バビロニア組(+α)が迷宮都市へ行く話   作:はっぱミルクチー

2 / 4
短くて
ごめんなさい


2話 天地驚愕のファミリア

「えいっ」

 

「きゅう……」

 

「うわ、1発殴っただけで気絶したよこの女神。ところでエレシュキガル様、ロキ様の説明で何かわかったんですか?」

 

「へ?エレシュキガル様の眷属……ですか。いや、今もう既に眷属じゃないですか私。何も変わらなくないですか?」

 

「それがね、私の血を使うと貴女に恩恵(ファルナ)っていうのを刻めるらしいの。それが体の機能を強化できるみたいで……何があるかわからないんだし、ロキに言われた通り貴女に刻んだ方が良いのかなって。それに、貴女近頃血と戦いが足りないとか言って窶れてたし。何より、ファミリア……家族に、なりたくないのかしら?」

 

「愛の告白ですか?エレシュキガル様なら責任を持って美味しく頂ける自信がありますが。」

 

「ち、違うわよ!?」

 

「揶揄っただけです。サラッと流せるように主人も進化しましょう?時代は合体ロボットですよ。」

 

「自分の従者ながら、何を考えてるのか全くわからないわ……」

 

む、と心外だと言わんばかりに頬を膨らませた冥界の従者は、そのような態度を取ってはいるが家族という単語に強く惹きつけられてもいた。

 

──家族、か。暫く聞かなかったな、そんな言葉。

 

しかしそんな一瞬の郷愁は捨て、何事も無かったかのようにエレシュキガルに笑いかける。勿論答えは、という返答の意味も込めて。

 

その意思を受け取った冥界の女主人も、花が綻ぶようにはにかんだ笑顔を浮かべたのだった。

 

「でもなー、良い話だったなーで終わらないんだよなー。主にこの!この!金ピカのせいで!おのれ!」

 

「それを言いたいのは我の方だ戯けが!何故この我が神の下へ降らねばならん!」

 

「イシュタルよかマシだろ我慢を覚えろ!」

 

「ま、まあまあ必須って訳でも無いんだし、ね?ギルガメッシュやエルキドゥなら自衛程度できるでしょう?」

 

「むぅ……ばーかばーか!バカガメッシュのばーか!その辺りで野垂れ死んどけば良いんだ!」

 

そう言って少し涙目の怒りを露わにした冥界の従者は何処からか取り出した小瓶をギルガメッシュにリズミカルに当てていった。案外その容器は脆いらしく、精巧な細工の施された硝子瓶が彼女の手に現れては消えて行く。ああ、あの容器だけでも商売になったのに……と金にがめつい者は残念に思った事だろう。

 

そして、それを当てられている張本人、ギルガメッシュは王の財宝(ゲートオブバビロン)から瓶の大きさに対応した小型な剣で応戦するものの防ぎ切れず瓶の中身を頭から被ってしまっていた。案の定その米神には青筋が浮いている。

 

「して雑種、この瓶の中身は何だ?」

 

「ペロッとしてみろ、青酸カリだ。多分。何入れたかしっかりとは覚えてないけど。」

 

「そのような劇物と知って舐める訳が無かろゲホァ!?」

 

「やったぜ。」

 

頭から垂れてきた青酸カリ(仮)が口に入り咳き込んでいたギルガメッシュは危機一髪、宝物庫から出してきた万能解毒薬で九死に一生を得ていた。今度は従者の舌打ちが聞こえる番だ。

 

「チッ、生きのびやがった。つくづく悪運の強い奴。私が教えてあげた霊草は蛇に食われてた癖に。」

 

またも従者は地雷を踏む、否、寧ろランニング中道端で見つけた地雷を態々家に帰りピンヒールに履き替えてきて踏み抜く程度の威力の爆弾発言を投下した。

 

「貴様ァ……!」

 

「まあまあそこまでに。ほら、そこの神が驚いているだろう?ボク達は今の状況を把握しきれてないんだし、落ち着いて話を聞こうじゃないか。」

 

「「……ケッ」」

 

この二人は何度これを繰り返すのだろうか。きっと延々と繰り返し続けるのだろう。お互いに弄るネタは山程あるのだから。

ヒートアップして帰って来なかった二人を引き留めたのはやはり二人の共通の友人(片方は一方的だが)のエルキドゥだ。上司の言う事は聞かない筈が友の言う事は聞くという謎の構図の出来上がりである。

 

「おー、やっと終わったか。待ちくたびれたわ。ほんで、さっきまで何の説明してたか覚えとるか?」

 

「この迷宮都市オラリオの概要と、ファミリアの説明で一段落していたのだわ。」

 

「それならもう殆ど終わりかけやな。冒険者目指すんか目指さへんかは自由やけど、ここで暮らすんやったら必ず冒険者との関わりはできる。どんな形であれな。見た所、あんたらくらいの力があったら冒険者としてやっていけるわ。是非勧誘したい所やけど…無理そうやな。」

 

「諦めて下さい。」

 

「ほんまに残念やわ。ほんでな、ファミリアに所属するには神からファルナを受け取る以外にも、冒険者登録やとかその辺りが必要になってくる。そういうのはあの高い塔の中にあるギルドって所で申請やら何やらできるから。あんだけ目立ってたら迷わへんやろ。ほな、うち忙しいからもう行くわ。活躍楽しみにしてるで。」

 

「ありがとう。色々と親身にしてくれて、助かったわ。」

 

本当に忙しいのだろう、足早に歩き去って行ってしまったロキの方向にはもう既に人の喧騒だけがある状態になってしまった。

 

「……ギルガメッシュ、エルキドゥ。ダンジョンに興味はあるか。」

 

「ボクは無いといえば嘘になるね。最深層が未だにわかってないって言うのも冒険心をくすぐられる。」

 

「ハッ、迷宮に生まれ落ちたからと言っても獣畜生と変わらんだろう。そのような者共にくれてやる財は無い。」

 

「えー、やっぱりノリ悪ーい。」

 

「戯け。行かないとは言って居らぬ。我が友が行くのであれば、我も行くのが摂理というもの。」

 

「お?じゃあ?」

 

「……貴様等のそれは巫山戯た目標だが興が乗った。精々楽しませろ。」

 

「わぁい!じゃあここに、「エレシュキガル・ファミリア」結成だ!」

 

「きゅう……わたし、は……?」

 

○◇○◇

 

 

「お前が悪意を込めて我を見ている事など見え透いている。我の愉悦を邪魔するでないわ、雑種。」

 

金の波紋が路地に展開し、こちらをちらちらと伺っていた男を串刺しにした。断末魔を上げる暇も与えられず命を刈り取られた男は、路地に誰に知られる事もなくどしゃりと倒れた。

 

ただ一人、それを作り出した王を除いて。

 

「どうしたー、ギルガメッシュ?ギルドに行くんでしょ?早くしないと日が暮れちゃうよ。」

 

「ああ。───随分と愉しそうだな、ノア?」

 

「……やめてくれ、その名前で呼ぶのは。私にその名前は不釣り合いだ。」

 




マテリアルが解放されました

冥界の従者(ノア)
ギルガメッシュの不死の探求の果て、彼が求めたもの。神から与えられた特別な異常耐性を持ち、体の全ての異常を任意で排除する能力を持つ。史実とは何故か違い女性であり、しかも若返りの霊草のある場所まで自身から道案内を申し出たと言う。その後苦労してギルガメッシュに採らせた霊草を食べてしまった蛇を追いかける内毎回まで迷い込んでしまい、そこで目にした冥界の女主人の在り方に感銘を受け彼女の従者となった。
 但し、彼女は本来のノアでは無い。彼女は確かにバビロニアに存在した魔術師であり、方舟を作ったり不死身になったりはしていない少女。しかし彼女は有り得ない歴史、あったかもしれない並行世界にて、ノアが居ない世界でのノアのスクリーンとなった。その内情がどうであったとしても、彼女はノアとして存在し続け、振る舞う。だが、一介の魔術師にノアの持つ力は荷が重いと考えているようだ。

ギルガメッシュ、エルキドゥの事は陰ながら手放せぬ友人だと考えている。イシュタルは冥界で暴れた前科がある為攻撃対象である。

宝具:生の祖納めし方舟(ノア・カプセル)
彼女の代名詞とも言える大洪水を耐え切ってみせた方舟。逸話の効果もあってか、自然の怒りによる攻撃に滅法強い。ただし鍛えた人間が殴ればもちろん木でできた船として穴は開く。彼女が来いと念じた時その巨大な全貌を表すという。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。