「第三次防衛ライン、間もなく突破されます!」
緊急事態を知らせるアラームが響く。
指令室と呼ばれる部屋の中、慌ただしく動く人々の姿。
怒声と悲鳴が部屋を支配する光景に、信じたくないが一つの思いを抱かずにはいられない。
間もなく、我々の星は崩壊するのだと。
「博士!! 我々の武器の中で、奴に効果の有るモノはありませんか!?」
青色の戦闘服を着た男が私に話かけてきた。
彼の目は血走り、悲壮な表情を浮かべている。
普段はこの星の防衛隊、その隊長として勇ましく指揮を執る姿はそこにはなく、次々に散っていく友軍の姿にココロを痛めているようだ。
私は一介の科学者に過ぎないが、防衛隊のオブザーバーとして彼に召集されていた。
普段は我ら種族の特性を生かした発明などをしているが、「その頭脳で共に星を守ろう」と言ってくれた彼や防衛隊と共に、長らく異星人から母星を守り続けてきた。
だが、今回のばかりは…。
「一つ可能性があるモノがある…が、あれは失敗作だ」
「では、他に研究中のより強力な爆弾か光線銃などは!?」
「隊長、君も分かっているはずだ…。兵器では奴に有効打を与えることはできない」
「………ッ!!!」
悔しさ、情けなさ、散っていった同胞への申し訳なさ。
様々なモノを背負った彼には大変申し訳ないが、今回ばかりは打開策を思いつかなかった。
「奴をセンサーで捉えられなかったあの時、空間センサーの値がマイナスを示した事実を不具合として処理してしまったのがいけなかった」
「………我々の判断が間違っていた、と?」
「いや、私や君たちだけではない。アクチャール星人として、『想像力が貧困』という事実をもっと深く受け止めるべきだった」
突出した種族特性と科学力に甘え、未知なる災害への対処を怠った。
あのウルトラ警備隊ですら崩壊の危機に陥った事があるのが今の宇宙だ。
突然隣の星系から生命体が消える、なんて事にも我々なら解決できると思いあがったツケとでも言えばいいのか。
「今からでもウルトラ警備隊に連絡をし、救助を乞うてみるべきだ」
「既に連絡はした……が、無駄だ。我々は積極防衛として周囲の種族との交信すら断っていた。この辺りの星系の情報は皆無に等しいなか、奴の侵攻よりも早くウルトラ警備隊が来るとは思えない」
「……」
「とにかく、我々防衛隊は最後まで時間を稼ぐ」
彼とて、自分達の運命がどうなるのかは既に分かっているのだろう。
だが、それでも愛する母星を守るために足掻いている。
去っていく彼を見ていると、ふと自分に何ができるのかと考えてしまった。
防衛隊のように戦うことはできない。
未来を悲観する今の自分に、何かを生み出すことはできない。
だが、『何かを残す』ことは出来るのではないか?
足早に自分の研究室へと戻り、端末を起動する。
言ってしまえば、これから行うことは足掻きですらない。
諦めてしまった自分だが、他の誰かが自分と同様になるのは忍びない。
故に、これはただのメッセージ。
『奴』に母星を襲撃され、全てを失った者からの、彼方への記録。
―――――――――――
私はアクチャール星に住むアクチャール星人。
バンデラス太陽系にほど近い所に存在する、緑豊かな惑星に住む一人の科学者である。
我が母星は現在、とある存在によって滅亡の危機に瀕している。
…いや、存在というよりは現象、災害に近いかもしれない。
遠くないうちに、我々は滅亡するだろう。
アクチャール星人が確かに存在していたことを示すため、この記録を残す。
我らアクチャール星人は「想像したモノを物質化する」という特性を持っている。
そのため、古くから様々な異星人に狙われてきた。
我々はアクチャール星そのものを武装化し、他種族との交信を断つことで自衛してきた。
が、今回それが仇となった。
かつてアクチャール星人同士の内乱が起きた際、両陣営が好き勝手な想像により母星の環境を破壊尽くしたことがある。
その戒めとして、現代のアクチャール星人は現実的な考えを常とし、荒唐無稽な想像を慎む文化が根付いてしまった。
貧困な想像力、それは未曾有の事態への対応力を奪ったのだと思う。
奴…生きたブラックホールとでも言えば良いのか…。
全てを飲み込む暗黒がアクチャール星に接近したのは、つい最近の出来事だ。
…今思えば、あの雷が頻繁に落ち、野生生物が狂暴化したした時より異変は始まっていたのかもしれない。
奴は光・熱・音のセンサーに映らず、エネルギー量を測定するセンサーでのみ捉えることができる。
我々のあらゆる兵器が通用せず、奴の攻撃を受けたモノ、触れたモノは全て消滅する。
消滅だぞ!! 原子分解やエネルギーの対消滅どころじゃない!!
…文字通り『ゼロ』にされるんだ。
我は前述の通り他種族へ助けも呼べず、惑星そのものを武装化した影響で一般市民の避難すらできない。
全てが消滅する前に、我らが生きた証として、この記録を残す。
願わくば、奴を討ってくれる者が現れる事を。
そして滅びゆく我らに代わり、未来へと歩む者達へ…
―――――――――――
記録を媒体に保存し、端末の電源を落とす。
ふと、研究室の中央に置かれたモノが目についた。
持ったものに、アクチャール星人の特性を与える新兵器。
元々想像力が貧困なアクチャール星人が装備した所でたかが知れており、無事『失敗作』となったモノである。
結局量産の目途もたたず、とはいえ異星人に奪われると問題になるので、特定の生体波長、周波数を持つ者しか扱えぬようロックのかかったガラクタだ。
私はそれに、自分の独白が記録された媒体を括り付けた。
もしかしたら…という思いが無かったと言えば嘘になるが、半ば諦めによる無意味な行為だ。
「第三次防衛ライン崩壊!!! 対象、なおもスピードを上げて接近中!!!」
ああ、これは走馬燈なのか、奴の声なのか…。
どこか悲しい、そして何よりも恐ろしい鐘の音が響く。
我ら種族の滅亡は、あまりにも美しすぎる終焉であった。
生まれ故郷、そして生みの親を失ったガラクタは、宇宙に飛び去った。
自身を製作した存在は既に消滅したが、それでも自身を扱える波長を持った生命体を求めて。
そして、とある惑星にてついに出会う。
「私の研究では、15年後の地球では、生命の発する電波が無かった…
しかし、これを手に入れて以来、微かに『未来の音』を受診できたんです」
それは思いを形にする虹色の剣。
ウルトラマンXを見直して、ふと思いついた
グリーザに滅ぼされた文明の中にエクスラッガーを作った異星人が存在して、未来を悲観することしか出来ない自分達に代わり、誰かに未来を託す話
初めて小説書いたので、誤字脱字表現おかしい所があったら優しく教えて下さい…