ほぅ、このような技をまだ持っていたか」
「悪いが、私と共に時の狭間へと行ってもらうぞ」
「だが、その前に貴様を始末すれば良いだけ」
そう言い、バールクストリニティとアナザーオーマジオウは一斉にオーマジオウへと襲い掛かる。
「なんだっあれはっ!?」
「分からない。
だが、あそこに吸い込まれたら、例え我が王でも」
「っ!!」
その言葉を聞いた瞬間、ゲイツは立ち上がろうとするが、だが戦いの疲労により、立ち上がる事ができずにいた。
「ソウゴっ!!」
既にオーマジオウによって、時の扉まであと僅かまで迫っていた。
二人を相手にして、劣勢に追い込まれながらも扉まで追い詰めたオーマジオウは最後の一撃を放とうとした。
その時だった。
「お兄ちゃんっ!!」
「っ!!」
一瞬、空を見た。
そこにはヘリから降り、シンフォギアを身に纏っている響がそこにいた。
それに気づいたオーマジオウは背後にあった扉を消し去り、響の元へと行く。
「ふっ愚か者め!!」
オーマジオウの行動を笑い、アナザーオーマジオウは響の元へと向かっているオーマジオウへと向けて、光弾を放とうとしたが
「やらせるかよ!!」
その言葉と共にアナザーオーマジオウに向けて、赤い光が貫く。
見ると、二体を囲むように翼達がシンフォギアを身に纏い、囲んでいた。
「シンフォギアごときが、我らの邪魔をするな!」
「この気迫、やはりやばいっ!!」
「これはそうとう気合入れないと駄目デスよ!!」
「確かに油断できない」
そう言いながら、各々の武器に力を込めながら睨む。
そんな中でオーマジオウは響の元へとたどり着く。
「すぐにここから離れろ!
奴らはお前達で」
そうオーマジオウが響に逃げるように言おうとした瞬間、オーマジオウの頬が叩かれた。
その頬の痛みは仮面によって防がれダメージはなかったが、一瞬の事で呆けてしまう。
「馬鹿っ!!
お兄ちゃんの馬鹿っ!!」
「ひびき」
「ここでいなくなって、もう会えなくなるなんて嫌に決まっているでしょ!!」
「我儘を言うな。
奴らを倒すにはこれしか」
「なんでこれしかないの!!
ここにはお兄ちゃんだけじゃなくて、皆がいるんだよ!!」
「無理だ。
オーマジオウになったからこそ、分かる。
奴らでは」
そう言い、下を見つめると、アナザーオーマジオウとバールクストリニティによって装者とウォズは追い詰められていた。
二体の力は強く、同時に倒さなければ被害はさらに大きくなる。
「だから」
そう言ったオーマジオウだが、響はそんな言葉を無視し、その手を握りしめる。
「もう握った手は離さない。
私はもう目の前で大切な人を無くしたくない!!」
「っ」
その言葉を聞き、皮肉にもオーマジオウはここに来た理由を思い出す。
ジオウⅡの予知によって見えた光景、ゲイツや響達がバールクストリニティとアナザーオーマジオウによって殺される予知を。
その現実を変える為にここに来た。
「未来は変えられる。
良いようにも悪いようにも、だから一緒に変えよう!!」
そう力強い声がオーマジオウの、ソウゴへと届いた。
「そうだな。
本当、何時の間にか強きなったな」
その言葉と共にオーマジオウの身体から黄金の光は響へと流れ込んでいく。
同時にオーマジオウに備わっていたブランクライドウォッチは変わった。
「・・・そうだ、俺はっ!!」
その瞬間、オーマジオウの鎧は弾け飛び、同時にソウゴの手にはオーマジオウの顔が浮かび上がったライドウォッチ、そしてこれまでのどのライドウォッチにも該当しないマークが表示されたウォッチがあった。
「行こう、響っ!!」
「うん」
その言葉と共にソウゴは手に収まったライドウォッチを起動させる。
【オーマジオウ】【ガングニール!】
「なっ!」
「まさかっ!!」
その音声を聞き、その場にいた全員が上を見た。
そこには、弾け飛んだオーマジオウの鎧から作られた巨大なオーマジオウの像、そしてジクウドライバーに二つのライドウォッチを装填し、構えているソウゴがいた。
「変身!!」
【キングタイム!仮面ライダージオウ!オーマー!
シンフォニック!Balwisyall Nescell gungnir tron】
その音声と共に、ソウゴの姿は徐々に変わっていき、その姿は先程までの真っ黒なオーマジオウとは対照的に白く輝いていた。
そして、そんなオーマフォームの背中の時計の針は黄金の羽へと変わり、腕には響のガングニールを思わせる籠手が現れる。
【OUMATAIME】
同時に響の姿も変わっていき、黒く染まったその姿はイグナイトの姿を思わせたが、黄金に輝く鎧に各々に時計を思わせるその姿は先程までのオーマジオウを模した姿へとなっていた。
「これはっまさかっ!!」
その二人の姿を見て、ウォズは歓喜するように立ち上がる。
「何が起きたのだっ!!」
その状況を予想していなかった二体は戸惑っている間にウォズは高々に叫ぶ。
「祝え!大魔王の力を受け継ぎ、全ての時代を知らしめた最終王者!
王者は妹の力を得、妹は王の力を得た、最強の兄妹の姿を!!
その名も仮面ライダージオウ ガングニールオーマフォーム、そしてガングニールオーマドライブ!
今、歴史が塗り替えられた瞬間である!!」
オーマフォームに使用するシンフォギアウォッチは
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天羽々斬
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イチイバル
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シュルシャガナ
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イガリマ
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アガートラーム