比企谷八幡と黒い球体の部屋―外―   作:副会長

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己を殺し得る、己が殺すべき鬼が待つ――本物の戦場へ。


妖怪星人編――69 必殺の右

 

 局地的に雷の豪雨が降り注いでいた。

 炎に塗れる戦場に、無数の雷柱が屹立する。

 

 灼炎と轟雷が荒れ狂う戦場を――右半身を赤龍へと変えた戦士が突き進む。

 

 頼光四天王・坂田金時(さかたきんとき)は、己が降らせた雷の雨の中を縫うように高速で突き進み、渾身の力で鉞を振り降ろす。

 

 その強烈な一撃を、酒吞童子(しゅてんどうじ)は右手の五爪で受け止める。

 

 激突の余波で、両者を起点にして大地に放射状の罅が走るも、大男たる金時の全身を使った渾身の一撃を、小さな少女鬼はその細い腕と――牙のような爪で以て完璧に防御した。

 

「――――ッ!」

 

 金時は歯噛む。

 

 赤龍の右腕による、渾身の振り下ろしでの一撃。

 様子見などではない。初めから全力だ。目の前の鬼に対して手加減した攻撃など放つ筈がない。

 

 なのに、容易く受け止められた。

 防御姿勢は取らせた。足も止めただろう。だが、それでも――完璧に、金時の攻撃は殺された。

 

()()()は、分からなかった。手も足も出ず、ただ途方もなく強いということしか理解出来なかった)

 

 己よりも遥か高みに居るのだとしか分からなかった。

 そこは自分が倒れ伏せている場所よりも遥かに高い場所で、道中が雲海に遮られて、それがどれほど高い場所なのかすらも分からなかった。

 

 だが、こうして、僅かながらも強くなり、立ち上がって歩みを再開して、やっとこさその雲海を抜けた――今ならば、少しだけ、分かる。

 

 選ばれしモノだけが辿り着ける――至高の領域。

 その高みへの挑戦権を獲得した、今ならば、分かる。

 

 まだ――遠い。

 なんて、高い。

 

 雲海を抜けた先にあったのは――頂上などではなかった。

 

 自分がこれまで昇ってきた山――それよりも高い、もう一つの遥かなる山があった。

 

 雲海を抜けて、ここに辿り着いて、ようやく始まりなのだと、理解させられた。

 

 酒吞童子。

 日ノ本最強の妖怪。真なる外来種。

 

 この少女鬼が、果たして、どれだけ怪物なのかということを。

 

「…………ぼおっ……と……している……暇……あるの?」

 

 地の底から聞こえるような、小さく、恐ろしい呟きと共に――死が迫って来る。

 

 酒吞童子は右手一つで金時の鉞を受け止めた。

 つまり、左手は自由――残った五本の爪が、真っ直ぐに、瞬速で、金時に向かって襲い掛かってきた。

 

「――――ッ!?」

 

 金時は、咄嗟に受け止められた鉞――それを起点にして、縦に回転するように己の巨体を持ち上げる。

 

 瞬間、己の背中すれすれを、酒吞童子の左の突きが擦過するのを感じた。

 

 そのまま遮二無二に距離を取る。

 止まっていた呼吸を再開し、早鐘を打つ己の心臓を思わず叩く。

 

(……アイツ……迷わず、真っ直ぐに――俺の心臓を狙った)

 

 向かい合っていた金時と酒吞童子。

 彼女の自由な左手の最短距離は、金時の右側だった。恐らくそちらを狙われていたら、躱し切れなかっただろう。だが、龍の鱗に覆われている分、致命傷には至らなかった筈だ。

 

 しかし、酒吞童子は金時の左側を狙った。

 未練がましく人間の部分を残した左半身――それも、真っ直ぐに、金時の心臓目掛けて突きを放った。

 

(間違いなく――本気で俺を殺しにきていた)

 

 日ノ本最強の妖怪・酒吞童子が。

 迷いなく、躊躇なく、真っ直ぐに――本気で、坂田金時という『人間』を殺しに来ている。

 

――死んで、金時。

 

 ズキンッと、胸が痛む。

 それは殺意を以て狙われた恐怖による幻痛なのか――それとも。

 

「はっ――」

 

 思わず吐き捨てながら顔を上げる。

 

 ふざけんな。

 覚悟の上だろう。自分で選んだ道だろう。

 

 人間であることを。英雄となることを。選んだのは――自分自身だ。

 

 忘れるな。甘えるな。間違えるな。勘違いするな。

 断ち切ったのは自分だ。捨てたのは自分なんだ。

 

 あの笑顔を――この世から消し去ったのは、紛れもなく坂田金時だ。

 

(酒吞童子は本気で俺を殺しに来てる。なら――俺は?)

 

 まだ、殺せねぇとか思ってるんじゃないのか。

 自分なんぞには到底殺せないと。殺せるわけがないと。

 

(殺したくねぇと――そう思っている自分をこそ殺せ)

 

 金時は、何よりも鬱陶しいそんな自分を噛み殺すように歯を食い縛って、誰よりも己に言い聞かせるように呟く。

 

「俺は――英雄になるんだろう」

 

 右足を引き、腰を落とし、鉞を右肩に乗せるようにして引き絞る。

 

 そして、真っ直ぐに酒吞童子を見据えて――鉞に赤い呪力を掻き集め、纏わせていく。

 

(――赤龍の力。俺は、この力をずっと恐れていた)

 

 坂田金時という存在の中に巣食う――化物の力。

 触れてはいけない高位の力。

 人間でいたいならば、英雄になりたいならば、手を伸ばしてはいけない禁断の力だと。

 

(だが――こんなナリに成っちまった以上、もうそんなふざけたことはいえねぇ)

 

 散々に頼っておいて、窮地を救われておいて、今更、知らんふりは出来ない。

 そんなことをしてしまえば――そんな奴こそ、人間じゃない。

 

 いい加減――認めなければならない。

 受け入れる時だ。自分は赤龍の子なのだと。

 どうしようもなく恐ろしい――化物の血を継いでいるのだと。

 

 その上で。その上で尚――笑うのだ。

 醜い化物に姿形を変えてなお、人間の身体を龍へ化えようと――己は人間だと言い張って見せるのだ。

 

 禁断の力に手を伸ばして尚、その力にどっぷり漬かりきって尚。

 己は人間だと――そう厚顔無恥に言い張って見せろと。

 

 金時は、人間のままの左手で、己の左胸を掻き毟る。

 

 (ここ)が人間である限り――己は人間なんだと、そう胸を張って生きていくのだ。

 

「行くぞ――酒吞!!」

 

 金時は吠えながら、己の中の制限(リミッター)を、また一つ外す。

 

 赤い鱗の侵食が広がり、遂には尾骨から――本物の尾が生えた。

 また一つ、人間ではなくなる。また一段階、龍へと近付く。

 

 それでも――金時は、笑ってみせる。

 俺は、それでも――人間なのだと。

 

 膨れ上がった赤い呪力に任せるがまま、金時は跳躍した。

 生えたばかりの尾で地面を叩き、宙で己の右腕に赤龍の力を集中する。

 

「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 金時の雄叫びに応えるように、黒い空が鳴く。

 そして、振り上げた右腕に――その手が持つ鉞に、赤い雷が落下した。

 

 鉞は、そして赤い右腕は、その赤雷の力をも獲得し、真っ直ぐに酒吞童子に向かって振り下ろす。

 

 この一撃で決める――と、金時は意気込む。

 悪路王との戦いによる損耗は致命的だ。ただでさえとんでもない実力差のある相手、無限の再生力を誇る酒吞童子相手にそもそも長期戦において勝ち目はない。

 

 金時に残された勝機は短期決戦以外にはない。

 今、自分に繰り出せる最強の攻撃を以て酒吞童子は戦闘不能にし、再生するよりも前に、頼光等が待つ封印場所へと連行する。

 

「くらいやがれぇええええええええええええええええええええええええ!!!」

 

 もはや金時自身が一筋の雷光となりながら、酒吞童子に向かって降り注ぐ。

 

 灼熱の赤雷は、そのままこの星そのものを貫かんばかりに迸って、小さな少女鬼と激突する。

 

 酒吞童子は、その赤雷を――ありとあらゆるものを切り裂いてきた最大の武器である爪、ではなく。

 

 その爪が生えた小さな手。

 まるで少女のような手を――開いて。

 

 雷速の攻撃を、その小さな掌で掴んでみせた。

 

 先程の、渾身の鉞の一撃を爪で受け止めた時よりも――完璧に。

 赤龍の力が集結し、赤雷を纏い、雷速で向かってくる、正しく今、金時が振るえる最強の一撃を。

 

 酒吞童子は、その小さな掌のみで、完璧に掴み――殺して見せた。

 

「――――」

 

 無論、無傷だったわけではない。

 その全身を赤雷で灼かれ、小さな身体はズタズタになっている。

 

 出血もしている。火傷も負っているだろう。

 それでも、一切の表情すら変えることなく。

 

 黒く染まった――その枝木のように細い腕で。

 金時の全てを、凌駕してみせたのだ。

 

「…………いい……こうげき」

 

 酒吞童子の可憐な容貌は、その黒く染まった腕を起点に――禍々しく変化していた。

 

 右の瞳は血のように真っ赤に染まり、額の角が捩じれて更に伸びている。

 皮膚も、まるで金時の身体が赤く覆われていくのに合わせるように、より黒く、黒く、どす黒い、漆黒に染まっていく。

 

「強く……なったね、金時」

 

 その口調は、まるであの頃のようだった。

 

 この世界で初めて見付けた同類。

 姉のように慕い、弟のように可愛がった、世界の残酷さを何も知らなかった、無邪気だったあの頃のよう。

 

「…………」

 

 あぁ――クソ、と。

 金時は冷たい汗を流しながら笑う。

 

 分かっていた――分かっていた筈だった。

 

 自分がまだまだ足りないことくらい。

 まだまだ、まだまだ――遠いのだということくらい。

 

(――――だけど……)

 

 こんなに、手応えがないのか。

 こんなに、ビクともしないっていうのか。

 

 金時は、もはや自分の意思では何も出来ない程に固く掴まれた腕を、そして鉞を見て――そして、目が合う。

 

 こちらを真っ直ぐに見据える、かつてと同じつぶらな黄色の右の瞳と、金時が知らなかった血のように赤い左の瞳。

 

 そこからは――何も見えない。

 

 本当に、底が知れない。

 本当に、高く、高く、高く――――遠い。

 

 これが――酒吞童子。

 日ノ本最強の妖怪。鬼の頭領。真なる外来種。

 

 至高の領域に住まう――怪物。

 

「………今度は――こっちの番」

 

 小さな少女鬼の呟きと共に――彼女を取り囲むように、黒い風が巻き起こる。

 

 それは全てを壊し、全てを殺す、抹殺の旋風。

 

「…………死んで、金時」

 

 少女の言葉は、とてもか細く。

 

 黒い風に覆われ、その表情は、金時には見ることが出来なかった。

 

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

 

 一条戻橋(いちじょうもどりばし)を挟んで、渡辺綱(わたなべのつな)茨木童子(いばらきどうじ)は向かい合い続けていた。

 

 両者とも、身じろぎ一つしない。

 だが、両者の間を舞い落ちる枯れ葉は、地面に落ちる前に真っ二つに切れ落ち、また木っ端微塵に弾け飛んだ。

 

 彼等の間の空は、一条戻橋の上は、至高の領域の住人たる両者が放つ――殺気が、弾丸のように飛び交っていた。

 

 極限の達人同士は、ほんの僅かのお互いの挙動や殺気で、未来視が如き想像(イメージ)を共有し合うことができる。

 

 綱と茨木童子は、正しく殺気のみで、互いの出方を伺い、それに対する反撃を予想し――殺気のみで、殺し合っている。

 

「――――ッ!」

 

 そして、先に思わず殺気を仕舞い、一歩よろけてしまったのは――茨木童子だった。

 

(……やはり。綱が振るう鬼切を、完璧に処理する想像が出来ない)

 

 頼光四天王筆頭・渡辺綱。

 至高の領域の住人して――鬼の天敵。

 

 大江山の鬼退治で誰よりも多くの鬼を屠り、十年前、茨木童子の右腕を斬り落とし、その血を吸ったことで、鬼を滅ぼす概念武装と化した呪装・妖刀『鬼切』を振るう鬼殺し。

 

 渡辺綱の『鬼切』は――鬼の妖力を完全無効化する。

 どれだけ強靱な肉体を誇ろうが、皮膚が固かろうが、妖力で強化されていようが、それが鬼由来の力であれば、鬼切は紙のように容易く斬り裂く。

 

 正しく、鬼の天敵――鬼を殺す為に存在する武者。

 

 そして――それは至高の領域の住人であり、この国で最強の鬼の一体である茨木童子であっても例外ではない。

 

 むしろ、茨木童子はその強靭豪傑な肉体を武器に戦う鬼だ。

 鬼として最上級の妖力を持つ茨木童子は、その皮膚であらゆる攻撃を受け止め、その筋力であらゆる防御を貫き殺す。ただそうするだけで彼は負けることはなかったし、ただそうするだけの彼に勝てるモノはいなかった。

 

 だからこそ、茨木童子と渡辺綱の相性は最悪といえる。

 茨木童子の強みであり唯一の武器を、渡辺綱の鬼切は無力化するのだから。

 

「――どうした? 来ないのか? ならば、こちらから行くぞ」

 

 一歩――渡辺綱が踏み出し、一条戻橋へ足を踏み入れる。

 

 近付いてくる――鬼にとっての絶対的な死が。

 

 綱がこれ見よがしに刀を抜く。

 妖刀・『鬼切』――あの刀が届く間合いに入れば、その時点で、茨木童子の死が確定する。

 

「……………」

 

 右腕が疼く。

 かつて渡辺綱に斬り落とされ、今宵ようやく取り戻した右腕――その付け根が脈打つように痛む。

 

「お前程の妖怪が、何の策も無しにこうして向かい合っているわけではあるまい。茨木よ」

 

 見せてみろ――お前の力を。

 そう言い放つ綱に応えるように、茨木童子も歩き出し、一条戻橋を更に一歩、進む。

 

 橋の中央にて、向かい合う両者。

 逃げ場はない――ここは最早、鬼切の間合い内。

 鬼にとって、必殺の間合いだ。

 

 両者が足を止め、静寂が支配し。

 

 一陣の風が、両者の間を通り抜ける。

 

 瞬間――綱の鬼切が閃く。

 

 常人では視認不可能であるどころか、斬られたことにも気付かないであろう、余りにも滑らかで、無駄のない美しい太刀筋。

 

 しかし、茨木童子には、それは渡辺綱の挑発であると理解出来ていた。

 

 さあ――どうする、と。

 

 通常ならば受け止めることなど容易い。

 むしろ、そのまま刀をへし折ることすら可能だろう。

 

 この刀が――妖刀・『鬼切』でなければ。

 

(…………嘗められたものだ)

 

 大江山の決戦時には決して見せることのなかった単純な太刀筋だ。

 両者にとって一撃が致命傷であったギリギリの命のやりとりでは、決して振るわれなかった、何の駆け引きもない低位の攻撃。

 

 今の渡辺綱にとって、今の茨木童子は、この程度の攻撃で十分なのだと言われているような――不愉快な一刀。

 

(――まずは、その認識から改めさせなければな)

 

 源頼光(みなもとのらいこう)が死に、酒呑童子の命にすら届き得る特攻呪具を手に入れたことで――強さに寝惚けている孤独なる強者に。

 

 その目を覚まさせ、俺はお前を殺しにきたのだと理解させる為の一撃を叩き込む。

 

「――――ッ!!」

 

 渡辺綱が振るう、『鬼切』の振り下ろしを――茨木童子は『右腕』で受け止めた。

 

「ッ!?」

 

 その『右腕』は、『黄金』に輝いていた。

 

 綱がその光景に疑問を覚える――それよりも早く、茨木童子の左の拳が綱の身体に深く突き刺さる。

 

「ぐっハァッ!」

 

 そのまま宙を飛び、橋の向こう岸にまで再び戻された綱。

 

 左拳を振り抜いた体勢のまま、茨木童子は静かに語る。

 

「……本来であれば、もう少し秘めておきたかったのだがな」

 

 しかし、この『黄金の右腕』を発動する以外に、やはり渡辺綱の『鬼切』と戦う方法は思い至らなかった。

 だからこそ、茨木童子は初手から切札を発動することを決断したのだ。

 

「貴様も見ただろう。晴明によって作り出された、あの月まで届く『手』を。あの手の起点として使われたのが、貴様が斬り落とした、この俺の『右腕』だ」

 

 月まで届くという奇跡を実現させる為に、『黒炎上跡』に埋められ『星の力』の集約点となったこの『右腕』には、未だにふんだんに『星の力』が詰まっている――と、茨木童子は語る。

 

 故に、鬼由来の力の全てを無効化する『鬼切』ですら、今の茨木童子の右腕は斬り落とせない。

 黄金の星の輝きを放つ――『鬼切』すら超える特級呪装と呼ぶべきものとなっている。

 

「――皮肉だな。かつて俺の右腕を斬り落としたことで『鬼切』となった妖刀が、今や俺の『右腕』だけは斬ることが出来んとは』

 

 立て、綱――茨木童子は一条戻橋の上から、橋から吹き飛ばされた綱を見下ろすように言う。

 

「まだだ。今のは只の左拳――あの日、お前に斬り落とされた、この『右腕』の一撃を叩き込んでこそ、俺の十年に及ぶ屈辱は晴らせるというもの」

 

 俺達の戦いはこれからだ――と、そう全てを呑み込むような、重い、重い殺意をぶつけてくる茨木童子に。

 

 渡辺綱は、歓喜に微笑む。

 

 ああ、そうだ――これこそが戦いだ。

 

 これこそが――戦争だと。

 

「――望む所だ」

 

 最強の鬼殺しは、最強の鬼からの宣戦布告を受けて、ゆっくりと立ち上がり、再び橋へと足を踏み入れ、戻る。

 

 己を殺し得る、己が殺すべき鬼が待つ――本物の戦場へ。

 




用語解説コーナー69

・黄金の右腕

 月へと届かせる『手』を創り出す為に、術式の基点として茨木童子の『右腕』が用いられた。

 土御門邸にはかつて呪いの手を埋め込まれたという土壌があること、同じ『手』という形である方が術式の成功率が上がること、そして、莫大なる星の力の凝縮点として耐えられる呪物としての強度の面から――『茨木童子の右腕』は、これ以上ない一品だった。

 結果、術式が発動を終えても、星の力をふんだんに詰め込まれた、黄金に輝く右腕は土御門邸の庭に残されていて――茨木童子は、それを再び、己が右肩に嵌め込んだ。

 異星人を排除する為の力である、星の力が込められた――右腕を。
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