フランケン・ふらんとフェイスレスでお気に入りが1000件を越えてビックリしております。特に感想を見る限り、フランケン・ふらんを知っている方々が沢山いて嬉しい限りです。
知らない方々に内容を説明すると、"ふらんさんのオカゲで病気が治っていろんな人が救われて、みんなが幸福になる愛と感動のストーリー"なのでオススメの作品ですよ!(笑顔)
ヨークシンドリームオークション。年に一度開催される世界最大の大競り市である。
9月初頭から10日間の日程中に公式の競りだけでも数十兆ジェニーの金が動く。昨日一万で競り落とした品物が、明日には一億で売れることもあるという、一攫千金の夢の市である。その中で最大のオークションはサザンピースオークションと言われている。
その一方。数万点に及ぶオークションハウスに紛れ、犯罪に関わる物のみを扱う闇のオークションも多数存在する。その最たるは十老頭が主催するマフィアによる
これに関してはヨークシンの街ぐるみで行われており、警察等の組織も荷担している。寧ろ、裏のサザンピースオークションといっても過言ではないだろう。
そして、斑木研究所の者たちがこの時期にヨークシンに来ているのも無論、オークションに関係する。というより――。
「ヨークシンドリームオークションの開催中だけ市やマフィアからの直々の依頼で常駐医師として来てるって……本当にフェイスレスと、ふらんさんは大物なんだなぁ……」
「オークションに白熱し過ぎて倒れたり、病気を押しても来たがる富豪の方々とか。小競り合いで撃たれるマフィアの方々とか結構たくさんいらっしゃいますからねぇ~」
「みーんな金銭感覚がガバガバになってる時期だから稼ぎ時でもあるからねぇ」
現在、ヨークシンで最も有名かつ高額なホテルの敷地内に建てられた別荘のような施設へ機材の搬入を手伝い終えたレオリオは、最早達観したような目で二人を眺めていた。
研究所の外では伝説かつ幻の存在であるが、研究所内では気さくな爺さんと、ちょっとアレな娘なので時々忘れそうになるのであろう。
「まあ、僕は開催中は基本的にここにずっといるからね。何かあったら電話か、直接ここに来てくれればいいよ。君の友達なら無料で再生してあげるよん。早速、友達に会いに行ってあげなさいな」
「おう、そうするぜ! ……って縁起でもねぇよ!?」
「ははは! ばいび~」
そう挨拶を終え、レオリオはヨークシンの街へと繰り出して行った。それを手を振って見送ったフェイスレスはふらんへと向き直る。
「それでふらんクンたちはどうする? いつもそうだけど、サザンピースや地下競売の前はそんなに急患も来ないし、オークション期間でもだいたい僕一人で回せるから別に何しててもいいんだぜい!」
フェイスレスはふらんとその隣にいるヴェロニカとアドレアの全員にそう声を掛けた。その様子は子供に遊んで来ていいと諭しているようである。
「そうですねぇ。それならお言葉に甘えて大きなオークションの前に私たちは――」
ふらんは少し楽しげな様子で口を開いた。
◇◆◇◆◇◆
「ふらんちゃーん! ひっさしぶりぃ!」
「お久しぶりです"ネオン"さん~」
ヨークシンに到着してから1日と少し経った頃。ふらんは水色の髪をした同じくらいの体格の少女に抱き着かれてた。少女がかなり体重を掛けてきているため、ふらんはぷるぷると震えており今にも倒れそうである。
「ヴェロニカちゃんと、アドレアちゃんもおひさー! 入って入って!」
ここはマフィアのひとつ。"ノストラード"
ネオンに案内されるまま三人は部屋に入ると、ベッド周辺の場所が強盗にでもあったかのように辺りにモノが散乱しているのがわかった。
その近くの窓際には彫りの深い顔の男が座り込んでおり、こちらに気がつくと立ち上がって頭を下げて来る。
「すみません、斑木ふらん様方。少々取り込み中でして、ろくな対応も出来ず……」
「お久し振りです。ダルツォルネさん。おかまいなく~。小さな怪獣が暴れてたんですねぇ」
「もう! そんなことないわよ!」
そう言いながら少し恥ずかしそうに頬を染めるネオン。そのままネオンは三人を近くのテーブルの回りに誘導し、四人全員が席についた。
ネオンとふらんたちとの関係は非常に単純なもの。"友人"である。
ネオンは人体収集家という凡そ同じ年頃の少女がしているような趣味からは掛け離れた趣味をしているのだが、それが高じ、紆余曲折あった末、友人という間柄になったのだ。
まあ、ブラックジャックに笑うセールスマンを足したような存在であるふらんと話の合うような少女がマトモな少女であるハズがなく、ネオンは人体収集家であるという一面を除けば、活発で年相応の少女であり、ヴェロニカやアドレアとも友好を築いている。
ネオンの親からすれば斑木研究所の斑木ふらんという少女は、医療を通して各国の要人や、裏世界の顔役に太いパイプを持つため、率先的に関わって欲しい相手であり、このように簡単に会うことが可能だ。
「ふらんちゃん! アドレアちゃんの
「いいですよぉ。でも触れないでくださいね」
アドレアは着ている洋服を脱ぐと、顔以外の全身を覆う包帯を外す。するとそこには体中に付着したチャックがあった。更にアドレアがチャックを開けると、そこには赤々とした大量の臓器が詰まっていた。
アドレアはフェイスレスが改造を施した臓器携帯人間であり、体内に人体の様々な臓器を格納している。包帯の下には体中に付着したチャックがあり、そこから各部位の内臓を取り出し、臓器移植等の手術をする際に提供するようになっている。また、顔に当たる部分には無数の触手があり、そこから取り込むことで臓器を収納出来るようになっているのである。
「わぁ……いつ見てもスゴいなぁ……ホントどういう仕組みなんだろう」
「それを知るには生命工学の勉強が必要ですよ~」
「それはヤだなぁ……」
ネオンはアドレアの中に収納されている臓器や筋繊維をうっとりした表情て見つめつつも、勉強という単語には嫌そうな顔をした。
その後、ネオンはヴェロニカとも会話をし、ふらんの腕や頭を外したりと色々していたが、ある時思い出したかのように言葉を荒げる。
「そうだっ! ヒドいんだよ聞いてよー!」
「はあ?」
その様子に近くで静観していたダルツォルネの表情が、思い出してしまったかと言わんばかりの様子で曇った。その内容は行く予定であった今年行われるマフィアの地下競売に連れて行って貰えないという話である。
「私は地下競売ぐらいなら行っても問題はないと思うのですが……。入り口で銃やナイフはぜんぶ取り上げられますし、マフィアの方々も競売場で何か起こすような可能性は薄いのではないでしょうか?」
「やっぱりそうだよね!」
「ならヴェロニカでも――」
「ふらん様。少しいいでしょうか?」
首を傾げながらネオンに賛同し始めるふらん。その光景に不味いと感じたのか、ダルツォルネが会話に入って止めに入り、"少々お伝えしておきたいことがあります"と言って来る。
「はい? わかりましたぁ。ネオンさん、少しダルツォルネさんと話をして来るので、頭を戻してくれませんか?」
「はーい!」
ネオンはそれまでぬいぐるみのように抱き締めていたふらんの頭部をふらんの体へと渡す。するとふらんの体はボタン付けでも行っているような慣れた手つきで首と体の接合面を縫合して元の姿へと戻った。
「じゃあ、行きましょうかぁ?」
「は、はい」
"いつ見てもこの人は慣れない"とダルツォルネは内心で苦笑いを浮かべつつ、その場からふらんを連れ出した。
◆◇◆◇◆◇
「それで話とはなんでしょうかぁ?」
「実は――」
ふらんをスイートルームのネオンがいたところとは別の一室に連れて行くと、ダルツォルネは紙を1枚差し出す。
何もかもが値上がりする地下室
そこがあなたの寝床となってしまう
上がっていない階段を降りてはいけない
他人と数字を競ってもいけない
それは奇妙な詩の写しのようであり、ふらんはそれに覚えがあるのか目を丸くした。
「これは……ネオンさんの"
ラブリーゴーストライターとは、自動書記による四行詩という形式で、他者の未来を占う特質系能力である。予言を書き込む紙に、相手の名前・生年月日・血液型を書いてもらい、本人もしくは本人の写真を目の前に置くことで、占いが可能。そして、予言詩は4~5つの四行詩から成り、その月の週ごとに起こる出来事を暗示している。
ノストラード組はネオンのこの念能力で金を稼ぎ、急速に成長したと言っても過言ではない。それ故に、ノストラード組を妬む他のマフィアも非常に多いのだ。
「それと同じくだりの詩が四篇、顧客のマフィアから出たんです」
「競う上に値上がりする地下室は地下競売……それからこの結果を省みると、何らかの原因により、そこにいる方々が大量に死ぬようなことが起こるのですね……」
「そう読み取れますね。なので――」
ふらんが悲壮な様子で目を伏せたため、ダルツォルネはその様子に理解して貰えたと感じ、ネオンを地下競売に行かせないで欲しいと言おうとした瞬間、ふらんは顔を上げた。
「なるほど! ならば私の出番ですね!」
ふらんはそう宣言し、決意を秘めた表情で拳を作る。彼女の身内ならばわかったであろう。こうなった彼女は、治療を行うまで決して止まることもなくなるということを。
「人が死ぬとわかっているのならば、助けなければなりません!」
「え……? いや、その……」
「教えていただき、ありがとうございます。ダルツォルネさん! 私、地下競売に行って参ります! ヴェロニカ! アドレア! 準備して!」
ダルツォルネはふらんの様子と行動に驚きながらも彼女を止めようと思考を巡らせるが、最早後の祭り。こうなった彼女は極端に他人の話を聞かなくなるため、既に手遅れてある。
そもそもフェイスレス経由で地下競売を止める等という根本的な解決の選択肢が最初から頭に存在せず、負傷者や死傷者が出た場合に治療するということにしか意識を向けていないのが、斑木ふらんという頭のネジの外れた人造人間なのであった。
~次回予告~
ふらん「助けられる命は全て助ける! 術式を開始する!」
幻影旅団「ええ……(困惑)」