ダンガンロンパ~Excute~ 希望と絶望のラビリンス 作:MOGIぴー
俺たちは重い足で体育館へ足を踏み入れた。
体育館には既にみんなが集まっていた。
モノクマはいつものごとく壇上に佇んでいる。
「おいモノクマ、今の放送はなんだ」
時君が問う。
「ん~? 死体発見アナウンスだよ。クロ以外の3人以上が死体を発見したときに流す放送だよ」
「そういうことを聞いてるんじゃない」
「今のその死体発見アナウンスというのがなぜ流れたのか、が知りたいということだな」
東雲さんが手を組んで言った。
「それは今来た本人たちに訊いたほうが早いんじゃないー?」
と琴津さんが俺たちのほうを見ながら言う。
全員の目線が俺たちのほうへと注がれた。
「ちょっと俺も頭が混乱しててな」
入江君の口調は明らかに動揺している。
二階堂君が俺の耳元で囁く。
「すまんが、両角が説明してくれねーか?」
「えぇ? 俺が?」
仕方なく俺は一歩前へ出た。
「えっと、あの…天宿さんが………その、し、死んでて……」
声が震える。平然を装っているつもりだったが、声の震えが止まらない。
「な、死んでる!? それ本当かよ」
光金君が声を荒げる。
「まさか、誰かに殺されたの!?」
「こ、コロシアイが始まっちまったっていうのか!?」
「ちょっと、落ち着いて」
体育館の中は悲鳴や怒号で飛び交った。
「あのさ、わやわや楽しんでるとこ悪いんだけどさ」
俺たちのもとへモノクマがとことこ歩いてやってきた。
何だこいつ、本当にぬいぐるみじゃねぇか…。
「楽しんでなんかないわよ」
オリヴィアさんがモノクマを睨みつけるが、ひるむどころかむしろ声が明るくなる。
「うぷぷぷ。今回は死者が出るのが早くてちょっと焦っちゃったけど、えっとね、モノクマファイルっていう事件の情報が電子生徒手帳に追加されてるから、それ見て事件解決の参考にでもしてよ」
俺はすぐ電子生徒手帳をポケットから出した。そして、電源をつけて項目を確認した。たしかに「モノクマファイル」という項目が追加されている。
モノクマファイルを開くと、ずらっと文字が表示された。
【モノクマファイル1】
被害者:天宿歌子
死亡推定時刻:午前1時頃
死因:中毒死
外傷は特に見られない。
現場:食堂
たしかに事件の情報が記されていた。
「てことであとは現場検証なり事情聴取なり自由にしてもらって、12時間後に学級裁判を行います。そこでクロだと思う人物を決めてもらいマース」
「…モノクマよ、一つ聞きたい」
入江君が電子生徒手帳に目を落としたまま、モノクマに話しかける。
「俺が見た感じ天宿さんは自殺に思えた。もしこれが自殺の場合、学級裁判はどうなるんだ」
あ、たしかに。
「もちろん学級裁判は行うよ。自殺だと思うなら、死んだ人に投票すればいい話だからね」
そう言って、モノクマは姿を消した。
しばらく無言だった。
呼吸すら聞こえてこない。
何人かは誰かがなにか喋ってくれないかと待っているようにも見える。
「はぁ、わかったわよ」
視線を感じて察したのか、開木さんがため息をして俺のほうへ体を向けた。
「両角君、現場に一緒に来てくれる? 第一発見者の中ではあなたが一番頼れそうだし」
「え? あぁ、わかったよ」
そして開木さんはそそくさと体育館を出ていった。俺はすぐさま追いかけた。
~食堂~
先ほども見た光景だった
テーブルのそばで、冷たくなった天宿さんが倒れている。
開木さんは天宿さんの死体の首筋に手を当てた。
「本当に死んでいるようね。まぁ、死んでるか否かは一目瞭然だったけど」
「ねぇ、開木さん、これって自殺……だよね?」
「……あなた自身はそう願っているでしょうね。でも、このテーブルの上を見ただけで自殺と判断するのは難しいんじゃないかしらね」
「え、どういうことだよ」
「見てみなさい。この鉛筆」
テーブルの上には遺書と鉛筆、そして小瓶だけが置かれていた。
この鉛筆が一体何だというのだろう。
「天宿さんは左利きのはずなのに、この鉛筆は天宿さんから見て右側に転がっているわ」
「なんで左利きだってわかるのさ」
「天宿さんの腕時計を見たらわかるわ」
そう言われて俺は天宿さんのしている腕時計を見た。
あ、、、。
「腕時計を右手にしている…」
「そう、つまり彼女は左利き。なのにこの遺書を書いたときに使用したはずの鉛筆は逆側に転がっている」
左から右に転がった可能性もあるのでは、と思ったがそれは否定した。
鉛筆が転がるには、遺書の紙の上を通らなければいけないし、その遺書の紙の上に天宿さんは突っ伏していたのだ。
つまり…。
「つまり、これだけの情報でもこれは自殺に見せかけた殺人の可能性が高いと言えるわけ」
「しかし…」
「信じたくないのかもしれないけど、ほぼ確実にこれは殺人よ。モノクマが手を下していないのだとしたら、天宿さんを殺した犯人は私たち15人の中にいることになるわ」
開木さんのその言葉は俺の胸に深く刺さった。
俺たちの中に人殺しをした人がいる、だって…?
開木さんはいつの間にか、入ってきたほうとは反対側の扉へ移動していた。
「鍵がかかっているわね。あなたたちがここに突入した時、あちらの扉の鍵は閉まってたの?」
「あ…あ、うん」
「……おかしいわね……」
「え? 何が?」
「もしこれが殺人だとしたら、おかしなことになるのよ」
俺にはどういうことかなんとなくわかっていた。
「食堂にある2つの扉はどちらも内側から施錠されていた。壁や天井に窓は見当たらない」
「そ、それって…」
「これが本当に殺人なら……『密室殺人』…ということになってしまうの」
密室殺人……。
ここは密室だった…。つまり犯人は最初から自殺に見せかけるつもりだったようだ。
「両角君、行くわよ」
開木さんがそう言った。
「え? どこに?」
「決まってるじゃない。事情聴取ってやつよ」
コトダマ【右側に転がった鉛筆】
【天宿の腕時計】
【施錠された2つの扉】
を獲得しました。
ども、引きこもり気味のMOGIぴーです。
ちょっとなんか駆け足になってて、主人公とクラスメイトたちの交流がなかなかに少ないですが、引き続き読んでいただけると嬉しいです。
次回は生徒たちの事情聴取が主になります。
では、また次回。