ダンガンロンパ~Excute~ 希望と絶望のラビリンス 作:MOGIぴー
「歌子ちゃんが自殺? そんなわけないと思うよ」
桜谷さんは俺と開木さんに自信ありげにそう言った。何か、根拠がありそうだ。
「どうしてそう言い切れるの?」
俺は訊いた。
「昨日の夕ご飯の後なんだけどね。動機ビデオを見た後だったからまだ落ち着けなくて、気晴らしに学園内を散歩してたの」
「それで?」
「音楽室の前を通った時、何か歌声が聴こえたの。音楽室の扉が少し開いてたからのぞいてみたら、歌子ちゃんが熱心に歌の練習をしてたの」
たしかあの音楽室は防音だから大声で歌ってもわからないだろうな。扉が開いてたから気づいたということか。
「集中してたから邪魔しないほうがいいかと思ってそこから退散したんだけど」
桜谷さんはあごに人差し指を当てながら口を動かす。
「まぁつまりは、歌を熱心に練習するほどこの環境に慣れていたのにあの直後に自殺するなんてありえないんじゃないかなぁ」
「なるほど」
一理ある。桜谷さんが本当のことを言っているという保証は無いが、真実だろう。俺はそう信じたい。
「彼女の証言が本当なら、天宿さんの自殺説はゼロに近いわね」
コトダマ
【桜谷の証言】
を獲得しました。
その後、桜谷さんに午前1時ごろ何をしていたか訊いたが、彼女は寝ていたという。
おそらく他の人もそう答えるだろう。
何といっても真夜中の犯行である。いや、まだ犯行と決めつけるのは難しいか…。
何人かに事情聴取をしていき、何かヒットしたのは東雲さんの証言だった。
「昨夜…。あぁ、午前1時ごろ、死亡推定時刻だとかその頃だったかな。図書室で寝落ちしてしまって急いで自分の個室に戻る時に、体育館の方へ向かう人の姿を見た」
「え? それって誰!?」
「暗かったけど、近距離だからすぐわかったわ。あれは光金様だったわ…」
コトダマ
【東雲の証言】
を獲得しました。
東雲さんの証言の真偽を確かめるために、俺と開木さんは光金君に会った。
質問をぶつけると光金君は若干慌てた様子で言った。
「え、自分が疑われてるのか」
「とにかく、どうなの?」
すると、光金君はジーンズのポケットから一枚の紙きれを取り出した。
「このメモで自分は呼び出されたんだよ、あの体育館前にね」
その紙きれには「体育館西側入り口へ来てください」と書かれている。
「てことは光金君はしろ…」
「本当にそれをもらったの? まさか、自分で書いたとかじゃないわよね」
俺がしゃべり終わろうとした時に、開木さんが眉をひそめて言った。
「だから違うって!」
「じゃあここに同じ言葉を書いてくれる?」
開木さんはノートとボールペンを取り出して、光金君の前に差し出した。
光金君はそのノートとボールペンを受け取って、ノートの上でペンを走らせた。
同じ文章を書いてもらったが、どうやら筆跡が違うようだった。
「疑ってすまないわね」
コトダマ
【光金の証言】
【光金が受け取った紙切れ】
を獲得しました。
「ところで、光金君、そのメモ書き貸してくれる?」
「あ、いいけど」
何をしようとしているのか、分かるようなわからないような。
俺と開木さんは「なぜか」現場に戻ってきた。
開木さんはテーブルの上にそのメモ書きを置いた。
「…予想が外れたわ」
「え? どういうこと?」
「これが殺人ならこの遺書も偽物でしょ? だから光金君を呼び出した人物と筆跡が同じかと思ったのよ。でも…」
「筆跡が違うの?」
「そう。一体どういうことなのかしら」
開木さんが困惑している。
ここから分かることは、遺書を書いた人物と光金君を呼び出すためのメモ書きを書いた人物は別ということになる。じゃあ犯人は2人…?
「…モノクマに訊きたいことがある」
食堂内が俺の声で充満し、そして消えた。
「はいはーい」
突然俺の目の前にぬいぐるみが現れた。
「わっ」
「なに驚いてるのさ、呼び出したのは君のほうじゃないか~」
「あぁ、それで訊きたいんだけどさ。共犯者がいることってありえるの?」
そう、犯人が2人いるならつまり共犯者の存在があるということになる。
「まぁありえるけど、卒業できるのは実際に殺人をしたクロだけだよ」
「じゃあ共犯者にメリットはないわけね」
「そういうことだよ開木さん」
ニコニコしながらモノクマは言う。
共犯者がいる可能性は低い…。じゃああの2つの筆跡は一体何なのか…。
「まぁてことでおふたりさん、頑張ってねー」
モノクマはそう言って姿を消した。
「あんなやつに言われなくても頑張る気だっつーの」
自分で呼んだのが悪いのだが、あいつの声を聞くと頭が痛くなる。
「6時間経ったわね…。まだ情報が足りないわ」
そして開木さんは出口へ歩いていく。
ん?
何だ…。
何か違和感のような、ムズムズ感がする。
何かを見落としているのか…?
開木さんにはわからず、俺にだけわかる何かが…。
俺にだけわかる…。
死体発見時だろうか…。
しかし、死体発見時が何だというんだ。
くそ、スッキリしない。
思い出せ。
「どうしたの? 早く行くよ」
開木さんの声ではっと我に返った。
「あ、あぁ」
学級裁判とかいう裁判までに思い出せるだろうか…。
トリックとか考えるの苦手、MOGIぴーです。
捜査パートは次あたりで終わると思われます。
さて、主人公は何を見落としているのか…。
今までの状況ととある人物の発言を見たら分かるはずです。
ということでまた次回。