現代堕ちアリス   作:舞われ回れ

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こんにちわ。
一万字書いた10話を、投稿しようとした拍子に全消去してしまい、茫然とし、やる気がゼロになったエタ作者です。
また少しやる気が出て来たので投稿します。
最初の構想と物語の流れをかなり変えたので、矛盾があるかも知れませんがよろしくお願い致します(_ _;)
  


きおく

  

「温泉に入りましょう?」

 

私の人生最大の混乱を齎した言葉を放った彼女は、目の前で、私の眼前で、裸体を晒し妖艶に微笑んだ。

 

「ねぇ早く入りましょうよ?この温泉素晴らしいでしょう?一面雪景色の中、白く濁ったお湯。鼻に付く硫黄の匂い。僅かに粘性を持った湯は、身体に纏わりつき癒しと力を与える」

 

「貴方の身体にも、とってもよく効く筈よ。傷を癒し、心を癒し、命を癒すわ。それにこの私と一緒に入れるなんて途轍もない幸運よ。貴方が今後一生の幸運を使ったとしても成し得ることが出来る筈がない幸運。だというのに何を躊躇うの?

さぁ服を脱ぎなさい。裸を晒しない。白濁湯を通して身体を重ねましょう?」

 

「ねぇ、アリス?」

 

目の前の光景を目を焼き付ける様に見つめ、不意に込上がってきた生唾を無理矢理に呑み込んだ私は乾いた唇を動した。

 

「……貴方は、一体何を言っているの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故、人形を愛し、平凡な魔女人生を送っていた筈の私が、こんな摩訶不思議な出来事に遭遇しているのか?

それはかれこれ1時間程前に遡る。

 

ベッドに寝転がり魔導書に興じていると、彼女は突然現れた。

ぱっくりと口が開く様に、黒と目玉を伴って唐突に。

扇子を片手に妖艶に微笑み、唇を動かした。

 

「こんにちは。私、八雲紫と申します。どうぞ気軽にゆかりん、と呼んでくださいな」

 

「それでは参りましょうか。詳しい事は現地で話すとしましょう」

 

 

何を?!

 

言葉を発する間も、抵抗する間もなく私は目玉に飲みこまれた。

暗闇を、閃光を目にして、そして一瞬か永遠か分からない時間を経て、私は硫黄の香る温泉に浸かっていたのだ。

眼鏡も服もアクセサリーも消え去り、産まれたままの姿で。

 

そして、目の前の温泉らしき白い湯に浸かる八雲紫と名乗った少女は『全裸』で言葉を投げかけてきたのだった。

 

 

うん。

意味が分からない。

 

彼女は何者だ?

ここはどこだ?

なんで私も、彼女も全裸で温泉に浸かっているの。

それに、なんて大きく白く柔らかそうなんだ?

 

「貴方はなんなの?ここは何処よ。なんで私も、貴方も…なのよ!」

 

「あらあら。淑女がこのように慌てて取り乱すものではないわ。こんな状況よ。分かってるのでしょう?

『据・え・膳』と、言うやつよ。存分に楽しみなさいな。貴方にはそれを楽しむ権利があるのよ」

 

据え膳?

それに『権利』だと?

どういう意味だ。そんな私の疑問に答える事なく、目の前の彼女は言葉を続ける。

 

「私の身体はそんなにも魅力がないのかしら?

これでも、それなりに自信があったのだけれど、ショックだわ。

私を女として魅ることは貴方には出来ないのかしら?」

 

訳のわからない状況。訳のわからない女ではあるが、正真そんな事はない。

 

白濁した湯は、彼女の肢体をの多くを隠しているが、舐めやかな首元や胸元は覗いている。

白く艷やかな肌から目を離す事が出来ない。

据え膳と彼女は言った。

見ず知らずの『面識』のない得体のしれない少女ではあるが、何とも言えない魅力のある美しい少女だ。

こんな、同性で私の様なモノであっても、彼女の放つ色気に生唾飲み込み、魅入って仕舞うのは仕方のない事がだろう。

だが、そんな事は私には許されない。

『妖怪』如きに気を許すなど合ってはならない。許されることではないだから。

 

『貴方は何者?どうして私に目を付けたのかしら?

何が目的?答えなさい『スキマ妖怪』」

 

「…スキマ妖怪ね。流石にと言うべきかしら。いえ、この言葉は貴方にとっては侮辱になるのかしら?ねぇ、『昔』は忘れて今この状況を楽しもうとは思わない?

私はこんなにも貴方を愛していると言うのに」

 

「愛している?妖怪風情が人間の言葉を吐くのね?。人を殺し犯し喰らくだけの化け物が、人の言葉を使い『愛』を語るか。

悪ふざけは止め真実を語ったどう。何が目的なの。何を求めて私を求める?」

 

「何故そんなに妖怪を嫌うのかしら?

私は生きているわ。貴方も生きているわ。確固たる意識を持ち、考え、感じ、願いを持って行動して日々を過ごしている。

人と妖、何か違うというの?」

 

「知れたことよ。妖は人を喰らう。人は妖に喰われる。古くから長く世界の摂理であったわ。だが近年、人の知恵はそれを上回った。長い年月を掛け、調べ、知識を蓄え、力を為した。

そして、そして『復讐』を求めて妖を滅する術を得たの」

 

「頭の残念なお前にも分かりやすく言ってあげる。妖と、人間と、そして『魔女』は、決して、決して相容れる事の無い存在よ!」

 

彼女は驚いた顔を浮かべたかと思うと、直ぐに笑みを浮かべた。

予想外のモノを見た時の様な、理解出来ないモノを見た時の様な、或いは面白いオモチャを見つけた子供の様な。私の瞳を見詰め、口元を醜く歪めた。

 

「…えぇ。えぇ。それでこそよ。それでこそ、私が貴方を誘う意義がある。

こうして私が裸体を晒してまで、貴方に声を掛けたのはね。そんな貴方だからこそよ。

誇りなさい。祝いなさい。歓喜なさい。

そんなに貴方だからこそ、私は…私の楽園に貴方を誘おうと思ったの」

 

「私の楽園?。世界を創ったとでも言うつもり?八雲紫」

 

「あら、やっと名前を呼んでくれたのね。嬉しい。けれど呼びやすく、ゆかりんで良いわよ。

そして貴方の問に答えましょう。『イエス』

いえ、その通りよ。私は私の願いを叶える世界を創ったわ。多くのモノ共を楽園に誘い、導いたわ。中には侵入してきたモノ達も居たけれど。まぁ、そんな事は置いていおいて今は、貴方を誘い、導きに来たのよ」

 

「さぁ。私の手を取りなさい。貴方の願いを叶える事ができる世界へと私が導いてあげる」

 

そう言って妖は、私に手を伸ばした。

陶器の様な美しく小さな掌が、私の眼前に差し出された。

腕を伸ばした事で、白濁湯から胸元の大きな谷間が顕になる。

 

「知った様なことを言うのね。妖怪風情が。私の願いが叶う世界?そんなもの有りはしないわ」

 

「うふふ。その言い方。そんな願いが叶う世界がある事を望んでいるようじゃない?

自分に正直に成りなさい。アリス。ほんの1歩を踏み出すだけで、貴方の願いは叶うのよ?人間の様に(・・・・・)勇気を持って前に進みなさい?」

 

 

「お前!!!」

 

魔力を身に循環させる。

この目障りな妖はここで殺す。

必ず殺す。

この私の前に現れたことを、戯言を吐いたことを後悔させてから殺してやる。

 

身体への負担を無視して、魔力を髪の一本一本から足先まで、全開で流す。鈍痛が全身に走り、神経の一部が麻痺し始めるが、魔法で誤魔化した。

指先から魔力で編んだ糸を生成し、上海を始めとした、愛しの人形達を呼び出し繋げる。

1体1体を自らの手で創り、魔法を掛け、武具を装備させた自慢の人形達だ。

 

魔力を全開で回し、人形達で包囲し、弾幕の準備をしていると、八雲紫は口を開いた。

 

「温泉で暴れるものでは無いわ。裸で立ち上がると上も下も丸見えよ。女の私をから見ても美しいと思うのだから、貴方が魅せつけて自慢したいのも分かるのだけど、少々淫乱が過ぎるのでは無いかしら?」

 

八雲紫は、視線で私の身体をなめ回す。

だからどうした。妖に見られたところでなんの問題がある。

それに自分も裸体を晒している事は、頭に無い様だ。それは自分にも跳ね返る言葉だと、気付いていないのか?

 

「所詮は妖。言葉を交わすだけ無駄なようね。…なら死んでしまいなさい。上海!!」

 

 

『シャンハーイ!』

 

弾幕を撃ち出しつつ、人形達を突撃させる。

この妖が強大な力を持っているのは認めよう。だが生きている以上、首を切り落とし、心の蔵を潰せぱ息絶える。

今までと同じ簡単な作業だ。

 

私に近づく者は、誰であれ何であれ殺す。

私の邪魔をする者は、殺す。

私の愛する静寂を得るまで、周りを殺し、破壊する。

 

 

私には上海達だけが居れば良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢は相変わらずね」

 

宴会の後、直ぐに横になって寝息を立て始めた霊夢を見ながら口を開く。

すると、私の言葉に横から魔理沙が口を挟んできた。

 

「アリスは元気そうで良かったのぜ。最近のお前、様子が可笑しかったからな。何かあったのか?」

 

月夜の下の魔理沙を見ると、瞳に真剣な色を宿しているのが分かった。軽口を叩いてはいるが、この私を心配してくている様だ。

以前の私であれば、煩わしく思ったのだろうが、今は何故か心が安らぐ。

人間が、友人が、私の事を考えて気にしてくれている。それだけで嬉しさが込み上げてくる。

嘗てはこうなるなんて、想像する事すらなかった。視界の端でニヤケなが酒を飲む紫が、滅茶苦茶感に触るが、…あぁ。これはやはり私の負けを認める他ないのだろう。

 

「いいえ。少し研究に行き詰まってね。どうしたものかと悩んでいたの。けど決めたわ。少し危険で未知の試みだけど、挑戦することにするわ。そうと決めたら直ぐ始める事にしましょう。

魔理沙。私はもう行くわね。霊夢と皆によろしく伝えておいて。ありがとう!」

 

助走を付けて空に飛び上がる。

空気が気持ちいい。

もっと早く飛ぼう。もっと早く、早く。

 

「おい!?

アリス。いきなりどうしたんだよ!お前本当に大丈夫か?」

 

魔理沙の声が下から聞こえ、木霊する。

 

「大丈夫よ!これから夢を叶えてくるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらの準備は整っているわ?アリス。そちらはどうなの?」

 

「問われるまでもなく終わっているわ。私としては貴方の方が心配なのだけど。貴方の力を疑うわけではないけれど、本当に出来るのかしら?」

 

「甘く見られたものね。ゆかりんってば信用が無いのね。よく似たような事を言われるし、なんでなのかしら?アリスはどうしてだと思う?」

 

「…そういう性格だからよ。スキマ妖怪」

 

「もう!いつもの様にゆかりんって呼んでくれなきゃ嫌よ。アリス。ならお互い準備は万端のようだし、早々に始めましょうか」

 

「えぇ」

 

「緊張してる?アリス」

 

「…えぇ」

 

「緊張なんて無意味よ。なるようにしかならないわ。けれど最後に忠告してあげる。はしゃぎ過ぎては駄目よ。興奮しては駄目よ。冷静になっては駄目よ。立ち止まっては駄目よ。走っては駄目よ。『絶対に死んでしまっては駄目よ』…いいわね?」

 

「えぇ。分かっているわ、紫」

 

「そう。なら行ってらっしゃいな。楽しんで、愉しんで、『……』として生きてらっしゃい」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のは一体?」

 

真っ白な空間に私は立っていた。

上海に殴られ痛みを感じた。

そして、次の瞬間にはあの光景を見ていた。

気が付くとここに1人立っていた。

 

「何がどうなっているの?今のは何?

八雲紫との戦った?博例霊夢、霧雨魔理沙。他にも言葉は交わしていなかったけれど、宴会の場には沢山の東方キャラがいた。まさか、これは…」

 

 

 

 

 

 

『そう。私の記憶よ。「アリス」』

 

 

 

 

ただただ真っ白で、地面も空も曖昧な1人きりの世界で後ろから声を掛けられる。

慌てて振り向くとそこには、アリスがいた。

 

正真正銘の七色の人形使い。魔女。アリス・マーガトロイドが。

二次元のキャラクターに本物も偽物もあるのかと、自分に問うが目の前にいるのは、間違いなく本物のアリス・マーガトロイドだ

自分がモドキの紛い物だと分かっているせいか、確固たる確信があった。

私は偽物で、彼女が本物だと。

だからだろうか、私の口からは自然と言葉が溢れた。

 

「この身体を取り戻しにきたのよね?ならいいわよ。私は貴方に勝てないし、戦う気も勝つ気もないわ。これは奇跡よ。数日だったけど、とても楽しかったわ。ご飯を食べて、お酒を飲んで、本を読んで、上海と触れ合って、そして配信を通じて沢山の人と触れ合って。少し恐かったけれど、本当に楽しく仕方なかった。感謝しかないわ。ありがとう、アリス。

だからこの身体は返すわね。

本当にありがとう。

『死んだらアリスになりたい』なんて願いを叶えてくれて。夢を見せてくれてありがとう」

 

アリスは微笑みながら、私の言葉を最後まで聞いてくれた。

可愛いな。白くて小さくて可憐だ。本物のアリスはこんなにも可愛いのか。最後にアリスを目に焼き付ける様に見詰めて、私は瞳を閉じる。

 

アリスありがとう。

 

夢を叶えてくれて。

 

 

……うん。おやすみなさい。

 

 

 

そうして私は、ゆっくりと意識を手放そうとして、…上海に殴られた時と同じく頭部に強烈な痛みを感じ、飛び起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴方は何を言ってるのかしら?

私は人間贔屓の魔女なのだから、そんな結末を用意している筈無いでしょう?』

 

 

 




  
『温泉』気持ちいいモノ。景色がいいと更に良い。

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