比企谷八幡と黒い球体の部屋―外―   作:副会長

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決まっている――愛の力だ。


寄生星人編――⑨

 ファサ、と、開いている背中を隠すように、『彼女』の肩に上着が掛けられた。

 

「……豪雪、君?」

「……気休めですが、着てください。……怪我というわけでは、ないのでしょうが」

 

 無表情というのなら『自分』に負けない程に無表情でそんなことを言ってくる豪雪に苦笑が漏れそうになる。

 だが、まるで『母』と『娘』の時間を邪魔されたと思ったのか、それとも自分以外の女性に心優しい気配りをみせたことが気に入らなかったのか、陽光が豪雪に食って掛かる。

 

「あら? あなたにしては珍しく紳士じゃない? 妻の目の前で継母のポイントを稼ぐなんて素晴らしい甲斐性だわ」

「……それよりも、今は一刻も早く逃げる方向を考えよう」

 

 豪雪はそんな陽光の気質には慣れているのか、一切取り合わずに車外を見る。

 

「――それもそうね。いつまでも面白いリアクションを取り続けてはくれないだろうし」

 

 陽光も、真面目な顔に戻ってそうふてぶてしく言った。

 

 車外では局地的に氷の世界となったフィールドで、レジー博士が地面を只管に無意味に叩いて嘆いている。一通り悲しみをぶつけ終えたら、再びこちらに、今度は失われた二手の分も上乗せして殺意を向けてくるだろう。

 

「……残念だが、この自動車はもう動かないだろう。そうなると、陽乃を抱えて、お腹の子も守りながら、あの変な手を操っている男をやり過ごさなければならない」

「……難しいわね。さっきは無我夢中だったけれど、あの氷はどうやればどんな風に出せるのかしら。ねぇ、端的にコツを教えてくれる? 一分も要らないわ。理解してみせるから」

 

 既に、未知なる非日常に、超常なる怪物達への恐怖に呑み込まれていた弱者の姿はそこにはない。

 

『彼女』を囲むように鋭い表情で対話するこの男女は、その脆弱なる身の上で、ただ怜悧な頭脳だけを武器に、醜悪で凶悪な化物を打倒せんとする――人間という、強種族だった。

 

 不思議な点は、その背に守ろうとしているのが瀕死の化物で、立ち向かおうとしているのが同じ人間ということだが――最大の問題点は、驚くべきことにそこではない。

 

 瀕死――そう。

 フィクションの世界では、しばしば都合よく使われて、案外あっさりと助かってしまうことも多いこの表現だけれど、残念ながらこの場面では、文字通りの意味で『彼女』は瀕死だった。

 

 くどいようだが、ここでもう一度、この『彼女』という化物の物語の結末を先んじて明かそう。

 

 この物語はバッドエンドだ。もっと言えば、『彼女』が絶命することで幕を閉じる。

 

 そして、そのエンディングは迫っている。絶命の時は目前だ。

 死に瀕していた――肩口を過ぎて喉元まで、『彼女』は死に浸かっていた。もうすぐ息も出来なくなる。言葉も紡げなくなる。

 

『彼女』は死ぬ。このまま死ぬ。死に瀕しても眠っていたパワーは目覚めず、何の奇跡も起こらず、何の救いも齎されず、化物は退治される――人間の手に懸かって。

 

 例え、人間が狂気の変態科学者でも。化物が家族に愛されていたとしても。

 人間は化物を退治する――めでたしめでたしでページを閉じるのだ。この世界は、この地球は、きっとそういう物語で動いているのだ。

 

 それを『彼女』は理解していた。

 冷たく、氷のように、いつだって『彼女』は諦観していた。

 

 だから、『彼女』は微笑むのだ。氷のように、儚くも美しい笑みを浮かべるのだ。

 

 多くの死を見てきた。多くの化物の死に様を目撃してきた。

 

 己よりも遥かに強大で格上だと思っていた化物が死んだ。

 同族として数多くの時間を共に過ごし親交を深めた化物が殺された。

 

 静かに孤独に死んだ化物がいた。

 多くの同族と共に絶叫を上げながら殺された化物がいた。

 

 ある日突然にあっさりと死んだ。

 その日唐突にしっかりと殺された。

 

 みんなみんな死んで、みんなみんな殺されてきた。

 

 だから、きっと――『私』も例外なく死ぬのだろう。

 

 ずっと死ぬだろうと思いながら生きてきた。

 それは今日かもしれないし明日かもしれないと思いながら生きてきた。

 

 終わりに怯えず、終わりに諦めながら生きてきた。

 仲間が必死に生きる道を探す中、家族が必死に幸せを築き上げていく中で、『彼女』はずっと氷の中で諦めながら生きてきた。

 

 だから、『彼女』は微笑むのだ。氷のように、儚くも美しい笑みを浮かべるのだ。

 

 そんな中――『家族』に囲まれ、『娘』に抱かれながら、死ぬことが出来る『私』は、なんと幸せなのだろう、と。

 

 故に、『彼女』は、告げた。

 極寒の寒さに震える唇を、白く染まる途切れ途切れの吐息を、振り絞るように押さえて、『娘』と義息子に告げた。

 

 その表情は、きっと『彼女』は気付いていないけれど――我が子を慈しむような、優しい微笑みで。

 

 化物に相応しくない、ハッピーエンドをぶち壊す言葉を。

 

「『私』はもう助からない。あなた達だけでも逃げなさい」

 

 それはまるで、『母親』のような言葉だった。

 

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

 

 雪のように儚く、今わの際の言葉を遺し、今にも溶けてしまいそうな『母』に、たった一人の『娘』は、途端に凍り付いてしまったかのように固まった表情で問うた。

 

「………な、何言ってるよ……あなたらしくないわね……上手くない冗談を無理に言うものではないわよ」

「……………『自分』の……とは、言えるかは分からないけれど……曲がりなりにも……ずっと……生きてきた……[身体]です……分かりますよ………」

「ッ、やめて! 嫌よ! そんな――っ!?」

 

 そんなことを言って欲しくなくて。生きるのを諦めて欲しくなくて。

 

 陽光は『母』の前に回り込み、その頬を両手で挟んで――絶句する。

 

(……冷、たい……っ)

 

 まるで氷のようだった。まるで――死人のようだった。

 

 その頬は、その顔は――雪女だとしても、余りにも白かった。

 あの美しかったお日様色の白ではない。新雪のような白でもない。

 

 ただただ青白い――生気を失っていく、人間の肌。

 死んでいく、人間のような、肌。

 

 だが――『彼女』は化物だ。化物の中の化物――人間になれなかった化物だ。

 

 人間のように死ぬことが、世界から許される筈もなかった。

 

「――ッ!?」

 

 陽光は、思わず『母』から手を離した。

 

『母』の身体は、まるでドライアイスのような氷気を放ち始めていた。

 

 見る見るうちに冷たく――凍っていく。

 自らを氷の中に閉じ込めるが如く――それが、雪女の、化物に相応しい死に様だと言わんばかりに。

 

「……私が……何とかして……あの男を足止めします。…………虫の息ならぬ雪女の息吹(いぶき)で、奴を凍らせてみせましょう。……これが、『私』の――最期の生命の灯火です」

 

『彼女』は、闘気ならぬ凍気を身に纏いながら、ゆっくりと起き上がる。

 パキパキと傷口を塞いだ氷を軋ませながら、刃となった両手に、開かれた背中に、そして裂けた左顔面に――氷の鎧を纏わせながら。

 

『彼女』は――『母』は――立ち上がる。

 

「『娘』に守られるというのも乙なものですが、ここは『母』に任せなさい。年の功の見せ所です」

「……ッ! で、でも私は! まだ親孝行も碌にしてないのに――二人もっ! 二人ともっ! 母親を、失いたくないのよ!!」

 

 陽光が涙を浮かべ、胸を押さえながら叫んだその言葉に――『母』は、慈しむように微笑んで。

 

「……少なくとも『私』は、孫娘を――陽乃を、この手に抱かせてもらった時に、とっくに全てを貰いましたよ。……それに――」

 

『母』は、陽光の横を通り過ぎ――娘を庇うように、戦場へと戻る。

 

「――娘の最大の親孝行は、親より長生きすることです」

 

 化物は戦う。

 

 死に瀕したその身体を、今にも消えそうなその生命を、無理矢理に冷たく凍らせて。

 

 氷の鎧を身に纏い、凍える息吹で生命の灯火を燃やしながら。

 

 自分に待つのは壮絶な死というバットエンドだと分かっていても――望む所だと、氷のように微笑んで。

 

「あなたは死なないわ。『私』が守るもの」

 

 娘を守るのが母親だもの。

 

 家族に囲まれ、娘に抱かれて死ぬのなんて許せない――そんなハッピーエンドはごめんだ。

 

 家族に見捨てられ、娘に見殺され――ひとりぼっちで、『私』は死にたい。

 

 だから――早く。

 

「『私』を置いて、先に――」

 

 

「――逝くのです。全員、纏めて、一緒に死になさい」

 

 

 悪魔のような、人間の声が聞こえた。

 

「ギィィィイイイイイイイイイイイイイイイシャァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 

 悪魔のような、人間の叫びが響いた。

 

 小さな体躯を黒衣と白衣で包んだ人間が、手甲に蟀谷に不気味に血管を浮き上がらせ、舌を喉を震わせながら叫び――背中から何本もの銀色の腕を飛び出させる。

 

 まるで孔雀の求愛行動のように――銀色の機械腕が花開く。

 咲き誇る――それはどこか、まるで寄生(パラサイト)星人が裂き乱れるように。

 

『彼女』という化物の本性のように、奇怪な機械を、ぞろぞろと、ぞろぞろと。

 宝剣、短刀、灯篭、鏡、錫杖、投縄――氷の世界で輝く銀色の数多の武具の中で、たった二本、たった一対。

 

 無様に、およそ滑稽に――まるで手首から切り落とされたかのように、明らかに長さが短く、折れた枝のような断面を輝かせるロボットアームを、見て。

 

「……お……おぉ……ワタクシの……さく……ひん……がぁあああああああああああ!!!!!」

 

 再び涙をぶわっと溢れさせ、だが、それを遂に絶望ではなく憤怒へと変えて。

 

「きぃぃぃいいいいれぇぇぇえええええたぁぁぁぁぁぁあぞぉぉぉおおおおおおおおお!!!!! あああああああああああああ!!!! ワタクシは前進することはだぁぁぁいすきだが!! 研究を遅らせるものはだぁぁああいきらいだぁッ!! 逃がすわけがないでしょう! あなた達は全員! ここで死ねぇッ!!」

「……あなたは一応、人間の味方でしょう。化物(わたし)はともかく、この二人は人間よ」

「御冗談を。少なくとも、そちらの娘は雪女でしょう。ワタクシの大事な腕をぶっ壊したのです。だからワタクシがぶっ壊します」

 

 怒りが収まったのか、それとも振り切ったのか。

 

 ケラケラと真っ黒な瞳で笑いながら、レジー博士は言う。

 銀色の不気味な腕をゆっくりと宙で漂わせて、ケラケラと、ニタニタと。

 

「そもそも、前提から間違っています。ワタクシのような狂人が、人間の味方なわけがないでしょう。ワタクシは、少なくともワタクシだけの味方です」

「……自分が狂っているという自覚はあるのね」

「勿論。それで昔は色々とありましたからねぇ。だからこそ、ワタクシのような天才に好きなことを存分にさせていただける今の職場には感謝しているのです。それ故に、組織が決めたことは遵守することを心掛けています。故に、di~~e(ダ~~イ)!」

「!?」

 

 レジー博士は唐突に、一本のロボットアームから錫杖を投擲する――その標的は、氷の鎧を纏う『彼女』でも、白手袋の機械腕を砕いた陽光でもなく。

 

 その傍らに屹立する――()()()()()()()

 

「ッ!!」

 

 氷の鎧に亀裂が走るのも構わず、『彼女』は動く――だが、それよりも早く、妻は夫の前に立ち塞がり、拒絶した。

 

「消えなさい」

 

 白い手を前に突き出した陽光の前に、一瞬で氷の壁が作り出される。

 

 ガキン、と弾かれた錫杖は、くるくると縦に回転しながら、再び同じロボットアームの手の平の中へと戻っていった。

 

「――あなた方は死ぬのです。化物だろうと人間だろうと、目撃者は排除です。黒衣(ワタクシ)達の存在は、まだ表に出る訳にはいかない」

 

 それでも、レジー博士の表情は、今度は一切変わらず――否、その醜悪な笑みを深めて、言葉を続けた。

 

「今日、この日、この夜に居合わせたことで、あなた方の命運は尽きたのです。恨むならば、化物の分際で太陽を求めた、そこの化物を恨みなさい」

 

――その化物に巻き込まれたことで、あなた達は死ぬのです。……家族諸共ね。

 

「――――っ…………ッ」

 

『彼女』は、弱りきった化物は、その言葉だけでも死にそうになった。

 

 そうだ。

 何が『娘』の為に死にたいだ。『家族』に見殺しにされてバッドエンドだ。

 

 そんなの当然のことではないか。そんなの当然の報いで、至極当然の末路ではないか。

 

 陽光を、豪雪を、陽乃を――太陽の下で輝く人間達であった彼女達を、この冷たい夜の世界に巻き込んだのは、その原因は、その元凶は――化物たる、『自分』だ。

 

「――それは違うわ」

 

 まるで、夜の世界に差し込んだ、太陽の光のような言葉だった。

 

「そもそも私達は死なないわ。死んでたまるものですか。その気持ち悪い指を向けないで。後、目も閉じて口も閉じて呼吸もやめてもらえるかしら。あなたという存在の全てが悍ましいわ」

 

 目の前に作り出した氷の壁に更なる冷気を送り込むかのような極寒の毒舌を放つ――『娘』。

 ああ、そういえば万人に愛される娘だけれど、嫌いな相手にはとことん冷たい子だったと――『母』は、暖かい、微笑みを浮かべる。

 

 結局、こうして『娘』に守られ、『娘』に庇われ、『娘』に救われる。

 

 ああ、『私』は、最後の最期まで本当に――。

 

「――私の『母親』を、化物呼ばわりするのは止めていただけるかしら」

 

 氷の壁がキラキラと輝く氷片に変わり、レジー博士の視界に現われるのは、美しい人間の美女。

 

 否――人間の父と、化物の母の間に生まれた、人間でありながらも、化物である存在。

 

 雪ノ下陽光(ひかり)――真っ暗な夜の世界においても、太陽の光の輝きを放つ美女。

 

 雪のように冷たさと、太陽のような熱さを併せ持つ、奇跡の『混血種(ハイブリッド)』。

 

「ッッ!! ン~~~~~~~~~!!!! エクスタスィィイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!」

 

 レジー博士は、そんな陽光の美しい姿を見て、唐突に両腕で頭を抱えて身体を捩じらせた。

 

 その勢いで無数のロボットアームが無差別に振り撒かれるが、陽光は身動ぎ一つしない。

 

「はぁ……はぁ……全く、今日は何て日だ。大事な作品に傷をつけられたことはショックでしたが、雪女に寄生した『混合種(ミックス)』と、はたまたそんな稀少存在と人間の間に生まれた『混合種(ミックス)』――否、『混血種(ハイブリッド)』とは! まさしくドリィィィイイム!!!!」

 

 顔面をがしがしと掻き毟り、それでも尚「フハハハハハハハハ!!! 神よ!! 神よぉぉおおおお!!!」と奇声を上げ続けるレジー博士を、陽光も、『彼女』も、豪雪もまるで無表情で見遣る。

 

「だが! ご安心召されよ、稀少(レア)なる『混血種(ハイブリッド)』よ。確かに、あなたのお母さん程の『稀少』から生まれた更なる『混血種』程ではないとしても、星人と人間――人間と化物の交配種は、少ないながらも前例が確認されています」

「!?」

 

 その言葉には、陽光よりも『彼女』の方が少なくない衝撃を受けた。

 

 だが、それもある意味では当然だろう。

 幾ら星人が化物だとして、遥か昔から人間と戦い続けてきたのだとしても――それはつまり、今より遥か昔から、星人はこの地球に住み着き、人間と関わっていたのだと言い換えることも出来る。

 

 きっと居たのだろう。きっと、今も、何処かに居るのだろう。

 星人と地球人の間に生まれ、人間と化物の血を混在させる――『混血種』が。

 

 寄生(パラサイト)星人のように、自分達の遺伝子を残せない欠陥種族の方が、稀で、哀れなのだ。

 

 自分達の強力で強烈な遺伝子を、人間の遺伝子の中に紛れ込ませ――同族を増やし、侵食する星人(ばけもの)

 そんな方法で地球侵略を目論んだ種族がいても、何もおかしくない。

 

 そして、敵同士だとしても、宿敵同士だとしても――愛を育み、その愛の結晶として、お互いの遺伝子を受け継ぐ存在を生み出したとしても――それは、きっと――。

 

「――そう。星人は、化物は、地球人に対して、人間という種族に対して、『混血種』を作ることが出来る。少なくとも少なくない数の種族が、人間に対し遺伝子侵略を行うことが出来た――()。そう! そう! その筈だった! だ、が!! 星人という存在がこの地球に在住しているであろう期間を考えても、その膨大なる時の長さを鑑みても、何の異能も持たない何の変哲もない只の人間が、何も混ざった痕跡のない純粋無垢なる純地球人のなんと多いことか!」

 

 そう――そうだ。

 少なくとも、星人という外来種は、人間という地球人が誕生するよりも前に、この地球に住み着いていた筈だ――棲み着いている筈だ。

 

 ならば、もっと致命的に、それこそ人間と星人という区切りすらなくなる深度で侵略されていてもおかしくない――いや、そうでなくては、おかしい。

 

 星人と、人間の、交配。

 その禁断のシステムに、より致命的な欠陥がありでもしない限り。

 

「…………ッ」

 

『彼女』の顔が更に真っ白に蒼白する。

 

 レジー博士は更に真っ黒に愉悦した。

 

「そうですそうですそうなのです! 星人(かれら)は気付いてしまった。人間に自分達の同族を生ませる――つまり、人間を自分達の同族へと染め上げていく遺伝子侵略。その戦争計画(プラン)に、致命的な欠陥があることに!」

 

 レジー博士は、これこそ正しく自分の本分であると言わんばかりに、己が辿り着いた仮説を滔々と語り続ける。

 

「ワタクシが出会った数少ない『混血種』は、どれもこれもサンプルとしてはとても稀少な存在でしたが、どいつもこいつも()()()()()()()()()()()ばかり。それでいて人間でもないという、研究材料として以外は、生物としてとても中途半端な哀れなる化物でした」

 

 レジー博士は、雪ノ下陽光から一切目を逸らさず、愉悦の笑みのまま見下すように告げる。

 

 陽光は、まるで動じず、『母親』譲りの氷の眼差しで冷たく見据えていた。

 

「彼等は――異能を持っていなかった。否、厳密に言うには()()()使()()()()()()()()()()()。そうです『化物』。アナタと同じです。異能という力は、その異能に特化した細胞――すなわち遺伝子で構築された肉体だからこそ扱える超常の力です。例え実の子だろうと、遺伝子を半分受け継いでいようと、所詮は半分――半端ものなのです。人間の遺伝子という異物が混ざり込んだ身体では、薄まった異能しか使えない。それも――」

 

 レジー博士は、不気味に醜悪に、笑った。

 

「――己が身体を、侵食するというおまけつきで」

 

 バッ、と。

 豪雪が、そして『彼女』が、真っ直ぐ佇む陽光に目を向ける。

 

 レジー博士は尚も楽しそうに「いいえ、正しく己が半身を、というべきでしょうか」と、語り続ける。

 

「まるで、異能が――化物の遺伝子が、人間など認めないといわんばかりに。それが己の身体であろうとも、明確に敵だと認識して拒絶するかのように。……恐らく星人達は、人間という弱者の遺伝子が、星人(じぶんたち)の遺伝子を受け入れられる程に強くないからだと傲慢にも思い上がっているのかもしれないませんが。だが、これはこうも考えられるでしょう。これは、人間という存在が、()()()()()()()()()()()()()()()のだと。人間という遺伝子が、化物に侵食されてなるものかと、抵抗し、戦争し――そして勝利したのだと」

 

 現に、今、この地球において、人間という種族を遺伝子的に支配しようと考える星人は殆どいない。人間の、現代まで受け継がれてきた、この何の変哲もない凡庸なスペックが、何よりの証拠です――と、レジー博士は、まぁ、ワタクシは天才ですが、と付け加えるのも忘れず、誰よりも楽しそうに語り終える。

 

 だが、『彼女』も、豪雪も、レジー博士の言葉を既に聞いていなかった。

 二人の耳はまるで機能しておらず、ただその両目が捉えたその光景に、意識を奪われていた。

 

「……それは至極必然です。恐らくは、今まで碌に異能を使っていなかったのでしょう。混血種(ばけもの)の分際で、粋がるからそんなことになるのです」

 

 レジー博士もそれに目を向けて、それはそれは楽しそうに言う。

 

「――凍っていますよ、あなた」

 

 無数の機械腕にも、目の前の狂人科学者にも、一切動じず屹立する――雪ノ下陽光。

 

 彼女の右手は――既に、美しく、凍り付いていた。

 

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

 

「……陽光」

「大丈夫――大丈夫よ」

 

 豪雪の言葉に、陽光は振り向かず即座に答える――が。

 

「…………ッ」

 

 動かない。

 拳を握ろうとしても、まるで固まっているかのようにビクともしない。

 

 冷たいという感覚もない――何も感じず、ただズシっと重かった。

 

 陽光はそっと『母』の方を向く――しかし、その『母』の姿を見て、陽光は己の凍り付いた腕のことなど頭から吹き飛んだ。

 

「…………はぁ…………はぁ………ッ」

 

 真っ白な息を漏らし、みるみる内に凍り付いていく。

 時折、激痛に悶えるような表情と共に、余分な氷を弾かせる――が、それでも、

 まるで侵食するかのように、『彼女』に襲い掛かるかのような濃密な冷気が、『彼女』の氷の鎧を禍々しくアップグレードしていった。

 

「己の異能を抑えきれない程に死にかかった混合種(ばけもの)と、己の異能を使いこなせない程に中途半端な混血種(はんぱもの)と――何の変哲もない、只の人間(おろかもの)

 

 レジー博士は、一人一人を指差し確認し、哀れむように言う。

 

「――終わりですねェ」

 

 陽光が、豪雪が、『彼女』が。

 

 氷の無表情を融解させ、燃え盛るように睨み付ける――レジー博士は、堪らないとばかりに哄笑した。

 

「フハハハハハハハハ!! 生意気ですねぇ! 天才のワタクシには理解出来ませんよ! この状況で、あなた達に、最早何が出来るというのですか! 瀕死の化物と出来損ないの半端ものと只の人間のあなた達に――勝ち目などぬぁぁあああああい!!」

 

 銀色の機械腕が、混合種を、混血種を、人間を襲う。

 

 陽光が、『彼女』が――その手を掲げ――顔を顰めた。

『彼女』は己を切り裂んばかりの激痛に。陽光は、その上げた右腕が凍り付いているのを見せつけられて。

 

 ザッ、と。

 雪ノ下豪雪は、そんな二人の前に、ただ己が身だけを晒し出して――両腕を広げて。

 

 悲鳴と、哄笑と、破壊音だけが響く筈だった――その瞬間。

 

 

「ほう。ならば、そこにもう一体“化物”が加わったらどうなるんだ? 教えてくれ、天才殿」

 

 

 キィィィィン!!! ――と、甲高い音だけが、闇夜に響いた。

 

「…………はぁ?」

 

 レジー博士の間抜けな声だけが聞こえる中――ドス、ドス、ドスと、彼の足元に三本の何かが突き刺さる。

 

 それは、混合種と、混血種と、人間の、小さな三つの命を奪う筈だった魔の手――三本のロボットアームだった。

 

 NooooooooOOOOOOOOOOOO!!!! と狂人の絶叫が轟く一方で、くるくると落下してきた銀色の宝剣を(他の二つの武器は森のどこかへと吹き飛ばされたようだ)掴んだ乱入者は――まるで庭師のような恰好をしていた。

 

 背は決して高くない。細身だががっしりとした体躯を、ボロボロのつなぎと帽子という作業着で包んでいる。

 

 否――ボロボロなのは服だけではなかった。

 全身に切り傷を負い、使いこまれた作業着は決して日常業務では付着しないであろう量の血液で汚れている。その右腕は失われていた。

 

 そして、その頭部は――裂けていた。

 

 だが、それでもその庭師は、利き手ではない左手で剣を弄び、食虫植物のように不気味な姿で――まるで守るように立ち塞がった。

 

「……悪いな、社長」

 

 遅刻した――そう、悪びれもなく嘯く、副社長に。

 

 ずっと、誰よりも、『彼女』の隣に立ち続けてきた――『彼』に、『彼女』は。

 

「……遅いですよ。……次はクビですからね」

 

 だが――次はない。

 

 これが『彼女』の最期の戦争。

 

 あのまま、もう会えないのだと思っていた。

 このまま、永劫に別れるのだと諦めていた。

 

 それでも――『彼』は、来てくれた。

 

「ああ、肝に銘じる――もう俺は、お前の傍から離れない」

 

 一目見て気付いた。その背中を見ただけで――『彼女』はそれを理解した。

 

 失われた右手。全身に負った大傷。

 そして、何より――『彼』の声色が、全てを『彼女』に伝えていた。

 

「――最期の時まで、俺はお前の傍にいる」

 

 そう、振り返って。

 

 花弁が開くように裂けた、慣れ親しんだ化物の相貌を向けて――『彼』は、言った。

 

「…………そう。なら、社長として――あなた達の、寄生(パラサイト)星人の長として……最期の命令を送ります」

 

『彼女』は言う。『彼』に言う。

 

 初めて出来た仲間に。ずっと連れ添った相棒に。無口で不器用な副社長に。

 

 氷の微笑女の、とびっきりの美しい微笑みと共に――冷徹に、死を命じる。

 

「私と共に死になさい」

「社長命令とあらば、是非もない」

 

 その社長命令を聞いて、副社長は小さくこう呟いた。

 

「――やはり、俺には社長は荷が重い」

 

 寄生星人(おれたち)社長(リーダー)は、やはり『彼女(コイツ)』以外は有り得ない。

 

 そんな当たり前のことを、化物は裂けた頭部を人間の形に戻しながら言った。

 

 普段は樹木のように無表情なその顔は――小さく微笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

 

その化物が戻した――あるいは被った――人間の顔は、陽光も、豪雪もよく見知った顔だった。

 

「っ!? お前は――」

「我が家の……庭師の……?」

 

 いつから勤めているのかはよく覚えてはいない。

 だが、ある日突然ひょっこりと雪ノ下家に紛れ込んでいた、積極的に内情に絡んでくることはなく、ただ背景のように庭の片隅に映り込んでいたかのような、そんな存在。

 

 よく庭で遊んでいた子供の頃にはしばしば話し掛けていたような気がするが、『彼』と会話をしたという記憶は陽光達にはなかった。

 だから、この時、初めて聞き取った『彼』の声は、ひどく新鮮に二人の耳に届いたのだった。

 

「よう。十年以上は遅れたが、こうして話すのは初めてだな、ご当主夫妻殿。ふっ、あの嬢ちゃん坊ちゃんのことを、第一声でご当主と呼ぶことになるとは。この身体も年を取ったか。通りで死にそうになっているわけだ」

 

 普段の寡黙さが嘘のように、その童顔と称しても違和感のない作りの顔に不釣り合いな渋み溢れる表情で紡ぐ言葉に――そしてその言葉を紡ぐ新鮮な声色に、二人は驚愕と共にこう言った。

 

「「……っ!? 庭師が、喋った……っ!?」」

 

 娘夫婦のリアクションに、『彼女』は力無い苦笑を漏らしそうになる。

 それもそうだろう。雪ノ下家の庭師と言えば、勤続年数はそれなりに長いのに、誰もその声を聞いたことないことで小さく有名だった。

 

 声を聞いたことはおろか、その表情が変わったところすら、誰も見たことがない。

 草木としか話さない職人庭師――というのなら聞こえはいいが、()の庭師は自分が日々手入れをしている庭の植物とすら会話をしない。

 

 まるで、自分もその自然の中の一部であるかのように、一本の樹木であるかのように、口も開かず、声も発さず、呼吸すらもしていないかの思えるような――人間味を感じない存在だった。

 

 雪ノ下家のスタッフとの窓口は――『彼女』のみ。

 お互い、まるで作り物であるかのような無表情で無感情、だが、だからこそか、お互いとても端正で人形のように整っている容姿である為、よくそういう風に噂されたものだが――雪ノ下家の禁忌(タブー)について知っている者は、それを聞いた瞬間、とんでもない形相で噂を根絶やしにした為、庭師は更に腫物のように孤立したが。

 

 それこそが――『彼女』の狙い。

 いつの間にかそこにいて、誰も違和感を持たず、それでいて誰も関わらない存在として、雪ノ下家に、己の近くに紛れ込ませたのだから。

 だからこそ『彼』が、ましてや雪ノ下陽光や豪雪といった、雪ノ下家の中心部と関わることなど、あろうことか言葉を交わすことなど、本来有り得ることなく――終わる筈だったのだ。

 

「そのリアクションは正解だ。俺は、本来ならお前達とこうしてお喋りする筈もなく、お別れする筈だったんだから」

 

 庭師は、正しくそんなことを、陽光と豪雪に告げると――再び、その童顔を醜悪に裂いた。

 

 毎年、彩り豊かな絶景を提供した、雪ノ下邸の庭の草花を咲かせるが如く――当然のように。

 

「どうも初めまして。俺は()()()()()()だ。仲良くしなくていいから、一刻も早く忘れることをオススメする」

 

 見知った庭師が、今までずっとすぐ傍にいた人間が、改めてこうして分かり易く化物に変わる光景に、陽光と豪雪は衝撃と共に息を呑む――が。

 

「……庭師……副社長……スマイルカンパニー? ……なるほど、そういうことね。『あなた』が会社経営って聞いた時は、ちょっと不思議に思ったものだけど、そういうこと。雪ノ下建設をそんな風に使うだなんて、やってくれるわね、『お母さん』」

 

『彼女』は、純粋にこれには驚きを覚えた。

『娘』の――雪ノ下陽光という“人間”のスペックは素直に称賛していた筈だが、それでもたったこれだけのやり取りで、そこまで辿り着かれるとは思っていなかった。

 

 ともすれば、化物が自分達の会社を秘密裏に乗っ取ろうとしていたと受け取られ兼ねないその真実に、だが『母』は、まるでへそくりが見つかったかのような表情で、『娘』に問う。

 

「……怒っていますか?」

「素直に感嘆しているわ。流石は『お母さん』と言ったところね。……それよりも、私が気になるのは、『彼』の事よ」

「……?」

 

 陽光はあっさりと自分達の会社が化物の隠れ蓑に使われたことは流したが、途端に表情に含みを持たせると、『彼』の背中を見詰めながら、隣の『母親』にこう囁いた。

 

「本家から離れた子会社のオフィスで自分の片腕に添えただけじゃ飽き足らず、本家に庭師として紛れ込ませてまで傍に居て欲しかったのかしら? お父さんが知っていたら、さぞかしやきもきしていたでしょうね」

「えっ?」

 

 思わず零れた小さな声は、まるで人間の女の子のような声だった。

 それには陽光も目を丸くして――だが、次の瞬間には、からかうような、それでいて慈愛溢れるような、『娘』が『母親』に向けるには正反対な目線を送って。

 

 だが、死に瀕している化物は、己が身体に走る激痛などまるで忘れたかのように、奇妙な混乱に陥っていた。

 いや、『彼』が庭師になったのと副社長になった時系列は逆だとか、確かに厳冬には『彼』の存在については表の顔としても話していなかったけれどそれは聞かれなかっただけだとか、『私』と『彼』にはそんなやましい秘密はないしっていうかやましいって――等と一気にたくさんの言葉がせり上がってきたが、だからこそ喉の中で詰まったかのように言葉が出て来ず、ぐっと何かを飲み込んだところで――。

 

「――なぅぁぁぁぜ? あなたが此処にいるのですかねェ? 『女王の番犬(クイーンガード)』よ」

 

 レジー博士は醜悪な笑みのまま首を傾げ、口の形を全く変えずに不気味に問う。

 

「ワタクシの計画(プラン)においては、あなたは最も邪魔な存在だった。故に――あなたにはそれなりの高得点を配分した上で、最も過酷な戦場を用意しておいた筈です。……あなた、あの“最強の黒衣”とか【伝説の海王】などを相手にして――どうして未だに生きているのですか?」

 

 その言葉に、その言葉の意味する絶望を理解出来る『彼女』だけが息を呑んだ。

 

 最強の黒衣。

 伝説の海王。

 

 この両者が相対する、恐らくは、今現在におけるこの世界で、最も激烈であろう――その戦場に。

 

 そんな戦争に――『彼』は、巻き込まれていたのか?

 レジー博士の挙動は変わってはいないが、その言葉は――その声のトーンは、これまでのそれとは違い、本心からの困惑が透けて見えているかのような無機質さだった。

 

 思わず『彼女』も、『彼』を見る。

 こちらを振り返ってくれない『彼』の後ろ姿は、ボロボロで、ズタズタで、傷だらけの満身創痍で、片腕も失って、今にも死んでしまいそうで――それでも。

 

『彼』は、()()()()()

 

彼女(じょうおう)』の元へと馳せ参じ、『(ばんけん)』は堂々と言い放つ。

 

「決まっている――愛の力だ」

 

 その言葉は、路面が凍り、氷杭が乱立し、冷気が充満する――その極寒の戦場を、燃えるように駆け巡る。

 

 レジー博士は勿論のこと、陽光も、豪雪も凍り付かせ――ただ一人。

 

『彼女』の頬を、雪女の頬を真っ赤に熱く火照らせながら。

 

 樹木のような無表情で、誰よりも長く、『彼女』の隣に立ち続けてきた――男は、言う。

 

「愛する女の為なら――男は何だって出来るのさ。そんなことも分からないなら――天才ってのも、大したことないな」

 

 そうだろう、()()――庭師の『彼』は、そう、豪雪の方を振り返って言った。

 豪雪はしばし呆然としていたが、やがて小さく笑い――片手が凍り付いた陽光の前へと躍り出る。

 

 そして、無表情な男達は、小さな笑みを交わし合う――『彼』は豪雪に向かって何かを放り、豪雪はそれを受け取った。

 銀色に輝く美しい宝剣――『彼』がレジー博士の銀腕を斬り落とし、奪い取った武器だった。

 

 そして、男達は、愛する女を背中に庇い、醜悪な怪物へと立ち向かう。

 化物の男と、人間の男が、無数の機械腕を蠢かせる怪物のような人間と向かい合う。

 

 狂った天才科学者は、そんな男達の瞳を受けて――ただ、笑った。

 

「――は、ハハ、ハハハハハハハハハハハハはははははははははは!! あい! 愛! アイィィィイィィイイイイイイイイイ!!!! それはいい!! それは素晴らしい!! なるほど、ではその素晴らしい愛の力を見せてもらいましょう!! お礼にワタクシが愛する人と共に一個の肉塊にしてあげますよォ!! 永遠に一緒ですよ歓喜して死になさい!!」

 

 機械の腕が一斉に降り注ぐ。

 

 隻腕の庭師は頭部を裂かせ、雪女の寄生女王は氷鎧を凍らせ、半端な混血種は右手を掲げ、人間の父親は銀剣を握った。

 

 これが、文字通りの最後の戦い。

 

 一体の化物が、化物のように死亡する、バッドエンドが約束された、誰も知らないとある小さな戦争の記録。

 

 瀕死の化物は、文字通り死力を振り絞って戦った。そして死亡する。その冷たい身体の生命を燃やし尽くす。

 

 その生命の灯火が尽きるまで、後――三分。

 




『彼』は、来てくれた。

 恐らくは、今現在におけるこの世界で、最も激烈であろう――その戦場から。

 ボロボロで、ズタズタで、傷だらけの満身創痍で、片腕も失って、今にも死んでしまいそうで――それでも。


――もう俺は、お前の傍から離れない。

――最期の時まで、俺はお前の傍にいる。


 それでも――『彼』は、来てくれた。
 
彼女(じょうおう)』の元へと馳せ参じ、『(ばんけん)』は堂々と言い放つ。


「決まっている――愛の力だ」


 樹木のような無表情で、誰よりも長く、『彼女』の隣に立ち続けてきた――男は、言う。

「愛する女の為なら――男は何だって出来るのさ。そんなことも分からないなら――天才ってのも、大したことないな」

 そして、男達は、愛する女を背中に庇い、醜悪な怪物へと立ち向かう。

 最後の戦いが、始まる。
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